星1レビューに凹む収録の始まり
この回は、岡島さんが「昨日からちょっと凹んでいる」という告白から始まります。AppleのPodcastレビューでこの番組に星1がついたことがきっかけでした。
その内容は「玉置さんの話を聞きたいのに、一緒にいる男がうるさい」というものでした。相槌の多さや、緊張して飲んでいたコーヒー缶をいじる音まで指摘されていたそうです。
玉置さんの話を聞きたいんだけど、一緒にいる男がうるさいっていう。ちょっとへこむかなみたいな。
岡島さんは、コーヒーの音などは削ろうと思えば削れるものの、作り込みすぎない「本当の話感」を残したくてあえて入れていたと話します。それでも、少し調整しようかという気持ちになったそうです。
何をやってもそれが好きな人と嫌いな人は必ずいるじゃないですか。しょうがないですよね。
玉置さんは「私たちはこれでやっていきましょうよ」と受け止めます。1つの批判が10の好評より気になってしまう感覚を、岡島さんも実感として語りました。
陰謀論はなぜ広まるのか
ここから本題の陰謀論へ。玉置さんは、かつて占い事業を手掛けていたため、オカルトや陰謀論に一般の人より長く触れてきたと切り出します。
玉置さんによれば、占いも陰謀論も、本来は複雑で分かりづらいことを単純化する性質を持っています。世の中は複数の立場の利害が絡み合い、一言では言い表せない複雑さでできています。
私たちって複雑なものとか予期できないものっていうのってストレスなんですよね。
世の中の仕組みを本当に理解しようとすれば、膨大な勉強が必要になります。しかも、政治や経済のスペシャリストの予想でさえ、ほとんど外れてしまう。
そこにタイムラインで、世界を単純化した分かりやすい話がポンと入ってくると、人は強いカタルシスを得てしまう、と玉置さんは説明します。
岡島さんは、それをストレスから解放されるための「ジャンクフード」のようなものだと表現しました。
考えなくて済むという魅力
玉置さんは、人は基本的に考えるのが嫌いで、なるべく考えないでいい方向へ流れていくと指摘します。
私たちがサービスを設計する時って、すごくお客さんに考えさせるものとかって、なかなか設計しないんですよね。
些細なことでも考えるプロセスを踏ませると、人は疲弊してしまう。だからこそ「考えなくていい」ことには、お金を出してでも欲しいと思う人がいる、と玉置さんは言います。
岡島さんは、選ばなくていいウェブサービスや、富裕層がスタイリストに服を選んでもらう例を挙げ、あらゆる商品がその需要を満たしていることに気づきます。
陰謀論は無料で、しかもお金まで出せてしまう「最強のコンテンツ」ではないか、と岡島さんは半ば冗談交じりに話しました。ミステリーやファンタジーと同じく、「なるほど、そういうことか」という感覚をくれる点で魅力的なのだ、と玉置さんは応じます。
消費するのはいいが、信じ込むと危うい
ここで玉置さんは、大事な線引きを示します。陰謀論を魅力的なコンテンツとして、自分で消費して楽しむ分には全く害がないというのです。
玉置さんは、都市伝説系YouTubeを配信する知人の動画も楽しく視聴していると話します。フィクションとして空想を巡らせて楽しむのは問題ない、と。
どんなファンタジーも、それを現実だと思っちゃった時点でやばいですよね。
『スター・ウォーズ』を観てフォースが使えると思う人がやばいのと同じで、陰謀論を信じて現実に行動してしまうのも、その手のやばさだと玉置さんは言います。
岡島さんは、フォースなら非現実だと分かりやすいが、「全て電通のせい」のような話は絶妙にややこしいと指摘します。局所的にはあり得る現象を、総じてそうだと言い切る点が問題なのです。
局所的にある現象を、総じてそういう風に言えるっていうことは、もうそれフォースが使える級の話だと思うんですよね。
「僕らと僕らを裏で支配する側」という二項対立も、それ自体が単純化だ、と岡島さんは整理します。単純化された話はフィクションだと自分の中で線を引くほうが健全だ、と2人は確認しました。
無力さを認めたくない心と、選ばれし民の感覚
玉置さんは、陰謀論には「自分だけが知っている」という選ばれし民のような気持ちもあると話します。この点をAIと議論した経験も紹介されました。
そのときAIが挙げたのが、「自分の無力さを認めたくないという心の防衛反応が根っこにある」という見立てでした。
人は自分を無力だと思いたくない。価値ある人間だと思えない状況を何かで埋めようとし、その隙間に陰謀論が入り込む、という構造です。
人間の脳の進化って、危機とか不足とかに対して敏感なんですよね。
ネガティブな情報に目が行きやすい脳の性質に、陰謀論がぴたりとはまる。岡島さんは、考えなくて済み、賢い側・操られない側に行けた気持ちになれる点で、SNS環境に乗って需要を満たしていると読み解きます。
複雑さへのストレス
世の中は複雑で予測できず、それ自体が疲れの原因になる
無力感・不足
自分は無力だと認めたくない気持ちが生まれる
単純な物語の出現
世界を単純化した分かりやすい話がタイムラインに流れてくる
カタルシスと肯定
考えずに済み、選ばれし側になれた感覚で心が楽になる
確実なものはない世界での打席の増やし方
話は「確実性」へと移ります。玉置さんは、確実性の高い世界は存在しないのに、私たち全員がそれを求めていると指摘します。
岡島さんは、小さく会社を作った前後で、不確実さに飛び込む怖さや、不確実性への耐性をずっと考えていたと打ち明けます。
確実なものってほぼないんですよね。不確実なものが人生の全てなんですよね。
玉置さんは、成果は打席に立った回数でしか出せず、打率を上げるより打席を増やすほうが成功率は上がると語ります。
失敗したくないと打席に立たないことが、かえって失敗の確率を上げてしまう。不確実さを受け入れるには心の強さが必要だ、と2人は確認します。
占い・陰謀論との健全な付き合い方
玉置さんは、占いに来る人は不確実な未来や相手の気持ちの中に、何か確実なものを探しに来るのだと説明します。心が強い時もあれば弱い時もあるからです。
ここで話題は、凹んでいる岡島さんへ。登記のために自転車を漕ぎながら、指摘されたコーヒーの音を気にしていたという小さなエピソードが語られます。
帰ってきて、ちっちゃいでしょ。暑いしみたいな。Tシャツ張り付くし、なんかへこむみたいな。
全部誰かの陰謀ですよ。実は決まっていたんですよ、それは。
もし人間がずっと心が強ければ、フィクションも占いも陰謀論も必要ない、と玉置さんは言います。だからこそ、心が弱っている時は精神安定剤としてうまく使えばいい、と。
世の中そんなもんなんだ、あいつらはバカなんだって言って気持ちよく寝れるんだったら、気持ちよく寝て体力を養って心を健康にすればいいんですよ。
ただし、むやみに広めたり、時間やお金を使いすぎたり、周囲との関係を壊すのはやりすぎだ、と釘を刺します。
むしろ、陰謀論を「面白いね」以上の気持ちで見てしまう時は、自分の心が弱っているバロメーターとして使えばいい、というのが玉置さんの提案です。
ナンバーワンよりオンリーワンより「普通でいい」
玉置さんは、話題を変えて「ナンバーワンでなくてもオンリーワンでいい」という言葉に触れます。
よく考えれば、ナンバーワンもオンリーワンも他者との比較の話であり、どちらも求めるとしんどいだけだ、と玉置さんは指摘します。
玉置さんは、魚の群れを見た体験を例にします。宇宙から俯瞰すれば、朝に出社する人も魚も区別がつかない。それでいい、と思えたら一番いい、というわけです。
一方で玉置さんは、岡島さんが凹むのは少しうまくいき始めた証拠だと見立てます。「魚の群れの一匹じゃない」という意識が出てきたからへこむのであって、悪いことではない、と。
自己肯定感が下がった時は「群れの一匹にすぎない」と思えば心は平和になる。逆にビジネスで勝ち上がる場面では「ナンバーワンになる」という心持ちが原動力になる場合もある、と使い分けを示します。
原動力として機能するのであれば、まあ持っててもいいかもねみたいなことですよね。
けなされて凹んだ時は「別にいいんだよ、魚の群れの一匹だから」と思えば気が楽になる。岡島さんは、自分の心持ちについてフィードバックをもらえたことに助けられたと締めくくりました。
まとめ
陰謀論の心理から入り、不確実な世界での心の持ち方まで広がった回でした。単純な物語の魅力を理解しつつ、フィクションとして扱う線引きと、状況に応じた自己認識の使い分けが語られています。
- 陰謀論や占いは、複雑で予測できない世界を単純化し、考えずに済む楽さを与えるコンテンツである
- 消費して楽しむのは害がないが、現実だと信じて行動したり広めたりすると危うい
- その魅力に強く引かれる時は、自分の心が弱っているバロメーターとして使える
- 確実なものはなく、打率より打席の回数を増やすほうが成功に近づく
- 自己肯定感を保ちたい時は「群れの一匹でいい」、勝ち上がりたい時はその意識を原動力にと使い分ける






