📝 エピソード概要
本エピソードは、項羽と劉邦の運命が交錯する重要な転換点です。反秦勢力の盟主・項梁が戦死した後、項羽は「鉅鹿の戦い」で秦の主力軍を圧倒し、一躍リーダーシップを確立します。一方、秦では趙高の専横により胡亥と李斯が非業の死を遂げ、内部が崩壊。その混乱の隙を突き、別働隊であった劉邦が約束通り秦の都・咸陽に一番乗りを果たし、項羽との間に決定的な火種を生み出します。
🎯 主要なトピック
- 項梁の戦死と項羽の台頭: 楚軍の盟主であった項梁は秦の猛将・章邯に定陶で敗死。危機に陥った反秦勢力を救うため、項羽は上将軍・宋義を粛清し、自ら軍の指揮権を奪い取る。
- 鉅鹿の戦いと秦兵20万の生き埋め: 項羽は「破釜沈船(船を壊し、釜を沈める)」の覚悟で秦の大軍に挑み、圧倒的な武勇で勝利。戦後、20万人もの投降兵を生き埋めにして、武力による恐怖と名を轟かせた。
- 李斯の処刑と胡亥の自殺: 秦の丞相・李斯は趙高の讒言により、最も残酷な「腰斬」で処刑される。その後、趙高の自作自演のテロにより二世皇帝・胡亥も追い詰められ、自殺に追い込まれる。
- 趙高の専横と「馬鹿」の逸話: 権力を掌握した趙高は、鹿を献上して「馬です」と言い張る「指鹿為馬(馬鹿)」のエピソードで、家臣たちが自身に従うかを試し、統制を強化する。
- 章邯の降伏と秦の終焉: 秦の最後の希望であった章邯将軍は、内部の腐敗に絶望し、項羽との会盟により楚軍に降伏。秦の主力軍団が反乱軍に加わることで秦の滅亡が決定的となる。
- 劉邦の咸陽一番乗り: 項羽が主力戦を担う間に、別ルートを進んでいた劉邦が秦の都・咸陽に無血入城。懐王が定めた「一番乗りした者が秦の王となる」という約束の権利を獲得する。
- 法三章による人心掌握: 劉邦は都の財宝や美女に手を出さず、秦の苛烈な法律を廃止して「人殺し、傷害、盗み」のみを罰する「法三章」を定め、秦の民の絶大な支持を得た。
💡 キーポイント
- 項羽は自己のプライドを満たしてくれる者には寛大だが、逆らう者には容赦しないという、その後の対人関係の傾向が明確に示された。
- 秦の崩壊は、外からの軍事力だけでなく、趙高が内部から腐敗を促し、忠臣たちを粛清するという「内部崩壊」戦略によって加速した。
- 劉邦は軍事力で項羽に劣るものの、優秀なブレーン(張良、蕭何)のアドバイスを素直に受け入れ、エゴを抑えた行動(財宝に手を出さない、法三章の制定)が成功の鍵となった。
- 劉邦の一番乗りは、項羽の功績を横取りした形となり、劉邦と項羽の間の緊張関係、そして次なる覇権争いの舞台を設定した。

