「文字すら嫌い」だった人が本屋好きに?
この回の楽屋トークは、幸あれこさんによるジャパンポッドキャストアワードへの投票の呼びかけから始まります。しゅうへいさんは、あれこさんが「アワード」を「アウォーズ」と流暢に発音していたことに、ずっと突っ込みたかったと明かします。
どうでもいいツッコミを言いたいんですけど、アウォーズの発音がめちゃくちゃいいです。
本題はリスナーのコメント紹介です。前回の「すぐ役に立つ本」の回で、イケハヤさんが紹介した『クリエイティブの授業』に寄せられた、マコヤンさんのコメントがまず読まれました。
マコヤンさんは「今までは文字を見るのすら嫌いで、手に取ることなんてまずなかった」のに、本つまに出会って「今本屋に行くことが楽しくてたまりません」と書いています。夫はネットで本を買わず、本屋での出会いや手に取った感触を大切にしているそうです。
そんなに変わることある?人間って。
このコメントをきっかけに、あれこさんは「昔は嫌いだったのに今は好きになったもの」を2人に尋ねます。イケハヤさんの答えは、子どもの頃に苦手だったおでんでした。
いりこ出汁で牛乳とかあり得なくない?っていう組み合わせさ、小学校出すよね。まずいに決まってんじゃん。
イケハヤさんは大人になって、豚骨やソーセージを入れたもの、白出汁のものなど、おでんにいろいろなバリエーションがあると知り、好きになったといいます。一方のしゅうへいさんは「コツコツやること」を挙げ、SNS発信やポッドキャスト、金とむを200日以上続けていることを話しました。
親から無意識に受け取ったものは何か
次に紹介されたのは、しゅうへいさんが紹介した『ヒドゥン・ポテンシャル』の回へのヘイヘイさんのコメントです。ヘイヘイさんは、母親が雑談の中でしょっちゅう本の話をしていたことが、今の自分の読書につながっていると気づいたと書いています。
そこからあれこさんは、子どもの頃に親から無意識に受けた影響を2人に尋ねます。あれこさん自身は、毎週来る移動図書館に母親が必ず連れて行ってくれたそうです。
お母さん自身が楽しそうに本を選ぶから、本って楽しいんだなって思いまして。
イケハヤさんの父親は、ドライブ中にビリー・ジョエル ── アメリカのシンガーソングライター。「ピアノ・マン」「オネスティ」など、1970〜80年代を中心に多くのヒット曲で知られますの「HONESTY」をずっと歌っていたといいます。イケハヤさんは直接の影響は否定しつつも、家に音楽が流れていて、アルバムを貸してもらった記憶はあると振り返りました。
しゅうへいさんの場合は、おいしい喫茶店やランチの店を探す趣味です。父親がコーヒーの味やかかっている音楽にうるさく、よく一緒に店を巡っていたそうで、昼にナポリタンを作るのもその流れだと話します。
これやっぱ人に話さないとわかんないよね。自分の中で当たり前だから。
計画派か、寄り道派か
3つ目のコメントは、あれこさんが紹介した『なぜかうまくいくイタリア人』の回に、きょうこさんが寄せたものです。きょうこさんは、本の中の「寄り道こそが人生の哲学」という部分が刺さったと書いています。
きょうこさんのコメントによると、最終目的は最初の一歩を踏み出す方向を示す「北極星のようなもの」で、醍醐味は過程である寄り道にあるとのこと。ゴールから逆算して計画を立て、思い通りにいかず落ち込む日本人に「イタリア人OSインストール」を勧めたい、という内容でした。
ここからあれこさんは、綿密に計画を立てるタイプか、その場のノリで動くタイプかを2人に聞きます。イケハヤさんは、妻と比べると自分は計画を立てる側だと答えました。
(妻は)フラッとどっか寄りたくなって。まさに寄り道ですね。寄り道でもそこ寄り道したら1時間遅れるんだけどみたいな。
しゅうへいさんとあれこさんの夫婦では、立場が逆になります。しゅうへいさんは寄り道をする前提で、旅行は2、3時間遅れても大丈夫なように設定しているそうです。
(あれこさんが)11時半に出ようつったら「しゅうちゃん、これ本当の時間?」って。
あれこさんは前日に必ず「本当の本当の気持ちのスケジュール」を確認するといい、イケハヤさんも妻に同じことをしていると共感します。両家庭で同じやり取りがあることに、3人とも笑い合いました。
出る時間も帰る時間も決めて動く。イケハヤさんとあれこさんがこちら側
いい店を見つけたら寄りたくなり、出発時刻が後ろにずれる。イケハヤさんの妻としゅうへいさんがこちら側
ただ、しゅうへいさんは寄り道派の良さも挙げます。運営する副業のオンラインスクールでは、計画を完璧にしようとして最初の一歩を踏み出せない人が多く、見切り発車の人のほうが成果を出しているケースが多いといいます。
なんか使い分けができた方が一番いいよね。
3冊の宗教本はどこでつながっていたのか
コメント紹介のあと、話は今回のシリーズで紹介した3冊の宗教本の振り返りに移ります。イケハヤさんの『世界神話学入門』、しゅうへいさんの『無我の見方』、あれこさんの『いのちの秘義』です。
イケハヤさんは、3冊が不思議とつながったと感想を述べます。ゴンドワナ型神話 ── 神話を大きく2系統に分ける説で、より古い層とされる神話群。世界の始まりを語らないなど、ローラシア型神話と対比されますは、人間中心ではなく、自然の中に動物も人間もフラットにいる世界観だといいます。
イケハヤさんによれば、レイチェル・カーソン ── アメリカの生物学者・作家。農薬の危険を告発した『沈黙の春』で知られ、遺作『センス・オブ・ワンダー』では自然に驚く感性の大切さを説きましたも、自然への畏敬や、小さな自分としてそこにいる感覚を語っています。文脈がまったく違う古代の神話と現代の人が、似たことを言っているという指摘です。
しゅうへいさんは、『無我の見方』の著者であるスマナサーラ長老 ── スリランカ出身の上座仏教の僧侶。日本で長く仏教の教えを説き、一般向けの著書も多数ありますの宗教批判にも触れます。ブッダは、魂が救われるといった「答え」を出す宗教に対して、確かめてもいないことをなぜ言えるのかと問い、無我を説いたといいます。
(スマナサーラ長老の宗教批判は)むしろそっちを肯定するような宗教批判な気がする。
しゅうへいさんは、あらゆる生き物に慈悲の心を持とうという長老の教えも、人間が絶対的に正しいのではなく生かされているという畏敬の念だと話し、根底は全部同じような気がするとまとめました。
| 本 | 紹介者 | 番組内で語られた要点 |
|---|---|---|
| 世界神話学入門 | イケハヤ | ゴンドワナ型神話は自然の中に動物も人間もフラットにいる世界観 |
| 無我の見方 | しゅうへい | 固定した自分や魂を確かめずに語る「答え」を批判し、慈悲を説く |
| いのちの秘義 | 幸あれこ | 自然への畏敬と、驚く感性センス・オブ・ワンダー |
大人はなぜ驚けなくなるのか
あれこさんは、レイチェル・カーソンの本が子どもに向けて書かれている点に注目します。子どもは生まれつきセンス・オブ・ワンダーを備えていて、「できた」「これすごい」と驚くのは褒めてほしいからではなく、分かち合いたいからだといいます。
分かったつもりにならずに、ちゃんとセンスオブワンダーを備えてないと分かち合えないから、
その子供に対して教えていくには、私たち自身がセンスオブワンダー持ち続けないと難しいよねって思ったんです。
しゅうへいさんは、子どもはみんなアーティストだが大人になってもそうあり続けられるか、というピカソの言葉を引きます。イケハヤさんが以前話した、教養がないとAIで何を作っても面白いものにならないという話も、センス・オブ・ワンダーに近いのではないかと続けました。
イケハヤさんは、ドライブ中にずっと外を見ている真ん中の娘の話をします。空のグラデーションに一人で感動している娘を見て、自分も「確かに綺麗だな」と気づかされることがよくあるそうです。
一方であれこさんは、子どもの頃に感動したガストのコーンポタージュを最近飲んだら、あのときほどの感動がなかったと話します。最初の感動は当たり前になると薄まってしまう、という実感です。
しゅうへいさんは、東京で働いていた頃の「驚いちゃ負けゲーム」の空気を振り返ります。お台場のオフィスの18階から見える夕日がとても綺麗なのに、写真を撮っているのは自分だけで、誰も見ていなかったといいます。
その時、朝のね、スズメの声とか、チュンチュンチュン、気持ちがいい朝なのに、みんなこんな感じで。
しゅうへいさんがそう語ったのは、フリーランスになって久しぶりに月曜朝の通勤電車に出くわしたときの光景です。みんなうつむいてスマホを見ていて、自分もその中にいたら気づかないだろうと話しました。
イケハヤさんは、田舎にいると自然や鳥や虫に「すげえ」とナチュラルに感じると話します。しゅうへいさんも、都会が悪いわけではないとしつつ、アスファルトやビル、雨に濡れずに駅まで行けるアーケードなど、人間が自然を制圧している感じがあると指摘しました。
話は、子どもが公園に行きにくくなっている現状にも及びます。あれこさんは子どもの頃、誘拐の心配から一人で公園に行けなかったといい、外遊びする子どもは将来が大きく変わるらしい、スマホ画面で終わるとそれが全ての世界になってしまうと話しました。
田舎移住のすすめと、次回予告
センス・オブ・ワンダーの話は、しゅうへいさんの「田舎に移住したらいいのにっていう結論になりそう」という一言で締めくくられます。あれこさんは、宗教論の回は面白い回になったとして、ハッシュタグ「#本つま」でのコメントを呼びかけました。
ジャパンポッドキャストアワードの投票は1月4日までです。投票の呼びかけが宗教の勧誘のようだと突っ込まれると、3人は黄泉の国やパンドラの箱、鶴の恩返しを持ち出して「振り向いてはいけません」「絶対してください」と遊び、今回のテーマらしいオチをつけました。
鶴の恩返しやったらめんどくさいな。覗くなよ。でも覗いてね。
番外編を1回挟んだあと、次のテーマは「いい習慣が身につく本」です。しゅうへいさんが早起きの習慣を身につけられる本を、と自ら言い出し、あれこさんは「どれだけ助かることか」と期待を寄せました。
まとめ
今回の楽屋トークでは、リスナーのコメントを入り口に、好き嫌いの変化や親からの影響、計画と寄り道の違いが語られました。後半は3冊の宗教本に共通する、自然への畏敬と人間中心ではない視点を確かめ、大人が驚く力を持ち続ける難しさへと話が深まりました。
- マコヤンさんやヘイヘイさんのコメントから、本との出会いや親の習慣が人を変えることが話題になった
- 計画派と寄り道派は家庭内でも分かれ、しゅうへいさんは両方を使い分けられるのが一番だと話した
- ゴンドワナ型神話、無我、センス・オブ・ワンダーは、自然の中で人間を特別視しない点でつながっている
- 子どもの驚きに気づかされる一方、大人は都会の「驚いちゃ負け」の空気で感動しにくくなると語られた



