三井物産からアスエネ創業へ
こんにちは。M&Aポッドキャストマップトーク案内人の徳田です。この番組は、「企業が進む道は無数にある」をコンセプトに、株式会社クラウドワークス新規事業開発部が主催する、M&Aをそれぞれの視点からリアルな選択肢として描くトーク番組です。
今回のマップトークは、7月8日に開催するM&Aカンファレンスマップにご登壇いただくゲストをお招きしています。まずは、株式会社クラウドワークス執行役員新規事業M&A担当の酒井亮さんと一緒にお届けします。今日もお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
そして今回のゲストは、アスエネ株式会社ファウンダー、代表取締役CEOの西和田浩平さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
実は、酒井と西和田さんは初対面というか、ちゃんとお話しするの初めてと伺ったんですが。
そうですね、環境エネルギー投資さんの日野さん経由でお声掛けさせていただいたのと、あとはLSSっていう経営者コミュニティがあるんですけど、今回のカンファレンスもスポンサードいただいてて、お名前はよくお見かけしてた、そんなところでございます。今日はありがとうございます。
いえいえ、こちらこそ。我々もクラウドワークスさんのいろんな記事だとか、経営の考え方みたいなのは過去から参考にさせていただいてたので、お話できて光栄です。ありがとうございます。
では早速なんですが、西和田さんのこれまでのキャリア、プロフィール、教えていただいてもいいでしょうか。
前職はもともと三井物産という総合商社で、主に再生可能エネルギーの投資とかM&Aとか、脱炭素系の事業のM&A、PMIをやっていました。総合商社だとM&A専門の本部ってあんまりないんですけど、三井物産はプロジェクト本部っていうのが、もう500名全員M&A、PMIの専門部隊のチームがありまして、私はそこで主にやっていました。
途中エコジェンというブラジルの会社を100パーセントM&Aしまして、当時は三井物産が90パーセント、東京ガスが10パーセントで共同買収をして、ESCO系の事業をやっている会社をM&Aして、そのPMIで私もサンパウロの方に海外赴任で行っておりました。そこで、ものすごくスピード感の早い経営だとか、事業成長のダイナミズムに私自身も刺激を受けたことも一つのきっかけで、アスエネ株式会社を2019年に創業したという経緯になります。
最初は再エネ特化の電力小売り事業から始めて、本当ゼロイチのところから、1年目一人、私一人ですね。2年目で正社員5名ぐらい、3年目30名ぐらいで、直近今7年目ぐらいになるんですけど、業務委託も入れると今500名弱ぐらいまで規模も拡大してきたり、グローバルも今6カ国拠点を持っていたり、M&Aも直近2年弱で7社ぐらい、事業買収も込みですが、やっているという形になります。
すごい勢いとスピードがすごい。
攻め攻めですね。
ありがとうございます。勢いとかモメンタムはあるというのはよく言われます。
もともと脱炭素だったりとか、再生可能エネルギーにご関心があったのはなぜなんでしょうか。
もともと私、音楽の方やってたんですけど、そこは挫折をして。その後に、MR.CHILDRENの桜井さんとか、プロデューサーの小林武史、作曲家の坂本龍一が立ち上げたバンクバンドっていうバンドがありまして、ここのライブ活動とかCDの収益を環境系の団体に投資したり、融資をするっていう取り組みを、大学2年ぐらいの時に初めて目の当たりにした時に、ビジネスを使って社会に大きなインパクトを与える、こういうことをやりたいなというのを、20歳ぐらいの時に思って。
ちょうど20年前の話なんですけど、そこから大学でも環境経営だとか勉強を始めて、そういう事業ができるところってどこだろうって調べたら、当時総合商社が欧州とかで太陽光発電所に投資をしたりだとか、M&Aをしたりしていたので、それを見て最初総合商社に入ったというのがきっかけですね。
さっき三井物産の中のM&Aの部署ってお話がありましたけど、それを希望して行かれたんですか?
もともと再生可能エネルギーをどちらかというとやりたいというので、そっちを希望していたら、それをやってるのがM&Aの部隊だったんで、じゃあそっちに入ってっていう形です。
アスエネの事業とマルチプロダクトへの道
続いて、アスエネがどのような事業を展開しているのか、事業概要へと話が進みます。
では、アスエネの事業概要についてもう少し詳しく教えていただいてもいいでしょうか。
アスエネはいわゆるBtoB SaaSと呼ばれるBtoBのソフトウェア×AIを使ったような事業を手がけているんですが、領域としてはサステナビリティとか脱炭素の領域のソフトウェア事業なので、主に大企業のCO2排出量を見える化したりだとか、非財務データと呼ばれる環境とか社会とかガバナンスのデータの可視化から開示、そこの改善やCO2の削減だとか、ソフトウェアを提供したり、コンサルティングを提供して収益を上げているような事業になります。
主にお客様としては、大企業とかそのサプライチェーン全体がお客様となりますので、その中でも製造業のお客様が多い形になります。そういったサプライチェーンのソフトウェアの事業だったり、AIを活用してエネルギーコストを削減するようなビジネスモデルも今展開をしてまして、それを日本だったりグローバルで今展開をしている会社になります。
ちょっとごめんなさい、戻っちゃうんですけど、最初のその事業の構想としては、可視化のAIプラットフォームみたいなのが一番創業って感じなんですか?
実は創業は再エネ特化の電力小売の事業から始めて、我々はビジネスモデルありきというよりは、この脱炭素とかエネルギーの産業変革、特にクリーンテクノロジーとデジタルテクノロジー、そこが日本ってやっぱりすごい遅れていたので、そこを主軸にやっていこうということだけ決めていて。
どのビジネスモデルをどういう順番でやるかっていうのは当時決めてなかったんですが、創業時に30個ぐらいビジネスモデルを並べて、いろんなKPI上でスコアリングをした上で、一番初期に入りやすいところで、再エネ特化の電力小売りから入り、次にCO2のソフトウェアの事業を提供したら、その事業がガッと伸びたので。
電力の方も2年ぐらいで数十億ぐらいの売上に行っていたんですけど、ソフトウェアの方が粗利率とか高いので、より競合優位性みたいなものを持てるというところで、そちらにその後全振りして、人もリソースも張りながら、さらにマルチプロダクトを展開していったというのが経緯になりますね。
2024年8月から始まった7社のM&A
ここからは本題のM&Aへと話題が移ります。2024年8月の初のM&Aを皮切りに、どのような買収を重ねてきたのかが語られます。
では、M&Aについて伺いたいんですけれども、2024年の8月に初のM&Aを行ったっていうのを伺ったんですが、それを皮切りにどのようなM&Aを行ってきたのか聞いてもいいでしょうか。
2024年の8月から約2年弱ぐらいで、現時点で発表させていただいているのが7社のM&Aをやっています。5社は日本で、アメリカで2社を昨年やっております。どういうことを意識してやってきたかというと、大きな戦略としてはロールアップのM&A、いわゆる同業他社のM&Aというのが最も顧客規模のシェアを拡大できて、競争も排除できて、なおかつソフトウェアとか販管費の統合によってコスト削減もすごくできる。シナジーも高いので、それが主軸の戦略になります。
もちろん斜めのボルトオンのM&Aというところは常に意識をしながら、バリューチェーンの垂直統合みたいなところを狙って、ここの領域は将来的に行きたいよねというところをマッピングしながらM&Aを仕掛けてきたというのが大きな経緯になります。
西和田さんのご経験からM&Aって当然経営の大きな選択肢として最初からあったってことだと思うんですけど、何年目ぐらいの段階から考えられてたとか、経営陣で話されてたとかってどんな感じだったんですか?
私自身はもともとM&Aは結構メインで、エグゼキューションとPMIを現地でやっていたので、当初から考えていたものの、一番最初はPMFしないとっていうところがあったので、最初のプロダクトのしっかりとしたPMFを最優先に、ゼロイチとPMFに最初は集中してましたと。電力のモデルだったり、CO2の可視化のソフトウェアがPMFしたなと思ったのが2022年ぐらいだったので、そこからさらに将来戦略を深掘っていった時に、我々は最速で1兆円企業とか、この領域のグローバルナンバーワンになりたいよねと。
それこそ昔のソニーさんだとかトヨタさんだとか、令和のソニーになりたいというのが、2022年ぐらいから考えていたことで。それを実行するために、1兆円企業ってどういう企業なんだろうと。だいたい日本に200社弱いるんですけど、そのほとんどが当たり前のようにグローバル事業をやってグローバルの収益を取っている。もう一つはM&A。この二つは当たり前のようにできるようにならないと、1兆円の規模ってなかなかいかないよねと。
であれば、早い段階からやりたいというので、2022年ぐらいから構想を作り、そこから人の採用に動き、2023年にM&Aの責任者だったりCFOを採用して。私もM&Aは得意なんですけど、一人で全部やるというよりは、3人ぐらい強い人を揃え、この中でさらにチームを作っていくっていうことを意識してやってきた形ですね。
2022年っていうと、創業だから3年目、4年目ぐらいのタイミングですね。
3年目とかですかね。2019年の10月に創業なので。
めちゃくちゃ、一般的にいうとすごく順調なスタートアップって感じですよね。3年でそこまで。
結果だけ見ると、すごい順調だねっていうのをよく言われますけど、総論は順調ですけど、もちろんスタートアップの日々のハードシングスだったり、毎週毎月やっぱ何か起きたりみたいなものは、例外なく私もしっかり味わってますので。なんかここでは話せないオフレコハードシングストークの方が多分得意ですよね。そちらは3時間ぐらい全然いけます。
それはなんか別の機会にオフレコセッションを限定でやりたいところです。
なぜ2年で7社ものスピードを実現できるのか
2年で7社という圧倒的なスピードの背景について、話が掘り下げられていきます。
さっきおっしゃってた2年間で7社っていうのはすごいスピードだと思います。短い期間の中で数多くっていうのは、どういう背景があったりとか、西和田さんの思いがあるんですか?
というよりは、当たり前のようにソーシングアクションをしながら、ノンバインディングオファー出して、本格的にDDに突入するとなったら、チームをそこにリソースを当ててやるんですけど、ソーシングアクションを止めずにやっていることから、いい案件がいろいろ出てくるわけですよね。優先順位とリソースの配分はしっかり考えないといけないものの、キャッシュだったり資金の制約、融資だとか共同投資みたいな座組、M&AのエグゼキューションとPMIの座組をしっかり築ける限りは、早くやるということも意識してます。
すごく早くたくさんやりたいというわけでもないんですが、この辺りを同時並行で常に続けていったら、大体年間今平均4社、5社ぐらいのペースでM&Aをしているという形ですね。
なるほど。しっかりした体制と、その中でソーシングができれば、着実に結果的に積み上がるよねってことですよね。
そうですね。例えば総合商社で働いている時には、ガーッとソーシングして、だんだん絞り込んで、今期この案件やるぞみたいなのを狙いを定めて、DD入って、確実に年間1件前後ぐらいかなっていうのが、担当レベルでできることだったんですけど、今アスエネだとM&Aが年間4、5件実行ができて、新たな海外展開もして、オーガニックグロースの新事業とか新機能もやれてっていうので、物産時代の倍ぐらいの量を一気に同時並行で推進できるっていうのはめちゃくちゃ楽しい。
なんかクラウドワークスも年間最低7件やったことがあるんですけど、もうみんなヒーヒー言って。PMも次誰が行くんだみたいな感じになってたんで、さらっと年間5件やってますっていうのがもうすごいなと思って。
いや、我々もそういう形で嬉しい悲鳴で、その部隊は一つの案件が終わったと思ったら次の案件が始まるみたいなところもあるので。M&Aの責任者のうちだと小林っていう者がエグゼキューションはメインでやってるんですけど、彼とかほんと嬉しい悲鳴で、なんか毎日がワールドカップですみたいな、ちょっとよくわかんないけど受けたりはしますね。
さっきの話だと2022年ぐらいから体制作ってっておっしゃって、普通のスタートアップでいうと3年目でそのM&Aの体制をそれだけしっかり作ってて、なかなか難易度高いのかなっていうふうにも聞こえたんですけど、その辺はまあもともとM&Aやられてたっていうのも含めて、採用してくればできるよねなのか、どういう作戦でやられてきたとかってあるんですか?
起業家、創業者がM&Aの経験をしたことあって、グローバルもやったことがあるっていう人はそんなに多くはないので、そこは一つやっぱりアドバンテージにはなってるかなと思いますね。成功のイメージもあるし、三井物産時代にもちろん失敗した案件もあれば、隣の部で現存してみたいな案件もたくさん見てきて、何が失敗で、逆に成功事例ってなんで成功したんだっけみたいなものを、物産時代からベストプラクティスのシェアをよくやっていたので、その経験は間違いなく生きているなと思います。
一方で、大きな会社でM&Aをするっていうのは、社内の稟議プロセスだとか承認プロセスがものすごく時間がかかるので、議論してる内容はすごい適切なんだけど、もっと早く進められたらなっていう思いがあったんです。通常、海外のM&AでDDをしてからクロージングまで数ヶ月から半年ぐらいかかっちゃうケースが日本の企業だと多いんですけど、我々はDDからクロージングまで2ヶ月できちっと締められるぞと。日本で一番速いスタートアップだっていうことを海外のセラーだとかアドバイザーに言うと、それはすごい刺さりますね。
なるほど。スピードも一つ大きな武器になりますよね。
そうですね。我々はスタートアップなので、一番の強みはスピード。ここしかないので。
ソーシングとベンチマークの磨き方
いい案件をどう見つけているのか、ソーシングで重視する点やベンチマーク企業について語られます。
ソーシングをしてるといい企業がたくさん見つかってみたいなところがあったと思うんですけど、じゃあそのソーシングの時にどこを重視していらっしゃるんですか?
ソーシングは、12個ぐらいのM&AのKPIみたいなものをある程度決めていて、領域的なものもあれば、ロールアップの我々がM&Aしたい会社のリストアップだったり、斜めの領域で、ここは自社でM&Aしたい、ここはパートナーシップでやりたいとか、戦略マッピングみたいなものを最初にした上で、日本と海外の企業をバイネームでガーってリストアップをして、そこに対して自らダイレクトに当たったり、リファラル経由で行ったり、エージェントさんだとか証券会社さん経由で紹介してもらうとか、全方位でやっているという形ですね。
その辺って、多分物産にいらっしゃった時と事業会社でまたやり方違うのかなと思いつつ、今回もカンファレンス登壇いただくシフトの小島さんとかもアドバイザーで入られてるじゃないですか。戦略を作り上げていく時に、こういう会社なんかこの辺参考にしたとか、この辺気をつけながらやったとかってあるんですか?
シフトさんの小島さんとは私もものすごく懇意にさせていただいていたり、我々の戦略アドバイザーみたいにやっていただいているので、M&Aの議論は私とうちの小林とかと一緒に月1回ぐらい壁打ちとかをさせていただきながらやっていますと。ベンチマークとしてはシフトさんも日本だとしていますし、海外だと連続買収をやってるような会社、例えばカナダのコンステレーションソフトウェアだとか、いくつかのベンチマーク先を徹底的に調査をしたり、直接彼らとも会話をしたりっていうところで、ノウハウだとか知恵だとか知見をしっかり学びながらやってきているというところですね。
初の海外M&A、Nゼロ社とPMIのリアル
最も印象に残ったM&Aとして、初の海外案件であるアメリカのNゼロ社の買収が語られます。西和田さんはM&Aの本質はPMIにあると強調します。
これまでのM&Aの中で最も印象的に残っているものがあれば、差し支えなければ教えていただけませんか?
M&A自体どれも印象に残ってますが、一つ挙げるなら、昨年の5月に実行したアメリカのNゼロ社のM&A。これは我々にとって初のアメリカ、初の海外のM&Aということで、私自身も物産で海外のM&Aよくやっていたんですけど、PMIの難易度は日本より絶対圧倒的に高いわけですよ。なので、株主とも相当議論をした上でM&Aを実行していますし、M&Aで大事なことって、エグゼキューションは正直20パーだと思っていて、80パーセントはPMI。
しかもこれって半年、1年で結果が出る話ではなくて、3年、5年、10年で初めて本当にうまくいったかどうなのっていうところが問われるPMIなので、そこをやりきるみたいなところは、あらゆる手段を講じてこの直近1年もやってきましたし、海外のM&Aをやってる会社に改めていろいろ話を聞きに行って、こういう時にどういう決断をしたのかみたいな話は事前にも相当やったので、私自身思い入れは強い案件ですね。
いや、すごいインパクトありましたよね。ニュース見た時。めちゃくちゃ連絡も来たんじゃないですか?
そうですね、連絡も来ましたし、アメリカで1件トラックレコードができると、そこから海外での持ち込み案件が一気に増えるので、アスエネは口で言ってるだけではなくて、ちゃんと実行できる会社なんだという証明になったんです。証券会社さんだとかエージェントさんだったり、なんならLinkedInで海外の同業他社のCEOから、1年後、2年後ぐらいにEXIT考えてるんだけど、ちょっと早めに話せないかみたいな連絡が直接来るだとか、すごいインパクトも大きかったですし。
あとはNゼロ社の経営陣、CEOのジョシュとかジョン、マットと3人経営陣がいて、彼らとのコミュニケーションはものすごく重要視してますので、3ヶ月に1回のボードミーティングは日本かアメリカか必ず対面で行ったり。PMIの合宿みたいなところもして、日本とかアスエネのカルチャーとかやり方、強みが何なのかっていうところをちゃんと言語化して伝えたり、彼らのビジネスモデルを日本で立ち上げてとか、去年の12月ぐらいからやっているので、今のところ計画以上の結果が出ているので、現時点では順調ですが、まだまだ気が抜けないかなと思ってやってます。
ちょっと巻き戻すと、そもそもNゼロ社はさっきおっしゃってたリストの中にあったターゲット企業って感じだったんですか?
ターゲット企業であり、ただ完全な同業他社というよりは、CO2の可視化をやってる会社だったんですけど、どちらかというとエネルギーマネジメントのAIを活用して、電気とかガスとか水道のデータをソフトウェアに入れて、1時間あたりどれだけ電気を使ってるかみたいなところを全て可視化して、AIを活用して、どうやったらエネルギーコストを削減できるのか、CO2を削減できるのかをシミュレーションして、省エネの施策、LEDを導入したり、太陽光を導入すると、これぐらいエネルギーコストが下がって、CO2も下がって、投資回収期間どれくらいだねっていうシミュレーションを全部AIでできるっていうようなソフトウェアになりますので、少し斜めの領域のM&Aになる形ですね。
これはもう結構ダイレクトでアプローチしてってって感じだったんですか?
いくつか候補を持ちながら、ダイレクトプラスエージェント経由で話が来た案件でもあるんですけど、これはフィーとか払わない建付けにはなってたんですけど。
海外M&Aの難しさと国内との違い
海外と国内のM&Aの決定的な違いや難しさについて、三井物産時代の経験も踏まえて語られます。
そういった海外のM&Aと、日本の中でのM&Aの決定的な違いだったりとか、難しさとかってあるんでしょうか。
三井物産時代の経験も踏まえてですけど、良くも悪くも海外は本当に何でも起きるので、特に訴訟だとか不正会計だとか、エグゼキューションのDDの最後の最後に変な資料いっぱい出してきたりだとか、あらゆることを最悪説で考えないと本当に痛い目を見るので、実行ありきでやっていると本当にミスをしてしまう。変なリスクが出てきた時には案件を止めるっていう覚悟を持ってやらないといけないですし。あとはリモートでPMIやろうとしても結構限界があるので、コミュニケーションの限界があると思ってます。
アメリカでいうと今二人ぐらい駐在をさせて、いろんなPMIのアクションをしているんですが、今年追加で人も送り込もうと思ってますので、そういった難しさがあるなというのが海外のPMIですかね。一方でポジティブサイドとしては、市場規模がすごい大きい。特にアメリカとか欧州っていうのは市場規模が大きいですし、脱炭素とかサステナビリティとかエネルギーの領域でも、プレイヤー数が圧倒的に多いので、M&Aのオポチュニティも多いです。
プレイヤー自体の意識も日本とちょっと違くて、最初からM&Aありきで、EXITを考えて起業してる人たちが多いので、M&Aに変な抵抗は全くない。
確かに我々も去年少しグローバルなM&Aとかチャレンジする中で、LinkedInの話じゃないですけど、高いお金払ってくれるなら全然売るよみたいなスタンスから、M&Aに対してまずは別にオポチュニティとして当然選択肢の一つだよねっていうところは全然違いますね。
そこの意識が日本だとまだまだそんなすぐ誰かに売るみたいなことは考えてないみたいな人も多いんですけど、それはそれでいいとこも悪いとこもあるんですが、アメリカだと資金調達してさらにグロースできればさせるし、そこがちょっと厳しくなったらちゃんと黒字化させて、M&AのEXITとか、事業を大きくすることを最優先するようなファウンダーが多いかなという印象ですね。
多分ここでは話せないと思うんですけど、本当に海外のM&Aの取り組みの中で、危なかったなみたいなことあったんですか?
アスエネとしてはまだまだ大丈夫ですが、三井物産時代はたくさんそういう大変な事例だとか、2年間のロックアップとか作るじゃないですか。M&Aした後に双方ロックアップみたいな形で。で、ロックアップが終わった瞬間に訴訟されるとか、そういう事例とかも見てきましたし、いろんなことが起きますね。
スタートアップがM&Aで失敗しないために
スタートアップがM&Aで他社を取り込む際に気をつけるべき点や、体制づくりの工夫について話が進みます。
スタートアップが国内海外含めてM&Aで他社を取り込んでいく際に気をつけておいた方がいい点とか、失敗しやすいポイントがあったらぜひ伺いたいです。
一番はやっぱり価格なんじゃないですかね。シンプルに高値掴みしてしまうっていうのが。M&Aの失敗をどう定義するか次第ではあるんですけど、別に減損をしたからといって長期で考えたら失敗じゃないっていう考え方もできれば、短期的には減損出ちゃったっていうと、特に大企業だとちょっと問題案件みたいな形に一部なったりはします。そのほとんどの理由は、最初のイニシャルで払う金額が高いと減損が出やすい形になるので。
仮に売り手だった時に、スタートアップの資金調達のバリュエーションと、M&A100パーの時のバリュエーションって少し違うので、考え方の違いを最初しっかり伝えないと、お互いちょっと違う考えになっちゃうので、そこはすごい意識してやってるところではありますね。
合わせて、先ほどもおっしゃってた体制を作っていかないと、国内だけだとしても実行って難しいのかなと思って。その辺ってどういうふうに意識してやってこられたとか、どういうふうに採用かけてきたとかってあります?
M&Aのまずエグゼキューションの部隊と、PMIの部隊を、両方やってる人もいるんですが、片方しかやらないという専任の人をちゃんと作り。私はほぼすべてのM&Aに社外取りで入って経営に関与はしているんですが、そうじゃないバリュークリエーションのやり方があるので、それをしっかり型化して、日本でも再現性あるような形で各社に提供できる形にしていったり、アスエネのバリュークリエーションの方法こうだよねっていうのをしっかり定義して、確実に実行できるチームを作ってきたというのが体制面で意識してやってきたことですね。
なかなか難易度の高いことかなっていうふうにも聞こえたんですけど、その中でも工夫されてたポイントとか、元々割とM&Aも視野に入れながらやってきたから、ずっとそういう採用をかけてきたとかいうのあったりするんですかね。
一つ意識したポイントとしては、体制がようやくこの直近1年しっかり築けたかなぐらいなので、そこに持っていくためのやり方としては、強い責任者を取るのか、メンバーレベルを取るのか、責任者レベルを取るかによって、結構順番は大事だと思っていて。そういう意味だと、我々は結構強いメンバーを最初集めた。ちゃんと実行できるようなマネージャークラスだとかメンバークラスをしっかり揃えていってというところは、一つチームの作り方としては意識したポイントではありますね。
M&Aが当たり前になる日本へ、1兆円企業への道
最後に、日本でM&Aがもっと身近になるための環境整備や、これから注力していきたいことが語られます。
西和田さんはM&Aっていうものの存在がすごく身近にあると思うんですけれど、これがまだ身近に選択肢としてないっていう方たちに対して、どういう環境整備があったらもっと身近に感じられると思いますか?
日本の経営者とか起業家がまだまだM&Aのノウハウとかリテラシーが高くないかなというふうには思っています。あとはその成功事例だとかインタビューの事例だとか、一回EXITして、PMIとかロックアップの期間ちゃんとやった上で、また新たな創業をする、シリアルアントレプレナーを生むようなエコシステムがもっと日本でも強くなると、M&Aが当たり前になり、東証の改革じゃないですけど、小規模上場みたいなものが減り、もっと大きなユニコーンとかデカコーンの企業を生み出す仕組みができると、日本もっと変わっていくんじゃないかなとは思います。アスエネはそれを我々自らが実行してやることが一番の証明になるかなとは考えてます。
モデルケースですね。
いえいえ、まだまだハードシングスいろいろ多いんですが。
では西和田さん、これから注力していきたいと考えていることをぜひ教えてください。
改めて我々はグローバルでM&Aをさらに連続的に実行していきたいので、日本発でグローバルの、いわゆるシリアルアクワイア、連続買収企業に我々なっていきたいなと思っています。そのためには再現性のあるソーシングだったり、エグゼキューション、PMI。結局はプライシングによってリスクリターンが結構変わってくるので、プライシングに応じたPMIの強度、どうしてもこの値段で買う必要があれば、これぐらいの強度の高いPMIを行わないといけないよねと、やるような体制をしっかり築いていきたいなと思います。
結局そのM&Aした後はもう経営の勝負になりますので、オーガニックの事業を成長させる力が強くないと、いくらファイナンス的な考え方でたくさんM&Aをしても、その後の事業成長ってうまくいかないと思っているので、オーガニックの強い成長力とインオーガニックのM&Aが組み合わさって本当に強い企業はできるんじゃないかなと思ってまして。日本でそれを強いなと思って見ているのは、やっぱりシフトさんが一つの大きなベンチマークになっていますし、我々のやり方とか考え方は結構似ているので、このサステナビリティとかエネルギーという巨大な市場規模のところで、我々はそれを実行していくものになりたいなと思ってますね。
最後に、西和田さんにもご登壇いただくマップ2026なんですけれども、西和田さんにはグローバルセッションをご担当いただきたいと思っております。ご参加者の皆様に何かメッセージをいただけないでしょうか。
日本発でグローバルに事業を展開して、オーガニックで立ち上げるだけではなくて、M&Aの手法というものがより有効なんじゃないかなというふうには思っていて。オーガニックで海外立ち上げてうまくいってる会社ってすごい少ないと思うんですよ。それこそユニクロさんとかキーエンスさんとか。それ以外のほとんどの日経の上場企業で海外展開でうまくいってる事例ってほとんどM&Aだと思っているので、失敗する可能性も高かったり難易度も高いんですけど、逆に成功した時の果実は大きいので、そこの経験とかを少しでも7月8日にお話しできればなと思います。
7月以降ですね、我々もまたさらなるM&Aを発表できればなと思ってますので、そういったところもぜひご期待いただければと思ってます。
ご期待ということですか。夏頃に。
夏頃要注目ですね。
バタバタしてますが。
ということで、これにて今日のマップトークは以上となります。西和田さん、そして酒井さん、ありがとうございました。
リスナーの皆さんも最後までご視聴いただきありがとうございました。それではまた次回のマップトークでお会いしましょう。さようなら。
まとめ
この対談では、アスエネが2年弱で日米7社のM&Aを実現してきた戦略とその舞台裏が語られました。三井物産時代に培ったM&AとPMIの経験を土台に、ソーシングを止めない体制づくりとスピードを武器としています。西和田さんは、M&Aの成否を決めるのはエグゼキューションよりもPMIであり、オーガニックの成長力とM&Aの両輪が強い企業をつくるとお話しされています。1兆円企業への道として、日本発の連続買収企業を目指す姿勢が示されました。
- ロールアップを主軸に、斜めのボルトオンも意識した戦略マッピングでソーシングを継続する
- DDからクロージングまで2ヶ月というスピードが、海外のセラーやアドバイザーに強く刺さる
- M&Aはエグゼキューションが2割、PMIが8割であり、成果は3年5年10年で問われる
- 高値掴みが失敗の一番の要因であり、資金調達時とM&A時のバリュエーションの違いを丁寧に伝える
- オーガニックの成長力とインオーガニックのM&Aが組み合わさって強い企業ができる
