写真1枚で解決する「ショッピングモード」
冒頭、けんすうは自分のAI活用術を話す前提として、田中渓に普段どう使っているかを尋ねます。
抽象化した言い方でいうと、リサーチとまとめと、あと音声入力の用途でしか使えてないんで。後のことはほとんど使えてない。
そこでけんすうがまず挙げたのが、ChatGPTのショッピングモードです。家の中の写真を撮って「ここに合う収納が欲しい」「この電子ケトルの横にコーヒーを置きたい」と聞くと、具体的な製品を提案してくれると言います。
けんすうがこの機能を評価するのは、検索ワードがわからないものにこそ強いからです。
収納とかキッチン収納とかでやっちゃうけど全然違う。写真でやると、こういうのがありますとか、こういう課題にはこういう解決がありますとか、提案してくれる。
具体例として、風呂場の蛇口の水垢にはクエン酸がいいが粉だと面倒、という悩みを挙げます。すると激落ちくんのシート状の商品を提案され、クエン酸入りと重曹入りが別売りだと教えられて購入した、と話します。
田中渓はこの話に、名前のないものをGoogleで探し当てる自分の得意技が奪われた、と反応します。
名前のついてないものを検索するのが、Googleに聞くのがすっごい自信ある人だったんですよ。それがもはや代替されてしまった。
断線した15年前のブレンダー、互換性を写真で確認
話は、ブラウザ上で見ているページについてそのまま質問できる使い方に移ります。けんすうは、USBケーブルや機器の互換性がわからないときに聞きまくっていると言います。
例として、iPad Miniの画像をARグラスに映したいが専用モードが必要で、買ってから繋がらないと気づいた失敗を挙げ、事前に対応しているか聞けるのが便利だと話します。
これに田中渓は、まさに当日起きた出来事を重ねます。生クリームを泡立てるために多用していたブラウンのブレンダー本体が、使いすぎて火花が出て断線したというのです。
本体だけを買いたいんだが、これが本当に接続されるんだろうかっていうのはすごく気になって。先っぽ側の型番を調べに行って、ブラウンのページをめちゃくちゃ見に行ってやってました。
けんすうは、写真を撮って「これでいけますか」と聞けば済むと応じます。今まで型番を自力で調べていた作業がなくなるのは大きい、という点で二人の見方は一致します。
全自動で資料をつくる「Genspark」
続いてけんすうが多用しているのが、Gensparkです。調べた情報をもとに、比較表の形まで一気に作ってくれると言います。
各国のポッドキャストプレイヤーを調べさせ、機能をマトリックスにマッピングし、「プレイヤーを作るならこの優先順位で」という提案まで資料の形で出てきたと紹介します。
調べてもらった情報をもとにさらにマッピングして、どの機能がついていがちかとか、Spotifyに勝ってるプレイヤーはこういう機能つけてるみたいなのを、マトリックスみたいな感じでマッピングしてくれる。
田中渓が、GensparkだけでリサーチとしてChatGPTに劣らないのかと尋ねると、けんすうは十分だと答えます。裏側でGPTのディープリサーチやGeminiを切り替えて使い、Gensparkだけが持つデータも入っているため、精度が高い場合もあると説明します。
さらに、スライドだけでなくスプレッドシートも得意で、事業計画を数字入りのテンプレートで作ってくれると話します。ただし現時点では関数でつながった状態ではなく、数字が入った状態が中心だと補足します。
ディープリサーチでまとめ、それを資料化する手順を踏む必要がある
調べる・まとめる・整理・資料化までを一括で処理し、画像生成も含めて資料化する
フォント判別からクローンまで、自作ツールと自己学習
けんすうは、Chromeの拡張機能を自分のために作る使い方も勧めます。選択した部分のフォントを教えてくれるツールが欲しかったが既製品になかったため、AIにコードを書かせて自作したと言います。
マニアックでそんなに使う人いない系のものって今まではできなかったが、自分でもうプログラム書いちゃえばいいじゃんっていうのができるのはいい。
ブラウザのデベロッパーモードにすれば、自作の拡張を自分だけで動かせるため、プログラムの知識がない人でも作れるレベルだと説明します。判別したフォントは、AIにサイトを作らせるときの指示に使っているそうです。
話題は、自分自身をAIにどう学習させるかに移ります。田中渓は、自分のクローンのようなものが欲しいが、自分のデータが十分に学ばれているのかわからないと相談します。
自分と彼との壁打ちの中で、予想される質問と僕が回答しそうなことをドラフトしてよとかって言いたいんだけれども、まだだいぶ僕には遠いなと思ってる。
けんすうの答えは、個別の知識を覚えさせるより、自分の思考パターンを一度抽象化することでした。自分の記事や回答を送り、どう考えているかをAIに構造化してもらう作業を繰り返したと言います。
まずみんなが普通に思ってそうなことを言って、その後にちょっとだけずらして、でも実は逆なんですみたいなことを言って、それの理由を説明していく。それを定義としてプロンプトに入れて考えてもらうと大体合います。
この抽象化の成果として、取材の質問票を入れると自分が言いそうな回答が出るようになり、直近3回の取材はすべてそれで早く終わったと話します。
読んだ本を忘れないための引用整理術
話は、大量に読む本の内容をどう引き出しているかに移ります。田中渓は、本を読む端から忘れてしまい、紙の本に付けた折り目も後で探せないと悩みを語ります。
けんすうの方法は、Kindleのハイライトを起点にしたものでした。ハイライトした箇所をノートアプリのObsidianに取り込み、そのファイルをAIエディターから参照させて引用を探させると言います。
紙の本しか読まない田中渓には、けんすうは2つの選択肢を挙げます。1つは写真を撮ってChatGPTに文字起こしさせ、メモリで覚えさせる方法です。
もう1つは、本を送るとPDF化してくれるブックスキャンというサービスです。読んだ本のメモごとスキャンでき、OCRで検索やAIへの読み込みもできると説明します。
情報のソースを「イケてるもの」にする
田中渓が印象に残ったものとして挙げたのが、けんすうのニューヨーク旅行のプラン作りでした。Geminiが距離感まで含めた回り方を出し、Googleマップで予約可否や評価まで見て計画できたと言います。
ここで田中渓は、AIに旅行プランを出させると初心者向けのありふれた内容になるのでは、と疑問を投げます。
けんすうの答えは、中に何を入れるかで結果が変わるというものでした。ニューヨークをおすすめする有名なYouTuberを5人ほど探させ、その動画を文字起こししたデータを入れた上でプランを作らせたと言います。
情報のソースをちゃんとイケてるやつにした。旅行ブロガーとかが多いので。
一方、リッチな見た目の旅行ガイドブックをPDFでスキャンして入れても、データをうまく取れず、あまり良くなかったと補足します。英語の動画なら意味がわからなくてもデータとして使えると言います。
田中渓も同じ発想を経済情報で実践していました。アメリカでイケている経済系YouTuberを調べさせ、その文字起こしから新鮮な情報を取ってくるという方法です。
田中渓が、けんすうのひねった使い方の発想はどこから来るのかと尋ねると、けんすうは人に仕事を頼む感覚になれるかが重要だと答えます。
ニューヨーク旅行行ったことない人にガイド作ってって言ってもダメそうじゃないですか。でもこのYouTuber見て調べてって言ったら行けそうみたいな。その感覚に近いです。
投資でのAI活用と、IRの「書いていないこと」
続いて、投資での使い方に話が及びます。田中渓は、投資判断そのものには決して使わないが、情報収集には多用すると言います。
従来は官公庁のレポートや権威ある不動産レポートに情報が限られていたのに対し、そのグローバル版や海外の反論まで集めさせることで、精度の高い、これまでにない視点が得られるようになったと話します。
株のスクリーニングでも、証券会社のツールはボタンが多すぎて思考停止になりがちだが、AIに指標選びを任せていると言います。
優秀なアナリストが選んでる指標をとりあえず3つ選んでみて、というのでもいいですし、いろんな投資家の成功パターンがあるから、そのパターンが選ぶ指標を選んでみて、というのにして雑なスクリーニングをさせる。
その上で、上がってきた50銘柄から面白そうなものを自分の目で一次情報を確認する、という使い分けを紹介します。
けんすうは、IR資料の使い方で独自の工夫を挙げます。IRで言っていることではなく、言っていないことを探させるというものです。
言ってることは読めばわかるが、言ってないことっていろんな観点が必要なんで。これ言ってないよね、AIについては言ってないよねとかがわかると結構参考になる。
この時代にAIに触れていないのは隠し玉があるからむしろ良いのか、本当にやっていないから避けるべきか、という判断材料になりうると二人は話します。
AI時代に人間に残るスキルとは
最後に、AI時代に人間へ求められるスキルという定番の問いを、けんすうが田中渓に投げかけます。田中渓の答えは物語力でした。
個人の時代になり、同じ内容を多くの人が発信するなかで、誰の語り口で聞きたいか、どの分野の専門家が言うかに価値が残っていると話します。
ちょっと異常なまでにこだわってる、その異常性に人間ってすごく惹かれるじゃないですか。それは合理性と正解だけを求めたAIには宿らないもの。
けんすうも、AIは平均的に一番いいものを出すため、飛び抜けた人の尖った意見のほうが魅力的になると応じます。
その例として健康の話が挙がります。「健康になりたい」と聞けばAIは運動・栄養・睡眠と答えるが、「3時45分に起きたほうがいい」という尖った主張はAIからは出てこず、だからこそ聞いてみたくなる、と2人は笑います。
まとめ
この回は、AIを「何をやらせるか」より「何を入れるか」で使いこなす、という視点が一貫していました。買い物から投資、自己クローン化まで、けんすうの具体的な工夫が並びます。
- ChatGPTのショッピングモードや互換性チェックは、検索ワードがわからないものにこそ強い
- Gensparkはリサーチから資料化までを一括で行い、比較表や事業計画のたたき台まで作れる
- 自分をAIに学ばせるには、個別知識より思考パターンを抽象化してプロンプト化するのが有効
- 旅行や経済情報では、情報ソースを一流のYouTuberなどに絞ることで凡庸な出力を避けられる
- AI時代に残る価値は、平均的な正解ではなく、物語力や限界突破した尖った個性にある







