📝 エピソード概要
本エピソードでは、公衆衛生学者である渡辺和広先生が、運動がメンタルヘルスに与える効果について、最新の研究に基づいて深掘りします。運動が心を癒やす生物学的・心理学的・社会的なメカニズムが解説されるとともに、抑うつ症状改善に有効な具体的な運動量や頻度が示されます。
特に重要な洞察として、働く人のメンタルヘルス改善には「運動の領域(ドメイン)」が重要であり、仕事中の身体活動ではなく、心身をリフレッシュできる「余暇の活動」に焦点を当てるべき理由が明確にされています。
🎯 主要なトピック
- 運動が心を癒やすメカニズム: 運動によるメンタルヘルス改善は、脳血流増加や脳の栄養因子(BDNF)増加などの生物学的効果と、自己効力感の向上や社会的つながりの増加といった心理学的・社会的な効果の両面から説明されます。
- 効果的な運動の種類と量: 有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチやヨガなど、運動の種類は問わず抑うつ症状の改善に有効です。目安として、週に3〜4回、1セッションあたり30分以上の活動で効果が高まることが示されています。
- メンタル不調と行動の関係: メンタルヘルスの不調時には「同じ場所に留まる」特徴があり、運動と捉えなくても、まずは外に出て歩くなど、活動の水準を上げることが回復への重要な一歩となります。
- 治療と予防における「余暇の運動」の重要性: 身体の健康と異なり、メンタルヘルスの改善を目的とする場合、仕事や通勤中の身体活動ではなく、自由な時間に行う「余暇の活動」が特に効果的であるというエビデンスが紹介されました。
- 働く人への実践的な導入タイミング: 活発な研究が進む中で、働く人にとっては、朝の時間帯の活動や、寝る少し前の活動が睡眠の質やメンタルヘルスを改善する可能性が示唆されています。
💡 キーポイント
- メンタルヘルスを目的とした運動は、ただ量を増やせば良いわけではなく、ストレスの原因となる仕事から離れた「余暇の時間」に行うことが肝心である。
- 健康経営などで身体活動量を増やす施策を実施する際、メンタルヘルスをゴールにするなら、職場の運動よりも個人の自由な活動を推奨する必要がある。
- 抑うつ症状の改善効果を得るためには、週150分の基準に満たなくても、週に数回、30分程度のセッションを継続することが推奨される。
- 精神的な不調のサインとして現れる「行動範囲の狭さ」を改善するため、まずは「外に出てみる」という簡単な行動変容から始めることが大切である。
