インプット編第2回、テーマは「どの本を読めばいいか」
番組冒頭は、初めてのゲスト回を収録した感想から始まります。玉置さんとのオフライン対面は2回目で、最初は違和感があったものの、話していくと話しやすかったと振り返っています。
そこから今回の本題に入ります。前回は「自分の課題を明確にしましょう」という話でした。今回はその次のステップとして、じゃあどんな本を読めばいいのか、という問いを扱います。
「世界の一流がやっている」に惹かれてしまう心理
本屋に行くと、「世界の一流がやっている」「東大生が書いた」「Google流の」といったタイトルの本がたくさんあります。玉置さんは、こうしたタイトルに惹かれてしまうことを問題提起します。
岡島さんは、コンテンツを作る側の目線として、そう書かないと見てもらえないという気持ちもあると打ち明けます。
一方で玉置さんは、たとえエリートがやっていたとしても、その本に書いてあることが故に、その人をエリートにしているとは限らないと指摘します。
例えば、雑談だけで世界一流になるわけじゃないですか。世界の一流の人がやっている雑談の方法かもしれないですけど、それを読んだからといって一流になれるかというと、そんなことはないですよね。
さらに、すごい人の本を読んでも前提条件が違いすぎる、という点も挙げられます。今ある環境、才能、習慣が違うため、書いてあることだけを切り取って真似ても、同じ成功が再現される保証はありません。
権威にすがるのは「思考放棄」かもしれない
玉置さんは、権威あるタイトルに惹かれてしまう心理を、一種の思考放棄だと表現します。正解を外部に求めてしまっている状態だ、というわけです。
本来は、自分の才能や実力、経験を棚卸しして、この部分の情報が必要だから仕入れたい、と丁寧に選ぶべきだと話します。それを放棄して、楽して成果を得たいという心理が見え見えだ、と。
岡島さんは、これは一発逆転したい、無駄な手間を省きたいという普遍的な欲望だと応じます。そしてそれが実は一番の遠回りになる、とも付け加えます。
玉置さんは「これを食べたら痩せる」という類の情報を例に出します。そうした情報は死ぬほどあったのに、それだけで全てが解決する方法などあるわけがない、と結論づけます。
大事なのは、世界の一流が書いているかどうかではなく、自分の欲しい情報を的確に提供してくれる人が書いている本を選ぶことだと玉置さんは言います。
株式投資の本3冊で見る「プロフィールの読み方」
玉置さんは、本の中身は読まないとわからないので、代わりに著者のプロフィールを読んで自分の課題に合うかを判断する方法を、株式投資の本を例に具体的に紹介します。
設定はこうです。株式投資で年間100万円欲しいと思っている人がいる。株の知識や経験は一旦置いておき、とにかく年間100万円を手に入れたいと思っている。ここに3冊の本があります。
1冊目
『年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資』
2冊目
『わが投資』(サブコピー「株式投資に才能など存在しない」)
3冊目
『世界一やさしいファンダメンタル株投資バイブル』
1冊目は、まさに「年間100万円」とタイトルに書かれているので、思わず手が伸びてしまいます。しかし玉置さんは、具体的な単語を読むと「すごいかすごくないか」の判断に引っ張られてしまうと注意します。
1冊目の著者は、20年弱の経験がある個人投資家で、大型株中心に配当株へ投資しています。Twitterのフォロワーは12万人超。株を仕事にしていたプロではなく、扱っているのは配当株です。
玉置さんは、フォロワー12万人はすごく見えるが、この分野の最大手は200万人規模もいると補足します。つまり、誰もが知るトップではないが、そこそこ影響力を持つインフルエンサー、と抽象化できます。
2冊目『わが投資』の著者は、東京大学教養学部卒、野村證券入社、海外投資顧問室配属、2005年の長者番付で全国トップ、といった強い経歴が並びます。要約すると、グローバルな投資経験が45年ほどあり、経済と家計を体系的に学び、株で高額を得た第一線のプロフェッショナルです。
3冊目『世界一やさしいファンダメンタル株投資バイブル』の著者は、公認会計士の個人投資家です。京都大学卒業後にトーマツ入社、独立して会計士事務所を開業しています。
この方も個人投資家ではあるんですよ。監査法人に入社していますけれど、株式のプロではないんですよね。会計のプロなんです。
3冊目の著者は、ファンダメンタルズ分析という株の基本的な考え方に基づいた、ベーシックな長期投資を教えている人だと整理されます。
同じ課題でも「今の自分」で最適な1冊は変わる
3人はプロフィールが全く違います。ここで玉置さんは、買う人の状態によって最適な1冊が変わることを示します。
たとえば「株は怖いけど、背中を押してほしい」という初心者には、1冊目が合っています。配当という、売買ではなく保有で利益を得る方法なので入りやすいからです。ただし著者は株や会計のプロではなく、あくまで自身の経験に基づく「雰囲気」だと補足されます。
2冊目のバリバリのプロが書いた本は、投資の哲学や判断軸を自分なりに構築したい中級以上の人に向いています。「配当ってなあに?」といった基礎は書かれていないと推察されるため、初心者には難しいだろうと話します。
3冊目の会計士による本は、株を買ったことはあるが値動きの理由がわからない、ローリスクで再現性の高い方法を学びたい、という初級者の基礎固めに向いています。
| 読者の状態 | 相性のいい本 | 理由 |
|---|---|---|
| 怖いけどやってみたい初心者 | 1冊目(配当株の個人投資家) | 保有で利益を得る方法で入りやすい |
| 哲学や判断軸を作りたい中級以上 | 2冊目(プロフェッショナル) | 雲の上の存在の判断基準を学べる |
| やったことはあるが基礎が曖昧 | 3冊目(会計士の個人投資家) | 基本を体系的に勉強できる |
だからこそ「一番いい本を教えてください」という問いは答えづらい、と玉置さんは言います。答えはその人の課題によって変わるからです。
未知の分野はどう見極める?AIをプロフィール読解に使う
岡島さんは、知らない分野だとプロフィールから内容を推察するのが難しいと課題を挙げます。会社の規模や事業内容から調べる癖が必要そうだ、と。
玉置さんは、今はAIに聞けば教えてくれるので、その作業がとても楽になったと応じます。知らない業界や研究分野でも、どの教授やどの学科の人を選べばいいかまで丁寧に教えてくれると言います。
使い方としては、「この理解で合っていますか」「このトーマツという会社はどういう会社ですか」「このプロフィールの人が教えてくれそうなことと、教えてくれなさそうなことは何ですか」といった聞き方が紹介されます。
こうすることで、すごいキーワードに引っ張られて買わないという選び方ができるようになる、というのが玉置さんの主張です。
本は「著者との対話」、AI検索とは役割が違う
岡島さんは、まるっとAIに聞くより本のほうがおすすめか、と尋ねます。玉置さんはおすすめだと答え、両者の役割の違いを説明します。
AIに調べるのはリサーチやインプットですが、本を読むことは著者との対話だと玉置さんは言います。
「私はこう思うんだけれども、あなたはそう考えるんだ」という、その脳内でコミュニケーションしながら読み進めるものだと思ってるんですね。
本に書いてあることを自分の中で咀嚼し、「実際にそうだろうか」「こんな事例もあるのではないか」と考えながら読み進める。そうすることで、情報を吸収するだけでなく自分の考えを深められる、と話します。
岡島さんは、これも前回の話につながり、まずは課題の設定が大事だと確認します。玉置さんは、次回は自分と相性のいい本を選ぶという中身の話をしたいと予告します。
SNSの客引きに疲れないために。バズる投稿の正体
話は本のタイトルからSNSやウェブ記事へと広がります。アテンションを得るために、どれも魅力的な誘いをかけてくるからです。
岡島さんは、作る側として言いづらいとしつつ、まっすぐ大事なことを言うと見てもらえない現実を認めます。ショート動画やXで流れてくるものは、気になるように極端に尖らせているため、質が怪しい場合もあると指摘します。
玉置さんは、バズる投稿は人の脳を知り尽くしていると分析します。その特徴を整理します。
岡島さんは、自分たちもChatGPTに「もっとフックになるタイトルを」と頼むことがあると明かしつつ、流されているといらない情報ばかり詰め込まれてしまうと話します。
玉置さんはこれを「エンプティカロリー」と表現します。たくさん吸収した気になっても、翌日には何も残っていない。時間とカロリーをかけるのはもったいない、というわけです。
ただし玉置さんは、SNSが悪なのではなく付き合い方次第だと強調します。フックと中身のバランスが取れていればよく、その活用法は別の機会に扱いたいと締めくくります。
まとめ
権威あるタイトルに惹かれる前に、著者のプロフィールを抽象化して読み、今の自分の課題に合うかで本を選ぶ。それが一生使えるインプットの技術だという回でした。
- 「世界の一流がやっている」に惹かれても、その本が著者をエリートにしたとは限らず、前提条件も違う
- 権威にすがるのは思考放棄になりがちで、大事なのは自分の課題にフィットする本を選ぶこと
- 本の中身の前に著者プロフィールを抽象化して読み、自分の課題に的確な情報をくれる人かを見極める
- 同じ「株で100万円」という課題でも、初心者・中級者など今の状態で最適な1冊は変わる
- 未知の分野の見極めにはAIが使え、本は著者との対話として自分の考えを深められる点でAI検索と役割が違う





