本を読まない人と、本選びに迷う人
この回は、レンさんがエマさんに「普段本って読みます?」と聞くところから始まります。エマさんの答えは、あっさり「読みません」でした。
(本の)読む習慣ってどうやったらつくんだろうっていつも思いながら、あんまり読んでませんね。
エマさんが本を読むのは、勉強が必要なときくらいだといいます。最近はAudible ── Amazonが提供するオーディオブックのサービス。プロのナレーターなどが本を朗読した音声を、聴き放題で楽しめますで小説を聴くことはあるものの、紙の本を読む習慣はないそうです。
一方のレンさんは、Podcastの調べ物のために本を読む機会があります。ただ、レンさんには別の悩みがあります。
でもなんかいつも何読むかってめっちゃ迷うんだよね。自分が知りたいやつはこの本に書いてるのかみたいな。
そこで今回は、本選びのプロとして、ほんのれんラジオのニレヨーコさんとはるにゃさんがゲストに招かれました。2人とも編集工学研究所という会社のメンバーで、本を選んで図書館のスペースをつくったり、企業研修に本を使ったりする仕事をしています。
はるにゃさんによれば、ほんのれんラジオは、同社の選書サービス「ほんのれん」に付随するPodcastです。両番組は、Podcastのイベント「ポッドキャストウィークエンド」で出会ったことがきっかけで、今回のコラボにつながりました。
ニレヨーコさんは、ほんのれんラジオを始めて2年半ほどだと話します。番組を始めるとき、隣の人の話を聞いているような雑談系を目指していて、参考にしたサイエントークが「一番近いんじゃない?」と話していたそうです。
「編集工学」とはそもそも何なのか
レンさんが最初に投げかけたのは、編集工学とはそもそも何なのか、という質問です。エマさんも、そういう学問があるのかと疑問に思っていたといいます。
ニレヨーコさんの説明では、編集工学は松岡正剛 ── 日本の編集者・著述家。雑誌『遊』の創刊や、膨大な書評サイト「千夜千冊」で知られ、編集工学研究所を設立しましたさんが言い出した考え方です。本や映像の編集にとどまらず、あらゆる情報を相手にしているといいます。
例として挙がったのは、空間を編集する、料理の献立を編集する、進まない会議を目的やメンバーを変えて編集する、といったものです。大きく言えば民主主義を編集することもあり得るかもしれない、とニレヨーコさんは話します。
ニレヨーコさんによる超ざっくりした定義は、情報を組み替えて価値を生み出すこと、というものでした。
わかりやすい例として出たのが「ここではきものを脱いでください」という文です。読点の位置が1つ変わるだけで、「履き物」を脱ぐ話にも、「着物」を脱ぐ話にもなってしまいます。
ニレヨーコさんが、この組み替えは遺伝子編集にも近いかもしれないと言うと、レンさんはちょうど同じことを言おうとしていたと反応します。
そのDNAの配列も一文字入れ替わるだけで、もう病気になっちゃうとかあるよなっていうのを今この後言おうかなと思ってた。
編集工学研究所の仕事は本に限りません。ニレヨーコさんによれば、企業の歴史や創業者がどう事業をつくってきたかを掘り返し、その企業の価値を新しく組み替えて提案するような仕事や、イベントづくりもしているそうです。
レンさんは「僕らも編集されたいっすよね」と冗談を言い、ニレヨーコさんも「サイエントークの価値を最大化してほしい」と応じていました。
本と本の関係で棚を組む「文脈棚」
図書館の本棚の並べ方をどう考えているのか、というレンさんの質問に、ニレヨーコさんは、一般的な図書分類のように分けすぎず「連想っぽくする」と答えます。
はるにゃさんは、編集工学研究所が得意とする本棚を「文脈棚」と呼んでいると説明します。本棚の間を歩くだけで、その文脈が見えてくるような構成です。
はるにゃさんの例では、遺伝子編集の本の次に別ジャンルの漫画が来たり、一文字変えたことで世界観が変わった日本の伝統芸能の本が隣にあったりします。本と本の関係性によって、棚の間を歩くだけで読書体験になるように意識しているそうです。
一般的な図書分類と文脈棚の違いを、発言をもとに整理すると次のようになります。
哲学、歴史などの分野ごとに、ぶつ切りで本が並ぶ
分けすぎず連想でつなぎ、本と本の関係性で棚を組む。歩くだけで文脈が見えてくる
最近の例として、はるにゃさんは、敦賀市の公設書店知恵並木を挙げます。自治体が運営する本屋で、編集工学研究所がプロデュースし、子どもが親と一緒に本棚の間を走り回りながら発見できる場所として話題になっているそうです。
はるにゃさんは「工学」という言葉の意味も説明します。編集作業はふつう頭の中で行われ、センスのある人だけがうまくできるものになりがちです。そのブラックボックスを取り出して、編集プロセスを型化し、再現可能にする研究をしているから「編集工学研究所」なのだといいます。
レンさんが、エマさんのように本を読まない人でも良い出会い方ができるのかと聞くと、はるにゃさんは、小さな豆本やビジュアルのかっこいい写真集の古書が置かれた棚で、目的がなくても意外な本に巡り合えるのが特徴だと答えます。
近畿大学の図書館「アカデミックシアター」も例に挙がりました。ニレヨーコさんによれば、1階は30数分類で近畿大学らしい独自の図書分類をし直したスペースノア、2階は漫画をたくさん置いたスペースどんでんで、2階は学生にも人気だそうです。
そういうところに行ったら私も本読もうってなるかもしれないですね、じゃあ。
紙の本ならではの「物質感」と、電子書籍の便利さ
レンさんは、カフェが併設された本屋などで、元素図鑑のようなビジュアルの美しい本が目立つ場所に置かれていることに気づいていたといいます。ニレヨーコさんは、洋服屋のショーケースや定食屋の食品サンプルのように「一番美味しそうな本」を飾り、欲望をそそるのだと話します。
イギリスに住むレンさんとエマさんは、イギリスの本屋の本はデザインがかっこいいと感じているそうです。レンさんは、日本の本は文字が大きく出るインパクト重視の表紙が多い一方、イギリスはアーティスティックな本が多い気がすると話します。
日本だとちょっとサイズも統一感あって、それはそれできれいなんですけど、海外のものだと本当になんかサイズまちまちなものがごちゃっと並んでたりして、それが逆におしゃれだったりとかもありますね。
レンさん自身は電子書籍で読むことも多く、紙の本へのこだわりはあるのかとゲストに尋ねます。ニレヨーコさんは、紙の本は持ち運ぶと重いとしつつも、デザインが大事な自分にとっては見た目で気持ちが上がると答えます。
ニレヨーコさんが挙げたのはアフォーダンス ── モノの形や性質が、人にどう扱うかを自然に促すという考え方。心理学者ジェームズ・ギブソンが提唱した概念ですの違いです。大きな図鑑なら大きく見て、小さな本なら覗き込むように読む、その体ごとの感じが紙の本の良さだといいます。スマホやKindleでは全部同じサイズで、手触りもツルツルで同じになってしまいます。
ニレヨーコさんはジャケ買いもよくするそうです。装丁の紙選びやイラストには、デザイナーや編集者がその本をどう読み、どう見せたいかが表れているので、「この本良さそう」という予感はとても大事だと話します。エマさんも、イギリスの本屋で表紙がキラキラしていたり材質が違ったりする絵本に惹かれて買ったといいます。
一方で、ニレヨーコさんは、特定の情報を探すならデジタルのほうが楽だとも認めます。レンさんも、デジタルのマーカーを引いて後から見返せる点は便利だとしつつ、本当に欲しい本は紙で買うと話していました。紙と電子書籍のそれぞれの良さは、次のように整理できます。
サイズや手触りで読み方が変わる。装丁から本の良さを予感できる。手に収まる感じがある
持ち運びが軽い。検索やマーカーで、後から情報を引っ張り出しやすい
耳で読む読書と、昔の「音読」
はるにゃさんは、紙の本の割合は減るかもしれないとしながら、デザインにこだわった本は残ってほしいと話します。そのうえで、エマさんが冒頭で挙げたAudibleのような、耳から聞く読書が増えていくといい、と考えているそうです。
もう文字が多すぎるとちょっと読む気がなくなるんですよ。だけど、耳から聞くとすごい手軽で、こう歩いてる時とかも情報を入れられるので、それはすごい入りやすいなとは思いましたね。
はるにゃさんが触れたのは、サイエントークの図書館の歴史の回です。その回では、アレクサンドリア図書館 ── 紀元前3世紀ごろ、エジプトのアレクサンドリアに建てられた古代最大級の図書館。膨大な巻物を収集したことで知られますでは昔みんな音読していて、うるさかったのではないかという話が出ていました。
はるにゃさんは、音読こそ読書の原型ではないかと考えています。人が何を読んでいるのか耳で聞ける、話し言葉と書き言葉が分断されていない状態もいい、という考えから、Podcastで本の話が盛り上がることを嬉しく感じているそうです。
はるにゃさんは、著者が出ているYouTubeを見るのも好きだといいます。本では硬い言葉を使う著者が、話すとこんな感じなのかというギャップを知ると、本の人間味が増すと話します。レンさんはこれを、本を立体的に楽しめる、と受け止めました。
エマさんが例に挙げたのは、動画・本・絵で楽しめる雨穴 ── 不気味な間取りや絵を題材にしたミステリーで知られるYouTuber・作家。著書『変な家』がベストセラーになりましたさんです。イギリスの本屋でも見かけたそうで、はるにゃさんからは、日本文学のイギリスへの輸出が増えていて、『バター』バターや川上未映子さんの作品が人気だという話も出ました。
5〜10分で本をつかむ「目次読書」
レンさんが次に聞いたのは、本の中身をどう把握して整理しているのか、という点です。ニレヨーコさんの答えは意外なもので、選書をしていても中身はほとんど読まず、1冊を5分、10分見る程度だといいます。
その方法が、編集工学研究所でよく使う「目次読書」です。ニレヨーコさんが手元の読解力の本を例に、やり方を実演してくれました。
ニレヨーコさんの例では、その本の第1章は3つの読解力の紹介、第2章は読んで理解するための「心の道具」、第3章あたりから文字を読む難しさの詳しい説明、という構造が見えてきます。気になる単語としては、文字が読みにくいディスレクシア ── 知的な遅れがないのに、文字の読み書きに困難がある学習障害の一種。読字障害とも呼ばれますを挙げていました。
そこから、この本は言語学に置くのが普通かもしれないが認知科学なのかもしれない、と本の位置を想像していくのだそうです。エマさんは「すごいプロ目線」と驚き、自分は読みたいかどうかでしか考えていなかったと話します。
レンさん自身は、目次の読み方が変わってきたといいます。
ネタバレになると思い、目次を飛ばして中身をいきなり読む派だった
いろいろな本を読みたいので、まず目次を見て、気になるところを読む本も出てきた
ただしニレヨーコさんは、目次読書は内容を把握したいときの読み方だと補足します。小説は目次からは何もわからないので、何も知らずに世界に飛び込むほうが面白いかもしれません。本を比べたり組み合わせたりする仕事柄、目次読書はとても役立つのだそうです。
レンさんが本屋でやってみようかなと言うと、ニレヨーコさんは「立ち読みいいかも」と応じました。
「読めばわかる」はなぜ当たり前ではないのか
レンさんは、読書そのものの研究はあるのかと尋ねます。ほんのれんの翌月のテーマが「読み書き」だったことから、ニレヨーコさんがその内容を少し先出しすることになりました。
ニレヨーコさんはまず、三宅香帆さんの本で「なぜ働いていると本が読めないのか」が話題になっているように、読めない原因はいろいろあると話します。そこで紹介されたのが、犬塚美輪さんの『読めば分かるは当たり前?』(ちくまプリマー新書)です。
この本のテーマは、時間があって読めたとしても、読んだらわかるとは限らない、ということです。ニレヨーコさんによれば、文字を目で追ってから「わかった」と思うまでには、10個ほどの段階があると書かれているそうです。
そんなにあるんですか?そんなに?
ニレヨーコさんが紹介した段階の一部を、話された順に並べると次のようになります。
文字と認識する
そもそもこれが文字だとわかる。下手な手書き文字では難しいこともある
単語の意味を呼び出す
単語を知っていなければ、ここでつまずく
単語をつなぐ
つなぎを正しく理解して文にする
世界を頭の中に再現する
知識や記憶、ワーキングメモリーを総動員して、文章の世界を再現する
最初の段階の例として、ニレヨーコさんはネットの「私はロボットではありません」のチェックに出てくる歪んだ文字を挙げました。Rなのか2なのか、わからないことがあるのと同じだといいます。
レンさんは、ゆる言語学ラジオの水野さんの本『会話の0.2秒を言語学する』に似た話があったと話します。会話でも段階を踏んだ理解が0.2秒の中で高速に行われていて、向き合う相手が人か本かの違いなのかもしれない、と感じたそうです。
エマさんは、英語の環境にいるとこの段階を意識すると話します。日本語なら無意識に高速でできることが、第二言語だと音を認知し、知っている単語か判断し、文として理解できているかを一つずつ確かめることになるそうです。
レンさんは、英語を聞くと頭の中に文章を思い浮かべてしまうといいます。はるにゃさんはこれを、母語では音から意味へ直接行けるが、第二言語では一度テキストを経由するのかもしれない、と受け止めました。
ニレヨーコさんは、アメリカ留学から帰国したとき、関西弁がイタリア語に聞こえたという体験を披露します。海外でイントネーションに注意を向けていたため、イタリア人かと思って振り向いたら大阪の人だったそうです。
紙とデジタルで、脳の働き方は変わるのか
はるにゃさんは、脳科学に関わる本としてメアリアン・ウルフさんの『プルーストとイカ ── 発達心理学者メアリアン・ウルフによる、読書と脳の関係を論じた本。人類が文字を読むようになった過程を脳科学の視点で描きます』を紹介します。副題は「読書は脳をどのように変えるのか」で、文字を読めるようになったことで人類の脳がどう発達したかを、科学的に読み解いた本だそうです。
はるにゃさんによれば、同じ著者には、デジタルで読むことと紙の本で読むことの違いを科学的に分析した本もあります。だいぶ前に読んだので曖昧な記憶だと断ったうえで、はるにゃさんは一番の違いとしてミラーニューロン ── 他者の行動を見たときに、自分がその行動をするときと同じように活動するとされる神経細胞の作用を挙げます。
はるにゃさんの記憶では、物語の主人公の体験を自分のことのように感じる働きが読書中にも起きていて、それが紙のほうが起こりやすい、という内容だったそうです。なぜ違うのか、というエマさんの疑問に、レンさんは自分の感覚を話します。
なんか感覚的にはなんかわかるというか、そのデジタルの方が受動的な気はしてて。
紙の本ってめくる動作とか、なんとなくデジタルより能動的な気はするんですよね。これ僕の感覚ですけど。
はるにゃさんも、デジタルではあまり理解していなくてもスクロールして流したくなる、と共感します。レンさんは、画面だからなのか、自分と文章のあいだに壁を感じるといいます。
レンさんはさらに、音声のPodcastのほうが映像のある動画より感情を動かしやすく記憶に残りやすい、という研究を論文で見たことがあると話します。映像が見えない分、自分で想像する能動的なアクションがあるからだ、という説明です。はるにゃさんも、情報が限られる分だけ想像力が働く、と応じました。
小説を読むとき、頭の中で何が起きているのか
はるにゃさんがもう1冊紹介したのが、『本を読むときに何が起きているのか』です。記号である文字が、なぜ頭の中で絵として再生され、匂いや風まで感じられるのか、その間に起きていることを面白く紹介した本だといいます。
はるにゃさんいわく、この本は「ビジュアルがトゲトゲしてる」本です。真っ黒なページに白抜きの文字が入っていたり、ぐちゃぐちゃした絵が入っていたりと、変な絵がたくさん入った分厚い本だそうです。収録はZoomで、はるにゃさんは画面越しにページを見せていましたが、レンさんはリスナーには見えないので検索してほしいと補足していました。
ニレヨーコさんによれば、著者のピーター・メンデルサンドさんは有名なグラフィックデザイナーで、ペンギンブックスのような大手出版社の装丁を手がけてきた人です。グラフィックデザインの本としてもとても良く、イギリスでも見つけられそうだといいます。
ちょっと次(本屋に)行ってみた時に探してみます。
レンさんは、本そのものについての本はあまり読んだことがなく、三宅香帆さんの本を最近読んだくらいだと話します。はるにゃさんは、探すと意外とたくさんあると答えていました。
面白い科学絵本は、視点をひとつに絞る
レンさんが次に聞いたのは、もしサイエンス系の本をつくるなら、どんな要素があると面白くなるか、という質問です。ニレヨーコさんは難しい質問だとしつつ、科学絵本なら考えやすいと答えます。ポイントは、要素をとことん絞ることです。
ニレヨーコさんが最初に挙げたのは、ただただ土を集めて色分けした絵本『土のコレクション』です。「そこいくんだ」という感じがありつつ、そこに注目して描き切れるのは絵本ならではだといいます。レンさんは「視点勝ちしてる感じがする」と評しました。
もう1冊が、小川忠博さんの写真絵本『りんごだんだん』です。お皿に乗せたりんごを、1年ほど撮り続けただけの本です。
ツルツルだったりんごがパンパンになり、色が変わり、汁が出て、やがてぐんにゃりし、最後は形がなくなるまでを、ひとつの軸で毎日撮っています。解説は一切ついていないそうで、レンさんは「潔いですね」と驚きます。
ニレヨーコさんは、この絵本の説得力を、先ほどの「Podcastのほうが動画より響く」という話に近いかもしれないと話します。情報を絞るからこそ、カビの生え方や汁の泡まで見入ってしまう、というのです。
たくさんの科学絵本を見る中でニレヨーコさんが感じたのは、ひとつの視点に決めてつくる科学絵本には強い説得力がある、ということでした。りんごを腐らせたことはあっても、何日でどう変わるかがわかると、科学として面白く感じられるといいます。
冷蔵庫から出てきたらぎょっとするもんこんなの。
レンさんがつくりたい「物質」の本と、ミイラ案
ニレヨーコさんが、レンさんのつくりたい本について聞き返します。レンさんが考えているのは、物質観の変遷をまとめた本です。
僕は物質の本作りたいなって思ってて。なんか物質観みたいなやつをまとめたいなっていうのをめっちゃ思ってて。
レンさんは、サイエントークの科学史シリーズで化学の歴史などを扱ってきました。昔の人はありのままの世界を受け入れていて、分子のことなど誰も考えていませんでした。それがどう現代の物質観に至ったのかに、強い興味があるといいます。
レンさんが例に挙げたのはミイラづくりです。昔の人はいろいろなものを試して、保存できる方法を経験則で見つけていましたが、それが現代から見るととてもロジカルだった、という話が好きなのだそうです。
レンさんは、物質の本も視点を絞ったほうがいいのかもしれないと気づきます。はるにゃさんが「時代によって変わるミイラの作り方」を提案すると、ニレヨーコさんも、ミイラを中心に語り切れたら面白そうだと乗ってきました。
話はさらに広がり、はるにゃさんは「ミイラだんだん」とりんごの絵本にかけた案を出します。未来のミイラとして、コールドスリープで宇宙に飛んでいくバージョンもあり得るかもしれない、という話も出ました。
でも(コールドスリープも)やろうとしてるミイラと一緒だもんな。体残したいっていう目的は一緒だから。
読書習慣は、憧れの人と積読から
終盤は、冒頭の「読書の習慣がない」という悩みに話が戻ります。どこから始めたらいいか、というアドバイスを求める質問に、はるにゃさんはまず自分が実践している方法を紹介します。
はるにゃさんの方法は、憧れモデルをつくることです。本を読む人で「かっこいいな」と思える人を身近に置いておくと、言語習得と同じように環境ができ、その人の真似をするうちに読みたい本が増えていくといいます。今ならPodcasterやYouTuberでもよく、たとえば三宅香帆さんに憧れてみるのもいい、という提案でした。
さらに、本屋に行って「今日は1冊買う」と決め、見た感じが気分に合うくらいのノリで選ぶのも意外といいかもしれない、という案も出ました。もうひとつが、積読を資産形成だと思う、という考え方です。
はるにゃさんは、積読に罪悪感を持たず、未来の自分への手紙くらいのつもりで堂々と増やせばいいと話します。積んでおけばそのうち読む、という感覚だと、本屋巡りも楽しくなるそうです。
この回で出た読書習慣のはじめ方を、順番に並べると次のようになります。
じゃあちょっとまず本屋に行って買うっていうところからやってみたいと思います。
最後に、はるにゃさんがほんのれんラジオを紹介しました。本と遊ぶ学び系Podcastで、毎月テーマが変わり、直近では宗教や会社の歴史を扱っています。今後はサイエントークの2人がゲスト出演する回も放送予定だそうです。
まとめ
この回では、情報を組み替えて価値を生む編集工学の考え方を入り口に、文脈棚や目次読書といった選書の技、読解の段階や紙とデジタルの違いをめぐる読書の科学、視点を絞った科学絵本、そして読書習慣のはじめ方までが語られました。本を読まない人にも、本選びに迷う人にも、本との付き合い方を変えるヒントがあります。
- 編集工学は、本に限らずあらゆる情報を組み替えて価値を生み出す考え方で、編集プロセスを型にして再現可能にすることを目指しています
- 文脈棚は本と本の関係性で棚を組み、歩くだけで意外な本に出会える読書体験をつくります
- 目次読書は、要約・目次の構造・気になる単語・本の位置づけから、5〜10分で本をつかむ方法です
- 読んで理解するまでには多くの段階があり、紙とデジタルでは没入感や能動性が違うかもしれないと話されました
- 読書習慣は、憧れの人を見つけ、本屋で1冊買い、積読を肯定するところから始められます



