他人の売り物から「マイビジネス」へ
この回のテーマは、ユウスケ氏が構築中の自分のサービスです。収録直前までアヤコPに壁打ちをしてもらっていた流れから、その話を持ち込みました。
ユウスケ氏はこれまで、自己理解コーチとして業務委託に近い形で活動してきました。正式にはフランチャイズ形式だったといいます。
それが今回、会社からライセンス契約という形を認められました。自己理解のメソッドを使って、自分のサービスを作っていいという契約です。
これまでは業務委託先がお客さんの流れを作ってくれていました。ライセンス型になると、その受注はなくなり、自分で集客も販売もすることになります。
おー、マイビジネスだ。
サービスを作って、自分でそのサービスを販売して、価値を届けていくっていう形になるっていうことですね。
他にも業務委託を複数受けているため、副業の中でさらに枝分かれするような状態だといいます。ユウスケ氏はこれを「パラレルのパラレル」と表現しました。
「トライアルはいらない」と思いたいけれど
話題は、最初のライトな体験セッションを作るかどうかに移ります。アヤコPは、コーチングは相性がとても大事だと指摘します。
クライアント側は「この人に全部喋っていいか」「自分が求めるものがこのサービスに合っているか」を確認したい、というのがその理由です。
アヤコPは、ITサービスの営業経験からトライアルの話を持ち出します。すぐ使えるタイプは試用できても、設定やカスタマイズが必要なものは試用できない、という違いがあるといいます。
そして、トライアルをして買う人は残念ながら少ない、というのが実感だと語ります。「ご自由にどうぞ」というトライアルは、なかなか成約につながらないというのです。
一方で、トライアル期間中に有料とほぼ同じくらい丁寧なサービスを無償で提供すると、納得感が深まり成約につながりやすいといいます。担当者が上司に説明できる状態を作れるからです。
トライアルはさ、どうしてもいらねえだろって、こっちとしては思っちゃいたいんだけど、いるんだよね、やっぱね、ユーザー側にとっては。
ただしアヤコPは、大手企業なら無償対応にリソースを割けるが、個人が無償トライアルをしまくるのは消耗すると釘を刺します。時間もお金も有限だからです。
お金を払うことが生む「納得感」
アヤコPは、有料にしないと人は平気で予定をすっぽかす、という現象も挙げます。無料セミナーの申し込みを忘れる、といった例です。
有料にしないと、人は平気でブッチするっていうね。悲しい現象めっちゃいっぱいあるじゃないですか。
だからこそ、安価でもよいので「これぐらいのお金を払った」という事実がとても大事だとアヤコPは話します。
ユウスケ氏も、対人支援の分野でお金を払った方が効果が大きくなるという話を挙げます。対価を得に行こうとして話すため、というのがその理由です。
ただし、ユウスケ氏のサービスは対話そのものが価値になるため、トライアルという行為が難しいといいます。
どこまでがトライアルで、どこまでが本格的な価値提供なのか、あんまり実は境目がなくて。喋っていくこと自体が、それで気づくこともあるし。
増えるコーチ、それでも難しい「出会い」
コーチングのプレイヤーは増えている、という話にも触れます。大型書店にコーチングの棚ができるなど、一般化が進んでいるといいます。
二人は、それ自体は良いことだと捉えます。市場が広がれば人々が言葉やサービスの存在に触れる機会が増え、コーチングを受けようという第一歩のハードルが下がるからです。
なんとかさんもそういえば受けてたとか、そんなのを耳にしたりとか。そのそもそもそういうものがあるんだって認識するのがね、すごい大事じゃん。
一方で、プレイヤーが増えるほど、自分にお客さんがつくのは別の難しさになるとアヤコPは指摘します。
ここでユウスケ氏は、コーチングがサービスであると同時に、スキルやマインドセットでもある点に悩みを見出します。
コーチングってサービスでもあるし、一種のスキルとかマインドセットでもあるんですよね。だからその切り分けとかサービスにするのがすごい難しいなって。
本業のビール業でコーチング的な関わりを使うのは簡単でも、「あなたのコーチングが必要」というシーンを作り出すのは難しい、とユウスケ氏は話します。
話しながら、ユウスケ氏はひとつの気づきにたどり着きます。スキルやマインドセットの領域に留まると、自分でなくてもよいことになってしまう、という点です。
マインドセットは、話してみないと伝わらない
アヤコPは、マインドセットを伝えるのはとても難しいと応じます。サービスの仕様は書けても、大事にしていることは話してみないとわからない、というのです。
私はマインドセットはなかなか話してないとわかんないって思う。
ホームページにいくら大切にしていることを書いても、それだけでは伝わりきらない。それでもユウスケ氏は、逆説的な結論を導きます。
少なくとも何を大事にしているかをきちんと書いておき、お試しの期間でそれがちゃんと伝わったかを確認する必要がある、というものです。
書いてあることが、あ、この人本当にそうだなっていうふうに、受けた人が感じられるかっていうね。
アヤコPは、この文脈でマーケティングのフレームにも触れます。体験を受けてもらうまでの部分を、リソースの限られた個人なりに意識する必要がある、という話です。
コーチはどう探される?口コミという入り口
広告を打てない個人はどう始めるべきか。アヤコPは、身近なところから始めるしかないと語ります。今知っている人でなくても、これから知り合う人でもよいといいます。
ユウスケ氏は、対人支援は口コミで広がるケースが多いと同業者から聞くと話します。表面ではなく実際に接した人が良いと感じ、それが伝わっていくのだといいます。
ただしユウスケ氏は、純粋なパーソナルコーチングは口コミの機会が少ないのではと疑問を投げます。受けていること自体がクローズドな話だからです。
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アヤコPは自身の経験を語ります。探し方がわからず、結局は人に「私に合いそうないいコーチいない?」と聞き、相手が受けていたコーチをバイネームで紹介してもらったといいます。
コーチが登録できるサイトの存在にも触れますが、登録数が多く埋もれてしまう、という難しさも共有されます。
写真やキャリアから「近しそうな人」を選びがちだが、必ずしも近しい人が良いとは限らない、とアヤコPは付け加えます。全然違う分野の人と話した方が良い場合もあるといいます。
そんなの出会ってみなきゃわかんねえよっていう話なんだよね。
結局はお試しするしかない。しかし、そこにたどり着くまでが本当の課題だ、という点で二人は一致します。
パッケージ化とセッションの「現場」
ユウスケ氏は、サービス開発の途中で得た実感を共有します。自分で作ったものに自信を持つことが、まず必要なファーストステップだといいます。
これまでは他人が開発した売り物をコーチとして提供する業務委託ばかりだったため、自分なりに作ったものに自信を持つのは難しい、と本音を語ります。
モニターは6回1パッケージで提供しており、1人目は6回を終え、2人目は3回まで進んだ段階です。その過程で改善点が数多く出てきたといいます。
ワークシートをパワポ形式で用意していたが、記入しづらそうだった
記入しやすいエクセル形式に変更し、足りない時間の枠も延ばした
アヤコPは、人それぞれ違うためパターン化できないコーチの仕事はすごいと評します。ユウスケ氏も、パッケージにするのは無理があると感じつつ、パッケージにしないと手に取ってもらいにくいジレンマを語ります。
大枠はパッケージ化できても、実際の一対一のやりとりは相手次第で変わります。相手をよく観察し、傾聴し、その場で問いを出す余地がとても大きいというのです。
ユウスケ氏は、対人支援では「セッション」と呼ぶこの営みを、楽器の演奏になぞらえます。その場の空気やお互いの響き合いで良し悪しが決まる、一期一会のものだといいます。
もう一期一会の、その場限りのものだなっていう感じがすごくしますね。
最後にアヤコPは、コーチングの価値を自身の実感で締めくくります。保守的だった自分が会社を辞めてパラレルワーカーになれたのはコーチングのおかげだ、というものです。
ユウスケ氏の新サービスも、キャリアに悩む人や岐路にある人が、対話を通じて背中を押され、自分らしい意思決定ができるように使ってほしいと語られました。
まとめ
他人の売り物を提供する立場から、自分のサービスを届ける立場へ。ユウスケ氏の挑戦を通して、体験セッションの設計やお客さんとの出会いという、対人支援ならではの難しさが本音で語られた回でした。
- ライセンス契約により、ユウスケ氏は集客も販売も自分で担う「マイビジネス」の段階に入った
- トライアルは成約につながりにくい一方、少額でも支払いがあると納得感と効果が高まる
- コーチングはサービスでありスキル・マインドセットでもあり、自分ならではの売り物にする難しさがある
- コーチは口コミや紹介で選ばれることが多く、そこへたどり着くまでが最大の課題
- 大枠はパッケージ化できても、実際のセッションは一期一会の「現場」で決まる
