一つのAIでは足りない?複数エージェントを束ねる「サブシステム」
宮武さんは冒頭で前回の議論を振り返ります。前回の結論は、AI企業にとって次のOSレイヤーになるのは記憶、つまりメモリーの領域だというものでした。
メモリーを強化するには、多くのデータを集めてコンテキストウィンドウ ── AIモデルが一度に読み込んで扱える情報量の上限。トークンという単位で数えられ、上限を超えた情報は直接参照できなくなりますを広げる必要があります。一方で、データやコンテキストが多すぎるとAIのパフォーマンスが悪化するおそれもあります。今回はその解決方法と、ソフトウェア業界への影響を掘り下げます。
宮武さんがまず挙げるのは、複数のAIを重ねて使うやり方です。全体を仕切るAIの下に、リーガルなど特定分野に強いエキスパート型のAIが並びます。会社でいえば、部門を束ねる構造に近い仕組みです。
このサブシステム型の弱点について、宮武さんは全体を仕切るAIの質だと指摘します。各分野を深く掘りながら、分野をまたいだ共通パターンを見抜けるかどうかが重要だといいます。
例えばそのD2C業界と、今ストリーミング業界がどういうふうに似てるのかみたいな。そこ(業界同士の類似)を認識できるAIっていうのはまだなかなかいないのかなっていうのが、一つ課題かなと思いますね。
宮武さんは、縦型のAIを完全に分けると、AI同士が連携しなくなると説明します。その結果、分野をまたいだパターン認識ができなくなります。仕切り役のAIがそこまで担えるかが課題として残ります。
ポケモン赤を遊ぶClaudeは、何を覚えて何を忘れるのか
宮武さんが紹介するもう一つの方法は、一つのAIが「何を記憶すべきか」を選びながら進めるやり方です。人間も全部を覚えるのではなく、重要な情報だけを覚えて動いているため、人間に近い形だといいます。
例として挙がるのが、AIモデルがポケモンのゲームをどこまで進められるかというベンチマークです。AnthropicのClaudeに、ゲームボーイの初期のポケモン赤を、操作方法も目的も教えずに遊ばせました。
最初の試行では、Claudeはボタンを50回押したところでメモリーを使い切りました。ボタンを押すたびにスクリーンショットを撮るため、画面が変わらない操作でも情報がたまっていくからです。
そこでAnthropicは、Claudeにテキストファイルを渡して情報を書き込めるようにしました。Claudeは手持ちのポケモンや、クリアした内容、ゲームの目的などを記録します。そのファイルがいっぱいになると、内容をサマリーに置き換えて空きを作り、先へ進む仕組みです。
記録する
手持ちのポケモン、クリアした内容、ゲームの目的などをテキストファイルに書き込む
上限に達する
テキストファイルにも容量の上限があり、いずれ埋まる
要約して置き換える
重要な情報だけを残したサマリーを作り、元の記録と入れ替える
空きで進める
空いた容量を使って、再びボタンを押しながらゲームを進める
何を残すかの判断について草野さんが尋ねると、宮武さんはAI自身の判断だと答えます。手持ちのポケモンの記憶が急に消えるなど、試行錯誤の時期もあったのではないかと推測しています。
でもなんか人間も重要なこと忘れちゃいますよね。
宮武さんも草野さんの指摘に同意し、人間とAIは似ていると応じます。ただ違いもあり、人間は重要だとわかっていても覚えられないことがあります。AIは重要だと判断すれば確実に保管するはずだといいます。
宮武さんは、少なくとも短期的にはコンテキストウィンドウの制約が続くと見ています。そのため、AIが情報に優先順位をつけることは避けられないと話します。
人間に大事な情報が、AIにはジャンクになる?
宮武さんは、前回扱ったコンテキストロット ── AIに与える情報が増えたり質が下がったりすると、出力の精度が落ちていく現象を指す言葉。日本語では「コンテキスト腐れ」とも訳されます、つまりコンテキスト腐れを改めて重要なポイントに挙げます。サイト制作やソフトウェア制作、APIドキュメンテーションまで、作り直しが必要になると考えているからです。
宮武さんの見立てでは、人間はこれからもソフトウェアを触り続けます。ただそれ以上に、AIエージェントがソフトウェアやサイトを使う時代が来るといいます。
宮武さんは、AI向けのコンテンツ制作についても触れます。番組で以前話したように、AIに読ませるブログ記事はストーリーよりも統計や比較図を入れたほうが伝わりやすいといいます。
人間向けには、クリックベイト的な見出しやビジュアルが効きます。商品情報が少なくても、人間は買ってしまうことがあります。しかし、AIはそうした判断をあまりしません。
宮武さんは、人間向けの情報もコンテキスト腐れの一因だと説明します。AIは本来不要な情報まで取り込み、それによってパフォーマンスが落ちる可能性があります。だからこそ、AIに適した情報を引き出す、または提供することが重要になるといいます。
元Twitter CEOの新会社と、ダッシュボードからライブラリへの転換
AI向けに情報を引き出す例として、宮武さんは元Twitter CEOのパラグ・アグラワル ── インド出身のエンジニア。Twitterの技術責任者を経て2021年にCEOに就任し、2022年の買収に伴って退任しましたさんが立ち上げたParallel Web Systemsを紹介します。宮武さんは、パラグさんがCEOを務めた期間はごく短かったと振り返っています。
Parallel Web Systemsは、AIエージェントがウェブにアクセスしやすくするための検索APIを作っています。同社のプロダクトParallel Extractにサイトのサイトを入れると、ページの内容をマークダウン ── 見出しや箇条書きを記号で表す軽量なテキスト形式。構造がはっきりしているため、AIが読み取りやすい形式として使われています形式で出力します。
Parallel Extractは、トークン効率を考えた圧縮版の出力にも、全文の出力にも対応しています。人間が読む形式ではなく、AIが読みやすい形式に合わせた情報の引き出し方です。
宮武さんは、APIドキュメンテーションも将来は2セット必要になると予想します。すでにAIがAPIを読んで各種サービスを使い始めていますが、今のドキュメントは人間向けのため、AIには読みにくい場合があるそうです。
ソフトウェア全般についても、宮武さんは人間用とAI用のUIはまったく違うと考えています。人間はストーリーを重視し、AIはストラクチャーを重視しがちだからです。
ストーリーを重視する。ダッシュボードで見やすく示し、ワークフローを見せることが大事になる
ストラクチャーを重視する。グラフは不要で、ローデータをそのまま出すような直接的な形が求められる
AI向けのそのソフトウェアって何かというと、ソフトウェアそのものっていうよりも、なんかライブラリーな気がするんですよね。
宮武さんによれば、ログイン画面やダッシュボード、サポートチケット機能は人間のためのものです。AIにとってはコンテキスト腐れになります。既存のSaaSは人間向けに作られているため、AIしか使わない時代が来れば、作り方を変えないと成り立たなくなる可能性があるといいます。
草野さんは、人間と AI向けに別々のパターンを作ると工数が増えそうだと指摘します。宮武さんは追加の仕事が生じることを認めます。そのうえで、コードエージェントで効率化できる可能性があり、新しいユーザーに合わせたものは必要だと答えます。
カルチャーにも「コンテキストの半減期」はあるのか
宮武さんは、コンテキスト腐れはAIだけの話ではなく、カルチャーにも当てはまるのではないかと話を広げます。ただ「腐れ」という呼び方は適切ではないとして、「コンテキストの半減期」という言い方を提案します。
宮武さんが考えるのは、アーティストやコンテンツの価値は時間とともに上下し、最終的には下がっていくのではないかという問いです。いつ忘れられ、いつ価値が下がるのかに、おおよその時間軸があるのかを探ります。
一例として、宮武さんは2017年に出た記事を紹介します。エルヴィス・プレスリーのCDなどのコレクタブル商品の価値が、二次流通市場で下がり始めているという内容でした。
2015年12月には、ファンのほとんどが存在を知らなかったエルヴィスのレコードが出品されました。『Suspicion』が公開される3年前に、エルヴィスが別のシングルとして歌っていた初出の音源です。
宮武さんは、価格が下がった理由を自然なものだと説明します。2017〜2018年の時点で、エルヴィスのファンやコレクターの多くは70〜80代でした。亡くなる人やコレクションを手放す人が増え、供給が増える一方で需要は落ちていきます。
知ってる人も少ないし、大ファンもいないですもんね。直に見てる人も減ってますし。
アーティストは80年で忘れられる?クイーンとグローバルヒットの壁
宮武さんは、有名なニュースレターの書き手であるテッド・ジョイア ── アメリカの音楽評論家・ジャズ史家。音楽と文化を論じるニュースレター「The Honest Broker」で知られていますさんの説を紹介します。アーティストが忘れられるまでの期間は80年ほどではないかというものです。起点は、ファーストシングルを出した時点です。
宮武さんはこの説をクイーンに当てはめます。クイーンの最初のシングルは1973年なので、80年後は2053年です。今から30年ほど先で、宮武さんは「この数字はそんなに間違ってない」と感じたそうです。
草野さんは、自分もクイーンのライブを見たことはないが曲は知っていて、映画も見たことがあると話します。そのうえで、映画を見ていない若い世代はもう知らないだろうと続けます。
なんか国をまたいで世界での大ヒットみたいなのって結構難しいですよね。特に日本だとそれを感じるっていうか。
草野さんは、英米の音楽が世界を席巻した時代とは違うと指摘します。今はアジアでJ-POPやK-POPが聴かれ、アメリカの中でもジャンルが細分化しているからです。日本の洋楽ランキングには、今もエド・シーランの「Shape of You」が入っているといいます。
宮武さんは、東京で見たテイラー・スウィフトの「The Eras Tour」の体験を話します。時代ごとに曲を披露する構成で、日本のラジオでよく流れた時期の曲は会場の全員が知っていました。一方で、誰も知らない時期の曲もあったといいます。
宮武さんは、グローバルヒットを生むのが難しくなっているなら、80年という期間が70年や60年に縮むかもしれないと考えます。以前の回で話した、ビートルズを次の世代がなかなか聴かないという話にも触れ、世代を超える音楽はあまりないのかもしれないと話します。
映画にも寿命はある?IPを守る仕組みと80年の根拠
草野さんは、映画の場合はどうなのかと問いかけます。映画には版権があり、流通させる会社がいます。一方、音楽はアーティストという人がベースなので、長く残すのが難しそうだと感じています。
宮武さんは『ゴッドファーザー』を例に挙げます。アメリカでは完璧な映画としてIかIIがよく挙がりますが、次の世代はそもそも見ないのではないかと考えます。
草野さんは、映画には「古典はチェックしておこう」という感覚があると返します。Netflixでは新旧の作品が並んで出てきます。一方、Spotifyでは好きでない限り90年代の曲はあまり出てこないといいます。宮武さんは、映画のほうが人と一緒に見るソーシャルな体験だという可能性も挙げます。
ただ草野さんは、白黒映画は映画ファンでない限り見ないと認めます。宮武さんは、映画にも80年、あるいは50年や100年といった寿命のルールがあるのかもしれないとまとめます。
宮武さんによれば、テッド・ジョイアさんが80年を選んだ理由はファンの寿命です。コアファンが作品に触れてから80年ほどは持つだろうという考え方です。宮武さんは、アダム・ランバートさんがクイーンを再びバンドとして活動させている点で、クイーンは例外かもしれないとも話します。
草野さんは、80年を超える方法として、マーベルのようにユニバースを作ることを挙げます。ビートルズにも『アクロス・ザ・ユニバース ── ビートルズの楽曲を使って1960年代のアメリカの若者を描いた2007年のミュージカル映画』のような映画や、ビートルズがいない世界を描いた映画があります。ハリー・ポッターのように、誰かが亡くなってもIPを広げ続ける組織が必要ではないかと考えます。
宮武さんは、IPの盛衰を時間の流れで説明します。最初の10年は大ヒットし、20〜30年経つとコレクタブル化やスタジオ施設などの盛り上げ施策が出てきます。その後、役者が亡くなるなどで徐々に勢いが落ち、50〜60年後には「昔そんな映画があったんだね」と扱われるかもしれないといいます。
草野さんが、人が死なないアニメはどうかと尋ねると、宮武さんはドラえもんやサザエさんを挙げます。長く放送が続いていて、80年を超えているかもしれないが、記憶はあいまいだと話します。
草野さんは、死後に遺産を残す夢を叶えるには大企業を作るのが近道かと問います。宮武さんは、100年持つ大企業はなかなかないため、IPのほうが長持ちする可能性があると答えています。
草野さんはさらに、映像技術に注目します。初期のスター・ウォーズはCGが丸わかりですが、2025年の映画は今の時代らしく見えるといいます。8K以降の映像であれば、80年後も新鮮に見られるのではないかと考えます。宮武さんは、その先はイマーシブや3Dの領域に進み、フラットな画面が古く見えるかもしれないと返します。
スター・ウォーズは80年の壁を越えられるのか
宮武さんによると、スター・ウォーズは1作目の公開から来年で50周年を迎えます。草野さんは、テーマパークもスピンオフもあるので100年はいけそうだと驚きます。
宮武さんは、以前アメリカでレゴのマーケティング担当者から聞いた話を紹介します。スター・ウォーズのレゴセットは長くレゴを支えてきたIPでした。しかし『フォースの覚醒』が出る前には、売上が落ちていたといいます。
子供たちがスターウォーズを知らなくなってきた。
宮武さんは、最近のスター・ウォーズが新しい子供たちの層をつかめているかが一番のポイントだと考えます。つかめなければファンの年齢層は上がり続け、30〜40年後にはIPが忘れられるかもしれないと話します。
子供向けの施策として、宮武さんはアニメや、ベビーヨーダことグローグーのような可愛いキャラクターを挙げます。古くからのファンからは「媚びている」と批判が出ることもあります。それでも、長年スター・ウォーズを支えてきたファンでもあるため、両者のバランスは難しいといいます。
長年IPを支えてきた層。子供向けの施策に「なんでこんな媚びたことするんだ」と反発することがある
IPを次の世代へつなぐ層。グローグーやBB-8のような可愛いキャラクターが入り口になる
R2-D2よりもBB-8が好きなのは多分次世代の子たちだと思うので、それ(可愛いキャラの投入)はそれで正解だと思うんですよ。
宮武さんはもう一つの論点として、そもそもIPを終わらせるべきかという問いも挙げます。草野さんは、終わらせたほうが伝説になる場合もあると応じます。宮武さんは、終わらせれば新作が出ないので新しいファンは入りにくくなると話します。
新しいファンを増やす道として、宮武さんはTikTokや、ドラマ『ストレンジャー・シングス』でケイト・ブッシュの曲が再び人気になった例も挙げています。
伝記映画ラッシュは、アーティストの寿命を延ばすのか
宮武さんは、アーティストの伝記映画がここ数年で急増したと話します。草野さんも、プレスリーの伝記映画がまさにそうだと応じます。
宮武さんの記憶では、クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』の興行収入は10億ドル弱でした。エルトン・ジョンの『ロケットマン』は2億ドルほどです。一方、エルヴィスの作品はまずまずで、ボブ・マーリーの作品は振るわなかったといいます。
ブルース・スプリングスティーンの作品についても、宮武さんは、アメリカでは有名でも他国でどこまで知られているかという問題があると話します。あまりうまくいかなかったという話もあり、伝記映画の勢いは今は下がり気味だといいます。
次の注目は、マイケル・ジャクソンの伝記映画です。甥が主演すると聞いた宮武さんは、声がマイケル・ジャクソンそのものだったと驚いています。
ビートルズについて、宮武さんはメンバーそれぞれを描く作品と全体を描く作品に分かれた、4部か5部作の構想だったはずだと話します。同じ場面を各メンバーの視点から描く試みもあるのではないかと見ています。
宮武さんは、ビートルズに80年ルールを当てはめます。ファーストシングルは1962年のはずなので、期限は2042年です。このエピソードの公開時点からは、あと16年ほどしかありません。
ビートルズはもうちょっと超えるとは思います。でもやっぱり多分人気は落ちてると思うので。
草野さんが「ビートルズを後世に残したい委員会」としてどうすればいいか尋ねます。宮武さんは、残したい気持ちはあるものの、次の世代は自分たちの音楽を見つけたいはずだと答えます。
教科書・クリスマス・教会の歌。世代を超える作品の条件とは?
草野さんが、80年ルールが当てはまらない名曲は何かと尋ねると、宮武さんは教科書に載っているものだと答えます。ベートーヴェンは今のところ一生消えないだろうといいます。
宮武さんは、テキストに載る作品は少なくとも聴かれ続けると話します。音楽を学ぶ人ならビートルズを聴くかもしれませんが、小学生の教科書にはビートルズは載っていないかもしれないといいます。
草野さんが挙げるもう一つの答えは、クリスマスソングのような季節ものです。80年後もマライア・キャリーが流れていそうだと話します。宮武さんも、クリスマスがなくならない限り残るという意味で、世代を超えるIPだと同意します。
宮武さんによれば、マライア・キャリーはクリスマスソングをかなり書きたくなかったそうです。15分ほどで書いた曲から、毎年200万〜300万ドルほどが入ってくるといいます。
ただ宮武さんは、クリスマスソングが本当に80年を超えているかは確かめる必要があると考え、発表年を挙げていきます。
宮武さんは、教会で歌う賛美歌 ── キリスト教の礼拝で歌われる宗教歌。英語ではヒム(hymn)と呼ばれ、何世紀も前の曲が今も歌い継がれていますも挙げます。宮武さんの高校はキリスト教の学校ではありませんでしたが、同じ教会の曲を100年ほど歌い続けているそうです。新曲が出る頻度が圧倒的に少ないため、世代を超えやすいと考えています。
草野さんはCMソングや、野球の応援で歌われる企業の歌も残りそうだと提案します。宮武さんは、残るのは企業が残ればの話で、100年残る企業は少ないと返します。
ここで宮武さんは時間切れを告げます。本来予定していた合成メモリーの話は次回に持ち越され、メモリーの作り方や優先順位のつけ方を扱う予定だと話しています。
アートは死後も価値が上がる?レガシーを残したい人がすべきこと
収録の最後に、草野さんは残すならアートではないかと切り出します。宮武さんは、作品がフィジカルに「そこにある」から続きやすいのかと応じます。
草野さんが注目するのは、アートは作者の死後も評価の対象になり、価値を上げられる点です。ゴッホのように、亡くなってから評価される例があります。
宮武さんは、アートは作品単位で価値がつき、盗まれることさえあるが、曲にはそれがないと指摘します。曲は映画やドラマで使われてリバイバルすることはあっても、価値のつけ方が違うといいます。
アートだと、そこにあると全員そこを通る人は見ちゃうので、知らない間でいろんな人に感動を与えたりとか、感じさせられるんですけど、曲って聴かないといけないので。
草野さんが、100年残るレガシーを望む人は何をすればいいかと尋ねると、宮武さんは歴史に刻まれることをするしかないと答えます。
宮武さんは、番組で以前話した内容にも触れます。インターネットにコンテンツを残せばAIが拾ってくれる可能性があり、レガシーはAIの中で永久に残されるかもしれないといいます。ただし、それがいいかどうかは別の問題だと留保しています。
一方で、そのポッドキャストもSpotifyがなくならない限りの話です。草野さんは、100年後にはSpotifyもNetflixもないかもしれず、以前はなかったのだから変化は読めないと話します。
だからまあそのレガシーを残したい、その思い(レガシーを残したい思い)を持つ人間からすると一番怖いですよね。
まとめ
今回のエピソードは、AIが限られたメモリーで情報を取捨選択する話から始まり、カルチャーも時間とともに忘れられていくという問いへ広がりました。AIにも人間の文化にも、何を残し何を手放すかという同じ構造がある、と見えてくる回です。
- 複数のAIを束ねるサブシステムでは、分野をまたいでパターンを見抜く「仕切り役」のAIの質が鍵になる
- 人間向けのUIや装飾はAIにとってコンテキスト腐れになりうるため、AI向けソフトウェアはライブラリに近い形になると宮武さんは見ている
- テッド・ジョイアさんの説では、アーティストはファーストシングルから約80年で忘れられ、その根拠はファンの寿命にある
- 教科書に載る作品、クリスマスソング、賛美歌、アートなどは、80年の壁を越えやすい例として挙がった
- インターネットに残したコンテンツはAIの中で残るかもしれないが、プラットフォーム自体が100年続く保証はない





