なぜ「ルフィパターン」は逆効果なのか
今回のテーマは「正しい人脈形成のやり方」です。実績のある玉置さんのもとには「繋がりたい」という人が集まりますが、その中には逆効果な振る舞いをする人もいるといいます。
玉置さんはまず、うまくいかない例から話し始めました。その典型を、自身では「ルフィパターン」と呼んでいるそうです。
大きなことを言い、奇をてらった行動でやってくるタイプの人です。本人はキャラを立てようとしていますが、玉置さんには狙いどおりには映らないといいます。
キャラは立ってないんだけど、キャラが立つ振る舞いをしてくる人って、「若くて頑張っていていいな」とは思うんですけど、その意図しているような「こいつ面白いやつだ」みたいには思わないんですよね。
玉置さんは、こうした振る舞いを「もったいない」と表現します。等身大が一番だという考えが、この回を通した軸になっています。
「ジャケットをください」が記憶に残っても心に残らない理由
玉置さんが挙げたのは、初対面でこちらがぎょっとするような発言をしてくる人の例です。実際にあった一言を紹介しました。
いきなり「今着ているジャケットを僕にください」みたいな人がいたんですよ。
記憶に残ろうとしているのかもしれない、と玉置さんは推測します。ただ、記憶には残っても、狙った効果は出ていないといいます。
「わー、めんどくさいな」って思うだけで、面白いやつとは思わないですよね。
岡島さんは、この行動には「意図した仕掛け」の気配を感じると応じます。相手に「どうして?」と聞いてほしいという狙いが透けて見えるという指摘です。
こちらは関心もなくなっているので、「あ、ごめんなさい、無理です」って言って終わっちゃうんですよね。
玉置さんは、人脈という言葉が生活から切り離された特別なものに感じられがちだと指摘します。しかし、その正体は日常の人付き合いと同じだといいます。
自分のキャラとかけ離れた振る舞いをしても、その人物像は見えてきません。だからこそ「この人と付き合いたい」とは思われないのだ、と玉置さんは話します。
「利用価値」で繋がろうとすると起きること
ではなぜ、そんな行動に走ってしまうのか。岡島さんは「奇をてらうにしても、相手にプラスになる何かを考えないのだろうか」と疑問を投げます。
玉置さんの見立てでは、原因は相手の捉え方にあります。ビジネスで人脈という文脈になると、相手を人ではなく利用価値として見てしまうというのです。
この人と繋がっておいたらいいことがあるかも、みたいなもので繋がりを求めちゃうと、その相手を人として見なくて、利用価値として見てると思うんですよね。
利用価値で来られると、相手も利用価値でしか応じられなくなります。利用価値対利用価値のコミュニケーションになった瞬間、こちらも見返りを示さなければ付き合いようがなくなる、という構図です。
ただ、そこには冷静な現実があります。多くの人は、そもそもそれほど高い利用価値を持っているわけではない、と玉置さんは指摘します。
孫正義さんがいて、彼と同じくらいの利用価値がある人、彼が利用価値を感じる人ってそんなに多くないと思うんですよ。
であれば、利用価値で勝負するより「人間として面白い」と思ってもらう方が、まだ可能性がある。玉置さんはそう続けます。
玉置さん自身は、利用価値でのコミュニケーションが極端に苦手なタイプだといいます。だからこそ、人として付き合うことを重視しているとも話しました。もっとも、利用価値で人と接すること自体を悪とは考えておらず、好みの問題だと補足しています。
矢印が自分に向いた人は、なぜ付き合いづらいのか
玉置さんが判断の軸にしているのが「矢印が自分に向いているか、相手に向いているか」という見方です。
自分本位な人は、矢印がすべて自分に向いてしまっています。それでは付き合いたいとは思われません。
興味深いのは、奇抜な人だけでなく、謙虚すぎる人も同じだという指摘です。腰が低いようでいて、実は自己防衛のために低くしている場合があるといいます。
腰が低いようでいて、その先に自分で自分のことを落としておいて、他人から落とされないように先手を打ってるタイプの人だったり、高慢だと思われないための予防線として腰が低い人っていうのって、やっぱりわかっちゃうじゃないですか。
極端な謙遜は、かえって自己防衛に見えてしまう。結局それも矢印が自分に向いた状態であり、付き合いたいとは思えなくなる、というのが玉置さんの見方です。
大きなことを言い、奇をてらった行動で印象を残そうとする。作られた個性は見抜かれる。
自己防衛や予防線として腰を低くする。どちらも矢印が自分に向いており、付き合いづらいと感じられる。
ワンセンテンスで「つかむ」自己紹介の力
話は、では何がよい印象を生むのかへと移ります。玉置さんが重視するのは、こちらが最初に興味を持てるかどうか、いわゆる「つかみ」です。
例として挙げたのが、ビズリーチ創業者の南壮一郎さんとの初対面です。まだ知名度が高くなかった頃のことだといいます。
何してらっしゃるんですか?って時に、「上から目線の人材紹介の会社やってます」っておっしゃったんですよ。
この一言でこちらの興味が湧く、と玉置さんは言います。ワンセンテンスのインパクトで深掘りしたくなり、話すうちに面白い人だと認識するという流れです。
玉置さんが評価するのは、内容の奇抜さではなく、自分に与えられた尺がわかっているという点です。
自分に与えられた尺がわかっているっていう時点で、まず好きなんですよね。
尺の認識がない人はコミュニケーション力が低く、付き合いたいとは思えない。逆に一言で会話を引き出してくれるのは、親切なコミュニケーションだと玉置さんは話します。
岡島さんは、これも番組のテーマであるメタ認知の一つだと受け止めます。自分に与えられた時間を把握し、そこに合わせて話すという構造だからです。
堀江さんの「宇宙」、商社マンの「エビ」
玉置さんは、天性でつかみができる人の例として、まだライブドアが上場する前の堀江貴文さんを挙げました。
「これから次の事業ってどういうことを見据えているんですか?」みたいなことを聞いた時に、「宇宙」って言われたんですよね。
インターネットバブルの時期に、一人だけ「宇宙」と答える。周囲がインターネットを語る中でのその一言に、思わず食いついてしまったといいます。もっとも、これは特殊な天才の例だと二人は整理します。
より参考になる例として挙がったのが、商社に勤める若手の話です。エビ、なかでもブラックタイガーを担当していた人でした。
その方がブラックタイガーのことだったら何でも語れますっておっしゃって、そこでつかまれたんですよね。
生物としての特徴から流通、世界的なシェアまで本当に詳しかったといいます。「どこどこ商社です」で済ませず、エビのプロとして自分を語ったことが印象を残しました。
大企業なら社名で名乗ってしまいがちですが、それでは埋もれてしまいます。自分が深く好奇心を持って話せることがある人は強い、というのがこの例の含意です。
等身大でいるために、自分の「多面体」を知る
一方で、岡島さんは注意点も挙げます。詳しくないのに「エビに詳しい」と言うような、期待値の上げすぎです。ここで序盤の「等身大」という言葉が効いてきます。
玉置さんは、等身大でいるためには自分を正しく認識している必要があると話します。人は多面体であり、相手に応じてどの面を見せるかを考えるべきだといいます。
つながりたい人と出会える機会は、それほど多くありません。大勢の中の一人として、あるいはSNS上の無数の一人として会う場面もあります。だからこそ、きちんとした自己紹介ができることが大切になる、と玉置さんは強調します。
一発逆転より基礎。「宝くじ顔」から抜け出す
終盤、岡島さんは話を基礎へと引き戻します。テーマであるメタ認知に沿って、自分の価値は何か、相手は何を求めているのかを把握したうえで、与えられた尺で興味を持ってもらえる自己紹介をする。基礎すぎるが難しい、という整理です。
玉置さんも同意します。ほとんどの人が基礎をやっていないからこそ、そこをやれば頭一つ抜けられるといいます。
岡島さんは、基礎をやらずに飛び道具に走ってしまう心理を指摘します。玉置さんはそれを一言で言い表しました。
なんか考え方が宝くじ顔になっちゃってるんですよね。
一発逆転はまぐれ待ちにすぎません。基礎を積んでも「面白い」と思われる確率が100パーセントになるわけではない、と玉置さんは正直に付け加えます。それでも確率は確実に上がるといいます。
そして、自己紹介が面白くなる元ネタは、結局どんな行動をしているかにある、という点に話は行き着きます。中身がないまま、無理に上の人に面白いと思われようとする必要はない、というわけです。
名前、会社名しかわからない状態で名刺交換したがる方もたくさんいらっしゃるんですけど、それも全く意味ないですよね。名刺持ってたとてって話なので。
パーティーで50枚の名刺を集めても、印象に残らなければ誰も覚えていません。目の前の相手を見て、自分のことも正しく見て伝える。玉置さんは、人脈をコミュニケーション、人付き合いとして考える方がうまくいくと締めくくりました。
なお岡島さんは、うまくいかない例を「ルフィパターン」と呼んだことについて、ルフィ本人は悪くないと補足しています。問題なのは、本気でもないのに大きなことを言う「偽ルフィ」だという冗談まじりの念押しでした。
まとめ
人脈形成は特別な技術ではなく、人間対人間の付き合いだというのが玉置さんの一貫した主張です。奇をてらう行動や利用価値の提示ではなく、自分を正しく認識し、相手に合わせて等身大の自分をワンセンテンスで伝える。その基礎を積むことが、また会いたいと思われる近道になります。
- 大きなことを言い奇をてらう「ルフィパターン」は、記憶には残っても付き合いたいとは思われない
- 利用価値で繋がろうとすると、相手からも利用価値でしか応じてもらえなくなる
- 矢印が自分に向いた人は、奇抜でも謙虚すぎても付き合いづらいと感じられる
- 自分に与えられた尺を理解し、ワンセンテンスでつかむ自己紹介が「本当の謙虚さ」になる
- 一発逆転の「宝くじ顔」ではなく、自分の行動という元ネタを積む基礎こそが確率を上げる




