ライバルが巨額AI投資、Appleはなぜ静観できるのか
番組冒頭、ホストはAppleを取り巻く一見矛盾した状況から話を切り出します。
皆さんこんにちは。米国株投資の耳寄りな話へようこそ。ちょっと皆さん想像してみてください。あなたの最大のライバルたちが、売り上げの三割とか四割っていうものすごい巨額な資金を投じて、巨大なAIデータセンターをせっせと建設しているとしますよね。
一方で、あなたは表立ってそんな巨額投資はせずに、静観しているように見えると。まあ普通なら、あいつは完全に競争に負けたなって言われちゃうじゃないですか。
まあ、そうなりますよね。市場はそういう風に見ますから。
ですよね。でも、まさにその何もしないように見える戦略を使って、再び世界で最も価値のある企業に返り咲いたとしたらどうでしょう。今日のテーマはズバリ、ついに時価総額世界一に返り咲き、ティム・クックの有終の美を飾れるか。Appleの2026年第3四半期決算速報です。
よろしくお願いします。今、Apple界隈には世界中を揺るがす二つの特大ニュースが同時に走っていますからね。
そうなんですよ。一つ目は、スティーブ・ジョブズの後を継いでAppleを巨大帝国に育て上げたティム・クックCEOが、ついに2026年9月1日付けで退任して、ジョン・ターナス氏が新CEOに就任するという歴史的なトップ交代のニュースですよね。
本当に大きな節目です。
そして二つ目が、一時はAIブームに完全に乗り遅れたなんて揶揄されていたAppleが、最近ついに時価総額世界一の座に鮮やかに返り咲いたこと、この二つです。
AI競争で周回遅れと言われていたはずのAppleが、なぜ今になって市場のトップに返り咲けたのか。そして、歴史的なトップ交代を控えたティム・クック最後の決算はどうだったのか。今日は皆さんと一緒に、この一見矛盾するようなカラクリを紐解いていきましょう。
ライトアセットAI戦略というカラクリ
決算の数字に入る前に、まずは市場がAppleを再評価している理由から話が進みます。
決算の具体的な数字に飛び込む前に、まずはなぜ今投資家が再びAppleを大絶賛しているのかっていう市場のコンテキストから聞いていきたいんですが。ライバルたちが必死にAI投資をしている中で、なぜAppleが評価されているんですか?
実はですね、今、テクノロジー市場全体でAI投資に対する見方がかなりシビアになっているんですよ。
シビアですか。
ええ。MicrosoftやNVIDIAをはじめとする巨大テック企業は、今、データセンターの建設やGPUの購入に自社の売上高の30パーセントから40パーセントにも達する巨額の設備投資、いわゆるCAPEX投資を行っているんですね。
ちょっと待ってください。売り上げの四割って桁違いすぎません?利益が吹き飛んじゃいそうですが。
その通りなんです。だからこそ、市場にはこの何兆円という巨額投資は一体いつになったら回収できるんだっていう警戒感が広がり始めたんですよ。
ああ、なるほど。費用対効果への懸念ですね。
そうです。期待だけで株が買われるフェーズが終わって、で、どうやって利益を出すの?っていう収益化への厳しい目線に移ったわけです。
そこでAppleの出番というわけですか。
はい。Appleは自社で巨大なAI発電所を作るような巨額投資のリスクを避けました。彼らが取ったのは軽資産、つまりライトアセットのAI戦略なんですよ。
ライトアセット。
ええ。ChatGPTのような他の優れた巨大AIモデルと賢く連携しつつ、自社はオンデバイス、つまりユーザーの端末内で処理を完結させることと、プライバシー保護に特化したんです。
ちょっと整理してみましょうか。つまり、他のテック企業が莫大なコストをかけて巨大なAI発電所を作っている最中なのに、Appleはすでに世界中の二十億人が持っている家電に一番効率よくAIを組み込んで即座に利益を出せると。
ええ、まさにそういうことです。
そりゃ、投資家からすれば圧倒的にリスクが低くて安全資産に見えますよね。
まさにその通りです。それに加えて、ティム・クック氏からジョン・ターナス氏へのCEO交代が事前に整然と発表されたことも大きかったんですよ。
サプライズじゃなくて計画的だったから。
そうなんです。経営の透明性が担保されて、トップ交代による株価の乱高下を防いだ。これも投資家の安心感に直結しましたね。
なるほどなあ。莫大なコストをかけてAIを開発する側じゃなくて、完成したAIを自社の二十億人の顧客に提供して利益を総取りする側になったわけですね。強すぎる。
本当にうまい戦略ですよね。
過去最高のモンスター決算
続いて、実際に発表された2026年第3四半期(4〜6月期)決算の中身に迫ります。
では、そのApple独自のAI戦略が実際に消費者に刺さったのかどうか。ここからは発表されたばかりの2026年第3四半期、4月から6月期決算の結果に迫っていきましょう。投資家の期待は現実の数字として表れていたんですか?
この決算は控えめに言ってもモンスター決算でした。
モンスター。
ええ。一言で言えばAI効果、つまりApple Intelligence効果が本格化して、主要製品や全地域で二桁成長を遂げた過去最高の4から6月期モンスター決算ですね。
おお、それはすごい。具体的な数字も教えてもらえますか?
はい。売上高は1094億1700万ドルで、前年同期比プラス16パーセント。純利益はプラス27パーセント。一株当たり利益であるEPSは2.02ドルでプラス29パーセント。これら全てが市場予想を上回って、4から6月期として過去最高を記録しました。利益率も50.1パーセントと非常に高水準をキープしています。
ちょっと待ってください。ここが本当に面白いところなんですけど、部門別の数字を見ると、iPhoneが前年同期比でプラス22パーセント、Macに至ってはプラス29パーセントも伸びていますよね。
ええ、すさまじい伸びですね。
スマホもPCも。特に成熟しきったハードウェア市場なのに、今更20パーセント超えの成長ってなんか異常事態じゃないですか。これが噂のスーパーサイクルの威力ですか。
まさにその通りです。Apple Intelligence対応機種への大型買い替え需要が鮮明に数字として出た結果ですね。Mac部門でも低価格帯のMacBookやMシリーズ搭載モデルの需要が爆発しているんですよ。
なるほど。みんなこぞって最新機種に買い換えているんですね。
そうなんです。そしてハードウェアが売れればサービス部門も伸びます。こちらも前年比プラス12パーセントと過去最高でした。唯一iPadだけがマイナス6パーセントでしたが、これは前年の新モデルの反動ですね。
なるほど。地域別ではどうだったんですか?
地域別でも北米、欧州、日本はもちろんですが、懸念されていた中華圏で劇的な回復を見せたんです。プラス22パーセントですよ。
中国市場で22パーセント増。現地のブランドとの競争に打ち勝ったってことですか?
はい、そういうことです。ティム・クックCEOの最後の決算会見として、最高潮の業績でバトンを渡す形、有終の美を飾る着地となりましたね。
記録的決算なのに、なぜ株価は急落したのか
完璧な決算のはずが、株価は発表後に急落します。ホストが素朴な疑問をぶつけます。
いや、これほど完璧なモンスター決算なら、さぞかし発表直後の株価も爆上がりしたんでしょうね。
それがですね、ここが株式市場の面白いところなんですが、決算発表後の時間外取引でAppleの株価は約6パーセントも急落してしまったんです。
ちょっと待ってください。記録的な大成功の四半期で全て予想を上回ったのに、株価が下がる?私には全く理解できないんですが、なぜ投資家はこの記録的な業績に罰を与えたんですか?
それを紐解くには、次期、つまり7月から9月期のガイダンスと決算前の株価の期待値の二つを見る必要があるんです。
なるほど、教えてください。
まずガイダンスですが、次期も二桁成長を維持できるという強気な見通しが示されました。しかし、市場が過剰に反応したのはコスト圧力と供給制約なんです。
コスト圧力?何が高くなっているんですか?
メモリ半導体ですね。DRAMやNANDの価格が高騰しているんです。これは世界的なAIブームの影響です。
ちょっと素朴な疑問なんですが、なぜAIがブームになるとAppleが使うようなメモリの価格まで上がるんですか?
それはですね、今、世界中のデータセンターがAIサーバーを作るために高性能なメモリを奪い合っている状態だからです。需要が急激に増えて、市場全体のメモリ価格が押し上げられてしまっているんですよ。
なるほど。巨大なテック企業がAIのためにメモリを買い占めているから、巡り巡ってiPhoneに組み込むためのメモリの仕入れ価格まで上がっちゃってるんだ。
その通りです。そのため、次期の総利益率の見通しがやや慎重なものになりました。また、MacBookやiPhoneなどの需要がAppleの生産能力を完全に超えてしまっていて、需要に応えきれていない状態にあることも懸念されました。
作りたくても作れない状態なんですね。でも、決算発表直前の7月27日って、株価は史上最高値の340ドル台、時価総額も5兆ドル台という異常な数字を叩き出していましたよね。
そうですね。歴史的な高値でした。
これって要するに期待値のハードルがエベレスト級に高くなりすぎていて、好決算を出して当たり前。ちょっとでもコスト上昇みたいな懸念材料があれば、とりあえず利益確定しておこうという典型的な好材料出つくしってやつじゃないですか。
まさにその通りです。歴史的な高バリュエーション、つまり株価指標が割高な水準に達していたため、わずかな利益率の警戒感でも売りが膨らみやすかったんです。
なるほどなぁ。
なので、事業の不振ではなくて、株価の一時的な冷却期間ですね。ファンダメンタルズ、つまり基礎的条件は依然として非常に強固なままですよ。
安心しました。Appleの稼ぐ力が落ちたわけじゃないんですね。
ジョン・ターナス新体制はどこへ向かうのか
話題は、9月1日から始まる新CEOジョン・ターナス体制のAppleへ移ります。
さて、その強固な地盤が確認された今月一日からいよいよバトンを受け継ぐジョン・ターナス新体制のAppleはこれからどこへ向かうのでしょうか。クックCEOの時代とは何が変わるんでしょうか。
非常に大きな戦略の転換になりますね。ティム・クック時代のAppleはサプライチェーン主導の量的拡大でした。
オペレーションの天才ですもんね。
ええ、それに対してジョン・ターナス新体制は、プロダクトとシリコン主導の質的革新への転換だと言えます。ターナス氏はハードウェアエンジニアですからね。
ああ、なるほど。
さらに、自社チップであるAppleシリコンの開発をリードしてきたジョニー・スルージ氏が最高ハードウェア責任者に就任しました。
ということは、ハードウェアの設計と中身のチップの開発が今まで以上にかっちり連携するわけですよね。
ええ、そういうことです。
クック時代後半って、少しハードウェア自体の進化がおとなしかった印象もありますが、折りたたみ型iPhoneとか次世代XRとか、誰も見たことのないようなやばい新製品のラッシュが期待できるってことですか?
まさにそこが狙いなんです。自社チップの強みを極限まで活用した製品デザインのフルモデルチェンジがこれから加速するはずです。
おお、それは楽しみですね。
同時に、他社のAIモデルを取り込む軽資産AI戦略で高い利益率を維持して、二十億台のデバイス基盤を活用していく。買い替え需要のスーパーサイクルから高利益なサービス部門へとユーザーを囲い込む強固なビジネスモデルをさらに強化する構想ですね。
なるほど。でも経営や外交面はどうなるんですか?
そこも抜かりありません。クック氏も完全引退ではなく、執行会長として残ります。彼が政治や外交をバックアップするため、ターナス氏は技術と製品開発に全振りできる完璧な布陣になっているんですよ。
いやー、完璧ですね。クックCEOが築き上げた完璧なビジネスの土台の上で、エンジニアたちが再び製品の革新で暴れまわる。これからのApple、めちゃくちゃ楽しみになってきましたね。
サプライチェーン主導の量的拡大。オペレーションの強みで規模を伸ばす
プロダクトとシリコン主導の質的革新。自社チップを活かした製品のフルモデルチェンジを加速
AIが生活に溶け込む日
最後に、解説者はAppleのデバイスを通じてAIが日常に入り込む未来を投げかけます。
ここで皆さん少し想像してみてください。Appleの二十億台のデバイスを通じて、AIが単なるウェブ上のチャット画面から私たちのポケットの中、さらには生活のあらゆる場面に溶け込んだ時、私たちの日常の当たり前はどう変わるのでしょうか。
うわぁ、それすごいですね。
ええ、ぜひご自身でも考えてみてください。
AIが特別なツールじゃなくて、生活の一部になる日、投資の視点を抜きにしても、これからの私たちの日常がどう変わっていくのか、ワクワクします。さて、そろそろお別れの時間ですが、米国株投資の耳寄りの話のYouTubeチャンネルへのご登録、ぜひよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
取り上げてほしい銘柄や番組の感想があれば、ぜひコメント欄へ投稿してくださいね。全部楽しみに読んでいます。この配信はバックグラウンド再生が可能なSpotifyやApple Podcastでも配信していますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
これからも市場の動きを紐解く深い洞察をお届けしていきます。
それでは次回も、お耳を拝借!
まとめ
Appleの2026年第3四半期決算は、全部門・全地域で二桁成長を遂げた過去最高のモンスター決算でした。巨額のAI投資を避けたライトアセット戦略が、AI投資の回収に警戒する市場から高く評価された一方、記録的な業績にもかかわらず株価は急落しました。その背景には、メモリ価格高騰によるコスト圧力と、決算前にすでに歴史的な高値まで買われていた期待値の高さがあります。9月からのジョン・ターナス新体制では、サプライチェーン主導からプロダクトとシリコン主導の革新へと戦略の転換が進みます。
- Appleは巨額AI投資を避けるライトアセット戦略で、リスクを抑えつつ利益を総取りする側に回った
- 4〜6月期はiPhone・Mac・中華圏がいずれも二桁成長し、過去最高のモンスター決算となった
- 好決算でも株価が急落したのは、事業の不振ではなくメモリ価格高騰と過度に高まった期待値による一時的な調整
- 新CEOジョン・ターナス体制では、量的拡大から自社チップを活かした製品の質的革新へ舵を切る
