📝 エピソード概要
本エピソードでは、日清食品マーケティング部部長の白澤勉氏を迎え、発売から50年以上経過してもなお8期連続で最高売上を更新し続ける「カップヌードル」のマーケティング戦略を深掘りします。創業者の常識を覆す発想から、流通の壁を破った初期のプロモーション、そして「完璧なブランド」のLTVを高めるための製品拡張戦略が明らかにされました。
環境配慮をエンタメ化する「猫耳の蓋」や、マイナス(我慢)からプラス(栄養)へと転換した「プロシリーズ」など、ブランドの核を守りつつ時代に合わせて攻め続ける革新的なアイデアの裏側、そしてマーケティングと開発が一体となった組織文化が語られる、全マーケター必見の回です。
🎯 主要なトピック
- カップヌードル誕生の経緯:常識を覆す発想: 創業者がアメリカで、現地に丼や箸がないためチキンラーメンが食べづらいというユーザーの行動を観察し、「カップ入り」の必要性を確信したことが開発の原点。
- 流通と販路の壁を越えた初期プロモーション: 高価格設定で流通に拒否された際、お湯が出る自販機を開発したり、特殊ルートへの販売、銀座でのゲリラプロモーションなど、既成概念にとらわれない方法で販路を開拓した。
- 「完璧なブランド」のLTVを高める戦略: 課題が見当たらないブランドをさらに成長させるため、レギュラー味を核としつつ、高齢化や健康志向といった多様なニーズに対応したバリエーションを拡充し、顧客の生涯価値(LTV)向上を図った。
- 環境配慮をエンタメに変えた「猫耳の蓋」: プラスチック削減(シール廃止)という環境対応を、蓋の二つ折れ(猫耳)デザインという「面白さ」に変え、ユーザー負荷を軽減しつつ話題化に成功したクリエイティブな解決策。
- マイナスよりプラスへ:カップヌードルプロの誕生: 健康志向製品において、従来のカロリーや糖質を「カット(マイナス)」する発想から、高タンパクを「プラス」するという視点に転換し、味の再現に徹底的にこだわって開発された。
- ネットの流行を本気で駆逐した「合体シリーズ」: ネットユーザーの「混ぜて食べる」ブームに対し、品質の悪い拡散を防ぐため、本気でおいしい合体商品を開発。流通棚のスペースを最大限活用し、既存商品の試食機会を生むプロモーションとしても機能した。
💡 キーポイント
- ブランドのコア価値は、言語化された規定ではなく、担当者全員が共有する「らしさ」の概念として議論される。あえてルールを決めないことで、守りに入らず進化を促す。
- ブランドを守るためには、人口減少や社会の変化に合わせて「攻め続ける」こと、すなわち変化し続けることが必要である。
- マーケティング部門と商品開発部門は、コンセプト段階から試作を重ね、コンフリクト(意見の衝突)を恐れずに話し合う「ワンチーム」体制が良いプロダクトを生む。
- マーケターにとって最も難しいのは「実行」であり、アイデアの実現には、部署を動かすための「やりたい気持ち」と「熱意」という内なる機動力が不可欠である。
- カップヌードルは、ロゴ自体がブランド名とメニュー名となっており、「おいしい」などの味覚表現を一切パッケージに用いない独自のデザイン性を貫いている。
