ホスティング任せの落とし穴
WordPressを運営していると、アップデートや予期せぬ事態に備えて常にバックアップを取っておくことが大切です。しかし、レンタルサーバーが自動でバックアップしてくれる場合もあるため、WordPress側では何もしていない人も多いのではないか、とトシイトウさんは指摘します。
そう考えるきっかけになったのが、放送の1〜2ヶ月前に実際に起きた出来事です。ある大手のレンタルサーバーで障害が発生し、ホスティング側の説明によれば「バックアップデータの引き渡しができない」という事態になったといいます。
引き渡しができないということは、対象サーバー上のデータがまるごと消え、しかも復元もできないという意味です。ホスティングのバックアップに頼っていた人や、サーバーの中にバックアップファイルを置いていた人も、データ消失に巻き込まれた可能性が高いといいます。
大手レンタルサーバーで障害発生
対象サーバーのデータがまるごと消失
バックアップデータの引き渡し不可
ホスティング側からも復元できない
外部ストレージにデータがあれば?
ドメイン復旧後に自分で復元できる
こうした復旧すらできないレベルの障害は正直レアです。ただ、実際に起きた話であることも事実です。外部ストレージに保存していれば、一時的な障害はしょうがないとしても、サイトが使えるようになった時点で自分で復旧できます。仮に「復旧できる」と言われても、実際に何日後・何週間後になるかわからないケースもあるため、手元にデータがあればさっさと直せる強みがあるのです。
データは自己責任という発想
「外部バックアップはすでにしているよ」という人も一定数います。そういう人はたいてい、Webに関わってきた歴が長い人だとトシイトウさんは見ています。制作会社では「レンタルサーバーだけにデータを置くな」と言われたり、実際に障害を経験してから外部保存を習慣にしたりするケースが多いためです。
結構データは自己責任って感じなんですよね、こうウェブに関わってる人って。
これはレンタルサーバーを信用していないという話ではありません。ただ、ウェブに関わる人ほど「データは自己責任」という意識が強く、100%サーバー任せにはしない傾向があるのです。
たとえばVPSのように自分でサーバーを立てて動かす人は、当然のように自分でバックアップを取っています。ウェブ上のデータは自己責任という感覚が根底にあり、「とにかくバックアップさえあれば戻せる」という発想で、復旧できない状態を作らないよう外部に置いているのです。
トシイトウさんのデータ消失体験
トシイトウさん自身も、今回とは別のサーバーでデータ消失を経験したことがあるといいます。消えてしまったのはサーバー上のデータではなく、データベースでした。
データベースは毎日バックアップを取っていたため、消えたと言われても、すぐに戻すことはできました。ただ、時期が悪かったといいます。ちょうど、お客さん向けの開発が終わった後の試験中だったのです。
試験でデータを書き込んでいる最中に消失が発生。試験データまではバックアップを取っておらず、直近1週間分のデータがない状態になってしまいました。「どこまでやったっけ?」と作業をたどり直す無駄な時間が発生し、結局やり直しになったそうです。
バックアップもないからまたやり直しと。ある意味その試験データで良かったんですけどね。
試験データで済んだのは不幸中の幸いでしたが、数年に一度こうしたことは起こり得る、という実感につながった出来事でした。
おすすめプラグイン①BackWPup
では、プロではない一般的なWordPressユーザーはどうすればよいのでしょうか。トシイトウさん自身は、基本的にBackWPupWordPressのバックアッププラグイン。サーバー上の生データとデータベースをZIP形式でまるごと外部ストレージに保存できる。というバックアッププラグインを使い、保存先はDropboxにしているといいます。
DropboxのほかにGoogleドライブなども使えるはずですが、Dropbox以外は有料版になる可能性もあるため、そこは各自で確認してほしいとのことです。
BackWPupの最大のメリットは「生データ」を保存できる点です。生データとは、サーバー上にあるデータをそのまままるごと保存する形式のこと。データベースも一緒にまとめてZIPファイルで保存されます。
生ファイルの強みは、そのデータさえあれば高確率でどのサーバーでも復元できることです。もちろんPHPのバージョンを合わせる必要はありますが、当時の状態がそのまま残っているため再現性が高く、復元に対する信頼性が最も高いといいます。
以前のBackWPupは管理画面上での復元が有料版限定でしたが、最近見たところ無料でも復元できるようになっていたそうです。設定にやや癖があるものの、トシイトウさんが最も信頼しているバックアッププラグインだといいます。具体的な設定方法と復元方法は、ブログ記事にまとめられています。
おすすめプラグイン②UpdraftPlus
もう一つの候補がUpdraftPlus初心者でも直感的に設定でき、DropboxやGoogleドライブへの外部保存やサイト移行に便利なバックアッププラグイン。です。こちらも信頼性は高めで、どちらかというと初心者向きだといいます。BackWPupよりもシンプルで直感的にバックアップを取りやすいのが特長です。
保存先をDropboxやGoogleドライブといった外部ストレージにできるほか、違うドメインへの載せ替えやサイト移行にも使えるため、サイトリニューアルの際に重宝するとのことです。
ただし、BackWPupとの大きな違いがあります。UpdraftPlusはWordPress本体自体はバックアップしないのです。テーマやコンテンツ、プラグイン、データベースはバックアップしますが、本体は対象外です。
生データ(サーバー上のデータそのまま)+データベースをZIPで保存。WordPress本体もそのまま残る。復元の信頼性が高い。設定に癖あり。
テーマ・コンテンツ・プラグイン・DBを保存。本体はバックアップしない。シンプルで初心者向き。サイト移行にも便利。
これは、UpdraftPlusが生ファイル形式ではないことを意味します。復元にはWordPressにログインしてプラグインを使える状態が必要になります。
具体例を挙げると、WordPress本体を7.0にアップデートして不具合が出た場合、UpdraftPlusで復元しても6.9系には戻りません。本体は7.0のまま、コンテンツやプラグインの情報だけが元に戻る形です。そのため、アップデート後のコアファイルとの相性が原因のエラーは、この復元では直らないのです。
確実にデータをバックアップするならBackWPupが有利ですが、気軽さや初心者向けという点ではUpdraftPlusも有力です。少なくとも外部にバックアップがあれば、本体のバージョンがどうあれ復旧の道は残せるため、最低限の外部バックアップとして使うのはありだといいます。
もう一つ、有名なプラグインにAll in One WP Migration有名なバックアップ・移行プラグイン。データ容量が大きくなると有料化や動作が不安定になることがある。があります。便利ではあるものの、サイトが1GBを超えると有料になり、復元も不安定になることがあるため、トシイトウさんは現在あまりおすすめしていないとのことです。
バックアップの頻度と保管期間
最後に、バックアップの頻度と保管期間についてです。トシイトウさんは更新頻度の高いサイトは基本的に毎日、おおむね3ヶ月分を取っているといいます。ただしこれはDropboxの容量に余裕があるためで、毎日取る場合は1ヶ月分ほどがちょうどいいかもしれないとのことです。
毎日でなくても週1回程度でも十分だといいます。ただし保管期間は、3ヶ月や半年など長めに取っておくことをすすめています。
長めに取っておく理由は、不具合にしばらく気づかずに運用してしまうケースがあるからです。特にアップデート後の不具合を後から気づくパターンでは、「何が違ったんだろう」と差分を確認するのに過去データが役立ちます。
保管が1ヶ月分だと、エラーが出たタイミング以降のデータしか残らないこともあります。3ヶ月前・半年前まで遡れれば、差分を取ることが可能になります。差分の確認は最終的にエンジニアに頼むことになるかもしれませんが、自分で復元して「何か違うな」と気づけるだけでも意味があります。どこまで遡れるかは大事なポイントで、長ければ長いほど有利です。
どんだけ遡れるかってのは結構大事かなと思ってます。
頻度は低くても、たとえばハッキングにあった際に、正常時のサイトとの差分(ビフォーアフター)を取れるという利点もあります。いずれにしても、大切なのはバックアップを手元=外部に置くことです。
まとめ
今回の話の肝は、どうせバックアップを取るなら外部に取りましょう、という一点です。サーバーの中だけで完結させていると、障害が起きた時にサーバーとバックアップが共倒れになり、データがまるごと消えてしまう恐れがあります。
バックアップは、取ってはいても使ったことがない人のほうが多いものです。それでも保険と同じで、いざという時にデータが手元にないと、それこそ悲劇になります。完全にゼロの状態にならないよう、外部ストレージに保存する習慣をつけて、長く安心してWordPressを運営していきたいですね。
- サーバーとバックアップを同じ場所に置くと共倒れのリスクがある。実際に大手レンタルサーバーで復旧不可の障害が起きた
- バックアップは外部ストレージ(Dropbox・Googleドライブなど)に置くのが基本。手元にデータがあれば自分で復旧できる
- BackWPupは生データ+DBをZIP保存でき、復元の信頼性が高い。設定にやや癖がある
- UpdraftPlusは初心者向けでシンプル。ただしWordPress本体はバックアップされない点に注意
- 頻度は毎日〜週1、保管期間は3〜6ヶ月と長めがおすすめ。差分確認や原因究明に役立つ
