基本、空腹の状態だと楽しい。幸福度を最大化する「あえて食べない」戦略
パーソナリティの井上宏基株式会社ベーシックの執行役員などを務めるビジネスパーソン。40歳を機に、人生を楽しむための習慣を発信している。さんが、日々の生活を豊かにするヒントを届ける「40歳楽しいラジオ」。第7回となる今回のテーマは、意外にも「空腹」だという。
「お腹が減っていると楽しい」という、一見するとストイックにも聞こえるこの持論。しかしその裏側には、現代人が陥りがちな飽食食べ物が豊富にあり、いつでも好きなだけ食べられる状態のこと。の罠と、食事の喜びを最大化するための計算された戦略があった。その内容をまとめます。
現代人は「食べすぎ」ではないか?
井上さんは、まず現代人の食生活に対して一つの仮説を投げかける。それは「みんな、ちょっと食べすぎなんじゃないか」ということだ。
朝食をしっかり食べ、お昼には牛丼吉野家や松屋などで提供される、安価でボリュームのある定番のランチメニュー。やラーメンをがっつり。夜は夜で家族や友人と豪華な食事を楽しみ、その合間にはスナック菓子ポテトチップスなどの軽食。ついつい手が伸びてしまう間食の代表格。をつまむ。こうした「3食+間食」というスタイルは一般的だが、井上さんは「そんなに毎食しっかり食べなくても、体は意外と大丈夫なはずだ」と語る。
12時だからお昼を食べようとか、夜ご飯の時間だからいつものように食べようとか。時間に合わせて食べている人が多いんじゃないでしょうか。
空腹をしっかり味わわないまま、次の食事がやってくる。それは、本来得られるはずの「美味しさ」という感動を、自ら手放してしまっているようなものかもしれない。井上さんによれば、あえて空腹の時間を作ることは、最もコスパコストパフォーマンスの略。ここでは「少ない労力やお金で大きな満足感を得ること」を指す。良く人生を楽しくする方法なのだという。
井上流・空腹を楽しむ1日のルーティン
では、具体的にどのような食生活を送れば「空腹の楽しさ」を享受できるのか。井上さんは自身の驚くべきルーティン日課として決まった手順で繰り返される行動。を明かしてくれた。
朝食後は仕事をこなし、毎朝8kmのランニング井上さんが習慣にしている有酸素運動。約40分〜1時間程度の運動量。を行う。午前11時頃には再び猛烈な空腹に襲われるが、ここで食べるお昼ご飯もまた、極めてシンプルだ。
この3年間、お昼はずっと「納豆卵かけご飯」です。飽きないかって? 海苔の佃煮とか、ふりかけでちょっと味変すれば全然いけますよ。
お茶碗一杯分の納豆卵かけご飯日本の国民食的なスピードメニュー。タンパク質が豊富で栄養バランスも良い。。一般的ビジネスパーソンのランチとしては控えめな量だ。だからこそ、仕事終わりの19時には再び「何でもいいから早く食べたい!」という最高の空腹状態が完成する。
高級店より、空腹の「サイゼリヤ」
この「空腹戦略」を極めると、外食の楽しみ方も変わってくるようだ。井上さんは、1年に数回行くか行かないかの1人2万円するような高級店よりも、お腹を空かせて行くサイゼリヤ安価で高品質なイタリア料理を提供する大手ファミリーレストラン。やはま寿司全国展開する人気の回転寿司チェーン。の方が、幸福度が高い場合があると断言する。
雰囲気や素材は良いが、期待値も高く、一口の感動は意外と薄いことも。コスパは低い。
「空腹」という最高の調味料により、安価なメニューが至高の馳走に化ける。幸福度最大。
もちろん、繊細な味がわかるグルメ食通。味の良し悪しを厳しく判断できる人。であれば話は別かもしれない。しかし、多くの人にとって、空腹こそが食事を「イベント化」し、満足度を底上げする最強のスパイスになるのは間違いなさそうだ。
ビールが最初の一口だけ「神」である理由
この現象を裏付ける、面白い経済学の概念がある。それが限界効用逓減の法則(げんかいこうようていげんのほうそく) 経済学用語。消費量が増えるにつれて、新たに追加される1単位から得られる満足度が減っていく現象。だ。
めちゃくちゃ喉が渇いている時の「1杯目のビール」って最高ですよね。でも、2杯目、3杯目になると、同じビールなのに1杯目ほどの感動はなくなっていく。これがこの法則です。
食事も全く同じだという。常にお腹がいっぱいの状態では、どんなご馳走も「2杯目のビール」のように、感動が薄れた状態でスタートしてしまう。あえて自分を枯渇させ、我慢した後の「最初の一口」にフォーカスすることで、日常の何気ない食事が爆発的な快楽に変わるのだ。
- 美味しさの最大化 ── 毎食が「人生で一番美味しい」レベルになる。
- コスパの向上 ── 安価な食事でも高い満足感が得られる。
- メリハリの誕生 ── 食事が「ただの習慣」から「楽しみなイベント」に変わる。
というわけで
井上さんは、いきなり過度な食事制限をする必要はないと語る。まずは「ランチを少し軽くしてみる」あるいは「夕食前の間食を一切やめて、猛烈にお腹を空かせてから食卓につく」といった、小さな実験から始めてみるのがおすすめだという。
「いつものご飯が、なぜか今日だけは飛び切り美味しい」。そんな発見が、忙しい40代の毎日をちょっとだけ楽しくしてくれるのかもしれません。