そもそも「エモい」とは何か
ロック系のアイドルを追いかける人たちの間で、かつてよく使われていた「エモい」という言葉。一時期は非常に頻繁に使われていたと、ひでっきーは振り返ります。
この言葉はもともと「エモーショナル」から転じたものだと考えられています。
ひでっきーは、感情を強く揺さぶられる感覚や、見ている人の感情を揺さぶるタイプのアイドルやライブを「エモい」と呼ぶのだと整理します。
今は「エモい」と口にする人は減ったかもしれない、と話しつつ、それでも今活躍するアイドルの中に、エモいライブをするグループはたくさんいると見ています。
1つ目のエモい「衝突」
ここからが、ひでっきーが10年ほど前に考えたという仮説です。エモいには2種類あるといいます。まず1つ目が「衝突」です。
ライブで一番わかりやすいのが、アイドルグループのパフォーマンスと、それを見ているお客さんとのぶつかり合いだといいます。
それはアイドルとお客さんの間で起きることもあれば、お客さん同士が盛り上がる中で起きることもある、と説明します。
そうした感情や気持ちがガチャンとぶつかり合うことで、感情の動きが生まれる。ここからエモさが生まれるのではないか、というのが1つ目の見方です。
これ基本はこれだと思っています。
ひでっきー自身も最初の頃は、それぞれの感情同士のぶつかり合いを指して「エモい」と言っていたそうです。
2つ目のエモい「乖離」
ただ、ライブを見ているうちに、それだけではない気がしてきたとひでっきーは言います。オタクの熱量の出方を見ると、衝突だけでは説明できないものがあると感じたそうです。
そこでもう1つ思い当たったのが「乖離」でした。衝突とは逆のバージョンだと位置づけます。
例えば、グループのメンバーが1人辞めることになり、そこに空いてしまった空間。その空間に、見ている人たちの意識や感情がギューッと注ぎ込まれる状況を、何度も見てきたといいます。
ぶつかることの反対側、乖離によって生まれた隙間の中にも、感情が凝縮されてグッと集まってくることがある。そう考えたそうです。
一番わかりやすい例が、メンバーの脱退や卒業です。当たり前にあると思っていたピースがパキッと抜け落ちる。そこをメンバーも埋めようとし、見ている側も自分たちの熱量や応援する気持ちで埋めようとする。
そうした時にも「エモい」が生まれるのではないか、とひでっきーは話します。
パフォーマンスと観客、あるいは観客同士の感情がぶつかり合うことで生まれるエモさ。
メンバーの脱退などで空いた隙間に、見ている人の感情が注ぎ込まれることで生まれるエモさ。
「欠落」というアイドルの魅力
ここでひでっきーは、以前この配信でも話したという「欠落」の考え方につなげます。アイドルにとって欠落はとても大事で、それをどうプロデュースするかがアイドルだ、という話です。
何かを「持っている」ことと「持っていない」ことは、アイドルにとって同じくらい重要だといいます。
「持っている」というのは、タレント性やルックス、歌唱力、スタイルといったもの。一方で、そうしたものを持っていなかったり、人として何か大事なものが少し欠落していたりする人たちもいます。
その欠落した部分を、どう魅力に転換していくか。そこがアイドルにとって非常に大事だと、ひでっきーは考えています。
そして、この話がエモいにもつながってくるといいます。メンバーが持っていない、欠落している部分に、見ている人の思いや感情がぎゅっと注ぎ込まれ、なんとも言えないアイドルの魅力を作り出しているのではないか、というわけです。
そのメンバーが輝いている時、がむしゃらに何かに挑んでいる時にも、エモいという感情は生まれてくると話します。
楽曲派とエモいの関係
この2種類の見方でライブを見ると面白いのではないか、とひでっきーは提案します。今エモいと言われるグループのパフォーマンスは、衝突と乖離のどちら側なのかを考えながら見るということです。
いわゆる楽曲派と呼ばれるグループは、どちらかというと「持っている」より「持っていない」側を魅力にしていたグループが多かったと振り返ります。
そうしたグループが「エモい」と言われることも多かったのではないか、と話します。
一方で、あまりにも「持ちすぎている」グループには、エモいという表現はあまりされない気がする、とも指摘します。
だからこそ、衝突と乖離はとても重要なところなのではないか。話しながら改めてそう思った、とこの回を締めくくります。
まとめ
ひでっきーは「エモい」を、感情のぶつかり合いから生まれる「衝突」と、空いた隙間に感情が注ぎ込まれる「乖離」の2種類に分けて捉える仮説を語りました。それはアイドルの「欠落」という魅力の話ともつながっています。
- 「エモい」はエモーショナルから転じた言葉で、感情を強く揺さぶられる感覚を指す
- 1つ目の「衝突」は、パフォーマンスと観客、観客同士の感情のぶつかり合いから生まれる
- 2つ目の「乖離」は、メンバーの脱退などで空いた隙間に感情が注ぎ込まれることで生まれる
- アイドルにとって何かを「持っていない」欠落は、魅力に転換しうる重要な要素
- 楽曲派と呼ばれるグループは「持っていない」側を魅力にし、エモいと言われることが多かった
