収録スタイルの変化と気づき
井上さんは4回目の収録を迎え、配信に慣れてきた一方で、新たな課題にも気づいたそうです。当初は台本をしっかり書いて読むスタイルでしたが、3回目から最低限のメモだけにして自由に話す形に切り替えました。
知り合いからは「自然になった」と好評だったものの、編集時に驚きの発見がありました。フィラー話の間をつなぐために無意識に発する「あのー」「えー」などの言葉。日本語では「えっと」「まあ」なども含まれ、会話では自然だが、録音を聞くと気になりやすい。と呼ばれる「あのー」「えー」といった言葉を、思った以上に多用していたのです。編集の手間を減らすため、今回はフィラーを減らす方法を学んでから収録に臨んだとのことです。
人は驚くほど忘れる生き物
井上さんは、多くの人が思い出や日々のログを残すことを軽視しているのではないかと感じていました。かくいう本人も、37歳頃まではスマホで写真を撮る程度で、意識的に行動や感情を記録することはなかったそうです。最近になって、その重要性に気づき、過去37年分のログがないことを深く後悔しています。
記憶について調べたところ、驚くべき事実がわかりました。受験勉強や語学学習など、意識的に覚えようとしたことでさえ、1時間で50%、24時間で70%も忘れてしまうというのです。
これは一生懸命覚えようとしたことの話です。日常の些細な行動や、その時の感情などは、ほぼ忘れ去られてしまうと考えられます。
有名人やインフルエンサーは、取材や撮影を通じて自然と記録が残ります。しかし一般の人は、意識的に残さない限り、自分の行動や感情が一切残らないことになります。大袈裟かもしれませんが、人生の大半が「なかったこと」になってしまう恐怖を感じたと井上さんは言います。
日記で感情と学びを残す
井上さんは約2年前から日記をつけ始めました。膨大な文章を書くのではなく、毎日3つの項目だけを記録しています。それが「ポジティブ」「ネガティブ」「学び」です。
ポジティブには、仕事の成功体験から、美味しかった夜ご飯、面白かった映画やアニメまで、どんな小さなことでもメモします。ネガティブは書くことが少ないそうですが、仕事のミスや家族とのコミュニケーションの失敗などを記録します。学びの欄には、ポッドキャストの内容をAIで文字起こし・要約して貼り付けたり、Xで見た参考になる投稿を残したりしています。
「マメな人しか無理」と思うかもしれませんが、紙の日記でもアプリでも構いません。最近リリースされたほぼ日手帳アプリ株式会社ほぼ日が提供する日記・手帳アプリ。糸井重里氏が主宰する「ほぼ日刊イトイ新聞」から生まれた紙の手帳「ほぼ日手帳」のデジタル版で、文章・写真・位置情報などを統合的に記録できます。は、記録を残すツールとして最高だと井上さんは絶賛します。
意識的な写真撮影の習慣
日記だけでなく、写真を撮ることも最近すごく意識しているそうです。家族で夜ご飯を食べる時、特に手巻き寿司パーティーやたこ焼きパーティーなどのイベント時は絶対に写真を撮ります。
子供の学校行事も重要な撮影ポイントです。遠足や修学旅行の日、息子さんがやっているミニバスミニバスケットボールの略。小学生を対象としたバスケットボール競技で、通常のバスケットボールよりコートやゴールの高さが低く設定されています。の大会の日など、普段と服装や持ち物が違う時は、朝学校を出る時の表情を含めて撮影します。
家族の思い出だけではありません。仕事の飲み会やご飯会でも、なるべく写真を撮るようにしています。特に久しぶりに会う人との飲み会は絶対です。
40歳で周りの友達も年齢がいってるから、お店で写真を撮るのは恥ずかしいかもしれないけど、自分は積極的に撮るようにしてます。店員さんにお願いして自分も写ることも結構やってますね。
後から飲み会の写真を見返すと、とても良い思い出になるはずだと井上さんは考えています。
ハンディカムで動画を残す
写真だけでなく、最近ハンディカムも購入したそうです。一般的にハンディカムは子供が小さい時の運動会用に買うイメージがありますが、井上さんの子供は小学6年生と中学2年生。あえて今このタイミングで買いました。
スマホでも動画は撮れますが、保存をしっかり残しておくのが難しく、テレビサイズで見た時の画質もハンディカムの方が綺麗です。旅行に行った時や、最近2匹目の犬を迎えた時など、トピックスのある日にしっかりとハンディカムで動画を残すようにしています。
手軽に撮影できる
保存・整理が難しい
画質は日常用には十分
高画質で長時間撮影
テレビで見ても綺麗
「撮る」意識が高まる
ポッドキャスト配信も、自分が楽しいと思っていることや感じていることを音声データとして残す試みです。さらに井上さんはnote文章、写真、イラスト、音楽、映像などを投稿できるクリエイター向けプラットフォーム。誰でも無料で始められ、有料記事の販売も可能です。も書いており、たまにしか更新できていないものの、昨年は電子書籍も執筆しました。自分の思考や考えをテキストデータとしても残す努力をしています。
記録は複利のように効く投資
日記、写真、動画、テキストデータ。これらを使って、毎日起きたこと、感じたこと、思っていることをなるべく残すこと。それによって、その時々の感情や行動が「なかったことにならない」ようにするのが大事だと井上さんは強調します。
ログを残した直後や1ヶ月後に見ても、ただのメモにしか思えないかもしれません。しかし、5年後、10年後に見た時、それはめちゃくちゃ面白いコンテンツになるはずです。時間が経てば経つほど、コンテンツとしての魅力が増していく。まるで複利のように効いていく。投資のような形でログを残しておくことには、大きな価値があります。
ただのメモや写真。特別な感情は薄い。
かけがえのない思い出。忘れていた感情や情景が鮮明によみがえる。
逆に言えば、今のうちから記録を残さないと、将来の5年後10年後に楽しめるかもしれないコンテンツを自分で手放していることになります。先々後悔しないように、ちょっと面倒くさいかもしれない、写真を撮る時恥ずかしいかもしれないけれど、それをやっておくことが大事なのではないか。そう井上さんは訴えます。
まとめ
人間の記憶は驚くほど早く消えていきます。意識して残さなければ、人生の大半が「なかったこと」になってしまうかもしれません。井上さんは、日記で感情と学びを記録し、写真を意識的に撮り、ハンディカムで動画を残すことで、自分の人生をアーカイブしています。
これらの記録は、今は些細なメモに見えても、時間が経つほどに価値を増していきます。複利のように効く投資として、今からログを残し始めることが、未来の自分への最高の贈り物になるはずです。
- 人間は1時間で50%、24時間で70%の記憶を忘れてしまう
- 日記で「ポジティブ・ネガティブ・学び」の3項目を毎日記録する
- 家族イベント、学校行事、飲み会など、意識的に写真を撮る習慣をつける
- ハンディカムで動画を残すことで、より鮮明な記録が可能
- 記録は時間が経つほど価値が増す「複利効果」がある
- 今ログを残さないことは、未来の楽しみを手放すことと同じ
