📝 エピソード概要
本エピソードでは、ANRIが主催するフォトアワード「夜明け前」の背景と、第1回グランプリ受賞者であるアーティストコレクティブ「GC magazine」の挑戦に迫ります。佐俣アンリ氏が、ANRIがカルチャーの源流をリスペクトし支援する意図を語る一方、GC magazineのメンバーは、仕事と表現活動の狭間で「燃えカスになりつつも燃え続けていた」インディーな活動の軌跡を明かします。写真界の現状への危機感から生まれたアワードと、強烈な情熱を持つコレクティブの出会いを通じて、AI時代における人間の表現活動の価値と未来について深く議論されています。
🎯 主要なトピック
- ANRIが写真アワードを主催する理由: 従来のアワード消失による写真ジャンルの危機に対し、スタートアップの源流であるカルチャーやアートをリスペクトし、未来の才能を支援するため。
- 「夜明け前」の挑戦的なレギュレーション: 写真の定義に制約を設けず、応募者が「写真」と主張する限り受け付ける姿勢で、結果的に非常にレベルの高い、プロフェッショナルな作品が多く集まった。
- GC magazine受賞の決め手: アワードの趣旨であるインディー精神と継続的な表現への情熱を最も深く汲んでおり、「この作品ではなくこれをやりたい」という強い企画書が評価され満場一致での選出となった。
- アーティストコレクティブ GC magazineの結成: 卒業後も表現を続けるために、月一で作品を競い合う「ガチンコファイトクラブマガジン」としてスタート。地下格闘技のような環境で情熱を維持した。
- 活動継続の要因とコレクティブの力: 表現活動が金銭的にも精神的にもタフな中、コレクティブとして互いに「ケツを叩き合える」環境が、燃え尽きずに活動を続けられた最大の理由である。
💡 キーポイント
- AIによる代替が進む時代において、ANRIは人文学やアート、すなわち「最後に残る人間のエゴや感覚値」にこそ未来の価値があると捉え、支援の対象としている。
- 「夜明け前」は、商業的な成功の手前で表現を諦めてしまう若手作家たちを支援し、その活動のログ(記録)を10年間かけて蓄積していくことを目指している。
- GC magazineは、既存の登竜門に引っかからなかったフラストレーションを原動力に、「自分たちがいいと思うなら自分たちでコンペをすればいい」という極めてインディーな発想で活動を開始した。
- 写真という個人に根ざしやすいジャンルでコレクティブとして活動することにより、「個の視点」を超えた、今までになかった集合的な写真表現を生み出す強みを持っている。
- GC magazineのメンバーにとって、コレクティブは協働の場であると同時に、互いに成長を促し合う「ライバル」としての側面も持つ。
