📝 エピソード概要
本エピソードでは、エイブラハム・リンカンがケンタッキーの貧しい開拓民として誕生し、いかにしてアメリカを代表する大統領の地位へと上り詰める基礎を築いたかを解説します。無学な父との対立や母・姉の死という過酷な経験を乗り越え、独学で知識を深めたリンカンは、農民の道ではなく市場経済と政治の世界での成功を志向します。
特に、彼の奴隷制に対する初期の態度は、単なる人道的な反対ではなく、「労働の神聖性」と「正当な対価」を信じる彼の独自の労働観に基づいていた点が詳しく考察されています。若きリンカンの、野心に満ちた自立への道のりと初期の思想形成に迫る回です。
🎯 主要なトピック
- 貧しい開拓民としての幼少期: 奴隷州ケンタッキーで生まれ、経済的に困窮した開拓民の家で育つ。父トーマスは無学だったが、母ナンシーは聡明で、リンカンの学習の基礎を築いた。
- 母の死と独学による知識獲得: 9歳で母を疫病で亡くすが、優しく聡明な継母サラに支えられ、聖書や政治論議などを独学で読み漁り、知識階級への強い志向を持つ。
- 市場経済への参入と父親との決別: 肉体労働を嫌い、家を出て自立。商店経営、測量士、弁護士など、市場経済(資本主義)に不可欠な職を選び、旧時代的な価値観を持つ父の生き方を否定した。
- 政治家としての芽生えとストイックな生活: 禁酒・禁煙を貫くストイックな生活を送りながら、ホイッグ党のヘンリー・クレイの連邦主義的な経済政策に共鳴し、政治への関心を高める。
- ブラック・ホーク戦争への従軍と選挙への立候補: ネイティブアメリカンとの戦争に従軍し、その後24歳で州議会選挙に立候補するも、初挑戦は落選に終わる。
- 奴隷制に対する初期の視点: 奴隷制は、人道的側面だけでなく、「自由労働と正当な対価」という彼の強い労働観に反する制度であり、白人の労働者を堕落させるものとして捉えられていた。
💡 キーポイント
- リンカンの受けた正式な教育は合計1年弱のみであり、その後の膨大な知識は全て独学によって得られた。
- 父トーマスが経済的に成功しなかった背景には、「野心の不足」という当時のアメリカ的な成功主義的な価値観が投影されていた。
- リンカンの初期のキャリア選択(商業、法律、測量)は、自給自足の開拓生活から脱却し、成長する市場経済の恩恵を受けようとする明確な意思表示であった。
- 彼は周囲の開拓民とは異なり、酒やギャンブルを避け、自己投資としての読書と思索にふける、極めて異質な青年であった。
- 奴隷制に対する彼の初期の反対意見は、自由な競争下で賃金を払う労働と、無償の奴隷労働が共存することが、道徳的にも経済的にも不健全であるという認識に基づいていた。

