なぜLLMOは「胡散臭い」と感じられるのか
今回のテーマはLLMO。森野さんはまず、多くの人が抱いている率直な違和感を切り出します。
計測ツールもまだ整っておらず、成果の見えづらさもある。SEOをやってきた人ほど、その延長で見て胡散臭く感じてしまう部分があると言います。
竹内さんは、この胡散臭さの一因を「バズワードゆえの入りやすさ」に見ています。
バズワードなので手が出しやすいというか、みんなビジネス的に今やらなきゃとなって、支援会社もいろいろサービスを作っていて、有象無象の人が始めている。それが一つ胡散臭いポイントかなと感じますね。
新しいものにはどうしても動きの早い人が先に入ってくる、という話に。ただし森野さんは「LLMOで成果が出たというリリースは見ない」とも指摘します。
これに対し竹内さんは、企業名付きの成功事例を近く出す予定だと話しました。
SEOと地続き、でも同じじゃない
竹内さんはXで「SEOとLLMOは地続きだけど同じじゃない」と発信しており、森野さんはこの表現がしっくりきたと言います。世の中には「両者は一緒」という空気が多かったからこそ、あえて違うと書いたそうです。
竹内さんによれば、似ているのは「戦術のレイヤー」です。
公式サイトを検索エンジンやLLMが読み解きやすいようにしましょうとか、オウンドメディアを立ち上げてテーマ性を認識させましょうとか、第三者メディアで取り上げられてエンティティをこうこうと。そこは結構一緒なんですよね。
一方で、現場でお客さんの成果を出すために「何を、どの順番でやるか」「どんな戦略で進めるか」を考える段階になると、SEOとは大きく違ってくると言います。
SEOは、どの会社が提案しても狙うキーワードが9割一致します。検索ボリュームが見え、どれを取れば売上がどれくらいかも分かるからです。
もうなんか一位にしろってやつですもんね。大体のお客さんから来るのは。
つまりSEOでは狙う的が決まっており、戦術の強い会社が選ばれてきた、という構図です。
狙う的が見えないLLMO、鍵はマーケティング視点
ではLLMOで何を狙うのか。竹内さんは「本当に分からない」と言います。プロンプトという自然言語になったことで、人それぞれが打ちたいように打つからです。
プロンプトAIに与える指示や質問の文章。LLMOでは検索キーワードの代わりに、この自然言語の入力がユーザーごとにばらばらになる点が重要とされます。しかも、それを誰がどれくらい打っているのかはツールで見えません。
一億二千万いる日本の国民が、それぞれ有象無象に打ちたいように打つじゃないですか。誰が打ってるのかもツールで見れない。だから、何を狙っていくかからちゃんと考えなきゃいけない。
SEOなら「おすすめの冷蔵庫」という一つのキーワードの裏に何万人もいます。しかしLLMでは、対話の中で「1LDKでこのサイズ、こっち開きがいい」と各自が細かく話しかけます。
さらに、使うAIの種類、無料版か有料版か、過去の履歴によるパーソナライズまで加わり、条件は人ごとに変わります。
この整理から、竹内さんはLLMOとSEOの位置づけをこう分けます。
狙う的が決まっており、アルゴリズムを解析して何をすれば上がるかをPDCAで回す。エンジニアリングに近い領域。
やること自体はコモディティ化しやすく、何を誰のために狙うかを描く必要がある。マーケティングに近い領域。
運ゲーにしない、AIの回答プロセスから設計する
森野さんは、竹内さんが掲げる「運ゲーではなく設計できる」という言葉と、百人百キーワードという話の間にある矛盾を突きます。再現性ある設計とは具体的に何をするのか。
竹内さんの答えは、やることリストから入らないこと。まずAIの回答プロセスを理解し、何をどうアプローチすれば回答をコントロールできるかを押さえ、その上で施策を決める順番だと言います。
そのプロセスは人間とほぼ同じだと、会食の店選びで例えられます。
明日恵比寿で四人で会食があると聞いたら、誰と行くのか、予算帯は、目的は、雰囲気は、と推論してくれて。行ったことのある店と調べた店の中から、こういう理由でと提案してくれる。AIはこれと一緒のことをやっているだけです。
AIは、自分の中の事前学習データと、リアルタイムに検索した情報を組み合わせて回答を作ります。
RAGAIが回答時に外部の情報源を検索して取り込む仕組み。事前学習した知識だけでなく、その場で調べた最新情報を回答に反映できる。竹内さんは、ここから二つのアクションポイントを導き出します。
ユーザーの意図を推論
プロンプトから、誰に何をどう答えるべきかをAIが考える。
情報を取りに行く
事前学習データや、RAGによるリアルタイム検索で情報を集める。
分かりやすく提案
集めた情報を、相手に伝わる形に整えて回答する。
この二つ、つまり「何を基準に決めるのか」と「どこにアクセスして情報を取りに行くのか」を押さえるのが要点です。
アクセスして取りに行く場所に、AIの考え方に沿った情報がAIに分かりやすく落ちていれば、選ばれる確率が高くなる。これが全体像です。
森野さんも、モデルの話だと分かりにくいが、人間なら全く同じことをやっていると納得します。二軒目の場所や、お客さんとの関係性まで考える「仕事ができる人」のイメージです。
専門家と原理を検証する、泥臭いサイテーション
LANYは、こうした話をしつつ研究者とも連携しているといいます。竹内さんは「餅は餅屋」という立場で、AIや自然言語処理を専門にする先輩に、実際の試作結果の意味を尋ねているそうです。
こういう試作をやったらこういう効果が出たんですけど技術的にどういう意味ですか、と聞くと、こういう論文があって、ここまでは正しいけどここは考え方が違う、なぜならと教えてくれる。実データと技術の原点がマッチして知見になるんです。
戦術論だけなら、海外で言われていることをそのまま持ってくればよく、誰にでもできると竹内さんは言います。差が出るのは、なぜ効くのかを原点に当たって検証しているかどうかです。
ある現象があって、こういうのが出ました。それを専門家に聞いたら、それはこうだよと。面白いですね。
話は、正攻法として重視されるReason to BelieveやCitation(サイテーション)へ移ります。森野さんは、なぜ自社で言うより他者に言われた方が効くのかと問いかけます。
サイテーション第三者による言及のこと。公式サイト自身の主張ではなく、外部メディアや口コミなどで取り上げられることを指し、LLMOでの信頼性評価に効くとされます。竹内さんは、これも会食の店の例で説明します。
一つの公式サイトが「俺たちめっちゃうまいんです」と言っていても信じないですよね。逆に食べログの評価が高い、Googleマップの口コミがいいとなったら、信頼して回答に出せる。そういう話です。
OpenAIやGoogleなどのプラットフォーマーは、最高の回答を出し続けないと使われ続けません。自社の主張だけを信じた回答は品質が下がり、ステマっぽく見えてしまうからです。
だからこそ、第三者に、それも権威あるところに言及されている情報が重視されると竹内さんは考えています。ただし理想論であり、コストや技術的な制約もあると釘を刺します。
さらに、SEOで被リンクハックやキュレーションメディアが登場しては潰されてきたのと同じいたちごっこが、LLMでも起きると見ています。
ハックして潰してハックして潰して、プラットフォームのアルゴリズムが良くなっていく。もうこれでしかない。しかもスピード感が昔よりめっちゃ速いんです。
そしてサイテーションを実際に狙うことの難しさにも触れます。第三者メディアの情報コントロールは、提案はできてもビジビリティが低く、実行は容易ではありません。
記者さんを見つけてきて、その人が何を気にしているか知って、こういうリリースをこの人から入れてもらったら、というレベルです。
森野さんは「もう広報ですね」と応じます。サイテーションを効かせるとは、テクニックというより泥臭い広報の仕事に近い、というわけです。
本物のLLMO業者を見抜く3つの質問
では、LLMOを頼みたいときに、胡散臭い業者と本物をどう見分けるか。森野さんの問いに、竹内さんは3つの質問を挙げます。
竹内さんは、この二つを聞いた上で三つ目を問えば比較できると言います。マーケティングの視点と技術面が揃い、最終アウトプットまで具体的に語れること、それこそが戦略だからです。
森野さんも、FAQをやりましょう、結論を最初に持っていきましょうと言われても「みんな一緒の記事じゃないか」となってしまうと共感します。大事なのは、その前段階を語れるかどうかです。
SEOは本当になくなるのか
最後に、避けて通れない「SEOは死ぬのか」問題へ。竹内さんは、模範解答は「死にません」だが、本音では死ぬ死なないはどちらでもいい、と前置きします。
なくなっていくと見るのは、特定の使い方だと言います。
Googleにキーワードを入れて十本のリンクが並び、これを上位表示していく戦い。これをやっているなら、まあまあなくなっていくかなと思っています。
検索のインターフェイスがAIや自然言語になり、その方が便利だからです。課題解決として検索する人はAIに流れる、という見立てです。
一方で、SEOの裏側で培った技術は転用できると言います。アルゴリズムの仕様を理解し、機械に読み取ってもらう工夫は、LLMのマーケティング視点と組み合わせれば生き残るという考えです。
森野さん自身も、単語での検索をしなくなったと打ち明けます。八千文字の記事から知りたい二行を探すより、AIに聞く方が楽だからです。
エンターテインメントとして自分で情報を集めたいならいいんですけど、それを代わりにやってくれるので、楽な方に行こうとなりますよね。
検索がエンターテインメントか課題解決かで行き先が分かれる。この整理が、SEO不要論の一面的な捉え方をほぐしていきます。
まとめ
LLMOの胡散臭さの正体は、戦術がSEOと似ているのに、狙う的が見えず成果が語りにくい点にありました。竹内さんは、AIの回答プロセスとマーケティング視点から設計すること、そして本物の業者はその原理と優先順位を語れることを示しています。
- LLMOはSEOと戦術は地続きだが、何を誰のために狙うかを描くマーケティングの領域である
- AIの回答プロセスは人間の推論と同じで、そこから施策を逆算すると再現性が生まれる
- 自社の主張より第三者の言及(サイテーション)が効くのは、プラットフォームが品質を重視するため
- 本物の業者は、ユーザーのAI利用像、回答プロセス、施策の優先度の3点を語れる
- 十本リンクを上位表示する戦いは縮小するが、アルゴリズム理解の技術はLLMOに転用できる
