📝 エピソード概要
本エピソードでは、公衆衛生学者のHana博士と渡辺和広先生が、現代社会における「心の病」の基礎知識と日本の現状を解説します。うつ病や不安障害といった精神疾患の分類から、病院に行かない「隠れ精神疾患」の推定規模(500〜600万人)を明らかにします。
国際的に見て高い日本の自殺率の背景にある社会的な課題を分析し、特に働く人々のメンタルヘルスにおけるストレス要因(要求度、裁量、サポート)の重要性を議論。メンタルヘルスに対する理解を深め、適切な対処法や心理的支援のあり方について学べる、現代人必聴の基礎大全です。
🎯 主要なトピック
- 精神疾患の多様な分類と特徴: 精神疾患はうつ病、不安障害のほか、依存症、発達障害など多岐にわたり、回復に時間がかかり、状態に波があることが特徴です。
- 日本の精神疾患患者数の実態: 統計上の患者数は横ばいながら、受診していない人を含めた推定では、生涯で5人に1人(22%)が精神疾患に該当する可能性があり、その実数は500万〜600万人に上ると見られます。
- 受療率の低さとスティグマ: 日本は精神疾患の有病率が高いにもかかわらず、偏見(スティグマ)や相談しにくい文化的な背景から、医療的ケアを受けていない人が7〜8割いると推定されています。
- 社会的要因と自殺率の傾向: 日本の自殺率はOECD主要国の中でトップであり、特にコロナ禍以降、若年層(特に女性)や経済的に弱い立場の集団で増加傾向が見られます。
- 働く人の主要なストレス要因: 労働者の約8割がストレスを抱えており、職業性ストレスは、仕事の「要求度」に対して、手順やペースを決められる「裁量権(コントロール)」と「周囲からのサポート」が不足することで高まります。
- 臨床における心理的支援のプロセス: 責任感が強く休職を拒む患者に対し、カウンセリングでは信頼関係を築き、患者自身のペースで状態改善の必要性を自認させるプロセスが重要とされます。
💡 キーポイント
- 精神疾患の診断は、身体の検査ではなく症状をベースに行われており、未解明な部分も多いため、病気の理解は症状ベースで進められています。
- 医療福祉系は、感情労働の負荷の高さや業務多忙により、他の業種に比べて精神障害による労災認定が多い傾向にあります。
- 職場におけるストレス軽減の鍵は、労働者が自律的に仕事を進めることができる「裁量権」にあり、これが高いほどストレスの影響を受けにくくなります。
- 精神疾患は誰にでも起こりうるものであり、社会全体の理解と、サポートを求めやすい敷居の低い環境づくりが喫緊の課題です。
