📝 エピソード概要
本エピソードでは、広大なルイジアナ購入によるアメリカの西方拡大(西漸運動)が、いかに奴隷制を巡る南北対立を激化させたかを解説します。未開拓地の「発見」がフロンティア精神を刺激し、領土が広がるにつれ、新たな州の奴隷州化が連邦議会の上院における勢力バランスを脅かしました。
また、米英戦争後のナショナリズムの昂揚と、叩き上げの英雄ジャクソン大統領の登場により、アメリカの政治スタイルがエリート支配から、反知性主義的かつ大衆迎合的なセルフメイドマン(自己成功者)を求める方向へと変貌していく様子が描かれています。
🎯 主要なトピック
- ルイジアナ購入(世界最大の不動産取引): フランスとの取引により、日本の約6倍にあたる広大なルイジアナ地域(西シッピ)を獲得。ルイス&クラーク探検隊による調査が実施され、今後の西方拡大の道筋がつけられました。
- 米英戦争とナショナリズムの形成: 1812年に発生したイギリスとの戦争は、首都ワシントンが焼かれるなどの被害をもたらしましたが、結果としてアメリカの国内産業育成とナショナリズムを強化し、西部開拓を加速させました。
- ホワイトハウスの由来: 米英戦争でイギリス軍に焼き討ちにあった大統領官邸を、焼け焦げた外壁を白く塗装して再建したことが、「ホワイトハウス」と呼ばれるようになったきっかけです。
- ミズーリ協定と奴隷制問題の先送り: 新たな準州(ミズーリ州)の奴隷州化を巡り、上院の勢力均衡が崩れる危機が発生。ミズーリを奴隷州、メイン州を自由州とすることでバランスを取り、北緯36度30分以北を自由州とする協定で、根本問題の解決を先延ばしにしました。
- アンドリュー・ジャクソン大統領と政治の変容: 白人男子普通選挙の拡大を背景に、叩き上げの「セルフメイドマン」であるジャクソンが当選。大統領権限を強化し、拒否権の多用や量感性(猟官制)を導入するなど、反エリート的な政治スタイルが確立されました。
- 関税問題を巡る南北対立の顕在化: 北部が産業保護のための高関税を主張する一方、綿花輸出を主体とする南部は安価な輸入品を確保するために関税に強く反対。経済的な利害の不一致が南北間の緊張をさらに高めました。
💡 キーポイント
- アメリカの西方拡大は、既存の権力構造から離れ、自分の力で新たな生活を築きたいと願うセクト型の「独立心」によって強く推進されました。
- 奴隷制廃止の動きが国際的に高まる中、イギリスがその旗振り役となったことが、アメリカ国内で「敵の主張に同調したくない」という感情を生み、反奴隷制運動の勢いを一時的に削ぐ結果となりました。
- 大衆に支持される大統領は、知的なエリートではなく、丸太小屋出身といった「叩き上げの英雄」(セルフメイドマン)であり、この大衆迎合的な政治文化は現代にも深く根付いています。
- 南北戦争に至る対立構造は、奴隷制という倫理的な問題だけでなく、関税や連邦権限の解釈といった、地域間の構造的な利害不一致が複雑に絡み合って形成されました。
- 議員たちが、国家存続の危機につながる奴隷制問題の議論を避け、「ミズーリ協定」という形で長年にわたって先延ばしにし続けたことが、後に制御不能な南北戦争の火種となりました。

