📝 エピソード概要
山形県の「楯の川酒造」で醸造責任者を務める川名啓介さんをゲストに迎え、日本酒造りの裏側をサイエンスの視点から紐解くエピソードです。物理学出身の川名さんが、日本酒特有の複雑な発酵プロセスや菌のコントロールについて解説。ワインやビールとの違い、麹菌と酵母の役割、そして「1%」まで米を削る精米のこだわりなど、バイオ実験さながらの緻密な酒造りの世界が語られます。
🎯 主要なトピック
- 異色のキャリア: 物理学を専攻していた川名さんが、移住先の山形で日本酒に魅了され、未経験から醸造責任者になるまでの経緯。
- お酒の種類と発酵の仕組み: 単発酵(ワイン)、複発酵(ビール)、そして日本酒特有の「並行複発酵」の構造的違い。
- 麹菌(カビ)の働き: 蒸し米に根を張り、酵素を出してデンプンを糖に変える麹造りのプロセスを「農業」や「戦場」に例えて解説。
- きょうかい酵母と安定化: 全国で使われるナンバリングされた酵母の仕組みと、変異を防ぐための毎年の更新・保護について。
- 精米歩合のサイエンス: 米を削ることで脂質やタンパク質を除去し、雑味のない「クリアな味」を追求する技術と、究極の「1%精米」への挑戦。
💡 キーポイント
- 並行複発酵の複雑性: 糖化(麹菌)とアルコール発酵(酵母)を一つのタンクで同時に進行させる、世界でも類を見ない高度な醸造技術。
- 麹造りは「バイオ培養」: 温度や湿度を厳密に管理し、麹菌に「水分を求めて米の芯へ根を張らせる」よう誘導するコントロールが味の決め手となる。
- 精米の目的: 食べる米(精米歩合約90%)に対し、酒造好適米は平均63%まで削る。外側の成分を削ぎ落とすほど、透明感のある洗練された味わいになる。
- 酒造りは論理的なアプローチ: 物理学的な「仮説・検証・成果」のサイクルが、目に見えない菌を扱う現代の酒造り現場でも重要な役割を果たしている。

