浦島太郎の玉手箱は乙姫の優しさだった?
本つまみぐいラジオの楽屋トーク回は、リスナーからのコメント紹介で始まります。最初に取り上げられたのは、イケハヤさんが紹介した『世界神話学入門』の回に寄せられたコメントです。
最近浦島太郎の話を子供と一緒に読んだのですが、自分が子供の頃に感じることはなかったんですが、浦島太郎が竜宮城で暮らして食事をすれば永遠の命を得ることができると感じました。
玉手箱は、乙姫が陸に上がった浦島太郎が、誰も浦島太郎の存在を知らない、誰も知り合いがいない絶望の中、生きないといけないことを感じて渡した、乙姫なりの優しさだと感じました。香川県の三豊市に浦島伝説の話が多く残っています。
幸あれこさんはこのコメントに「はっとした」と話します。自分だけ若いまま帰り、旧友に「全然年取ってなくね?」と言われるよりは、同じような風貌になれるほうがいいのかもしれない、という受け止め方です。
一方、3人とも浦島太郎の細部はうろ覚えで、竜宮城で時間が経っていたのかどうかは結論が出ません。イケハヤさんは、浦島太郎の話は「結局何を言いたいのかよくわからない」と謎の多さを指摘します。
イケハヤさんによれば、元々は乙姫と浦島太郎のラブストーリーの要素が入っていたものが、戦前やGHQの時代にカットされていき、筋がわかりにくくなった可能性があるといいます。類似の話も含めて謎が多く、研究する価値がある題材だとまとめています。
全部リセットされても手放したくないもの
浦島太郎の話から、幸あれこさんは2人に「もし全てリセットされたとして、それでも手放したくないものが1つあるとしたら何か」と問いかけます。
イケハヤさんの即答は「妻」です。妻がいないと命の危険がある、と冗談まじりに語り、しゅうへいさんも似たようなものだと話を振ります。
人以外で、と聞き直されると、幸あれこさんは「高校までの努力」を挙げます。戻ってもあれ以上はできないと思えるほど頑張った経験なので手放したくない、という理由です。
イケハヤさんも高校時代の吹奏楽部の経験を挙げます。シンバルを6時間ほど叩き続け、10秒きっちり鳴らしては離し、また10秒鳴らすという練習を延々と続けたそうです。
イケハヤさんによれば、シンバルは重い金属の板を機械のように完璧にコントロールする必要がある、奥深い楽器です。2年間ほど向き合ったその努力が、今に至っている部分があるかもしれないと振り返ります。
しゅうへいさんの答えは「マルチにハマった2年半」です。あの経験がなければブログを始めることも、イケハヤさんと出会うことも、島に帰ることもなかったといいます。
幸あれこさんは、手放したくない失敗があるのは素敵なことかもしれない、と受け止めています。3人の答えを並べると、次のようになります。
| 出演者 | 手放したくないもの | 理由 |
|---|---|---|
| イケハヤさん | 妻(人以外では高校時代のシンバル練習) | 妻がいないと命の危険がある。練習の経験は今に至っている |
| 幸あれこさん | 高校までの努力 | 戻ってもあれ以上はできないほど頑張ったから |
| しゅうへいさん | マルチにハマった2年半 | ブログ、イケハヤさんとの出会い、島への帰郷につながったから |
自分らしさを一番感じるのはどんな瞬間?
次のコメントは、しゅうへいさんの「無我」の見方を紹介した回に寄せられたものです。
この宗教の話めちゃくちゃ面白い。
このコメントを受けて、幸あれこさんは「自分らしさを一番感じるのはどんな瞬間か」を問いかけます。しゅうへいさんは、あの回で自分らしさは川の流れのようなもので、変えられるけれど一定の流れの法則がある、という話が出たことを振り返ります。
幸あれこさん自身は、「無理だよ」と言われた瞬間に一番自分らしさを感じるといいます。魂から不死鳥が蘇るように「無理じゃねえよ」という闘魂が湧き、人生でもそこがスタートになることが多かったそうです。
しゅうへいさんは、幸あれこさんがZoomのログインができないときに「もう無理だね」と言えば奮起するので、あらゆる方向に操れると冗談を言います。イケハヤさんは、それが幸あれこさんのアイデンティティだと話しています。
イケハヤさんの自分らしさは、ポッドキャストの数字を毎日確認することです。パーキングエリアで止まっているときにも見たくなるほどで、伸びていれば嬉しく、伸びていなければまた考えて手を打つといいます。
イケハヤさんは、Spotifyのアナリティクスは1日2回更新されるので2回必ずチェックしていると明かします。下がっていても気分は落ち込まず、狙い通り当たれば学びになるので楽しい、という捉え方です。幸あれこさんは、淡々としたイメージのイケハヤさんの意外な一面だと驚いています。
しゅうへいさんは、12月に行った個人面談Zoomでの気づきを語ります。50件ほど、30分ずつ話すなかで、参加者が「41歳の借金持ちのゲイなんです」と打ち明けたり、子どもの発達障害のことを話したりと、最初から弱みを見せてくれたそうです。
しゅうへいさんは、自分が弱みをたくさん発信しているからこそ、相手も鏡のように話してくれるのではないかと考えています。その弱みを逆に打ち出して共感を得よう、という設計を依頼されることも多いといいます。
イケハヤさんは「ダメなやつがアイデンティティ化している」と突っ込みつつ、それはそれで美徳だと話します。しゅうへいさんは、2025年の年初の目標が「仕事をしない」だったことを振り返り、達成はしたものの会社が潰れそうだと笑いを誘います。
「わからない」に出会ったとき、どうしてきた?
3つ目のコメントは、幸あれこさんが紹介した、レイチェル・カーソン ── アメリカの生物学者・作家。農薬の危険性を告発した『沈黙の春』で知られ、環境保護運動の先駆けとされる人物ですに関する本の回に寄せられたものです。
いつもありがとうございます。またまた興味深い本をピックアップしていただいてありがとうございます。わからないことをわからないままにしておく。この時代にこそ大切な感覚ですね。
幸あれこさんはここから、子どもの頃に「なんで?」「どうして?」と思った経験を尋ねます。
イケハヤさんが挙げたのは、両親の離婚です。なぜうちの家庭はこうなのかと考えてもわからず、自分は恵まれていない、かわいそうな人間なんだという方向に舵を切ったことをよく覚えているといいます。
大学時代には父親ががんを併発するなどし、親が大変な人間なんだというアイデンティティ形成をしていたとイケハヤさんは振り返ります。わからないままにしておけなかったからこそ、当時できることの1つだったのかもしれない、という見方です。
幼少期の「なんで?」については、イケハヤさんはあまり覚えていないと答えます。与えられた情報を吸収し、調べてわからなければそれ以上は深追いしない子どもだったそうです。
しゅうへいさんが、中学時代にHTMLでブログを書いていたときにわからないことがあったらどうしたかと聞くと、イケハヤさんは「できないことは諦めて、できる範囲でやる」と答えます。バイブコーディング ── AIに自然言語で指示を出し、細部のコードを理解しきらないまま感覚的にプログラムを作っていく開発スタイルを指す言葉ですも同じで、動いていればいいという感覚だといいます。
イケハヤさんにとっては、読んでわからない本も「今の自分には役に立たない」ということで、わからないこと自体に問題を感じないそうです。しゅうへいさんは、わからないことをある種ポジティブに見ていると受け止めます。
パソコン操作がわからないとき、幸あれこさんはAIに聞いているといいます。しゅうへいさんに聞くと馬鹿にされるから、という理由に、イケハヤさんは「チャッピィは馬鹿にしない」と返し、笑いが起きます。
しゅうへいさんは「むしろわかることのほうが変な話」と話し、幸あれこさんは、わからないことだらけだからこそそれを面白がれたらいい、とまとめています。話は、買ったまま1度も開いていない本の話へと脱線していきます。
リスナーの訳者から届いた2冊の本
しゅうへいさんは話題を変え、リスナーから2冊の本が届いたことを紹介します。訳者の木村京子さんが収録の場を訪れ、イケハヤさんと幸あれこさんに自身が翻訳した本を贈ってくれたそうです。
イケハヤさんに贈られたのはフェアリー・フェラーの神技で、イケハヤさんが好きな絵を題材にした物語です。イケハヤさんは前日にもう読み終え、読みやすくすごく面白かったと話しています。
幸あれこさんに贈られたのは、マーク・チャドボーンの『ワールズ・エンド』です。荒俣宏さんの推薦も付いており、しゅうへいさんによれば、続きの巻があるものの翻訳はまだ1巻だけしか出ていないようだといいます。
しゅうへいさんの分はなく、本を読まないのがバレているから、と自虐します。幸あれこさんは、リスナーからまた本がつながっていくのは面白いと喜んでいます。
しゅうへいさんは、収録スタジオ「LLACハウス」の棚主契約も今10契約ほどあると紹介します。棚主の本も、機会があれば番組で紹介していくそうです。
7つの習慣は人生の答え合わせ、習慣はきっかけで変わる
ここから、テーマ「いい習慣が身につく本」の3冊を振り返ります。1冊目は、イケハヤさんが紹介したスティーブン・R・コヴィーの『完訳 7つの習慣』です。
イケハヤさんは『7つの習慣』を「人生の答え合わせの本」と表現します。いい意味で普通のことしか書いていないものの、30代以上が多いであろうリスナーにとって、自分の人生を振り返る自己点検にとても良い本だといいます。
特に意識したいのが、重要だけど緊急じゃないこと ── 『7つの習慣』で、物事を緊急度と重要度で4つに分けたときの第2領域にあたるもの。長期的な成長や人間関係づくりなどが含まれますができているかどうかです。イケハヤさんは、AIでアニメを作ることは全く緊急性がないけれど自分にとってはとても重要で、今そこにリソースを割けていると話します。
イケハヤさんの考えでは、やりたいことは大体「重要だけど緊急ではない」ものです。だからやりたいことを最大化すると、自然とその領域が増える、という見方です。残る課題は妻と話すことだそうです。
一方、しゅうへいさんは毎月60万円の借金返済を抱え、お金のために重要で緊急なことに追われていると話します。2つの領域の違いは、次のように整理できます。
イケハヤさんの例。AIでアニメを作るなど、やりたいことを最大化した結果、仕事のほとんどがこの領域になっている
しゅうへいさんの例。毎月の返済や生活費に追われ、ここで手一杯になり緊急でないことができなくなる
2冊目は、しゅうへいさんが紹介した『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』で、朝起きるための本として選んだものです。しゅうへいさんは、いい習慣も悪い習慣もきっかけ次第だという点を強調します。
しゅうへいさんによれば、たとえばご飯を作るときに妻と話すなど、毎日やっていることにプラスアルファで新しい行動をつなげるのがコツです。最初の2分間だけやれば、腕立てをしたからこっちもやっておこう、という連鎖で良くなっていくといいます。
きっかけを作る
毎日やっていることに新しい行動をつなげる
最初の2分間だけやる
ちっちゃい行動を1つだけ始める
報酬に気づく
早く寝たらこんな報酬があると実感する
きっかけをよりしやすくする
連鎖で次の行動も良くなっていく
しゅうへいさんは、早く寝るきっかけ作りを頑張り、1年後に答え合わせをすると宣言します。幸あれこさんは、本当に日々が大事だと受け止めています。
努力に逃げていない?自学自習法と次回のテーマ
3冊目は、幸あれこさんが紹介した『群れから逸れて生きるための自学自習法』です。大人になっても自分で学ぶ力、学び続けることが大事だという本です。
幸あれこさんがこの本で新たに紹介したのは、「努力に逃げないことも大事」という考え方です。根性論で努力すればいいのではなく、その努力の方向が合っているかを問うものです。
幸あれこさんは例として、東大に合格したい人が毎日クラムチャウダーを作り続けても東大には近づけない、という話を挙げます。毎日SNSで発信しています、というだけでも同じように物足りないといいます。
イケハヤさんは、英語を話したいのにTOEICの問題集だけを解いていてはダメで、会話もやらないといけない、と言い換えます。方向性を考えることから逃げないことが大事だという点で、2人の理解は一致しています。
毎日クラムチャウダーを作る、毎日SNSを更新する、TOEICの問題集だけを解くなど、続けること自体に安心する
目標に到達できる方向かを自分で考え、英会話のように必要なことに取り組む
イケハヤさんは、この本の最後のほうにも同じことが書いてあったと話します。幸あれこさんの本は、ドッグイヤーのついていないページのほうが少ないほどで、どこが重要かわからなくなるほどハッとする本だったそうです。
イケハヤさんは、社会人になると集団の中にいるので、はぐれにくくなると指摘します。幸あれこさんは、社会人になってからこそいい習慣を身につけるのが大事だと締めくくります。
次回のテーマは「あなたの知らない経済学」です。イケハヤさんは、1年間やってきて経済学の本はまだ扱っておらず、お金の不安が減る本とは文脈が違うので、経済学を学ぼうと話しています。
まとめ
本つまみぐいラジオの楽屋トーク回は、リスナーのコメントをきっかけに3人の過去や自分らしさを掘り下げ、習慣本3冊から「重要だけど緊急ではないこと」「きっかけ」「努力の方向」という視点を取り出しています。
- 浦島太郎の玉手箱を乙姫の優しさと読むコメントから、手放したくない努力や失敗の話へ広がった
- 自分らしさは、幸あれこさんは「無理」と言われたとき、イケハヤさんは数字を毎日見ること、しゅうへいさんは弱みを打ち明けてもらえることに表れていた
- 『7つの習慣』は人生の答え合わせの本で、やりたいことを最大化すると「重要だけど緊急ではないこと」が増える
- ジェームズ・クリアーの本からは、いい習慣も悪い習慣もきっかけ次第で、最初の2分間から連鎖をつくる考え方が紹介された
- 『自学自習法』からは、努力に逃げず、目標に近づく方向かを考えることの大切さが語られた


