ニューヨークから振り返る、TechWeek中のサンフランシスコ
今回の収録場所は、ニューヨークのフラットアイロン地区です。翌日に決済スタートアップ「Ramp」のイベントがあり、インタビューも予定しているため、二人はニューヨークに滞在しています。
宮武さんによると、ニューヨークに着く前の週はLAとサンフランシスコを回っていました。ニューヨークの話は約1ヶ月後の雑談回に回し、今回はLAとサンフランシスコの出張を振り返る構成です。
ニューヨークについての雑談会は1ヶ月後ぐらいに出てくると思うんですけど、今日はもうちょっとLA、サンフランあたりを振り返られたらなという感じですね。
草野さんにとってサンフランシスコは約1ヶ月ぶり、LAは3〜4ヶ月ぶりの訪問でした。滞在中はちょうどTechWeekの最中で、街にはスタートアップ関係者があふれていたといいます。
サンフランシスコでは、デジタルガレージの「DG Daiwa Ventures」のサイドイベントでライブ配信も行いました。ポップアップやさまざまなサイドイベントが開かれ、街全体がにぎわっていた様子が語られています。
今回の出張で収録したインタビューは、LAとサンフランシスコだけで4件ほど。AI関連の会社、メディア系の会社、ファンドなど、幅広い相手と話してきたそうです。
週3000エピソードのAIポッドキャストは「AIスロップ」なのか?
LAで最初に紹介されたのは、AIでポッドキャストを大量に生成する「Inception Point AI」です。宮武さんは、自分たちが不要になるのではと冗談を交えながら、その規模を紹介しています。
もう大量にAIでポッドキャストを生成する、ちょっと我々がいなくなるんじゃないかっていう。
Inception Point AIは週に3000エピソードを出すといいます。宮武さんが面白かったのは、CEOがAIスロップ ── AIで大量生産された低品質なコンテンツを指す俗語。スロップは英語で「残飯」「どろどろの食べ物」の意味ですと呼ばれがちな大量生成コンテンツについて、まったく違う考え方を持っていた点です。
制作コストをすごい極限に下げられるからこそ、なんか生まれられるコンテンツ、なんかそのよりニッチなコンテンツを提供できるっていうのは、なんかその発想としてすごい面白かったなというふうに思いますね。
制作コストが極限まで下がるからこそ、人間の制作では割に合わないよりニッチなコンテンツが成立する。宮武さんはこの発想を評価しています。
クオリティの低いコンテンツが大量生産されるもの
制作コストを極限まで下げることで、よりニッチなコンテンツを提供できる
草野さんは、情報を発信する側が増えている点に注目します。企業のリリースもクリエイターの発信も日々大量に出ているため、それをキュレーションするだけでも需要がありそうだと話しています。
(発信されるコンテンツを)アーティストとかセレブとか企業とかにフォーカスして、その分野にこうセグメントを分けたとしても結構ありそうですよね。
TBPNのスタジオで見た、カメラへのこだわりと飾られた写真
次に訪れたのは、二人も普段から見ているテックメディア「TBPN ── 2人のホストが平日にライブ配信するアメリカのテック系番組。テクノロジーやビジネスのニュースをスポーツ中継風に扱うスタイルで知られています」のスタジオです。ライブ配信が終わる30分前ほどに到着し、オンエア中の二人を実際に見られたといいます。
TBPNのスタジオで宮武さんが印象に残ったのは、カメラには映らない横の位置に飾られた1枚の写真でした。白黒の絵だったため、最初は亡くなった憧れの創業者なのかと思ったそうです。
今も大活躍、大活躍されている方なんですけど、彼(デービッド・センラ)がそのTVPNを作るきっかけのアドバイスを出したのと、あとはもうこれはもうフルタイムで全集中した方がいいですよっていうのをアドバイスくれた人だったりするので、それもすごい面白かったですよね。
写真の人物は、ポッドキャスト「Founders」で知られるデービッド・センラさんでした。TBPNを始めるきっかけとなる助言をし、フルタイムで集中すべきだと背中を押した人物だと紹介されています。
草野さんは、Spotifyのオフィスにあるポッドキャストスタジオは見たことがあったものの、クリエイター自身のスタジオを訪れたのは初めてでした。TBPNのスタジオは、プライベートジェットを置く格納庫を小さくしたようなドーム型の建物だったといいます。
草野さんが感心したのは機材の配置です。照明は天井の高い位置にあり、引きのカメラも遠くに置かれていて、ホストの目の前にはデスク以外の機材がありません。
だから本当にテレビの映像をめっちゃこだわってるんですけど、あの目の前のところ何も機材がないんですよね。それすごいなと思って。
宮武さんによると、今回インタビューしたホストのジョン・クーガンさんはカメラへのこだわりが強く、セットの配置もおそらく彼が指定したものだろうとのことです。
TBPNのスタッフは、広告や番組の終わりを知らせる合図を出しつつ、裏でミームも作っていました。金曜日にサム・アルトマンさんが出演する予定に合わせ、彼をマッチョにしたAI生成画像を作って見せてくれたそうです。
アーケード機だらけのオフィス、ゲーム特化VCの素顔
LAで次に会ったのは、ゲームに特化したVC「Griffin Gaming Partners」のピーター・レヴィンさんです。宮武さんが紹介を受けてつながった相手で、日本に頻繁に来ている人物だといいます。
ピーター・レヴィンさんは日本のゲームシーンのパートナーと連携しており、日本とフィンランドを最もよく訪れているそうです。草野さんが北欧にはゲーム会社が多いと応じ、宮武さんはSUPERCELL ── フィンランドのゲーム会社。『クラッシュ・オブ・クラン』などのモバイルゲームで知られていますやアングリーバーズのRovioなどへの投資に触れています。
草野さんが特に驚いたのは、Griffin Gaming Partnersのオフィスです。アーケードゲーム機が並び、フィギュアやピンバッジもたくさん置かれていて、しかもアーケード機は私物だといいます。
なんかちょっとシューティングゲーム1発撃ってから収録臨みますみたいな感じで。
撮影準備の間、ピーター・レヴィンさんはカジュアルにアーケードゲームを始めたそうです。宮武さんは、こうした子供っぽさもゲーム投資をしているからこそだろうと話しています。
宮武さんがインタビューで注目してほしいと挙げたのは発音です。ピーター・レヴィンさんは「ジブリ」を英語風の「ギブリー」ではなく日本語に近い形で、SUPERCELLも本国風に発音しており、各国への敬意を感じたといいます。
ファインチューニングをしないAI営業ツール、UNIFYの考え方
サンフランシスコでは、AI関連のGTM ── Go-To-Marketの略。製品を市場に届け、顧客を獲得するための営業やマーケティングの戦略を指しますツールを手がける「UNIFY」を訪れました。簡単に言えば営業ツールの会社です。
宮武さんが面白かったのは、UNIFYが自社プロダクトにおけるAIのファインチューニング ── 既存のAIモデルに追加のデータを学習させ、特定の用途に合わせて調整することをそこまで行わないという方針でした。
そこの理由とか、そのAI企業ですごい伸びてる会社を作るには、何かどういうふうな考え方とかカルチャーとかを作るのかっていうのをちゃんと説明してたので、そこはすごい個人的に面白かったなと思いますね。
草野さんによると、UNIFYの相手は日本とのハーフだったそうです。宮武さんはそのことを後から知り、事前に知っていればと振り返っています。
LAではほかにも、クリエイター関連のエージェンシーやクリエイター本人とも会いました。Off Topicはコンサルティングも行っているため、その一環として店舗の視察も回ったといいます。
新しい発見がありますよね。なんかどんな人が買ってるんですかとか、なんか見え方が変わって面白かったですね。
食べ物は「普通」でも作り込みがすごい、テスラダイナー
出張雑談回の恒例は食べ物の話です。草野さんはLAのメキシカン料理を挙げ、宮武さんもフードトラックのタコスがおいしかったと話しています。
今回LAで試したのが、テスラが手がける「テスラダイナー」です。宮武さんは個人的な意見と断ったうえで、食べ物そのものは「普通」だったと評価しています。
どうでした?テスラダイナーは。まあ食べ物は、これは個人的な意見でしかないんですけど、普通でした。
一方で草野さんは、テスラダイナーの店舗の作り込みに感心しています。フォークやスプーン、ナイフの形にも工夫があり、スプーンの凹みはサイバートラック風のデザインになっていたそうです。
サイバートラック風の凹みになってて、こだわりを感じました。すごいなって思って。
テスラダイナーはドライブスルー映画館でもあり、巨大なスクリーンが2つあります。車から食べ物を注文でき、音響を車と連動させて、充電しながら車内で映画を見られる仕組みです。
上映作品は宇宙系の映画やアニメが中心でしたが、宮武さんによると最後には『The Office』が流れていたそうです。
人型ロボットのオプティマスは、動かない展示品しか見られませんでした。動くものはたまに来るらしく、スケジュールを後でサイトに載せると言われたそうで、宮武さんは行きたい人に「出勤スケジュール」を確認するよう勧めています。
草野さんが驚いたのは、ハンバーガーやチキンサンド、コーラが並ぶダイナーのメニューに抹茶ラテがあったことです。宮武さんも、今回はいろいろな場所で抹茶ラテを見かけたと応じています。
いやなんかわかるんですけど、(抹茶ラテは)テスラの雰囲気とちょっと違うじゃないですか。
「モールは死んだ」は本当か?巨大モール、アメリカンドリーム
ニューヨークに着いた初日、二人は市内ではなく巨大モール「アメリカンドリーム」を訪れました。草野さんの第一印象は、とにかく大きく、これまで行ったモールの中でも特に人が多かったということです。
宮武さんは3連休だった影響もあるかもしれないとしつつ、アメリカンドリームは施設そのものが普通のモールではないと話します。ドリームワークスのシュレックをテーマにしたウォーターパークや、ジェットコースターまであるニコロデオンの屋内遊園地が入っています。
草野さんが注目したのは、モール中央の大きなホールです。MrBeastの「ビーストバーガー」があり、アルファ世代向けスキンケアブランド「シンシアリオズ」のローンチもここで行われたといいます。
草野さんはこのホールを、池袋のサンシャインシティのホールより少し大きい場所だと例えています。ポップアップも同時にできるため、ローンチイベントの定番の場所になるのではと考えたそうです。
宮武さんによると、シンシアリオズのローンチイベントには8万〜9万人ほどが集まり、人が多すぎてモールが一度閉鎖されたという話もあるといいます。
なんかそのモールが死んだみたいな話ってよく聞くじゃないですか。あそこ(アメリカンドリーム)はまだ死んでないなっていうのは思いましたね。
アメリカンドリームはテナントの顔ぶれも独特です。アジア系スーパー「Hマート」のモダンな店舗と、アジア料理だけを集めたHマートのフードコートがあり、フードコートが複数ある点も一般的なモールとの違いとして挙げられています。
ほかにもオレオカフェがあり、二人は食べすぎると体に負荷がかかりそうだと笑いながらも、おいしそうだったと話しています。宮武さんはビーフジャーキー店で買ったジャーキーを、今週ひたすら食べているそうです。
住むならニューヨーク?LA・サンフランとの比較
最後に草野さんが、ニューヨーク、サンフランシスコ、LAのうちどこが好きかを宮武さんに尋ねます。宮武さんの答えはニューヨークで、詳しくは次回のニューヨーク編で話したいとしています。
車がいらない。いらない。渋滞に引っかからない。渋滞は車、Uberとか乗ってたら引っかかりますけど。
宮武さんがニューヨークを推す理由は、歩きやすく便利で、車がなくても暮らせることです。電車が止まったり遅れたりすることはあっても、アメリカのどこかに住むならニューヨークと答えるだろうと話しています。
草野さんも、ニューヨークには何でもあると同意しています。SOHOなどの話やニューヨークの食べ物は、約1ヶ月後のニューヨーク編で取り上げる予定です。
HeyTeaの人気と、政府シャットダウンの影響
食べ物の話の続きとして、二人は中国発のティーブランド「HeyTea」も話題にします。草野さんはマンゴーとブルーココナッツのドリンクを頼み、おいしかったと振り返っています。
ああ、美味しかったですね。HeyTeaやっぱ人気ですね。ニューヨークもLAも人気ですね。
収録時点は10月半ばで、アメリカでは政府のシャットダウン ── 米国議会で予算が成立せず、連邦政府の一部業務が停止する状態。職員の一時帰休や無給勤務が発生しますが起きていました。宮武さんは、二人自身はまだ大きな影響を感じていないと話します。
一方で、国立公園に行った知人からは、心配だった、あまり動いていなかった、人がまったくいなかったといった話を聞いたそうです。宮武さんは、ニューヨーク編の頃には状況が変わっているかもしれないとしています。
草野さんは、空港が止まってはいないものの、職員が無給で働いていて人手が少ないと指摘します。宮武さんは、休む人や辞める人も出るため、フライトが遅れないことを祈っていると締めくくっています。
まとめ
今回の雑談回では、LAとサンフランシスコで出会ったスタートアップの考え方と、テスラダイナーやアメリカンドリームといった現地の消費の現場が、二人の実感を交えて語られました。
- Inception Point AIは、制作コストを下げることでよりニッチなコンテンツを届けるという、AIスロップとは異なる発想を持っていた
- TBPNのスタジオは、ホストの前に機材を置かない配置など、カメラへの強いこだわりが感じられるセットだった
- テスラダイナーは食べ物より、サイバートラック風のスプーンやドライブスルー映画館など店舗の作り込みが印象的だった
- 巨大モールのアメリカンドリームは人であふれ、宮武さんは「モールは死んだ」という話に対して、まだ死んでいないと感じた
- 住むならニューヨークという宮武さんの理由は、歩きやすく車がいらない便利さにある





