📝 エピソード概要
本エピソードは、物理学史における最大の激論の場となった1927年の第5回ソルベイ会議を中心に、シュレディンガーの人生と彼の発明した波動方程式が巻き起こした量子論争のクライマックスを描きます。
アインシュタインやシュレディンガーが主張する「実在論(必然性)」と、ボーアやハイゼンベルクが提唱する「コペンハーゲン解釈(確率論)」が激突し、最終的に確率論が学会の主流となりました。シュレディンガーの猫の思考実験の真の意図など、天才たちの人間臭い葛藤と、現代物理学の基礎が築かれた歴史的な瞬間を深く解説しています。
🎯 主要なトピック
- 伝説のソルベイ会議と天才たちの集結: 1927年の第5回ソルベイ会議は、参加者の半数以上がノーベル賞受賞者という、物理学史上最も重要な会合。量子力学の解釈を巡り、旧派(アインシュタイン、シュレディンガー)と新派(ボーア、ハイゼンベルク)が大激論を繰り広げました。
- シュレディンガーの人生と波動関数の発見: 遅咲きだったシュレディンガーは、ド・ブロイの「物質波」の概念に触発され、愛人とともに過ごしたクリスマス休暇中に「シュレディンガー方程式(波動方程式)」を発見。これは電子の振る舞いを波として説明しようとするものでした。
- ハイゼンベルクとの対立とボーアとの激論: 波動方程式がハイゼンベルクの行列力学と数式的に等価であることが判明したものの、その解釈(電子は波そのものか、確率波か)を巡って論争が激化。ボーアの元に招かれたシュレディンガーは、朝から晩までの議論の末、心身ともに疲弊し決裂しました。
- アインシュタインVSボーアの決着: ソルベイ会議でアインシュタインは思考実験を用いてボーアの不確定性原理を攻撃しますが、ボーアによってことごとく論破され、最終的にボーア側のコペンハーゲン解釈(量子の確率的な振る舞いを認める立場)が学会の主流となりました。
- 「シュレディンガーの猫」の真意: シュレディンガーの猫は、実はボーアたちのコペンハーゲン解釈が「現実離れしている(猫が生きている状態と死んでいる状態が同時に存在する)」ことを示すためにシュレディンガーが提示した、反論のための思考実験でした。
- 量子力学の誤用とスピリチュアル: 量子力学が持つ確率や曖昧さといった性質が、引き寄せの法則などスピリチュアルやコーチング分野で安易に利用されるケースがあることが指摘され、それらは科学的な根拠を欠いていると注意喚起されました。
💡 キーポイント
- 第5回ソルベイ会議は、量子力学の基礎を決定づけた歴史的な会議であり、天才たちが物理学の根幹である「世界の正体」について真っ向から対立しました。
- シュレディンガー方程式は、現代物理学において極めて重要で正しい方程式ですが、発明者のシュレディンガー自身は、その解釈を巡ってボーアが確立した「確率論的な量子力学」を生涯受け入れませんでした。
- アインシュタインが残した「神はサイコロを振らない」という言葉は、彼が量子の世界における「確率」や「不確定性」を認めず、実在論的な完全な理論が存在すると信じ続けた姿勢を表しています。
- コペンハーゲン解釈が現代物理学のスタンダードとなっていますが、「観測するまで量子の状態は確定しない」という現象に対する解釈論争は、今なお多世界解釈などの形で続いています。
- シュレディンガーは、統一場理論の失敗やアインシュタインとの仲違いもあり、晩年は物理学の主流から孤立するという哀愁漂う結末を迎えました。

