ポップコーン×味ポンという沼の発見
冒頭、西野さんが興奮気味に語ったのは映画の話……ではなく、ポップコーンの話題でした。福岡の舞台挨拶先で映画館スタッフに勧められた「無限さっぱりスパイス by 味ポンミツカンが販売するポン酢ベースのふりかけ調味料。ポップコーンや唐揚げに振りかけて使う。映画館の一部店舗で提供されている。」をポップコーンに振ってみたところ、「一生行ける」沼にハマったとのこと。
味ポンの後にキャラメルも行ってみてくださいって言われて……余計行きました。一バケツ半いきましたんで。
一口だけ味見するつもりが、最大サイズのバケツを完食。さらにキャラメルポップコーンとの"箸休めローテーション"で一バケツ半を平らげたそうです。「ダイエット中の方はお気をつけください」と笑いながらも、全力でおすすめしていました。
「サブスク配信、いらなくないですか?」
本題はここからです。舞台挨拶の合間にスタッフと話していた西野さんは、映画『えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜2026年春公開の映画。西野亮廣が製作総指揮を務めるアニメーション作品で、2020年公開の前作『映画 えんとつ町のプペル』の続編。』について「本当にサブスク配信しなくていいんじゃないか」という考えに至ったと打ち明けました。
「オンラインっぽいイメージ」を持たれがちな西野さんですが、意外にも以前からサブスク配信には気持ちが乗っていなかったそうです。理由は大きく二つあります。
チーム内でも意見が分かれるテーマだそうですが、最終決定権は西野さんにあり、「する気がない」と明言しました。
コロナ禍で映画館を守ると決めた原体験
西野さんがここまで映画館にこだわる背景には、コロナ禍の原体験があります。
2020年、コロナの影響で映画館に人が行けなくなった時期、ディズニーウォルト・ディズニー・カンパニー。2020年、実写映画『ムーラン』の劇場公開を取りやめ、自社配信サービスDisney+での有料配信に切り替えたことで大きな議論を呼んだ。が映画『ムーラン2020年公開のディズニー実写映画。コロナ禍で劇場公開が見送られ、Disney+での有料配信(プレミアアクセス)に切り替えられた。これに対し、世界各地の映画館経営者が強い反発を示した。』の劇場公開を取りやめ、Disney+ディズニーが運営する定額制動画配信サービス。2019年に米国でスタートし、ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズなどの作品を独占配信している。での配信に切り替えました。これに怒った海外の映画館の館長がムーランのパネルを叩き割ったニュースが話題になりましたが、西野さんは「俺、館長の気持ちわかる」と振り返ります。
僕は劇場で生まれ育ったからさ。やっぱね、お客さんがいない劇場の虚しさを知ってるわけですよ。
実は当初、西野さん自身が前作『映画 えんとつ町のプペル』を丸ごとYouTubeで公開しようと提案していたそうです。「最初にやったやつが一番勝ちでしょ」と。ところが、ある瞬間にスタッフ全員を集めて方針転換を宣言します。
「映画をYouTubeで全編公開しよう。一番最初にやったもん勝ちだ」
「映画は映画館でやらなきゃダメだ。今一番弱ってる映画館を僕たちが守る」
そこから西野さんは1ヶ月で100劇場を回る"一緒に見る会"を敢行。舞台挨拶はできないコロナ禍の制約のなかで、映画館の集客を支え続けたのでした。メディアからの批判もあったそうですが、「関係ない。映画館を守るんだ」と突き進んだといいます。
地方の映画館の"ばあちゃん"を守れるか
コロナ禍の次に守るべき相手は誰か。全国を回るなかで西野さんがたどり着いた答えは、「地方の小さな映画館」でした。
都心部の映画館は公開日にいっせいに上映を始められます。しかし地方の単館系・独立系映画館大手シネコンチェーンに属さず、個人や小規模法人が経営する映画館。上映作品の選定や公開時期を独自に決められる一方、大手のような同時公開の恩恵は受けにくい。は1〜3ヶ月遅れでの公開が当たり前。なかには、一人のおばあちゃんが切り盛りしているような映画館もあるそうです。
都心での公開から3ヶ月後にNetflixで配信が始まったとしたら、まさに地方の映画館が上映を開始するタイミングと重なります。「自宅で無料で観られるものを、わざわざ映画館に足を運んで観る理由」がなくなってしまう。西野さんはそこに強い問題意識を感じたと話しています。
都心の映画館
公開初日に上映スタート。話題性も集客力も十分
1〜3ヶ月後
サブスク配信が開始される(一般的なパターン)
地方・単館系の映画館
ちょうどこのタイミングで上映スタート → 配信と競合してしまう
さらに、最近は「地元の映画館で朝しかやっていない。なんとかしてください」という声が増えているそうです。しかし西野さんは、その声にすべて応えて配信に踏み切ると、結局は地方の映画館を苦しめることになると考えています。
そういう声を全部聞いていくと、最終的にNetflixにあげようやって話になって。で、最終的にばあちゃんたちがすごい苦しい目になっちゃう。
映画館と共に生きるという結論
こうした思考を経て、西野さんが出した結論はシンプルです。
「Netflixでバーンと面を取ればいい」という発想は古い、と西野さんは言います。それよりも、作品を届ける"物語"そのものを大切にしたい。応援上映やサイン会など、映画館でしかできない体験を積み重ねることで、「映画館に行く理由」を作り続ける──それがサブスク配信をしないことで実現できるのだと話していました。
もちろん、「今のところするつもりがありません」という表現は大人としての配慮もあるようですが、本音は「マジでサブスク配信するつもりがなくなってきた」と語気を強めていました。
ゴールデンウィークの舞台挨拶スケジュール
放送の後半では、ゴールデンウィーク中の舞台挨拶スケジュールが詳しく紹介されました。YouTube生配信で視聴者から「吉祥寺オデオン東京都武蔵野市吉祥寺にある映画館。独立系のシネマとして地域に根づいた映画上映を行っている。で夜20時15分から上映している」と教えられ、その場でスケジュールを組み直したそうです。
| 日付 | 時間 | 場所 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 5/4(月) | 11:15 | 渋谷HUMAXシネマ | 上映前後にサイン会・写真撮影会 |
| 14:10 | 立川シネマシティ | 上映後にサイン会 | |
| 20:15 | 吉祥寺オデオン | 一緒に見る会 | |
| 5/5(火) | 11:15 | 渋谷HUMAXシネマ | 来場者全員にオリジナルステッカー配布、上映前にサイン会・撮影会 |
| 14:10 | 立川シネマシティ | 上映前にサイン会・撮影会、オリジナルステッカー配布 | |
| 20:15 | 吉祥寺オデオン | 一緒に見る会 | |
| 5/6(水) | 9:15 | 立川シネマシティ | 上映前にサイン会 |
| 11:15 | 渋谷HUMAXシネマ | 上映後にサイン会・写真撮影会 |
また、5月2日から山口県周南市のシネマヌーベル山口県周南市にある映画館。地方の独立系映画館として、大手シネコンとは異なる上映プログラムを展開している。で映画の上映がスタートし、初週来場者全員にオリジナルステッカーがプレゼントされるとのこと。5月3日には西野さん本人が訪問する予定で、チケットは劇場窓口のみでの販売だそうです。
ゴールデンウィーク本気出していきますんで、皆さんついてきてください。初動つまづいたみたいな雰囲気出てましたが、必ずまくります。
「この逆転劇をどう見せていくか。今回のショーはそれだ」と語る西野さんの声には、まさに映画館と共に走る覚悟がにじんでいました。
まとめ
今回の放送では、映画のサブスク配信に対する西野さんの考え方が、かなり踏み込んだ形で語られました。「便利に届ける」ことと「守るべきものを守る」ことは、時に相反します。コロナ禍で100劇場を回った経験、そして今も全国の映画館を飛び回るなかで見えてきた「地方の映画館が置き去りにされる現実」。そこに向き合った結果としての「サブスク配信はしない」という判断には、単なるマーケティング戦略を超えた信念が感じられます。
配信があれば確かに多くの人に届きます。しかし、それによって失われるものは何か。西野さんは「誰を守るのか」という問いに、映画館──とりわけ地方の小さな映画館を守るという答えを出しました。映画の届け方そのものが"作品の一部"になっている、そんな挑戦を続けている姿が印象的な回でした。
- 映画『えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』のサブスク配信は「マジでするつもりがない」と西野さんが明言
- 理由の一つは「サブスクに出しても埋もれて消費されるだけ」という実感
- もう一つの理由は、地方の映画館が1〜3ヶ月遅れで公開するため、サブスク配信開始と時期が重なり、小さな映画館が苦しむ構造になること
- コロナ禍で1ヶ月に100劇場を回った原体験が、「映画館を守る」という信念の根底にある
- 応援上映・サイン会・限定グッズなど「映画館でしかできない体験」を作り続けることが、サブスク配信に代わる価値になると考えている
- ゴールデンウィークは渋谷HUMAX・立川シネマシティ・吉祥寺オデオンを1日3館ペースで回る本気のスケジュール
