毎朝3時45分起床を6年継続する男が語る、早起きの「本当の理由」
毎朝3時45分に起きて25km走る——そんな「限界突破」な生活を6年間続けている田中渓さんと、けんすうさんが早起きの技術について語り合った限界突破ライフハックの初回エピソード。「3時45分」という数字に込められた意図、意志の力に頼らない習慣化の仕組み、そして誰でも取り入れられる睡眠環境の整え方まで、早起きに挫折してきた人にこそ届けたい内容をまとめます。
「3時45分」という時刻設定の深い理由
田中渓さんは毎朝3時45分に起きる生活を6年間続けています。なぜ「3時45分」なのか——そこには単なる早起きを超えた、綿密な設計がありました。
最初は6時起きから始めて、5分ずつ早めていった結果、3時台にたどり着いたそうです。そして3時台には「時空が歪んでいる」感覚があると田中さんは言います。
3時っていう世界はちょっと時空が歪んでるなって。まだ世の中の多くの人はまだ起きてる時間。でも僕にとってはもう朝起きてる。この歪み方にすごいよくわからない快感を覚えてしまって。
3時半より前だと「前日感」が出てしまい、4時だと普通の早起きに近い。その中間である3時45分は、数字の並びも良く(3・4・5のゴロ)、さらにスヌーズを2回失敗しても「まだ4時前」というバッファがあるという計算です。
一方、けんすうさんは6時10分起き。しかしその理由は田中さんとは真逆でした。
6時だと早くて嫌な気持ちになっちゃうけど、6時10分ぐらいだとそんなに早起きしてる感がない。6時ちょうどだとダメなんですよ。
田中さんは「早起きの優越感」を楽しみ、けんすうさんは「健康的に起きれてる範囲」を重視する——同じ早起きでも、動機は正反対だったのです。
二度寝を防ぐ「サプリ作戦」と作業興奮
早起きの最大の敵は、目が覚めた瞬間の「もう一回寝たい」という欲求です。田中さんはこれを「環境設計」と「脳のハック」で乗り越えています。
まず、ベッドの横にランニング用の服、水、サプリをすべて置いておきます。目が覚めたらそれを手に取り、飲んでしまう。すると「飲んじゃったから寝たらもったいない」という状態が生まれます。
そして重要なのが作業興奮心理学用語。作業を始めると、脳内でドーパミンが分泌され、やる気が後から湧いてくる現象。「5分やれば惰性で続く」という法則はこれに基づいている。という概念です。田中さんはこう説明します。
5分やれば絶対その後また惰性でいける。脳の仕組みって現状を維持したい現状維持バイアスがあるんで、ゆっくり歩き出すとそっちが次の現状になる。今度止めたくなくなるんですよね。
片付けを始めたら気づいたら2時間やっていた、という経験がある人は多いはずです。それと同じ原理を、早起きに応用しているわけです。
音より振動——スマートウォッチで起きる技術
目覚まし時計の音には慣れてしまい、起きられなくなる——これは多くの人が経験していることです。田中さんもけんすうさんも、現在はスマートウォッチの振動Apple WatchやFitbitなどのスマートウォッチには、指定時刻に手首を振動させるアラーム機能がある。音と違い、振動は慣れにくく、確実に起きられるという声が多い。で起きています。
人間って結構目覚まし時計で起きなかったりするんですよ。どんな大きな音でも。意外と惰性で慣れてっちゃうと音なってても起きないんだけど、振動は起きるんですよ。
田中さんは大学時代、マットレス全体を振動させる「ブルブルマット」を開発しようとまで考えたそうです。街頭インタビューまで行い、需要を調査したものの、結局商品化には至らなかったとのこと。しかし、その発想の根底にあるのは「音では起きられない」という経験則でした。
慣れてしまい、起きられなくなる。大音量でも惰性で無視してしまう。
慣れにくく、確実に起きられる。家族を起こさずに済む利点もある。
けんすうさんも「スマートウォッチつけて寝ましょうは本当に早起きに関して言うとすごく優秀ですね」と賛同しています。音の目覚ましを使っている人は、まずこれを試してみる価値がありそうです。
意志の力は当てにならない
田中さんは外資系企業に17年勤めていましたが、英語学習には23回挫折したそうです。毎年1月1日に「今年こそは英語を頑張る」と決意し、2月2日には挫折する——これを繰り返してきたといいます。
意志の力ほど当てにならないものないので。意志とかやめましょう。ストイックとか違うよって話。
では、なぜ早起きは続けられたのか。それは「やらないほうがめんどくさい」状態を作ったからです。けんすうさんも同じ考え方を持っています。
朝8時から配信しなきゃいけないってなると、もうルーティン壊したり休むことになる。休むのがめんどくさくなるようになってる。Xでお知らせして、待ってる人に伝えなきゃいけなくて、それはそれでめんどくさいなと思うと、この天秤でよりめんどくさくなってる方が習慣続くと思って。
田中さんは、AIを使いこなす安野たかひろエンジニア・起業家。チーム未来のメンバーとしても知られ、AIを活用した政治活動でも注目を集めている。「怠惰は美徳」というエンジニア文化を体現する人物の一人。さんの言葉を引用しました。「ものすごい怠惰な人間なんです。だからAIみたいな、ドラえもんみたいなものの力を借りてじゃなきゃ、自分みたいなのび太くんみたいなやつはダメ。それをただ使いこなす」という発言です。
エンジニアの世界では「怠惰は美徳」とされます。努力しないで何でもできる状態を作ることが最もかっこいい——そういう価値観です。早起きも同じで、意志の力で続けるのではなく、続けざるを得ない仕組みを作ることが重要なのです。
睡眠環境を一つずつ整える
早起きするためには、睡眠の質を上げることも欠かせません。田中さんが重視しているのは、環境を一つずつ改善していくことです。
田中さん自身は耳栓やアイマスクは使っていないそうですが、多くの人が効果を感じているため、試す価値はあるとのこと。重要なのは、すべてを一度に変えるのではなく、一つずつ試してABテストをすることです。
結局ね、ダイエットも何でもそうですけど、レコーディング最強説あるんで。現状を知って、パジャマ変えたらちょっと良くなったとか、枕変えたら良くなったっていうABテストをやって、それで理想の状態に近づいていく。
スマートウォッチで睡眠スコアを計測し、一つ変えてみて、スコアが上がるか確認する。これを繰り返すことで、自分にとって最適な睡眠環境が見つかります。
けんすうさんは、脳波で睡眠を計測するサービスも試したそうですが、「脳波つけてると寝れない」ことが分かったとのこと。測定自体が睡眠の質を下げてしまっては本末転倒なので、スマートウォッチのような非侵襲的な方法がやはり現実的なようです。
また、レム睡眠とノンレム睡眠睡眠には浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)の2種類があり、約90分周期で繰り返される。レム睡眠のタイミングで起きると目覚めが良いとされるが、個人差が大きい。のサイクルに合わせて起きるという方法も知られていますが、田中さんの場合はスポーツ心臓長期間の激しい運動により、心臓が適応して安静時の心拍数が低くなった状態。一般成人の安静時心拍数は60〜70回/分だが、田中さんは40回/分程度まで下がっている。これにより睡眠周期が不規則になることがある。の影響で周期が不規則なため、この方法はうまくいかなかったそうです。すべての人に当てはまる万能な方法はなく、自分に合ったやり方を見つけることが大切です。
まとめ
田中渓さんの早起きには、「3時45分」という時刻設定から、二度寝を防ぐ環境設計、意志の力に頼らない仕組みまで、綿密な戦略がありました。けんすうさんとの対話を通じて見えてきたのは、早起きは「気合い」ではなく「設計」だということです。
サプリを飲んでしまう、スマートウォッチの振動で起きる、作業興奮を利用する、睡眠環境を一つずつ整える——どれも誰にでも試せる方法です。そして何より重要なのは、「やらないほうがめんどくさい」状態を作ること。意志の力は当てにならないからこそ、続けざるを得ない仕組みを作る。これが限界突破ライフハックの本質なのかもしれません。
- 「3時45分」という時刻設定には、優越感とバッファという2つの意図がある
- 二度寝を防ぐには、ベッドの横にサプリを置いて飲んでしまう「サプリ作戦」が有効
- 作業興奮の原理を使い、5分ゆっくり始めれば惰性で続けられる
- 目覚ましは音より振動——スマートウォッチが最適解
- 意志の力は当てにならない。「やらないほうがめんどくさい」状態を作ることが習慣化の鍵
- 睡眠環境は一つずつ改善し、スマートウォッチでABテストを行う
