日本のポッドキャストイベントを一挙調査──2026年版カタログ
ポッドキャスト研究室のレンさん・ウシワカさんが、ゲストに"週9配信"の沼の住人・しぶちょーさんを迎え、日本国内のポッドキャストイベントを片っ端から集めて分類した企画回。トークイベント、展示、物販、ローカル系、オンライン企画、賞レースまで、ここ1〜2年で指数関数的に増えたイベントの全体像を一望し、ポッドキャストと地域おこしの相性や今後の可能性まで語り尽くしたその内容をまとめます。
国内最大級のトークイベントが続々誕生
2026年のポッドキャスト界隈で最も注目度が高いリアルイベントとして、まず名前が挙がったのがPODCAST EXPOPODCAST WEEKENDが名称変更したイベント。物販ブースに加え、新たにP7サミットと呼ばれるカンファレンスが開催される。2026年5月9〜10日、東京・世田谷のホームワークヴィレッジにて。です。従来のPODCAST WEEKEND日本最大級のポッドキャスターの祭典として知られていた物販・交流メインのイベント。下北沢を中心に開催されてきた。がリニューアルし、2日間にわたるカンファレンス「P7サミット」が新設されました。ポッドキャスト界隈で有名なパーソナリティが多数登壇する予定で、この規模のトークイベントは過去になかったとウシワカさんは振り返ります。
もう一つの大型イベントが、2026年3月に初開催されたJAPAN PODCAST FESTIVAL 2026TBS局内を含む3ステージで構成された大規模フェス。芸能人から一般ポッドキャスターまで幅広い出演者が参加した。。TBSの局内ステージを含む3ステージ体制で、芸能人から一般ポッドキャスターまで一堂に会した"お祭り"でした。告知がかなりギリギリだったことや、出演者が運営側主導で決まった点など、独特の進め方だったようですが、初回にしてフェスティバル感が十分に出ていたとのことです。
あのサイズのトークイベントはなかったですね。あの祭りはまた行きたい
「聞ける・遊べる・食べられる」総合型イベントの進化
ウシワカさんとしぶちょーさんが共同主催するPODCAST MIXER 2.02026年5月16日、神戸三宮のカフェ「アイドルチェ」で開催されるポッドキャストの総合型イベント。前年の名古屋開催に続く2回目。は、トーク・ワークショップ・グッズ物販・フードがすべて一か所に集まる"回遊型"のイベントです。第1回は2025年7月に名古屋で開催されており、今回は神戸三宮のカフェ「アイドルチェ」を貸し切っての開催。キッチン付きの会場を活かし、ウシワカさんの但馬牛を使ったカレーや、ポッドキャスト番組「食べ物ラジオ」の料理人兄弟による料理も提供されるとのこと。
ポッドキャスターそれぞれが持つ専門性をワークショップとして来場者に体験してもらう仕組みが特徴で、「お行儀よくステージを見るだけのイベントから進化しよう」というコンセプトが込められています。
いい意味でのごちゃ混ぜ感、いろんな方向での価値を混ぜた、ポッドキャストの魅力をいろんな角度で楽しめるようなイベントにしたい
飛び入りOKの「MIXER TIME」
PODCAST MIXER 2.0ならではの仕掛けが「MIXER TIME」です。5分〜10分でもいいから登壇側をやってみたいという参加者が、当日その場で飛び入りでステージに上がれる時間枠。前回の名古屋開催でも設けられ、今回も継続される予定です。リスナーの参加もOKとのこと。他のイベントでは出演者があらかじめ固定されていることが多い中、この仕組みはかなりユニークです。
地域おこし×ポッドキャストの相性
2026年に入って勢いを増しているのが、ローカル系イベントです。静岡県沼津市では「みんなのポッドキャストフェス」が2年連続で開催され、2025年は商店街を丸ごと使った形に。交流スペースや公開収録ブース、トークセッションが街のあちこちに設けられました。
また、渋沢くんFM地域に根差したポッドキャスト活動を行っている番組・団体。ローカルポッドキャストフェスを東京で主催した。が主催した「ローカルポッドキャストフェス」も新たに立ち上がり、さまざまなブースやトークイベントがSNSで話題になっていました。旅系ポッドキャスト「大人になりたい、旅がしたい」が来場者にヒアリングして「あなたにおすすめの旅先」を教えるブースが大好評だったというエピソードも飛び出しました。
地域おこし協力隊の人たちがネタに困ってて、ポッドキャストのイベントってすごく合うなって思いましたね
しぶちょーさんによると、地域おこし協力隊総務省の制度。都市部から地方に移住し、地域活性化のための活動を行う人材。任期は最長3年で、地域のイベント企画なども担う。のような地域活性に取り組む人たちがイベントのネタを常に探しており、ポッドキャストとの組み合わせは非常に相性が良いとのこと。成功事例が出れば全国で真似されていく可能性が高く、日本独自のポッドキャスト普及ルートになるかもしれないとレンさんは期待を語りました。
オンライン企画(〇〇系ポッドキャストの日)
自分の番組内で共通テーマを配信し、ゆるく繋がる
リアルイベント化
オンラインの繋がりをきっかけに対面イベントが誕生(例:科学系の日→シンポジウム)
既存イベント・地域祭りへの融合
展示会・フードフェス・地域おこしイベントにポッドキャストブースを出展
展示・物販・交流──フィジカルな出会いの場
「集まること自体が目的」というタイプのイベントも存在感を増しています。PODCAST OASISは東京・麻布十番で開催された"ポッドキャスターの集い"。小さなステージでのトークはありつつも、コーヒーを飲みながらステッカーを交換したり、リスナーとパーソナリティが自由に交流したりする空間がメインだったとウシワカさんは振り返ります。
新たに立ち上がったPODCAST STICKER BASEは東京・お茶の水での初開催。番組のステッカーをきっかけにした交流やグッズ物販に特化したイベントです。
アートワークを"レコードサイズ"で展示する「ジャケギキ」
展示系で異彩を放つのがジャケギキ。ポッドキャスト番組のアートワークをレコードジャケットサイズに印刷して壁一面に飾る、いわば展覧会です。前回は原宿のスペースを3階まるごとジャックして開催され、100番組以上が参加。ポッドキャストとは無関係の通行人がふらりと立ち寄って「これ何ですか?」と尋ねる場面も多かったそうです。
アプリに全部あるはずなんだけど、見切れない。物理的に並んでるっていうのはやっぱり違う
スマホの中にあるアートワークが実際に壁に並ぶ──その視覚効果は大きく、「ポッドキャストってこんなにあるんだ」という発見を生み出しているようです。レンさんもウシワカさんも、自分の番組のジャケットを部屋に飾っているとのこと。
学び系イベントと「ポッドキャスト学」の萌芽
ポッドキャストの「やり方」を学ぶイベントも増えています。ポッドキャストラボ福岡COTEN RADIOの樋口さんが主催するポッドキャスト関連団体。体験イベントやオンライン初心者講座を開催。は体験イベントやオンラインの初心者講座を開催。レンさん自身も「ポッドキャストアカデミー」と名付けたイベントを開き、テーマの考え方やポッドキャスト作りのこだわりをトーク形式で発信しました。SpotifyやAppleもセミナーを不定期で開催しているそうです。
レンさんが主催したポッドキャストシンポジウムも学び系の文脈にあるイベントです。アカデミック要素を取り入れたポッドキャストイベントとして2回開催されました。ちなみに、PODCAST MIXERはこのシンポジウムの帰り道に誕生したエピソードも紹介され、「イベントはイベントを呼ぶ」とウシワカさんは語ります。
さらに、ポッドキャスト総研野村さん・白良さんが手がけるポッドキャスト番組。一時期休止していたが再開。ポッドキャストの業界動向や作り方を扱う。が再スタートしたことも、学び系イベントが盛り上がる気配を強めています。しぶちょーさんからは「ポッドキャストを教える番組を集めた大きな学びイベントがほしい」というアイデアが出され、レンさんは「それはもう学会ですね」と反応。「ポッドキャスト学」が生まれるかもしれないという半ば冗談、半ば本気の展望で盛り上がりました。
オンライン企画「〇〇系ポッドキャストの日」の広がり
リアルイベントだけでなく、自分の番組内から気軽に参加できるオンライン企画も急増中です。レンさんが始めた「科学系ポッドキャストの日」を皮切りに、しぶちょーさん発の「ものづくり系ポッドキャストの日」、雑談系、地域系など、テーマごとの配信イベントが次々と誕生。収録当日には「#今日は旅の話」という旅系ポッドキャスト向けの新企画も発表されたばかりでした。
現地に行く必要がなく、自分の番組で共通テーマを話すだけで参加できるため、ハードルが非常に低いのがポイント。SNSでのコメントやフォローのきっかけにもなり、緩いつながりが自然に生まれます。かつてはSpotifyに買収される前のAnchorが公式アカウントで月間テーマを提案していたそうですが、それが消えた今、各コミュニティが自発的に同じ機能を担い始めている──という現象は興味深いものがあります。
賞レース・アワード事情
最後に取り上げられたのが賞レース・アワードの動向です。日本で最も知名度が高いのはJAPAN PODCAST AWARDS(第7回)。それに加え、一昨年あたりからアマチュア向けを意識した「ポッドキャストスターアワード」が登場し、Voicyも独自の「エピソードアワード」を始めています。
あまり知られていないものとして、Spotifyがグローバルで実施しているクリエイターマイルストーンアワードSpotifyが世界的に展開するトップクリエイター向け表彰。日本ではCOTEN RADIOのみが受賞している。も紹介されました。日本でこれを受賞しているのはCOTEN RADIOだけという、まさにトップ・オブ・トップの賞です。
| カテゴリ | 代表的なイベント | 特徴 |
|---|---|---|
| 大型トーク | PODCAST EXPO / JAPAN PODCAST FESTIVAL | カンファレンス・複数ステージ |
| 総合型 | PODCAST MIXER 2.0 | トーク+物販+ワークショップ+フード |
| ローカル系 | みんなのポッドキャストフェス / ローカルポッドキャストフェス | 商店街活用・地域おこしとの連携 |
| 物販・交流 | PODCAST OASIS / PODCAST STICKER BASE | ステッカー・グッズ中心の集い |
| 展示 | ジャケギキ / Spotifyまとめポップアップ | アートワーク展覧会・体験ブース |
| 学び系 | ポッドキャストラボ福岡 / ポッドキャストシンポジウム | 初心者講座・ノウハウ共有 |
| PF主催フェス | Voicyファンフェスタ / stand.fmサンクスフェス | 芸能人も参加するプラットフォーム祭 |
| オンライン企画 | 科学系の日 / ものづくり系の日 / #今日は旅の話 ほか | 自分の番組から参加可能・テーマ配信 |
| 賞レース | JAPAN PODCAST AWARDS / クリエイターマイルストーンアワード | 業界表彰・認知拡大 |
まとめ
しぶちょーさんによる今回の研究結果は「ポッドキャストイベント、指数関数的に伸びてます」。1〜2年前と比べるとイベントの数は4倍以上に膨れ上がっており、2026年後半から2027年にかけてさらに増えていくだろうというのが3人の一致した見方でした。
大型カンファレンスからローカルの商店街フェス、アートワーク展覧会、オンライン配信企画まで、ポッドキャストイベントの形は驚くほど多様化しています。「声だけ」から始まったメディアが、これほど豊かなフィジカル体験を生み出している事実は、ポッドキャスト文化の成熟を感じさせるものです。
レンさんは「今日のリストを残しておいて、来年どうなってるか比べたい」と語りました。もしかすると来年は読み上げるだけで終わってしまうかもしれない──そのくらいの勢いで、日本のポッドキャストイベントシーンは加速しています。
- 日本のポッドキャストイベントはここ1〜2年で指数関数的に増加。大型カンファレンスからローカルフェス、展示、オンライン企画まで多種多様に
- PODCAST EXPOはPODCAST WEEKENDからリニューアルし、P7サミット(カンファレンス)を新設。JAPAN PODCAST FESTIVAL 2026も初開催で3ステージ規模に
- PODCAST MIXER 2.0は神戸で開催される総合型イベント。トーク+ワークショップ+フードが揃い、飛び入り登壇の「MIXER TIME」が独自の仕掛け
- 地域おこし×ポッドキャストの相性は抜群。成功事例が各地に波及する可能性が高く、日本独自の普及ルートになりうる
- 「〇〇系ポッドキャストの日」などオンライン配信企画が次々誕生し、繋がりの口実として機能している
- 学び系イベントやポッドキャスト総研の再スタートなど「ポッドキャスト学」が生まれる気配も
- 既存イベント(展示会・フードフェスなど)にポッドキャストブースを「入り込ませる」手法が新たなフロンティア

