なぜ防衛大臣がスタートアップのイベントに登場したのか
今回のゲストは、防衛大臣の小泉進次郎さんです。現職の大臣がスタートアップの祭典IVSに登壇するのは初めてのことだと話されています。
小泉さんは、スタートアップ経営者との個人的なつながりが多いことをきっかけに挙げています。川邊さんや、この日一緒に登壇するアストロスケールの岡田さんの名前を挙げ、挑戦する人たちが身近にいると語ります。
その皆さんの挑戦を応援したいし、何よりも今回IVSに防衛大臣がいるっていう、これ初めてのことで、領域関係なく防衛の世界もスタートアップの皆さんも必要としてる。このメッセージを伝えたくて京都まで来てるっていうのはありますね。
「防衛省は敷居が高い」イメージをどう打ち破るか
防衛とスタートアップには距離があるように見えます。聞き手がそう問いかけると、小泉さんも「距離感じますでしょ」と応じました。
だからこそ、そのイメージを打ち破りたいと話します。この日は小泉さんだけでなく、防衛装備庁のトップである長官も一緒に会場を訪れたそうです。
それを打ち破りたいと思って、今日私だけじゃなくて、防衛装備庁のトップ、装備庁長官も一緒に来たんで、防衛省ってすごい敷居高そうっていうことを打破していきたい。その思いです。
聞き手が長官にカジュアルに話しかけていいのか尋ねると、小泉さんは冗談交じりに「長官の硬さを崩してあげてください」とお願いしていました。自らもネクタイを締めず、肩ひじ張らない姿勢で臨んだと語ります。
農水も環境も、分野を問わず続けてきた支援
聞き手は、今後役割が変わってもスタートアップ支援を続けるのかと問いかけます。小泉さんは、これは環境大臣や農林水産大臣の時から続けてきたことだと答えました。
自分がどの分野を担当するかに関わらず、技術の進展は早く、政治の課題は世の中の変化する速さにどう追いつくかにあると話します。
これはもう自分が何の分野っていうことに関わらず、これからの時代って技術の進展も早いし、むしろ政治の課題はこの世の中の変化する速さにどうやって追いつけるか、また対応できるか。これがポイントなので。
防衛省が進めるスタートアップ向けの随意契約
聞き手が「まだ誰も聞いてないけど言いたいこと」を尋ねると、小泉さんは、国会で言い返そうと準備していた答弁が使われずにストックに残っている、と少し明かしました。
そのうえで宣伝したいこととして挙げたのが、随意契約です。競争入札ではなく、スタートアップ向けの随意契約を防衛省が行っていると話します。
さらに、あるドローンのスタートアップと海上自衛隊がすでに連携し、船の上から飛ばす運用まで行っていると語りました。これから始めるのではなく、すでに進んでいる点があまり知られていないと話します。
もうすでに海上自衛隊がやってます。実際の船の上から飛ばしてみたいな、こういった運用もやってるので、もうすでにやってますということも、実はあんまり知られてなくて。
政府系金融機関が防衛スタートアップに投資可能に
いくら政府が旗を振っても、お金が回らなければエコシステムにならない。小泉さんは、そうした現場の声を受けての動きを紹介しました。
政府系金融機関である日本政策投資銀行(DBJ)が、武器や装備品に関連するものも含めて投資制限を撤廃したというのです。
この背景には、ここを変えなければ外資のファンドやベンチャーキャピタルが日本の防衛スタートアップを支援する状況が続いてしまう、というベンチャーキャピタル側の要望があったと話します。
そして、この撤廃は先月実現したといいます。要望した人たちからは、少なくとも三年はかかると思っていた、という驚きの声が上がったそうです。
実現した結果、要望していた皆さんからなんて言われたかというと、まさか本当にこんな速度で実現すると思わなかったと。少なくとも三年かかるんじゃないかと思ったと。本当にびっくりした。
随意契約
スタートアップ向けに競争入札によらない契約を防衛省が実施
すでにある運用
ドローンのスタートアップと海上自衛隊が船上での飛行を実践
投資制限の撤廃
DBJが武器・装備品関連も含め投資制限を撤廃し資金を回す
もし政治家でなかったら、どんな事業を選ぶか
もし一政治家でなかったら、どの領域で挑戦したいか。聞き手の問いに、小泉さんは「手触りのある業界がいい」と答えました。
日々の生活の中で変化をダイレクトに感じられるところに関心があると話します。生活から遠いものより、自分自身が一ユーザーになり得るものがいいということです。
一方で、防衛も実は生活に密着していると指摘します。会場までの移動に使うアプリのGPSも、もとは軍事技術から来ているという例を挙げました。
軍事と防衛と生活っていうのはもう切っても切れない状況になっている。ただ、完全に防衛大臣だって頭を外した時に、なんか手触りある、日々の生活の中でもストレートに感じられる、ダイレクトに。そういったところが関心あるかな。
震災で出会ったスタートアップと、貫く起業家精神
話は、スタートアップとの最初の出会いへ移ります。聞き手の直哉さんが尋ねると、小泉さんは2011年の東日本大震災を挙げました。
復興のために、多くのスタートアップや経営者が動いてくれたと振り返ります。福島の食材を風評被害に負けずに広げようと奮闘する姿に感動したそうです。
東日本大震災でスピード感を持って、誰もやったことないことでもやる。やはりそういったところっていうのはすごく感動したし、この起業家精神、政治家だけど、何の役職をやっていても、常にそこを忘れないようにしてます。
その姿勢は、農林水産大臣時代の備蓄米放出にも表れていたと語ります。既存のルールに当てはめるのではなく、まず「早く届ける」から考え、前例がなければ新しくやればいいと官僚を説得したと話しました。
防衛大臣となった今も、疑問に思ったことは「そんなものなんだね」で終わらせず、「なんで?」と問い続けていると語ります。
裏座右の銘は「人生手のひら返し」
最後に、世間のイメージと実際のギャップについて聞かれた小泉さんは、「裏座右の銘」を明かしました。
表向きには「意志あるところに道がある」「積小為大」といった言葉を挙げるといいます。その裏にあるのが「人生手のひら返し」だと語りました。
この裏座右の銘は、「人生手のひら返し」っていうのがあって。もうあの、ひどい言われようをするじゃない、ネットも含めて。このひどい言われようをした後に覚醒とか言われるでしょ。だから、何言われてるっていうことにあまり意識を持っていかないようにしてる。
名前が売れると批判を気にする経営者は多い。政治家との付き合いをおっかなびっくり避ける人もいる。そうした人たちに向けて、小泉さんは自分の考え方を語ります。
何をやってもやらなくても言われるのが世の中だから、正しいと思う方向を貫く。それが政治家としての立場だと話されています。
伝説ラジオを聞いてください。
まとめ
現職の防衛大臣が語ったのは、防衛とスタートアップの距離を縮めるための具体的な打ち手と、分野を問わず貫く起業家精神でした。随意契約や投資制限の撤廃といった制度面の動きから、批判を気にしすぎない構えまで、聴き手が持ち帰れる話が並びます。
- 防衛大臣がIVSに登壇したのは、防衛の世界とスタートアップが互いを必要としていると伝えるためだと語られています。
- 防衛省はスタートアップ向けの随意契約を実施し、ドローンのスタートアップと海上自衛隊はすでに船上での運用を進めています。
- 日本政策投資銀行(DBJ)が武器・装備品関連も含め投資制限を撤廃し、先月から防衛スタートアップへの投資が可能になったと明かされました。
- 東日本大震災での出会いを原点に、前例がなければ新しくやればいいという起業家精神を持ち続けていると話されています。
- 裏座右の銘は「人生手のひら返し」で、批判を気にしすぎず正しいと思う方向を貫く姿勢が語られました。
