📝 エピソード概要
本エピソードでは、ニコラ・テスラが、直流が主流であった時代に交流電力を動力に利用する革新的なモーターの原理を発見する過程を追います。大学教授に「実現不可能」と断言された難題に対し、テスラはゲーテの詩に触発され、「回転磁界」という画期的な概念を閃きます。
これは、複数の交流電流をずらして重ね合わせることで、安定した回転力を生み出す誘導モーターの設計図であり、交流送電の最大の弱点を克服し、後の電気インフラを一変させるバタフライエフェクトの始まりとなりました。
🎯 主要なトピック
- 交流電源の技術的課題: 交流は長距離送電が可能だが、実用的なモーター(動力源)が存在しなかったため、直流システムに市場の優位性を奪われていた。
- 直流モーターの欠点とテスラの指摘: 直流発電機/モーターは整流子とブラシという部品が必要で、火花や摩耗によるエネルギー損失とメンテナンスコストの高さが問題だった。テスラはこれらを排除できる交流モーターの可能性を提唱。
- 教授との対立と諦め: 教授は技術的な課題を丁寧に説明し、交流モーターの実現は「絶対に実現できない」と断言。テスラは一時研究を諦めるほどの精神的ダメージを負う。
- 「回転磁界」の閃き: 大学中退後、テスラは公園でゲーテの詩を暗唱中、突如として交流モーターの構造を閃き、道に図を描いてその原理(二相交流)を親友に解説。
- 二相交流と位相のズレによる原理: 2組のコイルを直角に配置し、位相(タイミング)を90度ずらした2本の交流電流を流すことで、磁界のベクトルが合成され、安定して回転する「回転磁界」を生成する。
- 誘導モーターの革新性: 整流子やブラシを排除したテスラのモーターは、メンテナンスコストが低く、効率が高く、自己起動が可能で、実用に足る馬力を出すことができた。
💡 キーポイント
- 交流モーターの開発は、当時の技術水準では「重力のような力を回転力に変えることと同じ」と見なされるほど困難な課題であった。
- テスラの天才的な発想は、厄介な交流の個性を「複数の交流を協調させる」という形で強みに変え、空間的に回転する力を生み出す技術を確立した点にある。
- 「回転磁界」とは、見かけ上1本の見えない磁石がモーター内部でグルグル回っている状態であり、これにより安定した回転力を得られる。
- この誘導モーターの原理は、後の三相交流システムや現代において最も広く使われているモーターの基本原理となっている。
- 脳内でモーターを完全に組み立て、試行錯誤を繰り返すテスラの特殊なイメージ想起能力が、この世紀の大発明を可能にした背景にある。

