📝 エピソード概要
本エピソードでは、元ネスレ日本代表CEOの高岡浩三氏が、キットカットを国内トップブランドに押し上げた「マーケティング思考」を詳細に解説します。当初2%だった利益率の課題に対し、テレビCMへの依存を断ち切り、顧客が自然に生み出した「キット、カツ」という受験応援のインサイトをPR(ニュース)として拡散。
さらに、地域限定のお土産戦略を展開することで、スーパーでの値崩れを防ぎ、高収益体質へと転換させました。広告費を圧縮しながら売上を伸ばし、利益10倍を達成した、具体的な課題解決の事例と、イノベーションを生む思考プロセスが学べる永久保存版の内容です。
🎯 主要なトピック
- キットカット買収と利益率2%の課題: ネスレがキットカットのブランドを引き継いだ際、高額なテレビCM費用により利益率がわずか2%に低迷。これを二桁まで引き上げることが最重要課題だった。
- 製造優先の旧態依然とした業界構造: 多くの菓子メーカーは、ブランド育成よりも工場の稼働率を維持するために、売れないと分かっている新製品を次々と投入しており、低利益率の原因となっていた。
- 「Have a break」の日本的再定義: グローバルスローガンを日本の文脈で深掘りし、顧客にとってのキットカットブレイクとは「ストレスからの解放」であるというインサイトを抽出した。
- 受験応援コンセプトの発見とPR戦略: 九州で受験生が「キット、カツ」と縁起担ぎでキットカットを購入している事実を発見。このユーザー発のインサイトを、広告ではなくPR(口コミ)で広める方針を固めた。
- ゲリラPRの実行と劇的な成果: 受験会場のゴミ箱に空箱を置くなどの「ゲリラPR」がマスメディアに取り上げられ、広告費をかけずに売上5倍、利益10倍を達成した。
- 地域限定お土産による値崩れ防止: スーパーでの安売り競争を避けるため、高利益率が期待できるお土産市場に参入。抹茶味を皮切りに47都道府県の限定品を展開し、値下げされない販売チャネルを確立した。
💡 キーポイント
- 成功の秘訣は、広告(お金)を使ってバズらせるのではなく、顧客が「人に言いたくてしょうがない」と思えるニュース(PR)を作る構造を設計すること。
- ユーザーが発見したインサイト(「キットカツ」)は、企業が広告で喧伝すると冷めてしまうため、あえてマス広告を禁止し、口コミの力を最大化させた。
- マーケティングにおいては、売上拡大だけでなく、広告費圧縮や値引き回避によって**「利益を残す」**視点を常に持ち続けることが重要である。
- イノベーションはゼロからの創造ではなく、「新しい現実の裏にある新しい問題」、すなわちまだ誰も気づいていない顧客のインサイトを捉えることで生まれる。
