失敗も嫉妬も全部"飲み会のネタにする"のが最強だった──比較・見た目・リスクの話
箕輪・けんすうのご神託ラジオ第28回は、リスナーから届いた3つの相談──「人と比較してしまう」「言うことを聞いているのに管理できてない感が出る」「リスクが怖くて動けない」──にAIのご神託を起点に箕輪厚介さんとけんすうさんが答える回です。「物差しを切り替える」「見た目と中身を合わせる」「自分らしい失敗を選ぶ」という3つの軸で語られた内容をまとめます。
「他人の物差し」から降りる瞬間
人と比較しないようにする方法を教えてください。自分のペースで成長すれば良いと頭では考えつつ、自分よりも能力が優れた人を見ると嫌気が差します。お二人は自分よりも優れていると感じた人、ライバルと出会った時にどういう感情の折り合いをつけてましたか?
比較をやめるのではなく、比較の使い方を変えてください。比較は燃料であって毒ではありません。
箕輪さんの持論は明快です。キャリアには2つのフェーズがあり、最初は「世の中が設定した物差し」──部数、売上、役職など──で頑張る時期。そしてどこかで「もうこの競争、いいや」と思った瞬間から、自分だけの物差しに切り替わるのだといいます。
第一フェーズは世の中が設定した物差しで頑張るんですよ。どっかで「この競争いいや」ってなったら、自分の物差しに切り替わるんです
この切り替わりの途中は「成長痛みたいに虚無になる」とのこと。箕輪さん自身、著書『かすり傷も痛かった』箕輪厚介の自著。前著『死ぬこと以外かすり傷』の続編的な位置づけで、2023年に幻冬舎から出版。のようなトーンで語り始めたところ、周囲から「もうそのフェーズに入らないでください」と言われたそうです。本人としては"降りた"のではなく、単に興味の対象が変わっただけ。
けんすうさんも共感しつつ、「物差しゲームから降りられない人もいる」と指摘します。たとえば、イーロン・マスクテスラやSpaceXのCEO。X(旧Twitter)の買収でも知られる。世界有数の富豪であり、挑戦的な経営スタイルで注目される。の活躍やNVIDIAGPU(画像処理半導体)の世界最大手。AI需要の急拡大により株価・業績が急成長し、時価総額で世界トップクラスの企業に。の決算を見て落ち込んでしまう人がいるのだとか。エネルギーはあるけれど、ずっとそれで落ち込んでしまうタイプにはあまり向かない物差しかもしれません。
第一フェーズ:世の中の物差し
部数・売上・役職など外部の指標で競争する
第二フェーズ:自分の物差し
自分が本当に面白いと思うことを基準にする
自分だけの"ときめきポイント"を見つける
では、自分の物差しとは具体的に何なのか。けんすうさんは英語学習を例に語ります。英語が上手い人と比べるとずっと嫌な気持ちだったのが、「英語の構造を分析して言語化し、先生に伝える」ことに楽しみを見出してからは一変。「もう喋れなくてもいいや」と思えたそうです。
英語勉強してめっちゃいろんな気づきが得られてすげえ楽しいと思ってればいいやって思ってから楽しくなりましたね
箕輪さんはこれを「けんすうさんのライフワークそのもの」だと見抜きます。けんすうさんの本質は「やっていることを抽象化して言語化し、ノウハウや気づきに変えて共有すること」。英語学習でもその得意技を使っているだけだというわけです。
一方、箕輪さんの行動原理はもっとシンプルでした──飲み会のネタが欲しいだけ。本の部数競争も、実はトラブルや大変なエピソードを飲み会で話したかっただけ。数字の競争で話せるエピソードが尽きたから、別のフィールドに移ったのだといいます。
けんすうさんによれば、ひろゆき西村博之。2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の創設者。論破スタイルのトークで知られ、YouTubeやSNSでも人気。も似たことを言っていたそうです。また、小澤隆生さんPayPay株式会社の元社長。Yahoo! JAPAN出身で、現在はBOOST CAPITALを設立しVCと事業の両面で活動中。も、PayPay時代の壮絶なエピソードを飲み会で話すと大ウケで、「あのためにやっている」と語っていたとのこと。大変な経験を"飲み会のネタ"として昇華できる人は、結果的に比較に振り回されにくいのかもしれません。
比べるっていうよりも、自分は何が面白いと思うかっていうのをもうちょっと深掘って見てみるといいよね
「従順に見せる技術」と見た目のギャップ問題
言われたことは必ずやっているのに、なぜか「管理できてない感」が出てしまうようです。入社早々から「好きなことできると思うなよ」と上司に釘を刺される始末。コントロールできない感のある部下ってお二人は嫌いですか? そして、会社に向いていないのでしょうか?
会社に向いていないのではなく、「従順に見せる技術」が足りないだけです。
二人の結論は明快で、これは「顔」の問題だといいます。人は思っている以上に外見の印象で相手を判断しているのです。
けんすうさんが引き合いに出したのが、GOの三浦崇宏さんクリエイティブディレクター。The Breakthrough Company GO代表。「話を聞かなそうな見た目」と評されるが、実際にはファシリテーション能力に優れる。。見た目は「話聞かなそう」なのに、実際はファシリテーションが極めてうまい。しかし見た目の印象が先行するため、プレイヤー(出演者側)として呼ばれがちだそうです。
本当に人は顔で判断してるので、顔だと思いますね
箕輪さんの解決策はシンプル──「見た目に自分を合わすか、自分に見た目を合わすか」どちらかにして、誤解を生まないようにすること。真面目そうな顔で好き勝手やるのが一番摩擦を生みます。逆に、好きなことをやりそうな見た目ならそっちに振り切ればよいわけです。
落合陽一メディアアーティスト・筑波大学准教授。独特の服装や髪型で「只者じゃない感」を醸し出しており、見た目と中身が一致している好例として挙げられた。さんは只者じゃない感のある服装・髪型で知られますが、あれこそ見た目と中身の一致の好例。箕輪さんも「自由を訴えかけてるわけだから」とTシャツ姿を貫いているそうです。
失敗は程度問題でしかない
リスクを取ることについての質問です。失敗したらどうしようという気持ちが強く、思い切ってリスクを取れません。転職先で人間関係がうまくいかなかったらどうしよう、仕事が合わなかったらどうしよう、となってしまいます。もう少し冷静に判断できるようになりたいです。
「失敗したらどうしよう」ではなく、「このまま動かなかったら5年後どうなっているか」を想像してください。本当に恐れるべきは失敗ではなく、現状維持という名の緩やかな後退です。
箕輪さんはここでも切れ味のある持論を展開します。「リスクとか失敗ってないんですよ。程度問題でしかない」。物理的に死ぬのは最悪、逮捕はその次、怒られるのはさらにマイルド……というグラデーションがあるだけで、白黒で「成功/失敗」と分かれるものではない、と。
ほとんど失敗なんだから、可能性何パーあるかしか考えてない。ベース失敗っていうか
そもそも、何かがうまくいくことの方が稀。「六十ぐらいうまくいったな」程度のことがほとんどで、百かゼロかで結果が出ることはないのだから、「失敗したらどうしよう」という問い自体がズレているわけです。
けんすうさんは「失敗を笑い話にできるかどうか」が分水嶺だと補足します。箕輪さんのように「飲み会のネタが一つ増えた」と思える人にとって、失敗はむしろ歓迎すべきもの。「失敗しに行ってるからね、なんなら」と箕輪さんも認めます。
YouTuberが「破産しました」「人生終わりです」と動画タイトルにするのも、裏を返せば「それくらいのことが起きないとネタにならない」ということ。ずっとうまくいっている物語は超つまらない──欠落こそが物語なのだと箕輪さんは言います。
「自分らしい失敗」を選ぶ基準
では、どんな失敗でもOKなのか。ここで箕輪さんが提示したのが「いい失敗」と「悪い失敗」の基準です。キーワードは「自分らしいかどうか」。
たとえば、ガーシー東谷義和。元参議院議員・暴露系YouTuber。箕輪さんが2022年に幻冬舎から著書『死なばもろとも』を出版。賛否両論を呼んだ。さんの本を出した際、「上場企業の社長と絡めなくなるリスク」を指摘されたそうです。しかし箕輪さん的には、"いわくつきの編集者"になるのは「編集者としてかっこいい」ので"ありな失敗"。一方、トークンを作って何十億もの損害を出すとか、不動産を煽って人に損をさせるといった失敗は「僕がやりたくない失敗」。自分のキャラクターに合わない失敗は避けているのです。
ガーシー本を出して"いわくつき"になる → 編集者としてかっこいい
トークンで巨額損害を出す/不動産を煽って損をさせる → 箕輪の物語に合わない
この基準は他の人にも当てはまります。けんすうさんなら「マニアックすぎて流行らないアプリ」は"らしい失敗"。コンテンツ愛が強すぎてニッチになるのはけんすうさんのキャラそのものだからです。逆に「不動産の価格検討サイトを作って金を取りに行って失敗」だと物語として成立しません。
自分らしい失敗をすりゃいい
この失敗は自分らしいかとか、自分の物語に合うかどうか。それはいいですね
転職の話に戻せば、「転職先が合わなかった」は十分に軽い失敗であり、「こういう職種が合わないと気づいた」という経験値が次の確率を上げてくれます。恐れるべきは失敗そのものではなく、自分の物語に合わない失敗を選んでしまうことなのかもしれません。
まとめ
今回の3つの相談を貫くテーマは、「外部の基準に振り回されず、自分なりの楽しみ方・見せ方・失敗の仕方を見つけること」でした。比較に苦しむなら自分の物差しを探す。見た目で誤解されるなら中身と外見を揃える。リスクが怖いなら「自分らしい失敗か」で判断する。どれも完璧を目指すのではなく、自分のキャラクターに正直でいることが処方箋になっています。
- 他人の物差しで競争するフェーズはいつか終わる。自分が本当に面白いと思う「物差し」を見つけることが、比較の苦しみから抜け出す鍵
- 箕輪さんの行動原理は「飲み会のネタになるかどうか」。大変な経験を笑い話に変換できると、失敗も嫉妬もエネルギーに変わる
- 人は見た目で相手を判断する。「従順に見せる技術」とは、見た目と中身のギャップを埋めること
- 失敗は「ある/なし」ではなく程度問題。物理的な危害がなければ大抵の失敗は物語のネタになる
- リスク判断の基準は「自分らしい失敗かどうか」。自分の物語に合う失敗なら、たとえうまくいかなくてもキャリアの経験値になる
