探偵の話の前にあった「境界線」の問題
今回のテーマは「境界線」です。前回の屍解剖ファイルでは、探偵に尾行され駅まで追われ、電車から飛び降りて探偵をまいたスミレ子自身の事件が語られました。
2026年の今、あの事件を思い返したところ、探偵をまいた話よりも大きな問題があったと気づいたと話されています。それが「境界線がゆるすぎた」という問題です。
当時のスミレ子は、優しい人や話を聞いてくれる人が現れると、男女や友達・恋人といったカテゴリーに関係なく、すぐに心を開いていたそうです。
ただし、心を開くことと、自分の決定権や人生を預けることは全く違うと語られています。その違いが当時は分かっていなかった、というのが今回の反省点です。
絶対に教えないであろう、自分の人生のログインIDとかパスワードを、どうぞどうぞここに書いてありますよって渡してるようなもんかなって思うので。いや、笑えないんですよ、だから。
境界線は恋愛だけでなく、職場や友達、親子でも毎日少しずつ削られていくものだと話されています。だからこそ、それをいかに死守するかが自分を守る術になると気づいたそうです。
そこで今回の研究テーマは「探偵」ではなく、「人はどうやって支配されるのか」に定められています。
人は違和感より期待を信じてしまう
一つ目の研究結果は、人間は違和感や不安よりも「期待」を信じる生き物だ、という点です。
たとえば友達が30分遅刻したら「何かあったのかな」と思いますが、恋人なら「仕事が長引いた」「充電が切れた」と勝手に理由を考えてあげてしまう、と例が挙げられています。
これは脳が勝手につじつまを合わせているだけだと話されています。心理学でいう認知的不協和が関係しているそうです。
「この人と付き合う」と決めた瞬間から、脳は「いい人のはず」という証拠ばかりを探し始め、都合の悪い情報は見ないようにしてしまうと語られています。
誰に言われたわけでもなく、自分の脳が自分をフォローしていた、というのが当時の状態でした。これは恋愛だけでなく、仕事やマルチ商法、推し活、高い買い物などでも起こり得ると話されています。
一方で、違和感は敵ではなく、むしろ一番最初に味方してくれる存在だと語られています。
なんか怖いとか、なんかやだとか、なんか変だっていうこの感覚、論理よりも先に扁桃体が反応してる可能性が高いんですって。つまり女の勘ってやつは、オカルトじゃないんですって。
だから説明できなくても、理由が分からなくても、「あれ?」と思ったら一度立ち止まった方がいいと勧められています。スミレ子もあの日、マンションの前に止まっていた車を見て「なんか変だな」と思い、その直感が正しかったそうです。
支配は「優しさの顔」をしてやってくる
今回の研究でスミレ子が一番ぞっとしたのが、支配する人は最初から悪そうな顔で近づいてこない、という点です。むしろ逆で、優しく、腰が低く、話を聞いて共感してくれる。だから人は安心してしまうと話されています。
これには「フットインザドア効果」が関係しているそうです。小さなイエスを積み重ねると、大きなイエスも断れなくなる心理です。
一つひとつを見ればそこまで変ではないのに、時系列に並べると「そんなにイエス言っていいのか」となる、と語られています。
探偵の時のスミレ子も、県人会で知り合い、仕事の相談に乗ってもらい、ご飯に行き、付き合い、彼が言うから同棲して引っ越し、気づけば自分の生活圏ではない場所にいた、という流れだったそうです。
引っ越しは住所を変えることではなく、生活をまるごと変えることだと話されています。行きつけの店、スーパー、病院、友達との距離が全部変わり、生活圏が変わると人生も変わるからです。
そしてもっと怖いのは、支配する人が最初に奪うのはお金でも自由でもなく「判断力」だという点です。
大丈夫だよとか、任せてとか、こっちの方がいいよとか、一見頼もしい言葉なんですよね。でも、それが積み重なると、気がついたら自分で考えなくなるんです。
相談相手も味方も理解者も全部同じ一人になる状態は、実はとても危険だと語られています。犯罪心理学でいう「グルーミング」につながるからです。
信頼関係を築く
この人はいい人だと思わせる
秘密を共有する
君だけ、誰にも言わないでねと囁く
孤立させる
少しずつ周りから切り離す
支配する
身も心も支配される
だから、探偵をつけられた日から事件が始まったのではなく、もっとずっと前から少しずつ始まっていたのだと気づいたと語られています。
尾行されたらどうすればよかったのか
ここからは防犯の話です。「もしかしてつけられているかも」と思ったら、今日の話を思い出してほしいと語られています。
まず最初に、違和感を笑って過ごさないこと。「考えすぎかな」「気のせいかな」と思っても、その「あれ?」は脳が最初に出してくれた警報だからです。
次に重要なのが「目的地には行かない」こと。家や職場、学校、いつものカフェには絶対に行かないよう、警察の防犯でも言われているそうです。相手に自分の住まいや職場を教えることになってしまうからです。
スミレ子はあの時、駅まで行ってしまいましたが、今なら大型商業施設など人が多い場所へ行き、店員やインフォメーションに助けを求めると話されています。
証拠を取らなきゃと考える人もいますが、それより自分の安全が先で、写真や動画は撮れたらラッキーくらいでいい、と語られています。車ならナンバー、人なら特徴ですが、撮影のために立ち止まったり近づいたりする必要はありません。逃げること、助けを求めることが最優先です。
そして警察への相談についても、「まだ何もされていないから」と遠慮する人が多いそうです。しかし現役の警官である友人に相談したところ、すぐに110番してもおかしくない案件だと言われたと話されています。
何もされてないのにいいの?ってもちろん聞いたんですけど、明らかに尾行されている、で、怖いわけですよね。この時点でもう110番してもいい案件だそうです。
それでも勘違いかなと思う場合は、警察相談専用ダイヤル「#9110」もあると紹介されています。
警察は事件が起きてから行く場所ではなく、事件を起こさせないために相談する場所だと語られています。「これくらいで相談していいのかな」ではなく、「何もなかったでよかったね」で終わるのが一番いいのです。
ただしスミレ子自身は当日、ミッションインポッシブルを脳内再生しながら電車から飛び降りて尾行をまいたそうで、これは真似してはいけないと強調されています。現実でヒーローになる必要はなく、助けを呼ぶべき案件でした。
「境界線」は性教育でもある
ここまで、人はどう支配されるのか、なぜ違和感を無視するのか、尾行されたらどうするかを研究してきました。しかし、実は一番話したかった「境界線」の本題はまだ話していない、と明かされています。
今回話した境界線は入り口・序章にすぎず、本当の境界線の話はもっと深く、「ノーと言えること」だけの話でもないと語られています。体も心も、時間もお金も人間関係も、すべて境界線でつながっているからです。
中途半端に話したくないため、しばらく配信できていなかった「アテしか性教育シリーズ」で、境界線をまるごと1本研究する回を近々出すと予告されています。境界線とは何か、どう作り、どう取り戻すのか、ノーが言えない人はどうすればいいのかなどを扱う予定だそうです。
最後に、今日の知見として「違和感は脳が先に見つけた危険信号」であることが挙げられています。説明できなくても、「あれ?」と思った自分を信じてほしいと語られています。
そして処方箋として、「今日から小さなノーを一つだけ言ってみること」が示されています。「今日はやめておくね」「今は考えるね」の一言でいい、というものです。
境界線は1日で壊れません。だから、取り戻すのも1日で十分なんです。小さな一歩を今日から始めてみてくださいませ。
まとめ
今回は「探偵をつけられた女」の事件を掘り下げ、人が支配されていく構造と、違和感を無視してしまう心理を研究しました。優しさの顔をした支配に気づき、自分の判断力を手放さないこと、そして防犯行動と「小さなノー」から始めることが、自分を守る第一歩として語られています。
- 人は違和感や不安よりも「期待」を信じてしまう。認知的不協和で脳が都合よくつじつまを合わせる。
- 「あれ?」という違和感は扁桃体が出す最初の警報。説明できなくても一度立ち止まる。
- 支配は優しさの顔で近づき、小さなイエスの積み重ねで判断力を奪っていく。
- 尾行を感じたら家や職場に向かわず、人の多い場所で助けを求める。#9110も相談先になる。
- 境界線は1日で壊れないので、取り戻すのも「小さなノー」を一つ言うことから始められる。
