そもそも振り返りは何のためにやるのか
大晦日に配信されるこの回は、年末らしく振り返りと目標をテーマに始まります。まずは、そもそも振り返りは何のためにするのかという問いから話が進みました。
振り返りって何のために、やった方がいいと思います?
岡島さんは、振り返る期間の行動の質を後付けで上げるためのものだと答えます。やりっぱなしにするより、短時間で経験値にバフをかけるようなイメージだといいます。
なんとなく振り返った方がいいだろうな、なんとなく目標立てた方がいいだろうなっていう方がほとんどだと思ってるんですね。
玉置さんは、多くの人が「良かった悪かった」で振り返りを終えてしまうと指摘します。自分を褒めるか反省するかのどちらかになりがちで、それだと来年うまくいく確率を上げることにはつながりにくいという見方です。
良かった悪かったってなんかちょっと情緒的な話ですよね。
そこで玉置さんが提案するのが、「良かった悪かった」ではなく「勝ち負け」で分けるという振り返りの方法です。岡島さんも「分かりやすそう」と関心を示しました。
「勝ち」を決める3つの条件とは
玉置さんは、売り上げが伸びた、貯金が増えたといった結果のうち、3つの条件を満たすものを「勝ち」と定義します。まずは、その中身の説明から始まりました。
たとえばフォロワーを増やしたいと思っていて実際に増えたとしても、意識せずバズっただけなら、それは「たまたま」であり勝ちには入りません。
全く意識してないのにバズりましたみたいなのって、まあこれたまたまですよね。なのでこれ勝ちではないんですよ。
玉置さんは、2つ目の条件がないと3つ目もなくなりがちだと補足します。どう考えて何をやったか説明できてはじめて、再現性が確保できる可能性が高くなるからです。
この3条件を満たす勝ちは、今年作った「資産」のようなものだと玉置さんは言います。同じ条件を来年も作れれば、その成功体験は再現できるという整理です。
そうすると来年も同じ条件が作れたら、その成功体験は再現できるんですよね。
岡島さんは、たまたま有名人に拾われたりニュースの切り抜きがバズったりして一発当たっただけなら、来年ゼロにリセットされる話だと受け止めます。玉置さんはそれを「不戦勝」であり勝ちではないとまとめました。
「負け」とは失敗ではなく、また起きそうな破綻
続いて玉置さんは「負け」の定義に入ります。ここで強調されたのは、負けは失敗そのものではないという点でした。
うまくいかなかったこと、失敗、嫌だったことは1年振り返ればたくさんあります。しかし玉置さんは、それがそのまま負けではないと言います。負けとは、勝ちの裏返しで、条件が変わってもまた起きそうな破綻のことです。
玉置さんは、次の4つのうち1つでも当てはまれば負けだと説明します。岡島さんが「緊張が走る」と反応すると、負けを回復する方法もあると玉置さんは補足しました。
玉置さんは、これらは大きな大失敗ではなく、「ああ、またやっちゃったよ」「いつも嫌な思いをする」に当てはまるものだと言います。仕事を抱えすぎる、締め切りギリギリで焦る、相手に期待しすぎて疲れる、といった例です。
これって、あの、構造の問題なんですね。だから自分を変えるとか相手を変えるとかではなくって、構造を変えてあげないと、また来年も同じ負けが続いちゃうんですよ。
負けを止めるには、どこで止めるかを先に決める
負けを繰り返さないために玉置さんが挙げたのは、次に同じ状況になったらどこで止めるか、何をしないか、どんなルールにするかを先に決めることでした。
例として挙がったのは、仕事を抱えすぎて納期に遅れ、クライアントに怒られることを繰り返すフリーランスのケースです。原因を「いつも忙しくて」で片づけず、構造を変えるアプローチを取ります。
依頼が来ても即答せず、一晩置いて今の案件とスケジュールを冷静に考えてから返事をする
過去の実績から破綻する件数がわかるなら、月に受ける案件数の上限を先に決めてしまう
玉置さんは、自動的に始まってしまう行動や思考を意志の力で何とかしようとすると流されると言います。だからこそ、どのタイミングで止めるかを決めてしまうことが大事だという主張です。
止めるきっかけは物理的な現象だけでなく、気持ちでもよいといいます。嫌な気持ちになったら一旦コミュニケーションを止め、前回話した期待値調整のプロセスを挟むことで、人間関係のズルズルに引っ張られずに済むという例が挙がりました。
玉置さんは、勝ちを意図的に増やすのは難しいと認めます。行動してみた結果であり、仮説を検証して生き残ったものだけの話になるからです。
一方で、負けを再現しないようにするのは誰にでもできると玉置さんは言います。まずは負けの設定を変えることが、来年もっといいことが起こるようにするという振り返りの目的につながります。
勝ちは結構どうなるかわかんないところに挑戦する部分だけれど、負けはもうすでに起きてることを調整するっていうところだから、比較的やりやすいんじゃないかっていう。
そもそも目標は立てなくてもいいのか
話題は「目標」に移ります。年末年始は目標を立てがちですが、玉置さんは目標を立てないでいい派だと明かしました。
岡島さんは、目標の上には目的があり、目的のための課題があってはじめて目標が立つはずだと話します。目的や課題があいまいなまま目標だけが独立してあることに、以前から気持ち悪さを感じていたといいます。
玉置さんは、目標を立てた方がいいのは目的が定まっている人か、勝ち筋が定まっている人だと言います。勝ち筋が決まっていない人は、いろいろ試さないといけない段階だからです。
勝ち筋が決まってない人は、いろいろ試さないとダメなんですよね。想定できないことが多くあるべきなんですよ。
新しい挑戦をしていて想定できないことが多い状況では、そもそも目標を立てようがないと玉置さんは言います。環境が大きく変わっているときも、目標は無効化しやすいと指摘しました。
こうした状態で立てた目標は、抽象的になったり、願望ベースになったり、達成したかどうかわからないものになりがちです。玉置さんは、こうした目標はかえってモチベーションを下げやすいという研究結果もあると話します。
できていない自分っていう認識になっちゃうんですよね。
インフレも進む変化の時代に、どんな目標なら有効か
玉置さんは、AIの発達で働き方が大きく変わり、今の職業が10年後にあるかもわからない変化の激しいフェーズにいると話します。同時に、深刻なインフレも進んでいると指摘しました。
玉置さんは、今年の1月と12月で生活費がどれだけ上がったかを計算して驚いたといいます。トイレットペーパー代、お米代、水道光熱費だけで、1人あたりいくら増えたかを岡島さんに問いかけました。
玉置さんは、こうした状況では目標が無効化したり外れたりしやすいと言います。そのうえで、目標は持たなくてもいいが、負けを改善する方法を考えることを勧めます。
もう一つ玉置さんが挙げたのは、環境や目的が変わっても自分がいたい状態を目標として持つことです。遠い願望を語るのではなく、今、目先で改善できる小さな課題に対する目標にフォーカスした方が有効に働くのではないかと話します。
想像もつかなかった自分になれているか
目標を持たない人にも玉置さんが勧めるのが、どれだけ新しい挑戦をしているかを振り返りに入れることです。負けを減らしながら挑戦の数を増やせば、勝ちの打席に立つ回数が増えます。
玉置さんが毎年やっているのは、去年の1月1日に想像もつかなかったことをどれだけやっているかを振り返る方法です。年末の自分がこうなっているだろうという予想からどれだけ外れたかを見ることで、挑戦の度合いがわかるといいます。
去年の今頃は、ポッドキャストをやってるなんて思ってませんでしたもん。
岡島さんも、去年の今頃は会社を立てたばかりでどうなるか分からなかったと振り返ります。玉置さんは、予想できなかったことが多いほどよく、それはその分だけ考えが変わった証だと言います。
玉置さんは、予想できることばかりの状態は季節の行事を繰り返す「老後」のようなイメージだと表現します。これから1年についても、自分の予想を裏切ること、自分らしくないことをどれだけするかが大事だと話しました。
Googleカレンダーで1年の冒険を振り返る
岡島さんは、想像できない自分になれているかという問いは、なんとなく目標を立てるより多くの人が思いつきやすく、トライしやすいと受け止めます。玉置さんは、簡単にできる具体的なやり方を紹介しました。
玉置さんの方法は、Googleカレンダーを振り返ることです。予定をすべて入れている人なら、その時に何をやっていたかが蘇ってきます。
予想できていなかったことを抜き出してみて眺めると、やっぱり結構今年も冒険してるねみたいな感じになって、ちょっと良かったなって思って年を締めくくるみたいな。
岡島さんは、自分は負けが多そうだと苦笑しつつ、年末年始の休みに試してみると話します。玉置さんは「負けは未来の勝ちですから」と応じ、変えていけばいいと締めくくりました。
まとめ
振り返りを「良かった悪かった」ではなく「勝ち負け」で分けることで、来年に運用できる資産と、止めるべき破綻がはっきりします。目標を無理に立てず、負けを構造で止め、挑戦の数を増やす。それが変化の激しい時代の振り返り術として語られました。
- 「勝ち」は、自分の判断・行動で、説明でき、再現できる結果。来年も運用できる資産になる
- 「負け」は失敗そのものではなく、条件が変わってもまた起きそうな破綻。4つのサインで見分ける
- 負けは意志ではなく構造で止める。どこで止めるか、何をしないか、どんなルールにするかを先に決める
- 目的や勝ち筋が定まらない変化の時代には、遠い目標より目先の小さな課題への目標が有効
- 去年の自分が想像もつかなかったことをどれだけやれたか。Googleカレンダーの振り返りで冒険を確かめられる



