女神の逆プロポーズを断ったギルガメシュ ── 神罰への道
歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)のギルガメシュ編第5回では、フンババ討伐の偉業を成し遂げたギルガメシュとエンキドゥに、新たな試練が訪れます。ウルクの守護神である女神イシュタルが、栄光に輝くギルガメシュにプロポーズを迫るも、彼はこれを拒否。さらに女神の過去の仕打ちを痛烈に批判し、激怒したイシュタルが送り込んだ「天の牛」との死闘が始まります。勝利に酔いしれる二人を待ち受けていたのは、神々の呪いでした。その内容をまとめます。
フンババ討伐後の凱旋
前回、ギルガメシュ古代メソポタミアの伝説的な王。神と人間のハーフで、ウルク(現在のイラク南部)を治めた英雄として叙事詩に描かれている。とエンキドゥは、レバノン杉古代メソポタミアでは貴重な建材として珍重された高品質の杉。神殿や宮殿の建築に使われた。の森の守護者フンババ神エンリルに任命された森の守護者。人間から見ると恐ろしい姿をしているが、神聖な存在として描かれている。ファイナルファンタジーシリーズやモンストなどのゲームにも登場する人気キャラ。を倒し、レバノン杉を持ち帰るという偉業を成し遂げました。ウルクの民は大いに沸き、二人の英雄を称えました。
フンババはその知名度から、ファイナルファンタジー3・6をはじめ、モンストなど多くのゲームに登場しています。響きからして人間側ではない強大な存在を感じさせるキャラクターです。
女神イシュタルの逆プロポーズ
凱旋したギルガメシュは、体の汚れを落とし、髪を整え、マントと冠を身につけて王の姿に戻りました。偉業を成し遂げた直後の、エネルギーにみなぎる瞬間です。その立派な姿を見たのが、女神イシュタルウルクの守護神で、愛と戦争、生命の循環を司る女神。メソポタミア神話における最強クラスの神の一人。ジッグラト(高い神殿)が建てられるほど重要視されていた。でした。
女神イシュタルはギルガメシュの宮殿に降り立ち、「あら、いい男」と一目惚れします。そしてなんと、いきなりド直球のプロポーズを仕掛けるのです。
あなたの性の力を私への贈り物としておくれ。あなたが我が夫に、私があなたの妻になるのです。
女神は結婚のメリットを強調します。富、権威、ラピスラズリ深い青色の宝石で、古代メソポタミアでは最高級の宝飾品として珍重された。金と並ぶ富と権力の象徴。と黄金で飾られた二輪車、ヤギ・馬・牛といった家畜。さらに、夫となれば祭司たちが足に接吻し、貴族や諸侯が平伏し、山の民が貢ぎ物を捧げるだろうと。つまり、王としての権威と権力が飛躍的に上がるというオファーです。
ギルガメシュの痛烈な拒絶
しかし、ギルガメシュは断ります。それもただ断るだけではなく、女神イシュタルの過去の仕打ちを列挙し、嘲り倒すのです。
あなたは人を傷つけることしか知らない。あなたの愛がどれほど長く続いたことがありますか?過去にやったことを全部数えて差し上げましょうか?
ギルガメシュが挙げた女神イシュタルの「過去の仕打ち」は以下の通りです。
ギルガメシュはさらに畳みかけます。
あなたが私を愛するとしても、私にはきっと彼らと同じ運命が待っているに違いない。あなたを妻にするために、今度は私は何を差し上げたら良いですか?
さらに、ギルガメシュは罵詈雑言を浴びせます。溶けた氷、埃や風を遮れない壊れた扉、英雄を潰す宮殿、蓋のついていない壺の口、石の城壁を壊す石灰石、敵国でなく自国の城壁を壊す武器、主人の足を噛む履物――。侮辱の表現を次々と投げつけたのです。
天の牛との死闘
プロポーズを拒否され、過去の仕打ちまで嘲られた女神イシュタルは激怒します。彼女は天界に昇り、父である天空神アヌメソポタミア神話の主神の一人。神々の会長的な立場。比較的穏健派で、娘イシュタルの暴走を諫めることもある。に訴えました。
父上、ギルガメシュが私を辱めました。私のために天の牛を作ってください。それでギルガメシュを滅ぼしたいのです。
天空神アヌは最初、「お前が自分でやったことじゃないか」と諫めますが、イシュタルは引き下がりません。さらに恐るべき脅しをかけます。
もし私のために天の牛を作ってくださらなければ、私は冥界の扉を開きます。地上に死者たちを蘇らせ、死者が生者よりも多くなるようにします。彼らに生者を食わせます。
これは冗談ではありません。女神イシュタルは生命の循環を司る神であり、本気を出せば地上の命を滅ぼすことができるのです。父アヌは妥協策を提示します。天の牛は与えるが、地上世界が全滅しないよう、家畜の飼料を確保し、リカバリーできるように備えよ、と。
約束を交わした女神イシュタルは、巨大な天の牛を地上に放ちます。天の牛は鼻息でウルクの大地に大穴を開け、何百人もの戦士たちを落として殺しました。エンキドゥも一度は穴に落ちますが、驚異的なジャンプ力で飛び出します。
天の牛は口から泡を吹き、尻尾で糞を投げつけながら、エンキドゥに襲いかかります。エンキドゥは両手で角を掴み、動きを止めながらギルガメシュに叫びました。
こいつの心臓を引き抜いてやろうぜ!俺が動きを止めている間に、お前が刺し殺せ!
エンキドゥが天の牛を抑え、ギルガメシュが正確に首筋・角・眉間を剣で貫きました。心臓をつかみ出し、守護神シャマシュ太陽神であり正義の神。ギルガメシュの守護神として物語に度々登場する。の前に捧げます。最強の召喚獣・天の牛を、二人は見事に打ち倒したのです。
エンキドゥが穴から脱出
天の牛の鼻息攻撃で開いた大穴に落ちるが、驚異的な身体能力で飛び出す
エンキドゥが角を掴んで拘束
泡と糞を投げつけられながらも、両手で角を掴んで動きを止める
ギルガメシュが急所を貫く
首筋・角・眉間を正確に剣で貫き、心臓をつかみ出して勝利
しかし、エンキドゥはさらに罰当たりな行動に出ます。城壁の上から見ていた女神イシュタルが呪いの言葉を投げつけると、エンキドゥは天の牛のモモを引き裂き、女神の顔に向かって投げつけたのです。
お前もこの牛のように征伐してやろうか。この腸を、お前の腹にぶら下げてやろうか。
相手は国の守護神であり、神セブンの一人である最強の女神です。しかしエンキドゥは、ナチュラルに罰当たりな挑発を投げつけました。女神イシュタルは嘆きの声を上げるしかありませんでした。
勝利の代償 ── 神罰の予兆
女神イシュタルとの戦いに勝利した二人は、再びウルクの町をパレードします。着飾ったギルガメシュを一目見ようと、人々が集まります。ギルガメシュは宮殿に仕える女官たちに尋ねました。
人々の中で誰が最も素晴らしいか、男たちの中で誰が最も立派であるか?
女官たちは答えます。「人々の中でギルガメシュ様こそ最も素晴らしいです。男たちの中でギルガメシュ様こそ最も立派です」と。ギルガメシュは称賛を浴び、宮殿で祝宴を開き、愉快に過ごして寝室に引き上げました。
しかし、ここで注目すべきは、ギルガメシュがエンキドゥをパブリックに褒めることをしなかったという点です。フンババ討伐でも、天の牛討伐でも、エンキドゥの助けなしには成功しませんでした。それなのに、栄誉はすべてギルガメシュに集まり、エンキドゥには何も与えられませんでした。このもやもやが、後のストーリーで重要な伏線となります。
そして、この勝利に酔いしれる夜に、神々の呪いが動き出します。フンババは死の間際に呪いをかけました。「神エンリルはお前ら二人を年老いるまで生かしてはおかんぞ」と。女神イシュタルも呪いをかけました。「呪われよ、ギルガメシュ。私を侮辱し、天の牛を殺した者よ」と。
神に逆らい続けた二人の英雄に、ついに神罰が下されるのです。それは、まさにこの夜、祝宴の最中に訪れることになります。
まとめ
フンババ討伐という偉業を成し遂げたギルガメシュは、ウルクの守護神・女神イシュタルから逆プロポーズを受けます。しかし彼は、神と結婚することで得られる権威よりも、英雄としての自立性を優先し、これを拒否しました。さらに女神の過去の仕打ちを痛烈に批判し、激怒したイシュタルは最終兵器「天の牛」を送り込みます。
エンキドゥとの連携で天の牛を倒したギルガメシュは、勝利に酔いしれます。しかし、神々への冒涜を重ねた二人には、すでにフンババとイシュタルの呪いがかけられていました。祝宴の夜、神罰が動き出そうとしています。
次回は、ギルガメシュとエンキドゥを襲う運命の転換点が描かれます。最高潮の瞬間から一転、二人を待ち受ける神罰とは何なのか――物語はいよいよ核心へと向かいます。
- 女神イシュタルがギルガメシュにプロポーズするが、ギルガメシュは英雄としての自立性を守るため拒否
- ギルガメシュが女神の過去の仕打ちを列挙し嘲り倒したことで、イシュタルは激怒し天の牛を送り込む
- エンキドゥとの連携で天の牛を倒すが、女神への侮辱はさらにエスカレートする
- 勝利に酔いしれる二人だが、フンババとイシュタルの呪いがすでにかけられており、神罰が迫っている
- ギルガメシュがエンキドゥの功績を称えなかったことが、後の伏線となる

