📝 エピソード概要
本エピソードは、リーダーシップ研究が古代の「カリスマ(資質)」から20世紀の「科学(行動)」へと転換した歴史を深掘りします。1940年代の研究が、リーダーは生まれつきの特性では決まらないという結論を導き、その後、リーダーの行動が「課題思考」と「人間関係思考」の2つの軸に分解・標準化されました。
これにより「誰でもリーダーになれる」という希望が生まれた一方で、理想とされる「両軸の最大化」や「状況への適応」が現代の管理職に大きな負荷をかける「呪い」へと変化した経緯を解説します。
🎯 主要なトピック
- 特性理論の限界と行動理論への移行: 20世紀前半に「リーダーは生まれつきの資質を持つか」を検証した特性理論は、普遍的な特性が存在しないと結論付けられ、研究の焦点が「誰がなるか(Who)」から「何をするか(What)」へと転換した。
- リーダーシップの2つの主要な軸: 1940年代の研究により、リーダーの行動は目標設定や計画管理を行う「課題思考(構造づくり)」と、メンバーの気持ちや信頼関係を重視する「人間関係思考(配慮)」の2つの独立した次元に分類されることが判明した。
- マネジリアル・グリッドによる理想像の提示: 1960年代には、人への関心と業績への関心を最大化する「チーム型(9,9)」が理想的なリーダーシップの形であると可視化された。
- 「誰でもなれる」希望と「全てをこなす」呪い: リーダーシップが行動として分解・標準化されたことで、研修を通じた育成が可能になった反面、理想とされる両軸の完璧な両立が管理職の負荷を増大させる原因となった。
- リーダーシップの状況依存性(コンティンジェンシー理論): 1970年代には、最も効果的なリーダーシップスタイルは、タスクの性質や組織文化など、状況によって変わるというコンティンジェンシー(状況依存性)の概念が提唱され、リーダーに求められる対応力がさらに複雑化した。
💡 キーポイント
- 1948年にラルフ・ストグディルが行った研究により、リーダーに普遍的な生まれつきの特性は存在しないという、当時のパラダイムを揺るがす結論が導き出された。
- リーダーシップが学習可能な行動として定義された結果、能力開発の研修プログラムやMBA教育が隆盛し、管理職候補を体系的に育成する流れが生まれた。
- 理想的なリーダー像は、力強くありながら弱さを見せる、カリスマ的でありながら謙虚であるなど、相反する二面性を高いレベルで両立することが求められ、人間的な矛盾を抱えることになった。
- マネジメントにおいては、強みを伸ばすことよりも、組織の機能不全を引き起こす可能性のある「弱み」(倫理的な問題など)を補うことに重点が置かれる傾向がある。
