20回を積み上げた「現場録」の現在地
今回で「現場録」は20回目の配信を迎えました。週1配信のため、期間にすると4〜5ヶ月ほどの積み重ねです。
続くのかという不安とね、最初の頃は戦ってましたが。
長いようであっという間かなみたいな感覚ですね。
イマイズミさんは以前から「ポッドキャストは20回始めてからが本当のスタートなのではないか」と話してきました。今回はその「20回続ける意味」をテーマに掘り下げます。
続ける回数の目安は「期間」か「本数」か
トシミツさんがクライアントに提案する目安は「半年は続けましょう」というもの。週1配信でも半年やって、ようやく番組として認知される機会がつくれると考えています。
それぐらい続けて、「どうすか?楽しいすか?やりたいすか?」みたいな感じでご提案することが多い気はしますね。
ただし半年続けたからといって、その先も必ず続くわけではないとも話します。楽しいという答えが返ってきても、ビジネス上「これ以上予算は出ない」というパターンもあるためです。
一方イマイズミさんの周りは先生業や少人数の会社が多く、「20本」と伝えると負担に感じられがちだといいます。
そこでイマイズミさんは、期間ではなく本数で刻んで提案します。まず10回やってみて、その先を続けるかはそのときに判断する、という形です。
まずは10回やってみて、それで20回やるかはまたその時に判断しましょうって言うと、10回だと「やってみよう」って皆さん結構なりやすくなりますね。
最初の10回は「土台」をつくる期間
個人の番組でも、イマイズミさんは20本以上を勧めています。その理由は、最初の10回が土台づくりの期間だからです。
ここでの土台とは、配信のリズムや習慣を指します。テーマを考え、収録し、配信し、データを見て、また次のテーマを考える。この一連の流れを同じリズムで回せるようになるまでが、最初の10回だといいます。
生活習慣みたいなイメージなんですね。
この10回の期間に無理がないか、楽しめているか。それが、その先を続けるかどうかの判断材料にもなります。
テーマを考える
話す内容を決める
収録する
エピソードを録る
配信する
同じ曜日に出す
データを見る
反応を確認する
10本のデータから「強み」を見つける
10回続けると、10本分のデータが溜まります。まとまったデータが見られるようになるのはこの10本目以降で、ここから本格的な改善がしやすくなるとイマイズミさんは話します。
トシミツさんは「10回でも数としては小さいサンプルではないか」と問いかけます。その中で何を見ればいいのでしょうか。
イマイズミさんが挙げたのは、反響のある回を測る指標です。再生数、再生維持率、その掛け算である再生時間などから、回ごとのばらつきが見えてきます。
さらにSNS告知への反響、エピソードへのメッセージ数、配信週の新規フォロワー数なども参考になるといいます。ただしフォロワー数は外的要因もあるため、あくまで参考程度です。
大切なのは、他の番組と比べることではなく、自分の番組の中でどの回に反響があったかを見ること。それによって「リスナーはこういうのが好きなんだ」とわかってきます。
ようやく10回やって、まあ何にせよスポーツにしても、練習試合1回組めたみたいな、そういうレベル感なんですかね。
「練習にお金をもらう」問題と「土台」という言葉
トシミツさんは、10回を「練習」と表現したことに引っかかりを覚えます。資本主義の中で生きる制作者として、練習の間にお金をもらっていいのか、と悩みを打ち明けました。
練習の間お金をもらっていいのか、で、まあ払うモチベーションが果たしてあるのかっていうのは、なんかすごく考えてしまうんですよ。
イマイズミさんは、自分たちが本気で向き合って作っている以上、クライアントからすれば練習の作品ではない、と返します。喋る側がまだ慣れていない段階、というだけだという捉え方です。
そのうえで、この10回を表す言葉としては「土台」や「基盤」がしっくりくると整理しました。
土台ができてデータも見られるようになる10話から20話までが、その強みを試し、答え合わせをしていく期間だといいます。
現場録が10〜20回で試したこと
では「現場録」自身は、10回から20回の間に強みをどう意識したのでしょうか。イマイズミさんが例に挙げたのは、シャープ17「ポッドキャストプロデューサーは必要か?」という回です。
この回が生まれた背景には、それまでのデータから見えた2つの傾向がありました。1つはリスナーに共通する悩み系の回、もう1つは自分たち自身が悩んでいることを赤裸々に話す回。どちらも反響が大きかったのです。
たとえば「一人で話し続けるのはなぜ難しいか」という回は、ソロポッドキャスターに響いたようだといいます。イマイズミさん自身が一人喋りが続かないと打ち明けると、「わかる」という連絡も届きました。
自分たちがさらけ出した回は比較的聞かれてるなとか、皆さんの共通の疑問に思ってることも聞かれるなっていうのがわかったので、ここら辺からちょっとそれらを意識してやってましたね。
この気づきは、タイトルのつけ方にも表れています。「ポッドキャストプロデューサーは必要か」「面白い雑談とは」のように、問いかけで終わる形を意識するようになったといいます。
リスナーが共通して抱える悩みや疑問に応える回
自分たち自身が悩んでいることを赤裸々に話す回
20回以降は「可能性を広げる」フェーズ
イマイズミさんは、ポッドキャストが本当に面白くなるのは20話目以降だと考えています。1〜10話でデータを溜めて習慣化し、10〜20話で強みを見つける。その先が、可能性を広げる段階です。
広げる対象はコンテンツだけではありません。SNSでの届け方やイベントなど、ポッドキャスト以外にも可能性が開けてくるといいます。
具体例として挙げられたのが、ある資格試験の受験者向けの応援番組です。勉強法を教える番組ですが、20話までは勉強法メイン、その先は聞き手の時期に合わせた悩みや関心に寄り添う内容へと変えていきました。
これはデータから見えた行動の裏づけがありました。リスナーは勉強法を数日でまとめて聞く傾向があったため、それ以外のエピソードを増やす方が伸びると判断したのです。結果として、一気に伸びた実感があったといいます。
さらにこの番組では、パーソナリティが持つコーチングサービスへ誘導する動線もつくっているといいます。強みを磨きつつ範囲を広げ、マネタイズにもつなげる設計です。
この番組の強みをきちんと理解して実践していった上で、お金を作る設計も作っていったっていうのはなんか美しいですね。
20回続けて見えた、話し手としての変化
20話を経て、トシミツさん自身にも変化がありました。自分で喋るのは初めてで、喋ることと裏方で考えることは別物だと実感したといいます。
自分のディレクションもすげえざっくりしてたなっていうのは思いますし、自分の日頃の仕事を改めて考えさせられる機会になったかなとは思いますね。
日頃の仕事で思ったことをアウトプットに活かせるのではと考え、書き留めるようになったといいます。いわばネタ帳です。
たとえば「ポッドキャストはイヤホンで聞きたい、ラジオはスピーカーで聞きたい」「分業体制の終焉」といったメモが溜まっているそう。過去の回で近い話をしていたものが、頭に残って書き留められた可能性もあると振り返りました。
キャリアを軸にした新番組と、次の実験
この経験は、次にやってみたいことにもつながっています。トシミツさんは、当初「現場録」でも触れる予定だったキャリアの話を、いつか別の箱で扱いたいと話します。
イマイズミさんも似た思いを持っていました。ゲスト回で相手のキャリアを聞くうちにその面白さを感じ、「ポッドキャストとキャリアと」というテーマの番組を構想しているといいます。
毎回ポッドキャストをやっている人をゲストに招き、キャリアを深掘りし、最後にその人の番組を紹介する。人に興味を持ってもらうことが、そのポッドキャストを広めることにもつながる、という狙いです。
さらに2人は、「現場録」自体の可能性を広げる実験も構想しています。クライアントの番組を設計段階から2人で一緒につくり、その制作過程を番組で公開するというものです。
最初の設計から実際にどうやって番組を作っていくかを、クライアントさんと3人でその模様をお届けする番組ってないと思うので。
壁打ちから始まり、BGMは必要かといった編集の判断まで見せる。それができれば、これまで20回でやってきたことの答え合わせにもなり、番組としても事業としても役割を果たせるのではないかと考えています。
20回はゴールではなく通過点
2人は、発信したいがどう見せればいいかわからない人は多いと感じています。音声としてどう世に出せば面白く広がるかを考え続けてきた自分たちだからこそできることがある、というのが構想の根にあります。
この取り組みは企業でも個人でも受けられる形を想定しています。設計から一緒につくるため、ポッドキャストプロデューサーとして活動したい人がノウハウを吸収できる可能性もあると話されました。
そして20話目以降を続けるかどうか。振り返りを経て、答えは「続ける」でまとまりました。20回もやればネタが溜まり、やりたいことも増え、楽しくなってくるからです。
まとめ
ポッドキャストを続ける意味は、10回で土台をつくり、20回までに強みを見つけ、その先で可能性を広げるという3段階で整理されました。「現場録」自身の答え合わせと事例を通して、20回はゴールではなく通過点だと語られた回でした。
- 最初の10回は配信のリズムを習慣化する「土台づくり」の期間
- 10〜20回は溜まったデータと反響から番組の強みを見つける期間
- 反響は再生数・再生維持率・メッセージ・新規フォロワーなどから総合的に見る
- 20回以降は強みを磨き、コンテンツや届け方、マネタイズへ可能性を広げる段階
- クライアントの番組を設計から一緒につくり、その過程を公開する新たな構想が語られた
