オーストラリアから届いた質問
今回は、オーストラリア在住のリスナー・ミタローさんから届いた質問がテーマです。
ミタローさんはオーストラリアで魚にワクチン注射をする仕事をしており、住んでいる地域で寿司や刺身を広めているといいます。
自分の住んでいるところではマグロの赤身がロインで手に入るのですが、筋がかなり多くて食べづらいです。残った筋がちょっともったいなく思っています。マグロの筋を生かした食べ方、また魚の普段使わない部分を使ったレシピがあれば紹介してほしいです。
かにへーは、リスナーのスペックの高さに驚きつつ、質問を受け止めます。
どうやったらオーストラリアで魚にワクチン注射する仕事に就けるのか、全然わからない。
ただ、2人とも最近は毎日魚を料理しているわけではないため、無責任には答えられないと考えました。
ちょっと無責任にあんまり適当に答えられないなと思いまして。魚食に我々よりも詳しい方にコメントをいただいたので、読み上げていきたいと思います。
リスナー・カツオさんの甘辛煮と血合いフライ
まず1人目は、前回話題に出たLINEオープンチャットで返信をくれたカツオさんのアイデアです。
マグロの筋はプリッとした歯ごたえがあるため、生姜と合わせて甘辛く炊くと、お酒のアテにもご飯のおかずにも合うとのこと。
さらに、捨てられがちな血合いの部分をフライにしてタルタルで食べる方法も紹介されました。下処理として血を洗い流したあと、牛乳に1時間ほど浸すと臭みがかなり軽減するといいます。
この牛乳に浸す下処理について、なおたこは過去の経験を振り返ります。
フレンチの技法ですよね。北海道の脂がないブリとかでやってもらったことがあって、臭みも取れるし、魚自体もちょっと美味しく感じるようになる気がする。
一方で、家庭や飲食店の現場で取り入れるにはハードルもあると話します。
家でやるには馴染みがなくて。飲食店にレシピとして試してもらったけど、なかなかラインにできなくて、残念な仕上がりのブリでした。
筋を生姜と甘辛く炊く方法については、角煮のようなイメージで間違いなさそうだと2人はうなずきました。
ナユタコス店長のスペアリブ風とゆでポン酢
2人目は、東京・西小山でフィッシュアンドタコスの店を営むナユタコス店長のハギノさんからのアイデアです。
ナユタコスでは、マグロの血合いを新鮮なうちに血抜きし、スパイスを効かせた醤油ベースのタレに漬けて焼き、骨付きスペアリブのように提供したり、ほぐしてタコスの具にしているそうです。
また、刺身用に引いた皮を茹でてポン酢で食べる方法も好きだといいます。石鯛やマグロなど皮の強い魚で特においしいとのこと。
肝心の筋の活用法についても、具体的な提案が寄せられました。
肉のスジと比べて加熱するとすぐゼラチン質が柔らかくなるため、軽く加熱して食べるのがいいかと思います。多少脂があるマグロならネギマ鍋が鉄板。
赤身の筋については、皮と同じように一度茹でて氷水で粗熱を取り、塩ごま油に少しニンニクを入れたもので和える案や、下茹でして細かく切り、ニラなどの香味野菜と炒める案が示されました。
ハギノさんは、実際の筋の写真があればより詳しくレシピを考えられるかもしれないと添えています。
かにへーとなおたこは、写真を番組やオープンチャットに送ってもらえれば、さらに多くのアイデアが集まるかもしれないと呼びかけました。
なかでも、以前2人が実際に食べたマグロのスペアリブが強く印象に残っているようです。
サルサベルデというか、緑のソースかけて出てきた。あれめちゃくちゃうまかったですね。
オーストラリアだったら、その食べ方すぐ受けそうじゃないですか。バーベキューとかで持っていったら、マグロこんなので食べれんのかよって、結構ヒーローになりそう。
木場「いっすい」のネギマ鍋
話題は、筋を使った料理の定番であるネギマ鍋へと移ります。
かにへーは、都内でおいしいネギマ鍋を出す店をなかなか思い出せずにいましたが、話しながら記憶をたどります。
なおたこも、以前マグロ商社の人に連れて行ってもらった築地の店のネギマ鍋がとても美味しかったと振り返りました。
なおたこは本業でネギマ鍋の商品化にも関わっており、意外な販売の難しさも明かします。
お刺身用のマグロを鍋にするのはもったいないと思う人もいるみたいで。試食会で会社で出すとすごく評判いいんだけど、意外と売れづらい。
そして、かにへーがようやく店名を思い出します。木場にある「いっすい」という店でした。
100年以上の歴史を持つ老舗で、ネギマ鍋が名物。かにへーの記憶では、本マグロではなく南マグロのトロを使っていたようだといいます。
オーストラリアで手に入るマグロが南マグロである可能性もあり、ミタローさんの環境にも合いそうだと2人は話しました。
大将が昔話を語ってくれて、食べて楽しい、聞いてて楽しいお店です。
大将の話は長ければ長いほどいいからね。
なおたこ発、マグロ筋のハンバーグ
最後に、なおたこ自身が開発現場で手がけた活用法が語られます。マグロの筋を使ったハンバーグです。
肉の筋よりゼラチンになる温度が低い性質を生かし、少し加熱して刻んだ筋を、豚肉の脂を加えたマグロのミンチに混ぜて焼くのだといいます。
マグロのミンチにちょっと豚肉の脂とかを入れて、筋を切って少し火を通したものを入れて焼くと、ちょっとトロトロになる。
加工現場では筋は機械で外され、捨てられるものです。それを活用すれば歩留まりも上がり、ゼラチンでテクスチャーも良くなると話します。
筋ってめちゃくちゃ機械で外せるし、捨てるものだから、工場の歩留まりも上がるし、ゼラチンになればテクスチャーも良くなる。難易度はあったけど、やったら面白かった。
玉ねぎやナツメグ、コショウを加えて肉のハンバーグに寄せると良く、牛肉を混ぜても面白いというアイデアも出ました。
ちょっと牛とか入れてもいいかもしれない。フィッシュコラーゲン入り。
かにへーは、開発に携わる人ならではの知識に感心しきりでした。
さすが、やっぱ違うわ。開発してる人の知識が。深いっすわ、たかさん。
家で試したくなる筋アレンジ
一連のアイデアを聞いて、なおたこは久しぶりに自分でマグロを料理してみたくなったと話します。
筋のある切り落としやブツを買い、ネギマ鍋やしゃぶしゃぶにしたり、すき焼きのタレや白だしで煮たりと、試したいメニューが次々に挙がりました。
なかでもかにへーが提案したのが、すき焼き風の焼き方です。
すき焼きって一番最初にネギをじっくり油で炒めて、それから牛肉を焼いてタレを絡めるじゃん。あれを筋でやったら美味そうよね。
鍋のように汁で煮るのではなく、甘辛いタレで焼く方法に、なおたこも同意します。
ねぎま鍋みたいにグツグツ汁で煮るんじゃなくて、甘辛いタレで焼いて。それ美味いんじゃない?
一方で、赤身がロインで手に入る環境自体が実は羨ましいと、なおたこは付け加えました。
赤身がロインで手に入るのが、結構実はあんまりなかったりする。羨ましいなと思いますね。
まとめ
余りがちなマグロの赤身の筋は、加熱でゼラチン質が柔らかくなる性質を生かせば、多彩な料理に変えられます。海外のリスナーの質問をきっかけに、プロたちの具体的なアイデアが集まった回でした。
- マグロの筋は加熱するとすぐゼラチン質が柔らかくなるため、軽く火を通す料理が向く。
- 筋は生姜と甘辛く炊く、塩ごま油とニンニクで和える、香味野菜と炒めるなどの活用法がある。
- 血合いは水と牛乳で下処理してフライにする方法や、スパイス漬けでスペアリブ風に焼く方法がある。
- ネギマ鍋のほか、すき焼き風に焼く、豚脂を加えたハンバーグにするといったアレンジも紹介された。
- 筋のある切り落としやブツを買えば、家庭でもネギマ鍋やしゃぶしゃぶなどで手軽に試せる。
