📝 エピソード概要
本エピソードでは、量子力学の根幹をなす「不確定性」の概念と、それを確立した天才物理学者ヴェルナー・ハイゼンベルクの功績を解説します。USBメモリの仕組みなど、身近な技術にも組み込まれている量子の曖昧さから話を始め、ハイゼンベルクが従来の原子像を否定し、「観測できるデータのみ」に基づいて理論を構築するに至った経緯を追います。その結果として誕生した、世界を根底から覆す行列力学と不確定性原理の発見について、分かりやすい例えを交えて紹介します。
🎯 主要なトピック
- 科学における「曖昧さ」とUSBメモリの仕組み: データを保存・転送する科学技術(例:USBメモリ)は、電子が絶縁体を確率的に通り抜ける「量子の曖昧さ」によって成り立っている。
- ハイゼンベルクとボーアモデルの限界: ボーアの提唱した電子の「レール」モデルなど、従来の原子モデルが行き詰まる中、若きハイゼンベルクが師の元で原子研究に取り組む。
- 「電子の軌道」を捨てる革新的発想: 観測不可能な電子の具体的な軌道イメージを考えず、観測可能な入力(エネルギー状態)と結果(放出される光の周波数)の関係性のみを数式で記述するというアプローチを開始した。
- 行列力学の発見: 観測データを表形式で処理する過程で、計算(掛け算)の順序を変えると結果が変わるという現象に気づき、これが数学の「行列」のルールと一致していることが判明した。
- 位置と速度は同時に決まらない(不確定性原理): 行列力学が示唆したのは、電子の位置と速度(運動量)は同時に正確に決定できないという事実であり、従来の物理学の決定論を否定するものだった。
- 当時の反応とシュレディンガーへの繋がり: この不確定な理論に対し、アインシュタインは強く反対し、理論は難解すぎて当初は無視されたが、後にシュレディンガーの波動力学と本質的に同じであることが判明する。
💡 キーポイント
- 従来の物理学が前提としてきた「物がそこにあることの100%の確実性」は、量子の世界では成り立たず、すべては確率的にしか記述できない。
- ハイゼンベルクの功績は、観測できないものを想像で補完するのではなく、観測可能なデータのみを用いて新しい数学的体系(行列力学)を構築した点にある。
- 行列力学の奇妙な演算ルール(交換則が成り立たない)は、電子の「位置」と「速度」を同時に知ることが物理的に不可能であるという不確定性の本質を捉えていた。
- この新しい量子論は、当時の物理学界の権威(特にアインシュタイン)から強い懐疑と批判を受けたが、現代物理学の基礎となっている。

