モデル名より「スキル」と「フロー」
この回のテーマは、現役エンジニアであるY平さんのAI使い分けの全体像です。
「どのAIを使ってるんですか」とよく聞かれるものの、モデル名だけ答えても意味がないとY平さんは話します。
正直に言うと、あんまモデル名だけ答えても意味がないなと思っています
本業のバックエンド開発、ゲーム制作、発信活動のどれも、素のまま使っているものはほぼないそうです。
すべてスキルを噛ませて、臨機応変に使っているのが実態だといいます。
本業のバックエンド開発と自動レビュー
本業はWebシステムのバックエンド開発で、API、バッチ、DBのテーブル設計、インフラなどを担当しています。
ここではClaude Codeがメインで、複雑で危ういところの設計はFable5、普通の設計作業はOpus5で十分だと使い分けています。
ただしモデル選び以上に、フローを大事にしているそうです。
明らかに簡単なタスクは一発のプロンプトで処理し、複雑で大きそうなタスクは、まず設計内容をMarkdownファイルに落とします。
一度Markdownに落とすことで、AIが勘違いしている箇所や、詰め切れていなかった箇所が見えてくるといいます。
要件を渡し、設計のタスク分解をさせ、不明点はAskUserQuestionで聞かせ、依然として不明なら「不明」と書かせる。こうして不明点を明確にしながら設計を固めていきます。
設計が固まれば、そこから先はかなり放置で進められるそうです。Opus5にそのまま書かせても、GPT5.6 Codexに書かせてもよいといいます。
毎朝9時、Codexがレビューを一次トリアージ
本業では他のメンバーからのプルリクエストのレビュー依頼が大量に来ます。ここはCodexに任せているそうです。
毎朝9時に自動で起動し、自分宛のレビュー依頼をチェックして、一次レビューの結果をMarkdownでフォルダに吐き出しておいてくれます。
Y平さんはそれを読み、妥当な指摘はそのまま開発者に返し、気になる箇所だけCodexやClaude Codeと壁打ちして深掘りしてから返します。
最近はレビュー依頼が1日に4〜6件ほど来るため、全部を頭から一人で読むのは負担が大きいといいます。
もうこれは全部頭から一人で読むのはマジでしんどいんで、Codexが一次トリアージをしてくれるだけでかなり楽になりますね
レビュー時には、プルリクの概要をCodexにまとめさせているそうです。「これは何をしたいのか」が一文でわかるようにしておくと、素早く把握できます。
説明を書かない人のプルリクでも、Codexが目的をよしなに補って提示してくれるといいます。
システムが落ちかねない危険な箇所は、Claude CodeのFable5にもレビューさせます。Fable5とCodexの両方でレビューすると、致命的なものは大体引っかかる感触だそうです。
性能観点とプロジェクト固有のお作法
静的解析では絶対に出てこない指摘の代表が、性能観点のレビューです。
この場合は、実データの規模感をコンテキストとして渡すのがポイントだといいます。
このテーブルは一億レコード規模なんだけど、このクエリで本当に大丈夫か、みたいなのを聞いたりします
コードだけを見せると「問題ありません」で終わるところが、規模を教えた瞬間に性能観点の指摘へ変わるそうです。
さらに怪しい箇所は、ステージ環境のDBにつなげて実行計画を取らせるところまでやり、ガチで確認するといいます。
もう一つの工夫が、プロジェクト固有のお作法のスキル化です。
たとえばサービスからDAOクラスを呼んでデータアクセスするといったコーディング規約を、サンプルコード付きでスキルにまとめてあります。
そのため「このAPI作って」と言うだけで規約に沿ったコードが出てくるといいます。メンバーから来るプルリクも、コーディング規約をクリアした状態で上がってくるそうです。
この体制にしてから、致命的なバグを出さずに素早く回せているとのことです。特に性能観点のレビューが重要だと強調します。
ゲーム制作でのドット絵とUnity操作
ゲーム制作では、ドット絵づくりにAIをよく使っているそうです。ここで少し逆張りっぽい話が出てきます。
ドット絵はCodexのGPT5.6 Codexで描かせていますが、effortを一番低いlowにしたときが一番ちゃんと出るといいます。
effortをhighやextra highに上げると、ドット絵の「足し算」がひどくなるそうです。ディテールを盛りすぎてごちゃごちゃになったり、サイズを無視したりして使えなくなります。
情報量を逆に、あんま考えずにやってもらうのが、実はドット絵を作るのに一番いいソリューションになってますね
ドット絵生成では、スキルを二枚重ねているのも特徴です。
一枚目はAgentSpriteForgeというオープンソースのスキルにある2D Generate Spriteで、ドット絵を自然に出すための汎用スキルです。
二枚目は自作スキルで、『Very Long CNP 物語』という顔の長い動物のプロジェクトのトンマナを吸収させてあります。この二枚を重ねると、トンマナの合ったドット絵が出るといいます。
2D Generate Spriteを使うと、32×32のスプライトシートで1フレーム32×32といったサイズ指定もきっちり守ってくれるそうです。Codexの素のImageGenだけでは、サイズもトンマナも崩れてしまうといいます。
もう一つが、Unityのエディターごとエージェントに触らせる取り組みです。UniCLIというオープンソースのCLIを使うと、Unity EditorをコマンドラインからClaude CodeやCodexが直接操作できます。
コンピューターユーザー操作でも触れますが、UniCLIの方が精度がよく、速いそうです。
たとえば「Very Long大蛇の闇落ちしたボスキャラを作って」と投げると、自作の敵キャラ作成スキルが発動し、EnemyControllerを使ってお作法通りに挙動を作り、シーンに配置するところまでやってくれます。
さらに、攻撃動作がちゃんとできているかを、UniCLI経由でUnity Editorをプレイモードにして確認するところまで進めるそうです。
この確認スキルはCodexよりClaude Codeが強く、Claude CodeのOpus5だと、攻撃動作になっているかをしつこく厳密に見るといいます。
これも素のCodexや素のClaude Codeではできない作業で、UniCLIとスキルを整えているからこそ実現できていると話します。
テストの限界と発信のワンソース・マルチユース
正直にまだできていないこともあるとY平さんは言います。Unityでのコーディングはかなりできる一方で、テストはまだ苦手だそうです。
苦手というより、時間とコストがかかるという意味合いです。プレイモードにしてプレイヤーや敵キャラの動きをUniCLI経由で検証しようとすると、非常に時間がかかります。
自分で確認した方が早いなという場面がめちゃくちゃあるんで、そこは自分でやったりもしてますね
放置すれば時間がかかっても確認まではやってくれる状態なので十分ありがたいものの、パソコンの性能強化やスキル改善が必要かもしれないと考えています。
発信活動もAIまみれで、すべてワンソース・マルチユースを意識しているそうです。
Discordと連携させたClaude Codeを常時起動し、毎日の今日やることと週次の振り返りが自動でDiscordに流れてくる仕組みを作っています。
Xの投稿も常駐のClaude Codeに任せ、過去1ヶ月分の自分の投稿を読み込ませたうえで、自分らしく投稿させています。目的や元ネタ、加工方法まで指示してあるそうです。
元ネタはObsidianのDaily Noteから持ってきます。毎日12時には宣伝用の投稿もし、固定ポストの体験版リンクへつながる動線を作っています。
ポッドキャストの台本は毎週火曜日に出力され、Daily NoteとGitHubのコミット履歴から「このテーマでどうですか」と提案が来ます。曜日固定はペースメーカーとして効いているといいます。
1本の収録を4媒体へ展開する仕組み
ポッドキャストはビデオポッドキャストで、iPhoneのカメラを棒に立てて収録しています。
サムネはGoogle AI StudioでNano Banana 2というモデルを指定し、台本と書き起こしと動画の最初の一枚を渡して一発で作らせているそうです。
YouTube用の説明文も台本作成時に自動生成され、メルマガ登録、体験版、ウィッシュリストのリンクを必ず差し込む設計にしています。
さらに台本と音声の書き起こしから、そのままメルマガ記事を生成する仕組みもあります。ポッドキャストを撮ったら記事にし、Xの長文ポスト、Substack、noteへ回していきます。
画像選びやリンク埋め込みなどの手作業は残りますが、1本の収録からYouTube、Substack、X長文、noteへ展開できる形です。
媒体を分散させる利点として、どこかが必ず伸びる点を挙げます。YouTubeが伸びない時にnoteでフォロワーが増えたり、逆のパターンもあるそうです。
数字も正直に共有され、YouTube登録者は136人、Spotifyは16人ほどとのことです。それでも出せば伸びるとわかっているため、継続の問題だと捉えています。
まとめとして、設計はFable5、実装はOpus5やGPT5.6 Codex、プルリクの一次トリアージはCodexという使い分けが語られました。ドット絵は考えさせすぎると悪くなるため、素のGPT5.6 Codexで作っています。
本業もゲーム制作も、うまくできているのは全部スキルのおかげだと締めくくります。
スキルを使うと、素のAIよりも全然上の状態から始まる感じで、いい感じにパートナーとして使えていますね
最後に、マーケティング用のスキルとして「群梅」も紹介されました。マーケ施策の相談に乗り、ワークフローも作ってくれる有料スキルで、おすすめだそうです。
まとめ
Y平さんのAI活用は、モデル名の選択以上に、スキルを噛ませてフロー全体を設計することが軸になっています。本業・ゲーム・発信のどの領域でも、素のモデルではなく用途に合わせた仕込みが成果を支えていました。
- モデル名より、スキルとフロー設計が使い分けの核心になっている
- バックエンドでは設計をMarkdownに落とし、プルリクは毎朝9時のCodexが一次トリアージする
- 性能観点のレビューは、実データの規模感をコンテキストとして渡すと精度が上がる
- ドット絵はeffortを最も低くし、スキルを二枚重ねると安定して出せる
- 発信はワンソース・マルチユースで、1本の収録をYouTube・Substack・X・noteへ展開している
