📝 エピソード概要
HOTEL SHEの龍崎翔子氏が、いかにして言語化を超えたブランドの「らしさ」を確立し、事業の突破口を開いたかを語る後編です。エピソードでは、顧客を単なる宿泊者ではなく「クリエイター」と見なし、思わず語りたくなるような体験(語り代)を徹底的に設計する独自の経営戦略が明かされます。また、ホテルを地域の空気感を濃縮した「古典(商店)」と捉え、その世界観を維持・発展させるための採用基準(世界観密度)や、事業を通じて新しい「生活文化」を提案する思想的背景について深掘りします。
🎯 主要なトピック
- 顧客をクリエイターとして設計する:顧客に友達紹介を依頼するのではなく、SNSの研究を通じて、顧客自身が「思わず人に言いたくなる」ような発信欲を刺激するホテル体験を設計する。
- 「語り代」のデザインが経営の生命線:ホテルの魅力を設計する際は、SNSやメディアで「どう語られるか」を起点とし、写真一枚でメッセージが伝わるような意図的なデザインを施す(例:リアルキー、レコードプレーヤー)。
- 街の空気を濃縮したデザイン: 単なる「映え」ではなく、その街にうっすらある空気感をホテル内で濃縮し、結晶化した存在としてレコードなどのアイテムを配置することで、深い意味付けを行う。
- 言語化しきれない魅力の価値: 魅力の全てをコンセプトシートのように言語化できた瞬間、それは語られなくなる。人格が分裂した商業施設ではなく、一貫した人格が宿る「古典(商店)」的なブランドを目指す。
- ホテルはカルチャーをパブリックに開く「キャズム」: ホテルは特定のカルチャー(ユースカルチャー、レコードなど)を大衆に広めるエントリーモデルであり、その設計には初心者としての素人目線が重要となる。
- 採用基準は「世界観密度」の高さ: 開発後の運用を成功させるため、採用においてはホテルの世界観を濃くする人材(例:京都のローカルな空気感を体現する人材)を重視し、メンバー間の共通言語を確立する。
- 生活文化をつくる事業思想: 観光や地域振興のためではなく、セゾングループの堤清二氏の思想と同様に、「新しい生活のカルチャー」を提案し創造することを事業の核とする。
💡 キーポイント
- 設計された「語り代」は、顧客が持つ「旅行の思い出を伝えたい」「おしゃれだと思われたい」といった別の欲求に応える受け皿として機能するべきである。
- 商業施設型のアプローチでは、多くの人が関わることで人格が分裂し、情緒が作り出せず、結果的に「語られない」ブランドになりやすい。
- 支配人などのリーダーがクリエイティブディレクターとマネージャーを兼任するのは難しい。そのため、世界観密度が高いメンバーで固めることで、マネジメント上の共通言語とし、負担を軽減する。
- ローカルな空気感を作るには、実際にその地域で学生生活を送った人など、地域のカルチャーを体現する人材を採用することが不可欠である。
- 目指すところは、大衆の美意識を信じ、カルチャー(文化)と事業性(ビジネス)を絶妙なバランスで両立させることにある。

