天才は生まれつき、という思い込みは本当か?
『HIDDEN POTENTIAL 可能性の科学』は、アダム・グラント ── アメリカの組織心理学者。ペンシルベニア大学ウォートン校の教授で、『GIVE & TAKE』などのベストセラーで知られていますが2023年に出し、最近日本語版が刊行された本です。しゅうへいさんは、この本を一言でいうと「才能より心の力のほうが大事」という内容だと紹介します。
しゅうへいさんは、大谷翔平選手のような天才を見ると、もともと神童だったのではないかと思ってしまうと話します。幸あれこさんも「思っちゃいますよね」と同意します。
ところが本書によると、音楽・芸術・科学・スポーツで大きな成功を収めた人々を調べても、幼い頃から神童と認められていたのはごく一部だったそうです。生まれながらの天才はむしろ少数派で、ほとんどは後天的に伸びた人だといいます。
では後天的に伸びるには何が必要なのか。本書の答えは、才能よりも「性格スキル」と呼ばれる心の力だというものです。しゅうへいさんは、20代から50代まで幅広い世代のリスナーに向けて「まだ間に合う」というメッセージを伝えたいと話します。
なお、この回のために朝4時まで本をまとめていたことを幸あれこさんに明かされ、「すぐ読んですぐ役に立っている」と笑いが起きる場面もありました。
性格スキルとは何か、西アフリカの実験が示したもの
しゅうへいさんが挙げる1つ目のポイントは、性格スキルとは何かという整理です。性格というと生まれつきのものに聞こえますが、本書は「個性(パーソナリティ)」と「性格スキル」を分けて考えます。
本書でいう個性は、その人がもともと持っている色合いのようなものです。一方の性格スキルは、困難や逆境のときに表に出てくる自分の姿であり、鍛えられる心の力だとされています。しゅうへいさんは、自分は焦るとすぐイライラしてダメになると例に挙げます。
本書は性格スキルを4つに分けています。しゅうへいさんの紹介では、学校での振る舞いを例にした次のような説明です。
| スキル | 本書での例 |
|---|---|
| 積極性 | 自発的に質問や発言をし、自主的に本を読んだり教師と関わって学ぼうとしたか |
| 向社会性 | 同級生と親しく交流し、共同作業が行えたか |
| 自己統制力 | 授業に集中し、衝動を抑えて授業を妨害しないでいられたか |
| 意志力 | 困難な問題に挑戦し、与えられた以上の課題をこなして障害を乗り越えたか |
性格スキルを鍛えても役に立たない、マーケティングや金融などのビジネススキルのほうが大事だ、という見方もあります。しゅうへいさんは、その見方に答えるデータとして西アフリカの小規模事業者を対象にした実験を紹介します。
この実験では、事業者を3つのグループに分けました。1つ目は通常業務のまま、2つ目はマーケティングや金融といった認知スキルのトレーニング、3つ目は主体性を鍛える性格スキルのトレーニングを受けたそうです。
既存のチャンスをつかむ力が強まった
自らチャンスをつくり市場を生み出す力が鍛えられ、2年間の事業利益が平均30%増。認知スキルのグループの3倍
しゅうへいさんがさらに強調するのは、参加者に30代から50代が含まれていた点です。性格スキルは年齢に関係なく伸ばせることがわかる、という解釈で、幸あれこさんは「希望ですね」と応じます。
共演者の現場で、性格スキルはどう効いていたか
しゅうへいさんは、性格スキルを人間的な器の大きさや、逆境でも粘り強く動き続ける心の力だと言い換えたうえで、共演の二人に実体験を尋ねます。
元アナウンサーの幸あれこさんは、性格スキルが仕事に影響することは断言できると答えます。事務所では最初から、テクニックや仕事のスキルの前に人間力がないと勝ち残れないと教わっていたそうです。
幸あれこさんによると、実際に人間力が弱い人は続かなかったり、仕事をもらえなかったり、切られたりすることがよくあったといいます。
ブログやYouTubeの発信を教えてきたイケハヤさんは、少し角度を変えて「新しいことに挑戦できない人が多い」と話します。メディア運営の世界では、SEO、アフィリエイト、YouTubeと稼げる場所が移り変わってきました。
イケハヤさんの見立てでは、2〜3年稼げる人はいても、状況が変わると諦めて消えていく人が多いそうです。逆境を予測しながら立ち向かう力が弱いと、頑張ればまだいけたかもしれないのに諦めてしまう、という指摘です。
しゅうへいさんは、このイケハヤさんの答えがちょうど2つ目のポイントにつながると受けて、話を進めます。
スティーブ・マーティンは、どの不快感から逃げていたのか
2つ目のポイントは「不快感を受け入れる」ことです。本書は、成長に必要な3つの勇気を挙げており、しゅうへいさんはそれが不快感と向き合うことにつながっていると説明します。
本書が挙げる成長のための3つの勇気は、次のとおりです。
- 自分に最適だと信じ込んでいる手法を捨てる勇気
- 心の準備が整う前に挑戦の場に飛び込む勇気
- 誰よりも多くの失敗を経験する勇気
1つ目の勇気について、しゅうへいさんは、SEOで稼げたからとこだわり続けるケースがまさに当てはまると、イケハヤさんの話に結びつけます。
本書の事例として紹介されるのが、コメディアンのスティーブ・マーティンです。いまでは会場を満員にする人気者ですが、かつては「チケットを買うことが最悪のコメディ体験」と批評されるほど売れなかったそうです。
当時のスティーブ・マーティンは、面白いものを見聞きしてそれっぽく演じるやり方をしていました。逃げていたのは、苦手な原稿を自分で書くという不快感だったといいます。
面白いものを見聞きして真似る。原稿は書かず、無駄な言葉が多くて面白くなかった
放送作家のような書く仕事に就き、書きまくる。無駄が見えて削れるようになり、売れっ子に
しゅうへいさんは、自分もテキストが苦手な意識があるとして、この話は発信者として耳が痛いと打ち明けます。
先延ばしと学習スタイルは、なぜ「快・不快」の問題なのか
しゅうへいさんは続けて、先延ばしについての本書の一節を読み上げます。本書によると、先延ばしは怠け者だからでも、時間管理能力が欠けているからでもなく、自分の心の管理ができていないことが原因だとされています。
本書の説明では、先延ばしする人は努力そのものを避けているのではありません。避けているのは活動に伴う不快な感情であり、先延ばしを続ける限り目標達成は不可能だと、いずれ気づくことになるといいます。
自分に向けた説教のように読み上げるしゅうへいさんに、共演者は「シュールな回になっている」「新しいスタイル」と笑います。
本書は学習スタイルについても、心地いいやり方は間違っていると書いているそうです。しゅうへいさんが音声と活字のどちらを使うか尋ねると、幸あれこさんは、耳だけでは入りきらず、文字で何度も見ないと覚えられないので活字が合っていると答えます。もう一人の出演者は、音声は遅いので本で読むと話します。
直感を刺激して楽しく感じやすいが、受動的になりがちで記憶に残りにくい
全体の中の位置を考えながら分析的に処理でき、理解力と記憶力が高まる
アダム・グラントは、論理的・客観的な思考を養うのに読書ほど効果的な手段はないと勧めているそうです。しゅうへいさんは、ポッドキャストは自分も好きでやっているけれど、活字は読んだほうがいいと受け止めています。
ただし音声が悪いという話ではなく、目的に合った方法を選ぶことが大事だとしゅうへいさんは補います。英語を話せるようになりたいなら、単語帳のような家でできる心地よい勉強だけでなく、現地で見知らぬ人と拙くても話すという不快な体験が必要だ、という例です。
「スポンジになれ」は、何を吸収するという話か
3つ目のポイントは「スポンジになりなさい」です。しゅうへいさんは、これが今の自分にいちばんダイレクトに響き、本当にすぐ役に立ったと話します。
しゅうへいさんには、パートナーやビジネスパートナー、会社を支えるスタッフなど、長い目で見て必要なことを言ってくれる人がいるそうです。けれど、そうした人に恵まれていても本人がスポンジでなければ意味がない、と本書に書かれていたといいます。
この話の前置きとして紹介されるのが、宗教改革 ── 16世紀ヨーロッパで始まった、カトリック教会のあり方を批判する運動。ここからプロテスタントの諸教派が生まれましたと経済成長の関係です。プロテスタントの増加で経済が成長したというデータは、勤勉さの効果に見えますが、それだけではないそうです。
プロテスタントの増加
本を印刷して配り、みんなが本を読むようにした
識字率の向上
文字を読み書きできる人が増えた
経済成長
情報を吸収し処理する力が成長につながった
しゅうへいさんの解釈では、情報を理解する認知スキルがあってこそ、自ら考えて動く性格スキルも伸びます。どれだけ自分が吸収できるかが大事で、書いてあることを否定しているうちは身につかない、ということです。
本書は、情報の取り入れ方が受動か能動か、目的がエゴか成長か、という2軸で吸収のタイプを整理しています。しゅうへいさんが紹介した4つのタイプは次のとおりです。
しゅうへいさんは、大人になって足りない点を指摘されるのはきついとしながらも、周りの意見を少しずつ取り入れたら売上が立つなど状況が変わってきたと話します。ショート動画を続けるのもその一つで、今はスポンジになろうとしているそうです。
どのアドバイスを吸収し、どれを無視すべきか?
何でも吸収すればいいのかという疑問にも、本書は答えています。しゅうへいさんは、民泊を始めるといった発信をすると、マーケット調査はしたのかといった意見が大量に届くと話します。
本書によると、信頼すべき情報源の条件は「配慮」「信憑性」「親密性」の3つです。共演者からは「これはネット時代に読むべきやつだ」と声が上がります。
逆に、その道の経験がない人からの批判は無視していいとされています。しゅうへいさんは、AIアニメを作って叩かれているイケハヤさんや、6000万円の借金をして事業をしている自分を例に、事業をしていない人の意見は「そういう目線もある」で終わると話します。
一方で、信憑性と親密性があっても、配慮がなく助ける気のないアドバイスもあると本書は指摘しているそうです。共演者からは「Xで投稿したらバズりそう」という反応もありました。
子どもや次の世代のために、本書の後半は何を語るか
しゅうへいさんによると、本書の後半はコミュニティ運営をしている人や、子どもの教育に悩んでいる人に特に勧められる内容だそうです。後半には「可能性のパスポート」という考え方が出てきます。
所得の低い家庭の子どもは特許や発明に至る機会が少ないというデータがあるものの、本書はその理由を収入そのものではなく、挑戦の機会の数にあると見ているそうです。その機会を広げる要素として、本が大事だとされています。
子どもが自発的に本を読む環境づくりが教育において大事だとされ、北欧でも実証されているといいます。アダム・グラントは、親が本を生活の一部にする習慣を意識すること、たとえばドライブ中に本の話題をすることを勧めているそうです。
しゅうへいさんは、自分は出演者の中で性格スキルがいちばん低く、一回失敗しただけでダメだと思ってしまう完璧主義だと話します。本書には安藤忠雄さんや日本の侘び寂びを例にした完璧主義の話もあるものの、全部紹介すると完璧主義になってしまうと笑って締めくくりました。
共演者は「読みたくなりました」と応じ、次回は幸あれこさんがイタリア関連の本を紹介すると予告されます。
まとめ
『HIDDEN POTENTIAL 可能性の科学』は、成功は生まれつきの才能より後天的に鍛えた性格スキルによるところが大きいと説きます。不快感を受け入れ、信頼できる意見をスポンジのように吸収することで、何歳からでも伸びるというのが、しゅうへいさんが受け取ったメッセージです。
- 偉大な成功者のうち幼い頃から神童だったのは一部で、多くは後天的に伸びている
- 性格スキルは積極性・向社会性・自己統制力・意志力の4つで、30〜50代でも鍛えられる
- 先延ばしは怠けではなく不快な感情からの回避で、成長には心地よくない方法も必要
- 能動的に成長のため吸収する「スポンジ」を目指し、配慮・信憑性・親密性のある意見を受け入れる
- 子どもの可能性を広げるには、親が本を生活の一部にする習慣が大切だとされる



