「いい習慣が身につく本」で三者は何を持ち寄った?
本つまみぐいラジオは、読書好きの3人が本の美味しいところを一口サイズで紹介する番組です。収録時点で番組はちょうど1周年を迎え、本を買っても読まないと自称していたしゅうへいさんも、馬の歴史の本などを読むようになったと話題になります。
今回のテーマは「いい習慣が身につく本」です。イケダハヤトさんは習慣本の超定番として『7つの習慣』を、しゅうへいさんは世界で2000万部売れたという『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』を持ってきました。
(この本で)もうバッキバキに習慣化できそうです、今年。
幸あれこさんの1冊は『群れから逸れて生きるための自学自習法』です。学びそのものを深掘りすることが、今年のいい習慣になるのではないかと考えて選んだといいます。3冊はそれぞれ別の回で紹介され、この記事はイケダハヤトさんの『7つの習慣』の回です。
なぜ『7つの習慣』は「答え合わせの一冊」なのか
イケダハヤトさんによると、『7つの習慣』は世界で4000万部、国内で250万部が売れたとされる自己啓発書の定番中の定番です。著者はスティーブン・R・コヴィー ── アメリカの経営コンサルタント・著述家。1989年に『7つの習慣』を発表し、リーダーシップや自己啓発の分野で世界的に知られるようになりましたです。
イケダハヤトさんが最初に読んだのは、大学生から社会人になりたての20代前半の頃でした。当時はわかりやすくていいことが書いてあると感じ、多少影響を受けた記憶があるといいます。
今年42歳になるイケダハヤトさんは、十数年ぶりに読み返して「これは答え合わせっぽい」と感じたそうです。書いてある内容は変わらないため、今度は自分ができているかどうかという観点で読めるようになった、と話しています。
若い頃はなんかまあ全部わかんないから「へー、なるほどなー」って感じだったけど、今こうやって見ると、まあ当たり前のことがたくさん書いてあって、「あ、まあそうだよね」っていう話で、いい意味でこう納得感がある。
20代前半: 生き方を教えてくれる本として「なるほど」と受け取る
40代: 自分ができているかを確かめる答え合わせの本として読む
イケダハヤトさんは、40代や50代で読んで「すごい本だ」と感動する人がいたら少し心配になるほど、当たり前のことが書いてある本だと率直に語ります。人生が変わる本というより、答え合わせの一冊として読むのがよい、というのが冒頭の紹介です。
7つの習慣を並べると、どれも「普通」に見える?
イケダハヤトさんは、内容を忘れている人のために7つの習慣を1つずつ解説します。本人いわく「言ってることはマジで全部普通」です。
第1の習慣は「主体的である」ことです。外からの刺激に反射的に反応するのではなく、自分の頭で考え、状況や他人のせいにせず能動的に判断して行動しよう、という内容だと説明されます。
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」は、イケダハヤトさんが当時も今も好きだという習慣です。最終的にどんな人間でありたいかを考え、そこから逆算して人生をデザインする考え方で、スティーブ・ジョブズの「今日死ぬとしても」という姿勢に近いイメージだと話しています。
第3の習慣「最優先事項を優先する」は、重要だけれど緊急ではないことを先にやろうという考え方です。イケダハヤトさんは、ビジネス書でよく語られるこのメッセージをきちんとまとめたのはコヴィーが最初だと思う、と話しています。
第4の習慣は、勝ち負けではなくお互いにメリットのある関係を考える「Win-Win」です。第5の習慣は、まず相手を理解し、そのあとで自分を理解してもらうという、いわゆる傾聴の習慣です。
第6の習慣は「シナジーを創り出す」ことです。人それぞれの違いを掛け算にして、1+1が10や100になるような成果を目指すという考え方だと説明されます。
| 習慣 | 内容 |
|---|---|
| 第1 | 主体的である |
| 第2 | 終わりを思い描くことから始める |
| 第3 | 最優先事項を優先する |
| 第4 | Win-Winを考える |
| 第5 | まず相手を理解し、それから理解される |
| 第6 | シナジーを創り出す |
| 第7 | 刃を研ぐ |
「刃を研ぐ」は歯磨きの話ではない?
第7の習慣は「刃を研ぐ」です。ここで幸あれこさんが「刃(は)」を「歯」と聞き違え、ドラキュラの牙のようなものを思い浮かべたことから、スタジオは笑いに包まれます。
刃を。刃を磨きましょうか。
(刃のことを、)音的にね。多分(歯だと)思ってたと思う。
イケダハヤトさんが「武士の刀」の例で説明し直し、話は本題に戻ります。刃を研ぐとは、肉体や精神を磨き続けることで、具体的には「学ぶ・決意する・実行する」を繰り返す成長の螺旋だと説明されます。
学ぶ
日々勉強し、いろんなことを学ぶ
決意する
これをやると決める
実行する
決めたことをやり、また新しく学ぶ段階へ戻る
イケダハヤトさんは7つを振り返り、どれも「何の異論もない」と言います。ただし、理想的な話であるがゆえに、実際にできているかと問われると詰まる人が多いのではないか、とも付け加えています。
重要だけど緊急じゃないことに、何を挙げる?
イケダハヤトさんが特に取り上げたのが第3の習慣です。重要性と緊急性の2軸で分けたとき、重要で緊急なことは誰でもやるため、今すぐでなくてもいい重要なことをやろう、というのが本の主張です。しゅうへいさんが「よく見るマトリックス」と反応すると、イケダハヤトさんは実はこの本が発祥だと説明します。
イケダハヤトさんは本の中の問いを、そのまま2人に投げかけます。
現在はしていないが、もし日頃から行っていれば、あなたの私生活に大きくポジティブな結果をもたらすと思うことを1つ挙げるとしたら、それは何だろうか。
幸あれこさんの答えは「背泳ぎ」です。息継ぎができず泳ぐことにコンプレックスがあり、上を向いたまま泳げる背泳ぎならできるかもしれないと先生に言われた記憶が、ずっと心に残っているといいます。
いつだって思い出して、海を見た時に思い出す。私はどうせ泳げないんだよなみたいな気持ちになったりとか。
しゅうへいさんの答えは、イケダハヤトさんが予想したとおり「朝起きる」ことでした。
いやだって(早起きは)緊急性はめちゃくちゃないじゃん。別に早く起きなくても今日死ぬわけじゃない。でも人生で言ったらめちゃくちゃ重要だよね。
イケダハヤトさん自身の答えは「妻と話をすること」です。前日に暖炉の前でこの本を読んでいたとき、目の前に妻がいて、会話こそ重要だけど緊急ではないから自分からあまり話しかけていない、と反省したそうです。
しゅうへいさんは、イケダハヤトさんは事務所でもずっとキーボードを打っていて、収録が終わると静かになる印象だと話します。一方で幸あれこさんとしゅうへいさんは、家庭では無駄話だらけだといい、夫婦によって違いがあることも話題になりました。
仕事の「第2領域」は、なぜ手をつけにくいのか
イケダハヤトさんは、本の中にある2つ目の問いも紹介します。
同様に、あなたの仕事や専門分野でポジティブな結果をもたらすと思うことを1つ挙げるとしたら、それは何だろうか。
仕事の場合は、しゅうへいさんも「めちゃくちゃある」と即答します。しゅうへいさんは、AIなどにいち早く取り組むイケダハヤトさんを見ていると、周りが「またこれもやらないといけないのか」と受け身になってしまうと笑います。
幸あれこさんは、使いたいプラットフォームなど細かいことはいくらでもあるものの、自分のリソースを考えて諦めることが多いと話します。1人1人ができることが今は多すぎる、という実感も語られました。
しゅうへいさんが「それだけ言われても、どうしたらいいのか放り出された感じがある」と言うと、イケダハヤトさんは本の整理を説明します。4つの領域のうち、重要だけど緊急ではない第2領域をなるべく大きくする、というのが第3の習慣の要点です。
幸あれこさんは、窓のサッシの掃除を例に挙げます。緊急ではないと思いがちですが、毎日目にする場所なので、きれいかどうかが心に大きく影響していることがある、という指摘です。
しゅうへいさんは、リスナーにとっては読書こそ第2領域にあたるかもしれないと話します。読書は緊急ではないけれど重要なので、時間が取れない悩みとして多くの人に刺さるのではないか、という見立てです。
イケダハヤトさんは、若い頃はやるべきことがはっきりせず体力もあるため、この話はあまりわからなかったかもしれないと振り返ります。30〜50代になって人間関係もできていく中で、重要だけど緊急じゃないことができているかという問いが確かに重くなる、と語っています。
自分の葬儀で、どんな人だったと言われたい?
イケダハヤトさんがもう1つ取り上げたのが、若い頃からよく覚えているという第2の習慣のページです。少し長い一節が、本から読み上げられます。
本の一節では、愛する人の葬儀に車で向かい、花とオルガン曲の流れる会場で棺の中を見ると、そこにいたのは3年後の自分自身だった、という場面を思い描くよう読者に促します。参列者に自分がどんな人物だったと見てほしいか、彼らの人生にどんな影響を及ぼしたかったかを考えなさい、という問いです。
イケダハヤトさんは、亡くなったときに参列者が何を言うかを考え、そこから人生を逆算するのがこの習慣の要点だとまとめ、2人に問いかけます。幸あれこさんは、少なくとも「バカだった」と憎しみを込めて言われたくはないと答えます。
本当に憎しみを込めて、あいつはバカな、バカの押し売りだったなとか絶対言われたくないなって思う。
しゅうへいさんは「むしろ心を温かくしてくれた人だと思われるはず」と励まします。幸あれこさんも、そう思われたら本望だと応じました。
しゅうへいさん自身は、健康に恵まれていることもあって、自分の死をまだ鮮明にはイメージできないといいます。36歳になり、ここ数年で知人が亡くなる経験もあったものの、どこかで本当に死ぬのかという感覚があると話しています。
あいつずっと起きなかったけど、また寝てんなって思われる。
しゅうへいさんのこのブラックジョークで、スタジオは大きな笑いに包まれました。
死を前提に生きるとは、何をしておくことか?
イケダハヤトさんは、終わりを思い描いて逆算する考え方は、年を重ねた今のほうが刺さると話します。しゅうへいさんが、インフルエンザで高熱が出ていたときのことを尋ねると、そのときに身の回りをきちんと整理しておいたと答えます。
一応まあでも今突然死んだらやっぱりちょっとパスワードとかそこら辺が迷惑なんで。パスワード系は今ちゃんとうちの妻にもね、共有できるようにしといて。
イケダハヤトさんにとって、人はいつか死ぬという前提は特別なものではなく、日常の感覚になっていることがうかがえます。そのうえで、今を生きているからこそ、この本の第2の習慣が刺さった、と話しています。
いい習慣の到達点は「自己超越」なのか
イケダハヤトさんは、7つの習慣に入る前の「はじめに」の十数ページに大事なことが書いてあると話します。コヴィーは2012年に79歳で亡くなっており、晩年に書かれた文章だというのがイケダハヤトさんの理解です。
イケダハヤトさんは、マズローの欲求段階説 ── 心理学者マズローが提唱した、人間の欲求を生理的欲求から自己実現まで段階的に整理した理論。晩年には、その上に「自己超越」の段階を加えたとされますで承認欲求の上にあるとされる「自己超越」を引き合いに出します。自分を認めてほしいという段階を超え、より大きなもののために生きる境地のことです。
イケダハヤトさんの紹介では、コヴィーは7つの習慣に含まれる原則の最も大きな力、最も満足感を与えてくれる力は、自分の子や孫たちを思う気持ちから生まれると書いているそうです。孫娘を大切に思う気持ちにも触れられています。
イケダハヤトさんは、コヴィーが幸せとまでは言っていないとしたうえで、子孫や社会、未来をより良くしたいという境地に至っていたと読み取ります。70代になって自分のお金のことばかり考えているのは嫌だし、それは健康的な姿だ、とも話します。
一方でイケダハヤトさんは、40代でも自分のことしか考えていない人はいると指摘します。修練をしないまま年を取れば、「どうしようもないやつだった」と言われて亡くなることもあり得るため、いい習慣を身につけた先に自己超越がある、と語りました。
いい習慣を身につける
日々努力し、修練を重ねる
自分のことだけを考えなくなる
子や孫、社会、未来を思う気持ちへ向かう
自己超越
「あいつはいいやつだった」と思われて生を終えられる
葬儀が会議になる?人がいることの大切さ
幸あれこさんに「どう思われたいか」と聞かれたイケダハヤトさんは、今取り組んでいる「クリプト忍者」というキャラクターを挙げます。
僕が死んだ後に残された人、葬儀に来た人たちが、じゃあちょっとクリプト忍者次どうしようかみたいなことを考えてくれると嬉しいですね。その場でもう会議でもしてほしいぐらいです。
しゅうへいさんは、自分も「どうしようもないやつだった」と思われるのは嫌だと考え、「朝起きよう」と決意します。イケダハヤトさんは、それこそが終わりを思い描いて考えるいい習慣だと笑って応じました。
幸あれこさんは、話を聞いていて、葬儀に人が来ていること自体が大事だと気づいたといいます。しゅうへいさんも、誰からも何も言われないほうが本当に怖いと続けます。
幸あれこさんは、イケダハヤトさんがクリプト忍者というコミュニティの話を挙げたように、人と関わっているからこそ描けるビジョンがある、とまとめました。終わりを思い描くことは、人との関わりを見直すことでもある、という気づきです。
イケダハヤトさんは、昔読んだけれど覚えていない人こそもう一度読むと、答え合わせとして楽しめると勧めます。幸あれこさんも、年代ごとに読み返したい本だと話し、次回はしゅうへいさんが『7つの習慣』をより具体的に日常へ落とし込む現代版の習慣本を紹介すると予告されました。
まとめ
イケダハヤトさんにとって『7つの習慣』は、40代で読み返すと自分ができているかを確かめる「答え合わせの一冊」でした。特に、重要だけど緊急ではない第2領域と、自分の葬儀を想像して人生を逆算する第2の習慣は、年を重ねた今こそ刺さる内容として語られています。
- 『7つの習慣』は当たり前のことが書かれた本で、40代以降は答え合わせとして読むとよいとイケダハヤトさんは話す
- 重要だけど緊急ではないこととして、背泳ぎ、早起き、妻との会話、掃除、読書などが挙がった
- 自分の葬儀を想像し、参列者に何と言われたいかから人生を逆算するのが第2の習慣の考え方
- イケダハヤトさんは、いい習慣の到達点を子や孫、社会を思う「自己超越」の境地に見ている
- 葬儀に人が来ること自体が大事で、誰からも何も言われないほうが怖いという気づきも語られた



