📝 エピソード概要
長らく右肩下がりだったネスカフェの再建に挑んだ元ネスレ日本CEO高岡浩三氏が、「ネスカフェアンバサダー」成功の舞台裏を語ります。核家族化や共働き化といった「新しい現実」を徹底分析し、家庭からオフィスへ主戦場を移すことを決断。人件費をかけずに直販で高い利益率を実現したこのビジネスモデルは、従業員に金銭ではなく「感謝される」という自己実現の欲求を満たすことで成立していました。高岡氏は、優れたソリューションの根幹は「問題発見能力」にあると強調します。
🎯 主要なトピック
- 市場環境の変化と家庭内需要の消失: 家族構成の変化(核家族化、共働き化)により、家庭内での家族団欒のコーヒータイムが消失し、ネスカフェの売上が長期的に減少していた。
- オフィス市場への注力と問題設定: 家庭での消費が減った代わりに、オフィス内で手軽に美味しいコーヒーを1杯ずつ飲めないという、新しい飲用シーンでの課題に焦点を当てた。
- 人件費ゼロのビジネスモデル「ネスカフェアンバサダー」: オフィスグリコやヤクルトレディのような人件費が利益を圧迫するモデルを避け、オフィス内の利用者に運営(補充や管理)を任せ、マシンは無償貸与、コーヒー豆はサブスクで直販する仕組みを設計。
- 小規模トライアルと非金銭的動機: 周囲の反対を押し切り、本社に内緒で北海道にて広告テストを実施。無報酬にもかかわらずアンバサダーが継続・増加した真の理由が「毎朝みんなからありがとうと言われる」という感謝による自己実現の欲求であることを突き止めた。
- 製造小売(D2C)による利益率の改善: 直販モデルにより問屋や小売店への中間マージンが発生せず、利益率55%を達成。製造したメーカーが直接消費者に販売する製造小売(SPA)の優位性を確立した。
💡 キーポイント
- 長期低迷の原因は、コーヒーが「家族の団欒」という古い消費シーンから消えていたという、当たり前だが誰も気づいていなかった問題であった。
- リサーチ先行ではなく、スモールスケールでのトライアルを先行させ、成功した結果(データ)からユーザーの真の動機(感情)を読み解くことが成功の鍵となった。
- 人を雇うコストを徹底的に削減し、アンバサダーの「人件費」をゼロにしたことが、高収益体質への転換を可能にした最大の要因である。
- 優れたクリエイティブソリューションを生み出すためには、まず「新しい現実」を見つけ出し、その裏に潜む「新しい問題」を捉える問題発見能力が不可欠である。
