AI時代に検索流入が減ると何が起きるのか
Off Topicの今回のテーマは「ハイパーリンク経済の死」のパート2です。宮武さんは、前回のパート1ではこのテーマにほとんど触れられなかったと振り返り、今回こそ本題に入ると宣言します。
個人的に結構ここ(ハイパーリンクの話)はすごい重要な話だと思ってるので、じっくり話すのが大事かなと思うんですけど。
宮武さんはまず、過去2回分の議論をおさらいします。AIチャットボットが回答を直接返すようになると、検索からサイトへの流入が落ちる、という説です。
検索流入でマネタイズしてきたサイト制作者やメディア会社は、この変化で強い悪影響を受ける可能性があります。サイトに人が来なくなれば、サイトを作る経済的な意味そのものが成り立たなくなるかもしれません。
宮武さんによれば、マイクロソフトやCloudflare ── Webサイトの配信高速化やセキュリティを提供するアメリカの企業。AIクローラーのアクセスに対してサイト側が対価を求められる仕組みも打ち出していますの関係者が提案しているように、クロールごとに課金できる仕組みができたとしても問題は残ります。サイトの形やコンテンツの作り方自体を、AI向けに変えなければならないからです。
宮武さんが今回強調するのは、検索流入やマネタイズの問題だけでなく、検索をベースにしたインターネットのインフラ全体に課題が出てくるという点です。そしてその影響は、最終的にAIエージェント自身にも返ってくると見ています。
SEOからAEOへ、コンテンツの作り方はどう変わる?
宮武さんは、これまでのWebサイトがSEO目的で作られてきたことを指摘します。キーワードの改善、バックリンク、サイト構成まで、Googleのクローラーが読みやすく高い順位を付けてくれるように工夫されてきました。
Googleが存在する前は、見た目の綺麗さは気にしても、検索クエリにかかるキーワードを入れるといった発想はあまりなかったのではないか、と宮武さんは話します。
やっぱりインターネットがもう検索エンジンに最適化されすぎたですかね。
草野さんの問いに対して宮武さんは、コンテンツクリエイターやサイトがGoogleに合わせて進化したこと自体は悪いことではないと答えます。ただ、主役がGoogleからAIに移ると、SEOではなくAEO ── Answer Engine Optimizationの略。AIチャットボットなど「答えを返すエンジン」に自分のサービスやコンテンツを見つけてもらい、回答に取り上げてもらうための最適化の考え方ですが重要になると言います。
根本的に、そのAIがサイトを読む方法と人間が読む方法って全然違うので。
宮武さんによれば、現在AEOに効果があるとされているのは、次のような書き方です。
- 自分の業界や書いているトピックを明確に書く
- FAQのセクションを入れる
- 機能を箇条書きで並べる
- メリット・デメリットや比較のテキストを入れる
SEO: Googleのクローラーが読みやすく、高く順位付けするようにキーワードやバックリンク、サイト構成を整える
AEO: AIに見つけてもらうため、業界やトピックを明確に書き、FAQ・箇条書き・比較を入れる
SNS検索はなぜもっと早く強化されなかったのか
草野さんは、SEOとAEOの間に「SNSへの最適化」という段階があってもよかったのではないかと問いかけます。検索したときに公式アカウントやお店が上に出るなど、SNS検索にはいろいろなモデルがありえたはずだという感覚です。
(SNS上の検索に)なんかあんまりなかったからこそ、結構ユーザーのアテンションが集められたんですかね。
宮武さんは、多くのユーザーが検索よりもアルゴリズムベースのフィードを使っていたため、検索がSNSの一番コアなUIではなかったことを理由に挙げます。一方でAmazonのように検索が中心のサービスもあります。
草野さんは、日本ではTwitterがSNSを検索に使うユースケースを先導していた印象があり、InstagramやTikTokにも検索をもっと早く強化してほしかったと話します。
宮武さんは「言い訳にしかならないかもしれない」と断ったうえで、TwitterがテキストヘビーなSNSだったことが検索のしやすさにつながったと見ています。Facebookのように、友達だけ、友達の友達まで、全員といった公開範囲の線引きが曖昧なSNSでは、検索結果に何を出すべきかが難しかったといいます。
さらに、画像や動画は昔の技術では良い検索結果を出しにくかったことも理由の一つです。ただ、最近はTikTokなどが検索にかなり力を入れている、と宮武さんは付け加えます。
AEOの世界でハイパーリンクは評価されない?
宮武さんは、AEOが広がることでコンテンツの作り方に生じる影響として、ハイパーリンクの扱いを挙げます。現時点では、他のソースへのリンクをサイト内に入れることはあまり評価されていないように見えるといいます。
他のサイトからその自分のサービス名とかがメンションされるのは大事だと思うんですけど。
必ずしもそれ(メンション)がURLでたどり着くようにするとか、そういうのはあんまり重要視されてないのかなっていうふうに思うんですよね。
草野さんがその根拠を尋ねると、宮武さんは、LLMはリンク先のサイトを読み込んでいるわけではなく、さまざまな場所でサービス名がメンションやレコメンドされているかを見ているように思える、と説明します。あくまで現時点の見え方で、将来は変わるかもしれないとも念を押しています。
GoogleはなぜYahooやAltaVistaに勝てたのか
宮武さんは、リンクが評価されなくなることが課題になる理由を、Googleが検索市場で勝った理由にさかのぼって説明します。Googleはファーストムーバーではありませんでした。
当時はYahoo、Excite、AOLなど多くの検索サービスがあり、宮武さんはアメリカでAltaVista ── 1995年に登場した初期の代表的な検索エンジン。高速で大規模な検索を売りにしていましたが、Googleの台頭で存在感を失いましたやAsk Jeevesを使っていたといいます。
なんかJeevesっていうおじさんがいるんですけど、その人が出てきて回答してくれるみたいな。
宮武さんは小学生の頃、AltaVista、Ask Jeeves、Googleの3つで検索を比べながら、なんとなくGoogleの方がいいものが出てくると感じ、徐々にGoogleに寄っていったと振り返ります。
草野さんが「いい検索結果」の定義を尋ねると、宮武さんは基本的に、自分が欲しいリンクが上位に出てくることだと答えます。速さや、より多くのサイトをクローリングしていたこともGoogleの強みでしたが、一番は良い結果が出るかどうかだったといいます。
検索してる側からすると、検索サイトからなるべく離れるっていう、行きたいページにちゃんと誘導してくれるかどうかっていう話だと思うので。
PageRankが見抜いた「ソーシャルなウェブ」とは
宮武さんは、Googleの検索結果が優れていた根本の理由をアルゴリズムの違いに求めます。鍵になったのは、主にラリー・ページさんが書いたとされるPageRank ── Googleの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが考案したWebページの評価手法。多くの、また重要なページからリンクされているページほど価値が高いと見なしますの論文です。
宮武さんの説明では、他の検索サービスは、ユーザーが入れた単語と同じか近い単語がクロールしたサイトにどれだけの頻度で出てくるかを見ていました。たとえば「バスケットボール」と入れると、その言葉がよく出てくるページが上に表示される、という仕組みです。
一方のGoogleは、単語のマッチングに加えて、そのサイトが信頼できるかどうかを重視しました。そして信頼の手がかりにしたのが、他のサイトからリファレンスされているかどうかです。
すごいメンションされてる研究論文があれば、基本的にそれが信頼されてるっていう意味合いだと思うので。
検索クエリと同じか近い単語が、クロールしたサイトにどれだけの頻度で出てくるかで表示順を決める
単語のマッチングに加え、他のサイトからリファレンスされているかでサイトの信頼度を評価する
宮武さんは、ラリー・ページさんとセルゲイ・ブリンさんが、Webを単なる単語やテキストの集まりではなく、お互いがリファレンスし合うソーシャルなネットワークとして見ていたと話します。
このネットワークで一番リファレンスされているサイトが一番良いサイトであり、リファレンスされていないものほどクオリティが低いと見なす、というのがPageRankの良さだったと宮武さんは整理します。インターネット全体を巨大なSNSにたとえると、一番フォローされているアカウントを表示してくれるのがGoogleだった、というわけです。
有名人が若手を推す仕組みはリンクと同じ?
宮武さんは、リファレンスによって評価が上がる仕組みは決して新しい発想ではないと言います。多くの人は、若手のうちに有名な人に気づかれ、推されることで有名になっていきます。
音楽の例として宮武さんは、テイラー・スウィフトのErasツアー ── テイラー・スウィフトが2023年から行った大規模ワールドツアー。歴代最高クラスの興行収入を記録しましたでサブリナ・カーペンターやグレイシー・エイブラムスがオープニングアクトとしてフィーチャーされたことを挙げます。ドレイクが若手の音楽を紹介したり、The Weekndに早くから関わったりした例にも触れています。
ブランドでは、人気ブランドが急成長中の若手ブランドとコラボする形があります。ニュースではさらにわかりやすく、The InformationやThe Athletic、TVPといったメディアが急成長していると宮武さんが感じるのは、他のサイトがそこを引用元としてリファレンスしているときだといいます。
宮武さんは、ラリー・ページさんとセルゲイ・ブリンさんがこの根本的な考え方をPageRankに導入し、今のGoogleもいまだにそのアルゴリズムをある程度ベースにしていると見ています。
AIの時代にリンクを張るインセンティブは残るか
宮武さんは、Googleが過去2回の議論のとおりAIチャットボット寄りにサービスを転換し、検索をリプレースするAIチャットボットも次々に登場している状況を指摘します。AIが直接回答を出すなら、コンテンツクリエイターがハイパーリンクを張る理由はどこにあるのか、という問題です。
一般的なサイトクリエイターからすると、そこ(ハイパーリンク)のインセンティブは結構なくなってしまうのかなっていうところですね。
草野さんは逆張りの発想として、自分でサイトを作る価値が上がる未来はないかと尋ねます。TikTokやYouTube Shorts、リールでだけ解説系の投稿をしているクリエイターは、検索で引用されにくいように思えるからです。
自分でサイトを作って、それ(サイト)でファンダムを醸成していって、もっとリンクに出てくるようにするみたいな。
宮武さんは、Google検索が強い今ならその戦術はある程度効くと答えます。しかしAI時代には、AIのクローラーがYouTubeやSNSにも行ってくれるため、そもそもサイトがある必要がなくなるといいます。
エンドユーザーにとっても、10個の青いリンクを見るより1つの回答を見るほうが楽です。それでも宮武さんは、ハイパーリンクを作るのは人間であり、人間が「このサイトと関連している」と表現する場所でもあると強調します。
無料のインターネットは終わるのか
宮武さんは、サイトのトラフィックの大半がAIエージェントになれば、マネタイズが非常に難しくなると話します。その結果、これまで当たり前だったインターネットの無料利用が変わる未来もありうるといいます。
草野さんが誰にお金を払うモデルなのかを尋ねると、宮武さんは、各サイトを訪れるたびに支払うマイクロトランザクションのような形を挙げます。ChatGPTのサブスク料金がその分を補う形かもしれないとも話し、どうなるかはわからないと前置きしています。
そもそも広告とか、そのサイトに行ってそこで課金するっていう制度が成り立たないのであれば、
そこはそもそも根本的にそのインターネットの作り方を変えないといけないっていうところですね。
ブーメランのようにAIチャットボットへ返る悪循環
宮武さんは、ハイパーリンクの衰退が最終的にはAIチャットボットにも悪影響を与えると考えています。草野さんが「コンテンツが生まれなくなるということか」と尋ねると、宮武さんはそれに加えてもう1つの理由を挙げます。
今AIチャットボットって、特に検索系のものに関しては、Googleの検索ランキングにすごい頼ってるんですよ。
宮武さんによれば、AI検索エンジンのPerplexity ── AIが複数のWebページを参照し、出典付きで回答を返すAI検索サービス。アメリカのスタートアップが開発していますは、GoogleやBingに同じか調整したクエリを流し、どのサイトのランキングが高いかを参考要因の1つにしているといいます。少なくとも半年ほど前にはCEO自身がそう話していたそうです。
OpenAIもGoogleの検索結果を活用してChatGPTの回答を出しているのではないか、という記事も出ていると宮武さんは紹介します。つまりGoogleの検索ランキングには大きな価値があり、そのランキングはハイパーリンクがあるからこそ成り立っています。
ユーザーがAI回答で満足
エンドユーザーはリンクを見ず、AIチャットボットの回答を使い続ける
リンクを張る動機が消える
クリエイターはサイトを作らず、作ってもハイパーリンクを入れる意味を感じない
Googleの検索品質が下がる
バックリンクに支えられた検索ランキングのクオリティが落ちる
AIの回答品質も下がる
Googleのランキングに頼るAIチャットボットやAI検索エンジンの質も下がる可能性がある
宮武さんは、この悪循環こそが「ハイパーリンクの死」という言葉で最も恐れていることだと語ります。
OpenAIが検索エンジンを作れば解決する?
草野さんは、OpenAIがChatGPTとは別にGoogleのような検索エンジンを作ればよいのではないかと提案します。宮武さんの答えは、問題はその検索エンジン経由でサイトに人が来るかどうかだというものです。
結局サイトに流入しないのであれば、そのAIチャットボットだけの回答で満足するのであれば、クリエイター側としてはお金儲けできないので、
草野さんは、AIチャットボットよりも検索エンジンのUIのほうが見やすいものもあり、需要は残ると考えます。宮武さんは需要があることは認めつつ、規模は今ほどではないと見ています。
(検索の需要が)今から10パー下がるっていう話ではないと思うんですよね。
宮武さんは、少なくとも半分以下、場合によってはそれ以上に下がるのではないかと話します。そうなれば、わからないとしながらも、少なくとも10〜30%ほどのコンテンツクリエイターがサイトを作る意味を失うのではないかと見ています。
一方で宮武さんは、今後ハイパーリンクをより重視する方向や、AI自身がハイパーリンクを作る可能性もあると述べます。自身もまだ解決策を考えている最中だとして、リスナーにアイデアを送ってほしいと呼びかけました。
AIエージェントのためのウェブはどう作られる?
宮武さんは、次のフェーズでは人間だけでなくAIエージェントがさまざまなサイトに流入してくると見ています。ただし、今のAIエージェントのやり方はおそらく正しくないといいます。
たとえば今のAIエージェントに「このサイトでサンドイッチを買って」と頼むと、サイトを開いて画面をスクロールしながらスキャンし、どこに何があるかを把握して注文します。宮武さんはこのあり方自体に疑問を示します。
人間向けには、HTTPの上にHTMLが生まれ、ウェブ上のデータベースを人間が読みやすく操作しやすいUIとして見せてきました。そこからJavaScriptなど、より高度な技術も生まれています。
例えばマイクロソフトはAI版のHTMLを作ろうとしてるんですよ。
宮武さんによれば、マイクロソフトはそれをNLWebと呼んでいます。MCP ── Model Context Protocolの略。AIモデルが外部のツールやデータに標準的な方法でつながるための仕組みで、Anthropicが提唱しましたに近いもので、AIがサイトを訪れて操作することを簡単にするためのものだといいます。
人間用とAI用、2つのドアに分かれるウェブ
草野さんは、エンドユーザーである人間はどうなるのかと尋ねます。宮武さんが紹介する案の1つは、サイトを訪れるときにAIエージェントか人間かを判別する方法です。
判別の方法は自動かワンクリックか、別のポータルかはわからないとしたうえで、宮武さんは、人間にはHTMLを見せ、AIには裏側のデータベースを見せるという形を説明します。
いわゆる2つのドアが出てきて、どっちに行きたいですかっていうのを選べるようにする。
もう1つの形は、人間がブラウザを使うように、AI用のブラウザが登場し、それを経由するとHTMLのサイトには行かずにデータベースへアクセスするというものです。草野さんは「AI用のブラウザっていいですね」と反応します。
ブラウザでサイトを訪れ、読みやすく操作しやすいHTMLの画面を見る
判別された後やAI用ブラウザ経由で、HTMLではなく裏側のデータベースにアクセスする
草野さんが、OpenAIがすべてやってしまえば解決しそうな中でスタートアップの入る余地はあるのかと聞くと、宮武さんは十分あると答えます。ただ、オープンソースのような形になりやすく、サブスクのような一般的なマネタイズは難しいのではないかと見ています。
10年後のウェブは今とまったく違う姿に?
宮武さんは、マイクロソフトのような会社やMCPがプロトコルやベースのインフラを作ろうとしていることに触れ、10年後のウェブは今とまったく違う見た目になっている可能性があると話します。
ウェブがAI用と人間用に分かれているかもしれませんし、人間が訪れるサイトがほとんどなくなっているかもしれません。草野さんは、10年前にはスマホ用のウェブサイトもあまりなかったことを思い出します。
場合によってはウェブは人間が捨てて、アプリに全部寄せるとか。
宮武さんは、ウェブがメディアプラットフォームとして始まり、FigmaやSlack、Facebookのようなウェブアプリの場となり、今では取引もできるトランザクションプラットフォームになったと整理します。
さらに宮武さんは、今は起業するときに最初にサイトを作るとは限らないと指摘します。TikTokやX、Instagram、YouTube、Shopify、Substack、Spotifyのページから始めることもあります。
オフトピックもサイト、最初の2、3年作らなかったじゃないですか。
宮武さんは、サイトはエージェント向けに情報を流す場所として残り、人間が使うインターフェースはウェブの別のレイヤーや別の場所に移る可能性もあると話します。これは新しいインターネットを作るチャンスでもあるといいます。
広告とページビューを土台にしてよいのか?
宮武さんは、今のインターネットが広告モデルをベースにしていること自体が正しいのかを問い直します。アメリカのGDPを見ると、広告市場は1〜2%程度にすぎないといいます。
宮武さんは、広告があること自体は悪くないとしつつ、価値を別の形で評価し合い、そこにマネタイズの仕組みを載せるべきかもしれないと話します。今はページビューが物販、広告、サブスクなどのマネタイズの起点になっています。
宮武さんは、テイラー・スウィフトの曲を大ファンが聴いても、ファンではない宮武さんが聴いても、本人に支払われる額は同じだという例を出します。草野さんは、これからファンになりうる人のほうが価値は高いかもしれないと返し、宮武さんは逆に安く設定する考え方もあると応じます。
宮武さんはさらに、Off Topicのデイリーメモやポッドキャストと、がんを治療する薬についてのコンテンツを比べると、ほとんどの場合は後者が高く評価されるべきだと話します。しかし今はどちらもページビューで評価されています。
宮武さんは、LLMの大きな可能性として、コンテンツそのものの価値を、パーソナライズされた形で評価できることを挙げます。LLMが情報を集めるときにその価値に応じて支払い、ユーザーも価値に応じてアクセスするインターネットが生まれれば面白いといいます。
価値に応じた支払いはトラッキングとフィルターバブルを生む?
草野さんは、価値に応じた支払いを実現するには、宮武さんが熱心なファンではないことや、がんの知識の有無、テック好きかどうかといったエンドユーザーの情報が相当必要になるのではないかと指摘します。
宮武さんは、支払いには2つの視点があると整理します。1つはエンドユーザーで、草野さんの言うとおり個人情報が大量に必要になります。もう1つはLLM自体が、情報の内容やクオリティによって支払額を変える仕組みです。
一人ひとりにとっての情報の価値で支払う。そのためには個人情報が大量に必要になる
クロールごとの支払いを、情報の内容やクオリティに応じて変える
宮武さんは、ページビューだけの世界では何がバイラル化するかが中心になり、悪いことや過激で分裂を生むことのほうがページビューを稼げてしまうと指摘します。今のアメリカやSNSを見てもそうだといいます。
でもなんかそうじゃないインターネットって実は作れる時代まで今は来たんじゃないかっていう話ですね。
宮武さんは、Googleが約束してきた「クロールさせてくれればページビューを渡すので、それでマネタイズしてください」という設計から少しずつ離れ、分裂を生まなくても稼げる仕組みが作れるかもしれないと話します。本人も理想論かもしれないと添えています。
草野さんがフィルターバブルにならないかと尋ねると、宮武さんは十分ありうると認めます。そのうえで、責任の一部はLLMやAI企業が何を良い情報と見なすかにあり、一部はエンドユーザー側にもあると話しました。
締めくくりに宮武さんは、ハイパーリンクのないインターネットは根本的な構造に悪影響を及ぼすかもしれない一方で、ウェブや検索のあり方をゼロから考え直すチャンスでもあると語ります。最後に草野さんが「Off Topicはサイトを作らなくてもよかったのか」と聞くと、宮武さんは「わからない」と答え、草野さんは既存のサイトもぜひ見てほしいと呼びかけて番組を終えました。
まとめ
今回のOff Topicでは、AIチャットボットの普及がハイパーリンクを張る動機を奪い、PageRankに支えられたGoogleの検索品質、ひいてはそれに頼るAIの回答品質まで下げかねない悪循環が語られました。宮武さんはその危機を、ウェブとお金の流れをゼロから設計し直すチャンスとしても捉えています。
- AIの時代にはSEOに代わってAEOが重要になり、サイトはAIに読まれやすい書き方へ変わりつつある
- Googleが勝ったのは、Webを互いにリファレンスし合うソーシャルなネットワークと見たPageRankのおかげだった
- リンクを張る動機が消えると、Googleの検索ランキングとそれを参照するAIの品質も下がる悪循環が起こりうる
- 将来のウェブは人間用とAI用に分かれたり、アプリに寄ったりして、今とまったく違う姿になる可能性がある
- ページビューと広告に頼らず、コンテンツの価値そのものを評価して支払う仕組みに期待が語られた





