職場の困った人との付き合い方──不満屋、マウントおじさんを"戦力"に変える発想転換
幻冬舎編集者の箕輪厚介さんと、アル株式会社代表のけんすうさんがリスナーの悩みに答える箕輪・けんすうのご神託ラジオ。今回は、職場にいる「不満ばかり言う人」「朝ごはんや爪切りをオフィスでする人」「マウント自慢が止まらない先輩」という3つの悩みに回答します。AIの提案を起点に、承認欲求の扱い方やチーム運営の工夫が語られました。その内容をまとめます。
不満ばかり言う年上社員──毒を薬に変える「役割」作戦
毎日ブツブツと不満や文句を言うタイプの年上メンバーがいます。建設的な提案ではなく、周囲の空気を重くする発言が続きます。自分がマネージャーになり「決まったことに文句を言わないで」「具体的に提案して」と伝えても、行動は変わりません。能力面だけ見ると切れない状況で、他のメンバーからも「何とかしてほしい」と言われます。どう対応すればよいですか?
この人の不満を封じるのではなく、「不満を言う役割」を公式に与えて、毒を薬に変えてください。
AIが提示したのは、役割の付与組織行動学では、否定的な行動を封じるよりも「公式な役割」として位置づける方が、本人の満足度とチーム全体のストレス軽減につながるとされる。批判的な人を「リスク管理担当」に据えることで、発言の意味づけが変わる。という逆転の発想です。けんすうさんは「空気を重くする発言をする人なので、話し合いの後に思う存分ボロクソ言ってください、という場を作る」と提案。聞く側も「そういうものだ」と受け止められるため、ストレスが減るといいます。
天皇機関説みたいなことを言ってるわけですね。
確かに。いいかもね。
ただし箕輪さんは懸念も示しました。「役割を与えたことで、より責任感が増して発言が加速する可能性もある」というものです。そこで出たのが、匿名フィードバック心理的安全性を高めるため、ポストイットなどで意見を匿名で集める手法。発言者が特定されないため、立場や年齢に関係なくフラットな意見が出やすくなる。のアイデアです。
けんすうさんの会社では、毎週「今週良かったこと」「不満に思ってること」「来週挑戦したいこと」の3点を振り返るそうです。箕輪さんは「恥ずかしくて無理。一日で辞める」と苦笑しつつも、匿名化のアイデアには賛同しました。「誰が言ったかわからなくなると、自分の意見が重宝されないと気づいてしんぼりするかも」と分析します。
最終的に、けんすうさんは「匿名でやる・役割を与える・場を作る、の3つがいい」とまとめました。賢く思われたくて否定する人は多く、匿名化すると発言のモチベーションが下がる可能性がある、という洞察も示されました。
職場で朝ごはん&爪切り問題──「みんな言ってる」伝え方
同室の中年男性が週に1〜2回、朝ごはんを職場で食べたり爪を切ったりします。正直気持ち悪いのでやめてほしいです。上司ではないのですが、年上で常に不機嫌そうな雰囲気なので、直接は言いにくいです。
上司や総務に職場環境の相談として持ちかけて、部屋全体のルールとして対処してもらいましょう。
最初に意外な論点が浮上しました。箕輪さんは「朝ごはんはいいじゃん」と反応。しかし撮影スタッフの証言として、「昼ごはんはセーフだが朝ごはんはムカつく」という感覚が紹介されます。その理由は、プライベートと業務時間の境界昼休みは業務時間内のクッションであり、食事をするのは「頑張ってる感」がある。一方、朝ごはんは本来家で済ませるべきプライベートの延長であり、職場に持ち込むとサボっているように見える、という心理が働く。にありました。
食べてこいやって思うと。昼はいいと。朝は「お前のプライベートじゃん」みたいな。
メイクしてるみたいな。そこはお前の部屋でのやつをはみ出してくんなよみたいな。
箕輪さんは「学校で考えたら、朝ごはんを授業中に食べてるようなもの」と納得しました。一方、電車でメイクをする人公共空間でグルーミング(身づくろい)をする行為は、特に日本では「私的な行為を公の場に持ち込んでいる」として忌避される傾向がある。一方、イヤホンなしで動画を見る行為も同様に批判されるが、世代によって感覚が異なる。への批判には「何が嫌なの?」と疑問を呈します。
爪切りについては、二人とも「おじさんの一部が飛んでくるから嫌」と一致。これはグルーミング行為動物が体毛を整える行為のこと。人間の場合、爪切りや化粧などの身づくろいは本来私的な空間で行うもので、公共の場で行うと不快感を与えやすい。特に爪は身体の一部が飛散するため、衛生面の懸念が強い。を共有空間で行うことへの嫌悪感だと考えられます。
・昼ごはんを食べる
・仕事しながら飲み物を飲む
・イヤホンで音楽を聴く
・朝ごはんを食べる
・爪を切る
・化粧をする
・イヤホンなしで動画を見る
面白いのは、箕輪さんが「グリーン車でイヤホンなしで動画を見てるおじさんは、大体令和の虎起業家が投資家にプレゼンするYouTube番組。ビジネス系コンテンツとして人気が高く、グリーン車に乗るような中高年ビジネスマンがよく視聴している。かホリエモンチャンネルを見てる」という観察です。「絶対俺のこと知ってんじゃん」と苦笑する場面もありました。
肝心の解決策として、けんすうさんが提案したのが「みんな言ってるぞ」戦法です。自分の相談ではなく、「同じ部屋の他の人も爪切りは嫌だと言ってた」と伝える。「人のせいにしちゃう」「自分は言ってない感が出る」と箕輪さんも賛同しました。
気になりだすと必要以上に鼻につく、という話も出ました。けんすうさんは「前の席の人がめちゃくちゃトイレに立つ」という苦情を受けたエピソードを披露。箕輪さんも予備校の自習室で「こいつトイレ行きすぎだな」と気になった経験を語り、「関係ないのに挙動がすごく気になる」という心理を明かしました。
マウント自慢が止まらない先輩──おだてて謙遜癖をつける逆転の発想
会社の先輩(43歳独身、高学歴、服装がダサい)が、自分の優秀さを認めてほしくてマウントと自慢を繰り返します。頼りになる時もありますが、単純にうざいです。最初は反応していましたが、途中から無視するようになりました。どういう距離感で付き合えばいいですか?
業務上の発言に反応し、自慢・マウントには淡々と「そうなんですね」の一言だけ返すという仕分けを徹底してください。
箕輪さんは「本当に性格悪いんだけど」と前置きしつつ、自分の対処法を明かしました。「こういう人を見つけるとめちゃめちゃおだてて、周りから見たら完全におちょくってるのに、本人は気づかない」というものです。「天才的なアイデアだ」と言うと、周囲は「始まった」「いじられてんな」とわかるため、ストレスが減るといいます。
けんすうさんも「どこまでおだてたら謙遜するのか試す」と告白。評価を上げすぎると、「いやそこまですごくないんだけどね」と下げてくるため、謙遜が癖になっていくというのです。箕輪さんは「謙遜という行動習慣をつけさせるぐらいおだてる」とまとめました。
けんすうさんは「自慢しないでと言われると自己評価が下がり、防衛本能でより自慢が入ってくる」と分析。一方、「他の場所でめちゃくちゃ褒めてあげる。本当にその人のいいところを褒める」ことで、ミーティングで自慢する必要がなくなるとも提案しました。
箕輪さんは最近の実体験も披露しました。あるビジネスインフルエンサーが自分のすごさをアピールする投稿を見て、「すごすぎます。さすがにやばいです」と引用リツイート。本人は気づかずに「いや、ガチなんです」と返したものの、フォロワーからは「明らかにおちょくってる態度に気づかない鈍感さも、昨今のビジネスインフルエンサーの素質なのか」とツッコまれたそうです。
わかるやつはわかるんだよな。おちょくると。
二人はマウントの心理的背景動物の本能として、序列で最下位と判明すると集団から排除されるリスクが高まる。そのため、「自分より下」を作ることで安心しようとする。学校のいじめも、この心理が働いている場合が多い。についても語りました。箕輪さんは「一番下だと思われないために自分より下を作る。学校のいじめもそう」と指摘。けんすうさんはメルカリ創業者の山田進太郎株式会社メルカリ創業者。日本を代表するスタートアップ経営者の一人。2013年にメルカリを創業し、ユニコーン企業に育て上げた。や川辺健太郎(LINE元CEO)LINEヤフー代表取締役社長。ヤフー、LINE統合後の経営を担う。を例に挙げ、「絶対マウントしない。しなくていいから」と分析しました。
箕輪さんは格闘技の例も出しました。「ヒョードルとか『60億分の1の男』って呼ばれてたやつ。マジで何も言ってなかった。強いから」。けんすうさんも「山田進太郎さんも絶対言わない。むしろ自分を下げられる。余裕があってかっこいい」と続けました。
最後は「かわいそうだよな。おじさん」という言葉で締めくくられました。マウントする人は、本当は承認に飢えている弱さの表れだという理解が、二人の共通認識として浮かび上がりました。
まとめ
今回の3つの悩みに共通していたのは、「封じる・排除する」のではなく「役割を与える・おだてる・匿名化する」という、発想の転換でした。不満ばかり言う人には「不満大使」の役割を与え、匿名フィードバックで発言の価値を相対化する。マウント先輩には過剰におだてて謙遜癖をつけさせ、本当のいいところを褒めて承認欲求を満たす。直接対決を避けたい場合は「みんな言ってますよ」戦法で、自分を矢面に立たせずに伝える。
けんすうさんの会社で実践されている週次振り返りや、箕輪さんの「おちょくり術」は、一見ずるいようでいて、相手の心理を深く理解した上での対応策です。承認欲求やマウント行動は、本質的には不安や孤独の裏返しであり、それを理解した上で「毒を薬に変える」発想が大切だという示唆が得られました。
- 不満ばかり言う人には「不満を言う役割」を公式に与え、匿名フィードバックで発言の価値を相対化する
- 職場でのグルーミング行為(朝ごはん、爪切りなど)は「みんな言ってますよ」と間接的に伝えるのが効果的
- マウント自慢が止まらない先輩は、過剰におだてて謙遜癖をつけさせる、または本当のいいところを褒めて承認欲求を満たす
- 承認欲求やマウント行動は不安や孤独の裏返しであり、「封じる」より「毒を薬に変える」発想が重要
- 本当に強い人(山田進太郎、ヒョードルなど)はマウントしない──自己評価が安定しているから
