📝 エピソード概要
本エピソードでは、エジソンが推進した直流(DC)システムが抱えていた長距離送電における致命的な欠陥と、ニコラ・テスラが研究していた交流(AC)システムの技術的優位性について深掘りします。
直流は先に社会実装されたものの、効率的な電圧変換が不可能であったため、送電距離が限定的でした。一方、交流は長距離送電のポテンシャルを持っていましたが、普及を阻んでいた最大の要因は、電力需要が最も高い「動力」分野で利用できる実用的なモーターが存在しなかった点にあり、テスラの登場がその最後のピースを埋めることを示唆しています。
🎯 主要なトピック
- 電気の基礎と直流・交流の特性: 電気(自由電子の流れ)の基本を解説。電池が生み出す直流は変化しないが、発電機が生み出す交流は電圧や電流の向きが周期的に変動する特性を持つ。
- 直流システムの致命的欠陥: エジソンが推し進めた直流は、電圧を変化させることが困難であり、長距離送電時に電線の抵抗による電力損失が大きく、送電可能範囲が直径約3kmに限定されていた。
- 交流による送電効率の向上: 交流は電圧を簡単に上げ下げできる(変圧)ため、高電圧で送電することで損失を抑え、長距離送電が可能になるという技術的な優位性が当時から認識されていた。
- 交流普及のボトルネック「動力」: 交流は照明や送電で一部実用化されつつあったが、当時の最大の電力需要である工場や鉄道などの「動力」分野で使える実用的なモーターが存在しなかった。
- エジソンの実業家としての戦略: 直流の欠点を認識しつつも、エジソンは実用化済みの直流を物量(発電所の大量建設)でゴリ押しし、インフラとしてのシステム全体を先に完結させる経営判断を貫いた。
💡 キーポイント
- 効率的な長距離送電の鍵は「電圧を高め、電流を小さくする」ことだが、直流は原理上電圧を変化させる有効な方法がなかった。
- 直流モーターは、整流子(せいりゅうし)という部品が必要だったため、寿命が短く、メンテナンスコストが高いという課題も抱えていた。
- 交流の挙動は周期的な変動があり、微分方程式などの高度な数学が必要とされたため、直流に比べて直感的に扱いにくく、技術的なブレイクスルーが遅れていた。
- エジソンが「絨毯爆撃」(しらみつぶし)的な研究スタイルであったのに対し、テスラは「理論と計算で労力を90%節約できる」と述べ、異なるアプローチで課題解決に挑もうとしていた。
- 実用的な交流モーターの発明こそが、交流を直流から置き換えるための、資本主義OSに選ばれるための最後の決定的なピースであった。

