シンギュラリティ後に残るのは「意味の創造者」か
最初の相談は、シンギュラリティ後の人類がどんな文明をたどるのか、というものでした。
AIの結論は、人類は意味の創造者として生き残るか、AIと融合してポストヒューマンに移行するかの二極化が進む、というものです。
けんすうさんは、AIがより賢いAIを作るようになるのは2027年ごろかもしれない、という話が出ていると紹介します。
実際に、ClaudeというAIの会社が自社製品をClaude自身に書かせている、という例も挙げられました。
だからAIがほんとに自分で自分を作り始めるみたいな。
そうなんです。そうすると無限じゃないですか。
けんすうさんは、落合陽一さんの説として、かつては千年から一万年に一度だった技術の進化が、シンギュラリティ後には数分に一度ノーベル賞級の発明が起こるレベルになる、と説明します。
この二極化に対して、箕輪さんは自身のIP論を持ち出します。
AI時代に残るのは「個人の執着」だけ
箕輪さんは、鈴木おさむさんとIPについて対談したとき、腑に落ちたことがあると話します。
IPとは、たった一人がめちゃめちゃ好きで没入し、ゼロイチで作ったものが、少数の熱狂から始まって多くの人に広がり、一過性で終わらず熱を保ち続ける状態だ、というのです。
AI時代、そういうものしか残らないって逆に思って。どんなにちっちゃくてもいいんですよ。
箕輪さんは、自分がめっちゃ好きなことを、お金と関係なく淡々と続けることが大事だと言います。
何万人に評価されなくても、「いいね、君の熱。確かに俺もそれ欲しいわ」と思われるものしか残らなくなるのがAI時代だ、という見立てです。
合理的に逆算でやると、AI的なその他大勢になっちゃうから。なんでそんなことずっとやってんの、っていうことをやるのが人間になるんじゃないかな。
けんすうさんも、YouTubeで再生されようとすると、同じような人を呼んで同じテーマを喋らせることになる、と応じます。
なぜポッドキャストはIP化しやすいのか
箕輪さんは、ポッドキャストがIP化しやすい理由を語ります。声だから親近感が湧く、という理由だけではないと言います。
ポッドキャストは、好きでマニアックでどうでもいいことを、コスト的に続けられるのだと箕輪さんは指摘します。
その時間っていうものがファンをグツグツ煮込んで発酵させて、本当に好きな人が集まってる熱みたいなのを作りやすい。
一方で、大きな会社が主体となって儲けようとするものには、熱は宿らないのではないか、とも話されました。
けんすうさんは、集英社や講談社はIPになるようなゲームを当てているが、KPIに寄っているITベンチャーには作れない感覚があるのでは、と問いかけます。
箕輪さんは、ウマ娘のゲームが発表からリリースまで長くかかった例を挙げ、作り手が納得せずこだわり抜いたからこそ響くものになった、と語ります。
好きじゃない人から見れば完全に無意味なことをやることしか、人間に残る仕事はない、というのが箕輪さんの見立てです。
個人の執着やこだわりを軸に、時間をかけて熱を発酵させる。ウマ娘や本のように、作り手が納得するまでこだわる
合理的に逆算し、数字を狙って作る。その他大勢に集約されやすく、本当のファンの熱が宿りにくい
KPIを捨てる勇気とマネタイズの工夫
この番組自体も、そうした「個人の執着」の実践だと箕輪さんは言います。
俺とけんすうさんが楽しければ、十年ぐらい続けた時にとんでもないことになる。
けんすうさんは、元々アンチだったという年上の人が、番組を聞いて箕輪さんを好きになった話を紹介します。イメージだけで判断されていたのが、チャーミングで面白い人だと伝わったのだそうです。
けんすうさんは、XやYouTubeでは数字を稼ごうとしてしまうが、ポッドキャストは数字がよくわからないところがいい、と話します。
聞いてる人いるのかなってぐらいなんですけど、そのぐらいの方がいいから、もう数字教えないでこって思ってます。
箕輪さんも、数字が出るとゲストに失礼だと感じると言います。鈴木おさむさんとのIP対談が2000再生でも、そういう現場に呼んでいいのかと悩むのは、そういうことではない、と語ります。
再生数を伸ばせるから呼んでるわけでもないし、伸ばしたいわけじゃないんです、はっきり言って。
そのうえで、部数や再生数以外でのマネタイズが必要になる、と話が進みます。
箕輪さんは、メンバーシップで本の売上をカバーしたり、濃い読者と旅行ツアーをやって体験を売る構想を語ります。
けんすうさんは、コテンラジオの深井さんが有名な僧侶に会いに行くイベントを身内でやっている例を挙げ、そこに参加しないと聞けない体験の価値に触れました。
箕輪さんが「ブッダ」を信じる理由
二つ目の相談は、Don't Dieという不死を目的とした宗教を知っているか、そしておすすめの宗教や宗教家はいるか、というものでした。
箕輪さんは、自分はブッダが好きだと答えます。不倫疑惑で炎上した後、たまたま秩父の寺を巡る企画があったのがきっかけでした。
行く先々のお坊さんに相談すると、過ちを犯せば犯すほど悟りに近づく、と言われたそうです。
反省しますって言ったら、反省する必要ないですと。どうせ同じことを繰り返す、人間というのは過ちを犯す生き物だから。
では、どうすればいいのか。箕輪さんが聞くと、「やっちゃったな」でいいと言われたそうです。
またやっちゃったな、でも次は気をつけようかな、またやっちゃったな。それでいいと。
ブッダはありとあらゆる過ちを犯した末に、人間の心をわかり、人を許せるようになった、というのが箕輪さんの受け取り方です。
散々いろんな過ちをやった後にブッダになったわけですから、僕もこんなことしてしまいましたって言いやすいんですよ。
けんすうさんは、以前「箕輪さんには炎上したときに相談しやすい」という話があったことを思い出します。完全無欠な相手には、自分の心を打ち明けにくいのです。
これはキリストとは違う、と二人は整理します。キリストは許してくれる側の完全無欠な神様であり、箕輪さんはあくまで過ちを犯す側だ、という対比です。
人間エネルギーカードは怪しいのか
三つ目の相談は、人間エネルギーカードを買いたいが怪しくないか、というものでした。AIは「怪しいです。買わないでください」と即答します。
これに対して箕輪さんは、怪しいわけがない、本当にエネルギーが入っているのだ、と主張します。
持ってると満たされると思うことが大事です、って言うのは簡単ですけど、そうじゃなくて、本当にエネルギーが入ってるんです。
けんすうさんは、一歩引いた見方を示します。本には著者の思いというエネルギーがある、ならば中身のない紙でもいいのでは、というのがエネルギーカードの発想だ、というのです。
極論、何も書いてない本なんて印刷されただけの紙じゃんっていう。
さらにけんすうさんは、仏教の仏具を引き合いに出します。仏具は、儀式のたびに一からロジックをたどる手間を省く「ショートカットアイコン」のようなものだと説明します。
本一冊分のプロセスを一つのアイテムに凝縮すれば、常にショートカットでその認知を引き出せる。だからエネルギーカードのようなアイテムには意味がある、という理屈です。
本や仏教のロジック
著者の思いや教えのプロセスが、本一冊分の情報として存在している
アイテムに凝縮
そのプロセスをカードや仏具という一つの物に落とし込む
ショートカットで引き出す
物を持つだけで、毎回思い出すコストなく認知やエネルギーを得られる
ここで話は、エネルギーカードをIP化するアイデアへと転がっていきます。
草アートの頂点とISBN番号のアイデア
箕輪さんは、IPの話とつなげて、人間エネルギーカードも続編を出し続ければIPになりうると気づきます。
十年とか続けたら、本物のエネルギーになるわ。
現在は人間エネルギーカードと半人間エネルギーカードの二作があり、三作目以降を本気で作ると宣言します。
この背景には、村上隆さんからの言葉がありました。これは草アートの頂点だが、心のどこかでバカにしているだろう、だからバチが当たる、と言われたそうです。
真剣にやらないと悪いものを引き起こすと。でも悪いものを起こしてる時点で本当にアートなんだけど、みたいな話をされて。
そこからアイデアはさらに広がります。けんすうさんは、本のISBN番号だけを刻んだカードはどうか、と提案します。
好きな本の番号を入れているだけ、と言えるので、著者の許可も不要になる、というアイデアで盛り上がりました。
七つの習慣を読んでて、これを持ち歩きたいけど重いなと。ISBN番号を教えてくれと。刻んで、俺がポンってやりますよと。
集英社もISBN番号の印刷は止められないだろう、といった冗談を交わしつつ、箕輪さんは気持ちばかりのお金は振り込む、と付け加えます。
最後は、番組のイベントとして2月19日木曜日に新宿LOFT PLUS ONEで公開収録を行うと告知され、締めくくられました。
まとめ
AIがAIを作る時代に残るのは、合理性やKPIではなく、たった一人の執着だという視点で三つの相談が語られました。ポッドキャスト、宗教、エネルギーカードという一見バラバラな話題が、いずれも「個人の熱」という一本の線でつながっていきます。
- AI時代には、好きなことを淡々と続ける個人の執着だけが価値として残るという見立てが語られた
- ポッドキャストは時間をかけて熱を発酵させやすく、KPIから離れることでIP化しやすいと考えられている
- 箕輪さんは、過ちを犯すほど悟りに近づくというブッダの教えに触れ、相談しやすさの理由を語った
- エネルギーカードや仏具は、本のプロセスを凝縮した「ショートカット」として意味を持つという解釈が示された
- 番組は2月19日に新宿LOFT PLUS ONEで公開収録を行うと告知された
