📝 エピソード概要
世界的建築家・藤本壮介氏が、大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」の構想から実現までの裏側を語る。コロナ禍や世界的な分断が叫ばれる時代背景の中で、万博の意義を「世界が繋がれる場」と再定義し、機能的な回遊動線と力強いメッセージを両立させたデザインプロセスを深掘りします。建設前の費用高騰や世論の批判に直面しながらも、どのように誠実な対話を通じて難局を乗り越え、最終的に多くの人々に感動を与えたのか、クリエイティブな挑戦と組織の一体感の重要性が明らかになるエピソードです。
🎯 主要なトピック
- 万博の意義の再定義(2020年): 東京オリンピック後のバッシングやコロナ禍での分断に対し、万博をリアルな交流と多様性の尊重を示す「世界が集まる場」の究極として捉え直し、建築家としての全力を尽くす覚悟を決めた。
- 機能性から生まれた「リング」の形状: 敷地の小ささやスムーズな人流を確保するため、まず回遊動線(ぐるぐる回るルート)を機能的に設計。これが、すべてを繋げる「丸」の形状となり、メッセージ性を帯びるきっかけとなった。
- 組織の英断によるデザインの拡張: 当初は水面を避けていた楕円形だったが、万博協会との柔軟なディスカッションの中で「水の上にはみ出していい」というアイデアが生まれ、敷地全体を包む完全な円環構造が実現した。
- 木造の選択と居心地の良さ: 巨大な構造物でありながら、人間的なスケール感と安心感を提供するため、あえて割高な木造を選択。柱の間隔や梁の高さを居住空間のサイズに近づけ、多くの来場者に「居心地の良さ」をもたらした。
- 炎上時の誠実な対話と発信: 資材高騰による予算超過でリングへの批判が集中した際、PRのセオリーに反してSNSで事実と理念を自らの言葉で発信。これにより、世論の対立構造を解消し、理解を広げるプロセスを構築した。
💡 キーポイント
- 建築家の仕事は構造物を作ることでなく、人が集まる空間やきっかけを作ることである。大屋根リングはその概念の究極的な実現であった。
- 困難な状況下で、万博協会、政府、関西財界が理念にブレることなくデザインを支持し続けたことが、プロジェクト成功の決定的な要因となった。
- 批判が称賛に変わった最大の理由は、やはり「建築は実際に見ることで本当に伝わる」という、実物のもつ圧倒的な力であった。
- クリエイターは、どれだけ批判されても誠実に向き合い、「本当に超すごいもの」を作り上げれば、状況を一変させる希望がある。
- 歴史的なプロジェクトへの挑戦者たちへ向け、「チャレンジする人を応援し、自身もチャレンジし続ける世の中」の重要性を説いた。
